意識障害を測る:3-3-9度方式とは
病院での用語を教えて
先生、「3-3-9度方式」って、どんなものですか?
体の健康研究家
良い質問だね。「3-3-9度方式」は、簡単に言うと、意識障害の程度を分かりやすく数字で表す方法なんだ。例えば、意識がはっきりしている状態を「100」とすると、意識が全くない状態は「0」になる。その間を「3-3-9」に分けて、細かく段階をつけたものなんだよ。
病院での用語を教えて
なるほど。意識のレベルを数字で表すんですね。でも、なぜ「3-3-9」に分けるんですか?
体の健康研究家
これはね、意識の働きを「開眼」「言語」「運動」の3つの反応に分けて、それぞれを3段階、3段階、9段階で評価するからなんだ。合計すると15段階になるんだけど、分かりやすさを優先して「3-3-9度方式」と呼ばれているんだよ。
3-3-9度方式とは。
「3-3-9度方式」は、日本で意識障害の程度を測る方法です。この方法は「さんさんくどほうしき」と読み、「ジャパンコーマスケール」とも呼ばれています。
救急医療の現場で活躍
– 救急医療の現場で活躍
救急医療の現場は、一刻を争う状況です。患者さんの状態を迅速かつ的確に把握し、適切な処置を行うことが求められます。その中でも、意識障害の程度を評価することは、重症度を見極め、適切な治療方針を決定するために非常に重要です。
このような状況下で活躍するのが、「3-3-9度方式」と呼ばれる意識レベルの評価方法です。この方法は、呼びかけに対する反応、痛み刺激に対する反応、開眼の有無、という3つの項目をそれぞれ3段階で評価し、合計点数を算出します。
呼びかけに対する反応は、名前を呼んだり話しかけたりした時の反応を見ます。痛み刺激に対する反応は、肩を軽く叩いたり、爪の付け根をつねったりした時の反応を見ます。そして、開眼の有無は、文字通り、患者さんが目を開けているかどうかを見ます。それぞれの項目で、正常な反応が見られれば3点、異常な反応が見られれば点数が低くなります。合計点が9点であれば意識清明、点数が低いほど意識障害が重度であると判断されます。
3-3-9度方式は、医療従事者間で共通の評価基準となるため、患者さんの状態に関する情報を正確に共有することができます。また、簡便な方法であるため、救急医療の現場のように、時間的制約が厳しい状況においても、迅速に意識レベルを評価することができます。
このように、3-3-9度方式は、救急医療の現場において、患者さんの救命や後遺症の軽減に大きく貢献している重要な評価方法と言えるでしょう。
項目 | 評価基準 | 点数 |
---|---|---|
呼びかけに対する反応 | 正常な反応 | 3点 |
異常な反応 | 1~2点 | |
反応なし | 0点 | |
痛み刺激に対する反応 | 正常な反応 | 3点 |
異常な反応 | 1~2点 | |
反応なし | 0点 | |
開眼の有無 | 開眼している | 3点 |
閉眼している | 0点 |
3つの指標で評価
意識レベルを評価する方法として、3つの項目に着目した3-3-9度方式があります。この方式では、「眼を開けているか」「受け答えはできるか」「指示に従って体を動かせるか」という3つの項目を、それぞれ3段階に分けて評価します。
まず、「眼を開けているか」については、自発的に開けている場合を3点、呼びかけると開ける場合を2点、痛み刺激に反応して開ける場合を1点、全く開けない場合を0点とします。次に、「受け答えはできるか」については、日時や場所を正しく答えられる場合を3点、簡単な質問に答えられる場合を2点、意味不明な言葉を発する場合を1点、全く発語がない場合を0点とします。最後に、「指示に従って体を動かせるか」については、指示通りに手足を動かせる場合を3点、握ったり離したりなどの簡単な動作ができる場合を2点、痛み刺激に対してだけ反応する場合を1点、全く反応がない場合を0点とします。
これらの3つの項目の合計点を算出し、3点から15点の範囲で評価します。合計点が15点に近いほど意識清明であり、3点に近いほど意識障害が重い状態であると判断できます。この評価方法は、簡便であるという利点がある一方で、評価する人の主観が入る可能性もあるという側面も持ち合わせています。
