大腸がんとAPC遺伝子
近年、日本人の間で罹患率、死亡率ともに高いがんである大腸がん。早期発見、早期治療が重要となるこの病気は、食生活などの環境要因に加えて、遺伝的な要因も発症に深く関わっていることが分かっています。
実は、大腸がんの一部は遺伝によって引き起こされることがあり、その代表的な疾患が家族性大腸腺腫症です。この病気は、大腸に多数の腫瘍(腺腫)ができる病気で、放置すると若いうちから大腸がんを発症するリスクが高くなります。
家族性大腸腺腫症の原因として、APC遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常が知られています。この遺伝子は、細胞の増殖をコントロールする役割を担っており、APC遺伝子に変異があると、細胞増殖のコントロールが効かなくなり、腫瘍ができやすくなると考えられています。
今回は、この家族性大腸腺腫症の原因遺伝子であるAPC遺伝子について、詳しく解説していきます。遺伝子の構造や機能、遺伝子変異と大腸がん発症の関係など、様々な側面から解説することで、家族性大腸腺腫症に対する理解を深めていきたいと思います。