脊髄損傷と自律神経過緊張反射

脳・神経

脊髄損傷と自律神経過緊張反射

病院での用語を教えて

先生、『自律神経過緊張反射』って、どんなものですか?

体の健康研究家

いい質問だね。『自律神経過緊張反射』は、簡単に言うと、体が勝手に反応してしまう状態のことだよ。主に、背骨の高い位置をケガした人に起こりやすく、緊急で対応が必要になるんだ。

病院での用語を教えて

体が勝手に反応するって、どういうことですか?

体の健康研究家

例えば、足が動かない人が、足に何か刺激を感じたとしよう。普通は『何か触れてるな』で終わるけど、『自律神経過緊張反射』の人は、その刺激に体が過剰に反応してしまい、血圧が上がったり、頭痛がしたりするんだ。命に関わることもあるんだよ。

自律神経過緊張反射とは。

体の動きや感覚をつかさどる神経である脊髄。その脊髄の高い位置、だいたい胸のあたりよりも上で損傷を受けた人に起こる症状に「自律神経過緊張反射」というものがあります。これは、体に本来備わっている、意識しなくても体温や血圧などを調整してくれる神経のはたらきが、麻痺している部分への刺激がきっかけで、過剰に反応してしまうことを指します。放置すると大変危険なため、すぐに適切な処置を行う必要があります。

自律神経過緊張反射とは

自律神経過緊張反射とは

– 自律神経過緊張反射とは

自律神経過緊張反射は、脊髄を損傷した患者さんに起こる可能性のある深刻な合併症です。脊髄は、脳からの指令を全身に伝える役割を担っており、この脊髄が損傷を受けると、様々な神経伝達に障害が生じます。自律神経過緊張反射は、その中でも特に注意が必要な症状の一つです。

この反射は、主に胸髄と呼ばれる胸の高さにある脊髄を損傷した場合に多く見られます。そして、損傷を受けた部位よりも下の、麻痺のある部分への刺激がきっかけとなって起こります。例えば、衣服の締め付けや、尿が溜まったことによる膀胱の刺激、あるいは便秘による腸の刺激などが引き金となることがあります。

自律神経過緊張反射が起こると、急激な血圧の上昇が見られます。その他にも、ひどい頭痛、顔面紅潮、発汗、鼻づまり、脈拍の低下や徐脈などの症状が現れます。症状が重篤化すると、意識消失や痙攣、脳出血、最悪の場合は死に至る可能性もあり、迅速な対応が求められます。

項目 説明
定義 脊髄損傷患者に発生する可能性のある深刻な合併症
発生機序 胸髄損傷により、損傷部位より下の麻痺のある部分への刺激が引き金となる
主な原因 – 衣服の締め付け
– 尿閉による膀胱刺激
– 便秘による腸刺激
症状 – 急激な血圧上昇
– ひどい頭痛
– 顔面紅潮
– 発汗
– 鼻づまり
– 脈拍低下・徐脈
– 意識消失
– 痙攣
– 脳出血
重症度 死に至る可能性もある
対応 迅速な対応が必要

引き金となる刺激

引き金となる刺激

– 引き金となる刺激自律神経過緊張反射は、ある一定の刺激が身体に加わることで引き起こされます。この反射を引き起こす原因は人それぞれであり、様々なものが考えられます。まず、排尿に関わる器官からの刺激が挙げられます。例えば、膀胱に尿が過剰に溜まったり、尿の通り道である尿路に細菌が感染して炎症を起こしたりすると、自律神経過緊張反射が起こりやすくなります。また、便秘も原因の一つです。身体への直接的な刺激も、自律神経過緊張反射の引き金となり得ます。具体的には、寝たきりなどによって体重がかかり続けることでできる褥瘡や、皮膚の炎症などが挙げられます。その他、衣服の締め付けや骨折なども、身体への刺激として反射を引き起こす可能性があります。さらに、急激な温度変化も注意が必要です。特に寒い場所から暖かい場所に移動した際など、急激に寒暖差にさらされると、身体が過剰に反応してしまい、自律神経過緊張反射を引き起こすことがあります。このように、自律神経過緊張反射の引き金となる刺激は多岐にわたります。自身の身体の状態や置かれている環境に注意し、少しでも異変を感じたら、速やかに医療機関に相談することが大切です。

自律神経過緊張反射の引き金となる刺激 具体的な例
排尿に関わる器官からの刺激 ・膀胱への尿の貯留
・尿路の感染症
・便秘
身体への直接的な刺激 ・褥瘡
・皮膚の炎症
・衣服の締め付け
・骨折
急激な温度変化 ・寒い場所から暖かい場所への移動など