項目 | 評価基準 | |||
---|---|---|---|---|
3点 | 2点 | 1点 | 0点 | |
眼を開けているか | 自発的に開けている | 呼びかけると開ける | 痛み刺激に反応して開ける | 全く開けない |
受け答えはできるか | 日時や場所を正しく答えられる | 簡単な質問に答えられる | 意味不明な言葉を発する | 全く発語がない |
指示に従って体を動かせるか | 指示通りに手足を動かせる | 握ったり離したりなどの簡単な動作ができる | 痛み刺激に対してだけ反応する | 全く反応がない |
開眼機能
– 開眼機能について開眼機能は、意識レベルを評価する上で非常に重要な指標の一つです。 これは、患者さんが自発的に目を開けられるか、あるいは何らかの刺激に対して目を開ける反応を示すかを調べることで評価します。具体的には、以下の4段階で評価を行います。1. –自発的に開眼している– 患者さんが意識ははっきりとしており、周囲の状況を認識している状態です。 特に指示をしなくても、自然と目を開けています。2. –呼びかけに対して開眼する– 患者さんは眠っているか、意識レベルが少し低下している状態です。しかし、名前を呼ばれたり、軽く肩を叩かれたりするなどの刺激に対して、目を開けて反応を示します。3. –痛みに対して開眼する– 患者さんは意識レベルがかなり低下しており、呼びかけに応じません。 しかし、痛みという強い刺激に対しては反応を示し、目を開けます。 例えば、爪の付け根を強く押したり、胸骨をこすったりすると、痛みを感じて目を開くことがあります。4. –全く開眼しない– 患者さんは意識がなく、呼びかけや痛みに対しても全く反応を示しません。 これは最も重症な状態です。開眼機能の評価は、患者さんの意識レベルを把握する上で非常に重要です。 特に、意識障害を呈する患者さんの場合、その後の治療方針や予後を判断する上で重要な情報となります。
段階 | 状態 | 説明 |
---|---|---|
1 | 自発的に開眼している | 意識ははっきりとしており、周囲の状況を認識。指示なしに自然と目を開けている。 |
2 | 呼びかけに対して開眼する | 眠っているか意識レベルが少し低下。名前を呼ばれる、肩を叩かれるなどの刺激に反応して目を開ける。 |
3 | 痛みに対して開眼する | 意識レベルがかなり低下し、呼びかけに応じない。爪の付け根を強く押す、胸骨をこするなどの痛みに対して目を開ける。 |
4 | 全く開眼しない | 意識がなく、呼びかけや痛みに対しても全く反応を示さない最も重症な状態。 |
言語機能
人間が思考や感情を表現し、互いに意思疎通を図る上で欠かせないのが言語機能です。医療現場においても、患者さんの状態を正しく把握するために、言語機能の評価は非常に重要となります。
言語機能の評価は、患者さんの発話の内容や理解度、そしてコミュニケーション能力などを総合的に判断します。主な評価項目としては、以下の点が挙げられます。
まず、「問いかけに対する反応」を見ます。これは、医師や看護師の質問に対して、患者さんが適切な返答ができるかどうかを評価するものです。例えば、「今日は何月何日ですか?」という質問に対して、正確に答えられる場合は、言語機能に問題がないと判断できます。
次に、「自発的な発話の内容」をチェックします。患者さんが自ら話を切り出し、その内容が理解できるかどうかを評価します。例えば、自分の病気について説明を求めたり、症状を具体的に伝えたりする場合は、言語機能が保たれていると判断できます。
さらに、「発語の有無」も重要な要素です。全く声が出ない、あるいは意味の通らない言葉を発する場合は、脳の損傷や病気などが疑われます。
これらの評価項目に基づき、患者さんの言語機能を客観的に評価することで、適切な治療やリハビリテーションにつなげていくことが可能になります。
評価項目 | 詳細 |
---|---|
問いかけに対する反応 | 医師や看護師の質問に対し、適切な返答ができるかどうか |
自発的な発話の内容 | 患者さん自ら話を切り出し、理解できる内容であるかどうか |
発語の有無 | 全く声が出ない、または意味の通らない言葉を発する場合、脳の損傷や病気が疑われる |
運動機能
