急性骨髄性白血病:血液のがんを知る
病院での用語を教えて
『急性骨髄性白血病』って、どんな病気ですか?漢字がたくさん並んでいて、よくわかりません。
体の健康研究家
そうだね。漢字が多いと難しく感じるよね。『急性骨髄性白血病』は、血液の病気なんだ。簡単に言うと、血液を作る工場が病気になってしまって、正常な血液が作れなくなってしまう状態のことだよ。
病院での用語を教えて
血液の工場ということは、骨のことですか?
体の健康研究家
その通り!骨の中にある『骨髄』という部分が、血液を作る工場なんだ。急性骨髄性白血病は、この骨髄で血液のもとになる細胞が、がんになってしまう病気なんだよ。
急性骨髄性白血病とは。
「急性骨髄性白血病」っていう病気について説明するね。この病気は、骨髄にある血液の元になる細胞が、まだ成熟する前の段階で、遺伝子の異常が起きることで発症するんだ。この異常によって、未熟な細胞がどんどん増えてしまうんだ。遺伝子の異常には、大きく分けて二つある。一つは、細胞が成熟するための遺伝子が壊れてしまうこと。もう一つは、細胞が異常に増えるのを加速させる遺伝子が活発になりすぎることだ。この病気は、10万人に約3.5人から4人くらいの割合で発生すると言われていて、男性の方がかかりやすいんだ。発症する人の割合は、年齢を重ねるごとに高くなっていく傾向があって、65歳以上の高齢者が半数以上を占めているよ。もし、適切な治療を受けなかった場合、細菌やウイルスによる感染症や、出血が原因で、数日から数週間で亡くなってしまうケースが多いんだ。
急性骨髄性白血病とは
– 急性骨髄性白血病とは
急性骨髄性白血病(AML)は、血液に発生するがんで、血液細胞の元となる造血幹細胞ががん化してしまう病気です。
私たちの血液には、酸素を運ぶ赤血球、細菌やウイルスから体を守る白血球、出血を止める血小板など、様々な役割を持つ細胞が存在します。これらの血液細胞は、骨の中心部にある骨髄という組織で作られます。この骨髄の中に存在する造血幹細胞は、様々な血液細胞を作り出すことができる特別な細胞です。
通常、造血幹細胞は健康な血液細胞を作り出すために働いていますが、AMLでは、この造血幹細胞に遺伝子の異常が起こってしまいます。その結果、造血幹細胞は正常に機能しなくなり、異常な白血球である「骨髄芽球」が過剰に作られてしまいます。
骨髄芽球は、未熟な白血球であるため、細菌やウイルスから体を守るなどの正常な白血球としての働きを持ちません。さらに、骨髄芽球が増殖することで、正常な血液細胞が作られるスペースが失われてしまいます。そのため、AMLを発症すると、正常な赤血球、白血球、血小板が減少し、様々な症状が現れます。具体的には、細菌やウイルスに対する抵抗力が低下するため感染症にかかりやすくなる、貧血になる、出血しやすくなる、などが挙げられます。
項目 | 説明 |
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急性骨髄性白血病(AML)とは | 血液細胞の元となる造血幹細胞ががん化し、異常な白血球(骨髄芽球)が過剰に作られる病気 |
原因 | 造血幹細胞の遺伝子異常 |
影響 |
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症状 |
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遺伝子異常とAML
急性骨髄性白血病(AML)は、血液細胞の癌の一種です。正常な状態では、骨髄中の造血幹細胞は、赤血球、白血球、血小板などの様々な血液細胞に分化していきます。しかし、AMLでは、この分化が正常に行われず、未熟な状態の骨髄芽球が増殖し、骨髄中に蓄積していきます。その結果、正常な血液細胞が減少することで、様々な症状が現れます。
AMLの発症には、特定の遺伝子の異常が深く関わっていることが近年明らかになってきました。これらの遺伝子異常は、大きく分けて二つに分類されます。
一つ目は、細胞の分化に関わる遺伝子の欠損です。細胞の分化とは、細胞が特定の機能を持つように変化していく過程を指します。例えば、造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板といったそれぞれの役割を持った細胞へと変化していく過程です。この分化に関わる遺伝子に異常が起こると、細胞は未熟な状態のまま増殖を続け、骨髄芽球が過剰に作られる原因となります。
二つ目は、細胞増殖を促進する遺伝子の活性化です。通常、細胞の増殖は厳密にコントロールされています。しかし、AMLでは、この増殖をコントロールする遺伝子に異常が起こり、細胞増殖が促進されることで、制御不能なほど細胞が増殖し、AMLを引き起こします。
このように、遺伝子異常はAMLの発症に深く関わっており、その種類も多岐にわたります。現在では、これらの遺伝子異常を標的とした新しい治療法の開発も進められており、今後のAML治療の発展に大きく貢献することが期待されています。
AMLを引き起こす遺伝子異常 | 説明 |