体の反応

体の反応

– 体の反応私たちの体には、外部からの刺激や変化に対応するために、自律神経というものが備わっています。自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、状況に応じてバランスを取りながら、心臓や血管、呼吸器、消化器などの働きを調整しています。しかし、脊髄損傷などの原因によって、この自律神経のバランスが乱れてしまうことがあります。その結果として、損傷部位より下の神経と、損傷部位より上の神経との間で、異常な反応が起こることがあります。これが自律神経過緊張反射と呼ばれるものです。自律神経過緊張反射が起こると、体に様々な反応が現れます。その代表的な症状としては、まず急激な血圧上昇が挙げられます。これは、血管が収縮し、血液が送り出されにくくなるために起こります。この血圧上昇は非常に危険な状態であり、放置すると脳出血や心不全などを引き起こす可能性もあります。また、激しい頭痛もよく見られる症状です。この頭痛は、血管の拡張と収縮を繰り返すことによって引き起こされると考えられています。その他にも、発汗の異常や、鼻が詰まったような感覚、顔が赤くなる顔面紅潮なども現れることがあります。さらに、吐き気や動悸、不安感といった症状が出ることもあります。重症化すると、意識がもうろうとする意識障害が現れることもあり、命に関わる危険な状態となる可能性もあります。これらの症状は、損傷部位より下の麻痺した部分では感じにくいという特徴があります。そのため、自律神経過緊張反射が起こっていても、本人が気づくのが遅れてしまうことがあります。日頃から、体の変化に注意を払い、少しでも異常を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。

症状 説明
急激な血圧上昇 血管が収縮し、血液が送り出されにくくなるために起こる。脳出血や心不全のリスク。
激しい頭痛 血管の拡張と収縮を繰り返すことによって引き起こされると考えられる。
発汗の異常
鼻詰まり
顔面紅潮
吐き気
動悸
不安感
意識障害 重症化すると現れる場合があり、命に関わる可能性もある。

緊急時の対応

緊急時の対応

– 緊急時の対応緊急時、特に自律神経過緊張反射の症状が現れた場合、迅速かつ適切な対応が求められます。 この反射は、脊髄損傷などが原因で起こる体の反応で、放置すると命に関わる危険があります。まず、患者さんを発見したら、落ち着いて状況を確認しましょう。そして、速やかに周りの人に助けを求め、救急車を要請します。救急車が到着するまでの間にも、できる限りの対応が必要です。第一に、患者さんを上半身を起こした姿勢にします。 クッションや毛布などを背中にあてて支え、楽な体勢を保ちます。頭を低くしてしまうと、血圧が上昇する可能性があるので注意が必要です。次に、衣服を緩めて、体を締め付けているベルトやネクタイなどは取り除きます。 体を締め付けるものは、血流を阻害し、症状を悪化させる可能性があります。患者さんの様子を観察しながら、膀胱や直腸に刺激がないかを確認します。尿意や便意がある場合は、自然に排泄できるように促します。これらの応急処置を行っても、症状が改善しない場合は、救急隊に現在の状況を詳しく伝え、指示を仰ぎましょう。自己判断で対処せず、医療従事者の指示に従うことが重要です。

対応 詳細
体位確保 上半身を起こした姿勢にする。クッションなどで支え、楽な体勢を保つ。頭を低くしない。
衣服の調整 衣服を緩め、ベルトやネクタイなど体を締め付けるものを取り除く。
排泄の確認 膀胱や直腸に刺激がないか確認し、尿意や便意があれば自然に排泄できるように促す。
その他 救急車を呼ぶ。自己判断せず、医療従事者の指示に従う。

予防と対策

予防と対策

– 予防と対策自律神経過緊張反射は、その名の通り自律神経が過剰に反応してしまうことで引き起こされます。そのため、日常生活の中で過剰な反応を引き起こす原因を作らないようにすることが大切です。まず、規則正しい生活を送り、自律神経のバランスを整えることから始めましょう。 食事は、食物繊維を豊富に含む野菜や海藻類、きのこ類などを積極的に摂り、便秘を防ぐことが大切です。 また、水分もこまめに摂取するように心がけましょう。 便秘は自律神経を刺激し、過剰な反応を引き起こす可能性があります。皮膚への刺激も、自律神経過緊張反射の大きな原因の一つです。 皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐことで、過剰な反応を抑えられます。 入浴後は、保湿クリームなどで皮膚のケアを行いましょう。 また、褥瘡(床ずれ)は皮膚への大きな刺激となるため、予防に努めることが重要です。 寝具をこまめに交換したり、体位変換を行うことで、褥瘡の発生を防ぐことができます。衣服は、締め付けの強いものは避け、ゆったりとしたものを着用するようにしましょう。 特に、下着や靴下などは、締め付けによって血流が悪くなり、自律神経に影響を与える可能性があります。これらの予防策を講じても、自律神経過緊張反射の症状が現れる場合があります。 そのような場合は、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしてください。 また、日頃から、症状や対応策について、医師や看護師に相談しておくことも大切です。

項目 対策
生活リズム 規則正しい生活を送り、自律神経のバランスを整える
食事 食物繊維を豊富に含む野菜や海藻類、きのこ類などを摂取し、便秘を防ぐ
水分をこまめに摂取する
皮膚のケア 皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐ
入浴後は、保湿クリームなどで皮膚のケアを行う
褥瘡(床ずれ)予防のため、寝具をこまめに交換したり、体位変換を行う
服装 締め付けの強い衣服は避け、ゆったりとしたものを着用する
特に、下着や靴下などは、締め付けによって血流が悪くなり、自律神経に影響を与える可能性があるため注意する
医療機関への相談 予防策を講じても症状が現れる場合は、速やかに医療機関を受診し、医師の診断を受ける
日頃から、症状や対応策について、医師や看護師に相談する

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