– 運動機能
運動機能は、患者の意識レベルや神経学的状態を評価する上で非常に重要な指標です。具体的には、患者が指示や刺激に対してどのように反応するかを観察することで評価します。
評価の際には、以下の5つの段階に分類します。
1. 指示に従って体を動かせる
これは最も良好な状態であり、「6」と評価します。患者は医師や検査者の指示を理解し、自分の意思で体を動かすことができます。
2. 指示には従えないが、痛み刺激に対して体を引っ込める
この場合、患者は意識が低下しているか、運動機能に何らかの障害がある可能性があります。「4」と評価します。痛みを感じて反応することは、重要な神経経路が保たれていることを示唆しています。
3. 痛み刺激に対して除皮質姿勢をとる
「除皮質姿勢」とは、痛み刺激に対して、腕を体側に屈曲させ、手首を内側に曲げ、足を伸ばした状態にすることです。これは脳幹の機能が残っている一方で、大脳皮質からの抑制が効かなくなっている状態を示唆しており、「3」と評価します。
4. 痛み刺激に対して除脳硬直を起こす
「除脳硬直」とは、痛み刺激に対して、腕と足を硬直させ、つま先を伸ばした状態にすることです。これは脳幹にも障害が及んでいる可能性を示唆しており、「2」と評価します。
5. 全く反応がない
これは最も重篤な状態で、「0」と評価します。患者は意識がなく、いかなる刺激に対しても反応を示しません。
このように、運動機能は段階的に評価することで、患者の神経学的状態をより詳細に把握することができます。これは、適切な治療方針を決定する上で非常に重要です。
評価 | 運動機能レベル | 説明 |
---|---|---|
6 | 指示に従って体を動かせる | 医師や検査者の指示を理解し、自分の意思で体を動かすことができる状態 |
4 | 指示には従えないが、痛み刺激に対して体を引っ込める | 意識が低下しているか、運動機能に何らかの障害がある可能性があるが、重要な神経経路は保たれていることを示唆する状態 |
3 | 痛み刺激に対して除皮質姿勢をとる | 脳幹の機能が残っている一方で、大脳皮質からの抑制が効かなくなっている状態を示唆 |
2 | 痛み刺激に対して除脳硬直を起こす | 脳幹にも障害が及んでいる可能性を示唆 |
0 | 全く反応がない | 意識がなく、いかなる刺激に対しても反応を示さない最も重篤な状態 |
点数が低いほど重症
意識レベルの低下は、病気や怪我の深刻さを示す重要な指標の一つです。意識レベルを測る方法の一つに、3-3-9度方式と呼ばれるものがあります。この方式は、点数が低いほど意識障害が重度であることを示し、逆に点数が高くなるにつれて意識がはっきりしていることを表します。
3-3-9度方式では、3つの項目、すなわち開眼機能、言語機能、運動機能をそれぞれ評価し、その合計点で意識レベルを判断します。合計点が最も低い3点は、呼びかけや痛みに対しても全く反応を示さない状態を意味し、最も重篤な意識障害と判断されます。逆に、合計点が15点の場合は、意識は全く正常であると判断されます。
3-3-9度方式は、医療従事者間で共通の指標として用いることができ、客観的に意識レベルを評価できるという点で優れています。そのため、救急医療の現場をはじめ、幅広い医療現場で活用されています。しかしながら、3-3-9度方式はあくまで簡易的な評価方法であるため、より詳細な検査が必要となる場合もあります。
項目 | 評価基準 | 点数 |
---|---|---|
開眼機能 (E) | 自発的に開眼している | 4 |
呼びかけると開眼する | 3 | |
痛みに対して開眼する | 2 | |
全く開眼しない | 1 | |
言語機能 (V) | 見当識が保たれている(時、場所、人がわかる) | 5 |
会話は成立するが見当識障害がある | 4 | |
単語のみ発する | 3 | |
意味不明な発声をする | 2 | |
全く発語しない | 1 | |
運動機能 (M) | 指示に従って動く | 6 |
痛みに対して逃避的に動く | 5 | |
痛みに対して四肢を曲げる | 4 | |
痛みに対して四肢を突っ張る | 3 | |
痛みに対して少しだけ動く | 2 | |
全く動かない | 1 |