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細胞の分化に関わる遺伝子の欠損 | 細胞が特定の機能を持つように変化する過程(分化)に関わる遺伝子に異常が起こると、未熟な細胞が増殖し、骨髄芽球が過剰に作られる。 |
細胞増殖を促進する遺伝子の活性化 | 細胞増殖をコントロールする遺伝子に異常が起こり、細胞増殖が促進され、AMLを引き起こす。 |
患者さんの数
患者さんの数は病気の深刻さを知る上で重要な指標です。急性骨髄性白血病は決して稀な病気ではありません。この病気は、人口10万人あたり、毎年およそ3.5人から4人程度の人に発生すると報告されています。この数字を日本の総人口に当てはめてみると、毎年約4000人もの人が新たに急性骨髄性白血病と診断されている計算になります。これは決して少ない数字ではありません。性別で見ると、男性の方がこの病気にかかりやすいというデータがあります。また、年齢と発症率の間には、明確な関連性が見られます。年齢を重ねるにつれて、急性骨髄性白血病の発症率は上昇する傾向にあり、特に65歳以上の高齢者において、その傾向は顕著となります。
項目 | 詳細 |
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患者数 | 人口10万人あたり年間約3.5~4人 |
日本での患者数 | 年間約4000人 |
性別 | 男性の方がかかりやすい |
年齢 | 高齢になるほど発症率は高くなる、特に65歳以上で顕著 |
早期発見と治療の重要性
急性骨髄性白血病は、早期発見と適切な治療が非常に重要となる病気です。自覚症状が少ないため、健康診断や人間ドックなどで偶然発見されることも少なくありません。
この病気は、放置すると骨髄の中で異常な細胞が急速に増殖し、健康な血液細胞が作られなくなります。その結果、貧血や出血、免疫力低下といった症状が現れ、日常生活に支障をきたすようになります。さらに、感染症などを合併しやすくなり、重症化すると命に関わることもあります。
しかし、早期に発見し、適切な治療を開始することで、多くの場合、治癒も期待できます。治療の中心となるのは、抗がん剤による化学療法です。患者さんの病状や体力に合わせて、適切な治療計画が立てられます。
急性骨髄性白血病は、決して他人事ではありません。日頃から健康に気を配り、定期的な検査を受けるなど、早期発見を心がけましょう。
項目 | 内容 |
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重要性 | 早期発見と適切な治療が必要 |
発見のきっかけ | 自覚症状が少ないため、健康診断や人間ドックで発見されることが多い |
放置した場合のリスク |
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治療法 |
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予後 | 早期発見と適切な治療で治癒も期待できる |
まとめ
– まとめ急性骨髄性白血病は、血液にできるがんであり、骨髄中の造血幹細胞に異常が生じることで発症します。 通常、血液細胞は骨髄で正常に作られ、それぞれ赤血球、白血球、血小板へと成長します。しかし、急性骨髄性白血病では、この過程が正常に行われず、未熟な白血球である芽球が異常に増加し、骨髄内で増殖してしまいます。その結果、正常な血液細胞が減少することで、様々な症状が現れます。原因は、遺伝子の異常であることが明らかになってきており、その異常を引き起こす要因として、放射線や特定の化学物質への曝露などが挙げられます。 しかし、多くの場合、明確な原因は特定できません。急性骨髄性白血病は、早期発見と適切な治療が非常に重要です。 自覚症状としては、発熱、疲労感、息切れ、貧血症状、出血傾向などがみられます。これらの症状に気づいたら、速やかに医療機関を受診することが大切です。診断には、血液検査や骨髄検査が行われます。治療法としては、抗がん剤による化学療法が中心となります。 また、近年では、遺伝子異常の種類に合わせた分子標的薬や、造血幹細胞移植などの新しい治療法も開発され、治療成績は向上しています。急性骨髄性白血病は、適切な治療を行えば治癒が期待できる病気です。早期発見、早期治療が重要となるため、少しでも気になる症状があれば、ためらわずに医療機関に相談しましょう。
項目 | 内容 |
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疾患名 | 急性骨髄性白血病 |
定義 | 骨髄中の造血幹細胞に異常が生じ、未熟な白血球(芽球)が異常に増加する血液がん |
原因 |
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症状 | 発熱、疲労感、息切れ、貧血症状、出血傾向など |
診断 | 血液検査、骨髄検査 |
治療法 |
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予後 | 適切な治療を行えば治癒が期待できる |
その他 | 早期発見・早期治療が重要 |