総合健康ガイド

食生活

食物繊維の主役!セルロースとは?

植物は、動物のように骨格を持ちません。では、どのようにしてその体を支え、風雨に耐えているのでしょうか?その答えは、「細胞壁」と、それを構成する「セルロース」にあります。セルロースは、地球上で最も多く存在する有機化合物の一つであり、植物の細胞一つ一つを包む細胞壁という構造の主成分です。私たちが普段目にする木々や草花、野菜や果物に至るまで、あらゆる植物の形を維持する上で、セルロースは欠かせない役割を担っています。 顕微鏡で細胞壁を観察すると、まるで糸のように細長いセルロースの繊維が、網目状にぎっしりと絡み合っている様子が見て取れます。この緻密な構造こそが、植物に強度と柔軟性を与え、大きく成長したり、強い風にも耐えたりすることを可能にしています。例えるならば、セルロースは鉄筋コンクリートの鉄筋のようなものであり、植物の体をしっかりと支える骨組みの役割を果たしていると言えるでしょう。
消化器

腸内環境改善の鍵? 腸洗浄について解説

- 腸洗浄とは腸洗浄とは、肛門から直腸を経由して、体温と同じくらいの温度に調整した水や、腸の洗浄のために特別に作られた薬液を注入し、大腸に溜まった便や老廃物を洗い流す行為を指します。 便秘の解消や、腸内環境を整えることを目的として行われることが多いです。腸洗浄は以前は医療機関で受ける治療の一つでしたが、最近では自宅で手軽に行える洗浄キットが販売されており、気軽に試せるようになっています。 腸洗浄は、便秘によって起こる、腹部の張りや不快感、食欲不振などを改善する効果が期待できます。また、腸内に溜まった老廃物が排出されることで、肌荒れの改善や体臭予防、免疫力の向上などの効果も期待できます。 一方で、腸洗浄にはいくつか注意点があります。腸洗浄を頻繁に行うと、腸内細菌のバランスを崩し、かえって便秘を引き起こしたり、下痢や腹痛などの症状が現れる可能性があります。また、自己流で行うことで、腸に傷をつけてしまうリスクも考えられます。 そのため、腸洗浄を行う場合は、医師の指導の下で行うか、市販の洗浄キットを使用する場合は、使用方法をよく読んでから、正しく行うようにしましょう。また、腸洗浄を行っても効果が感じられない場合や、体に異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医療機関を受診するようにしてください。
その他

水分の過剰摂取にご用心:水中毒とは?

人間が生きていく上で欠かせない水ですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざがあるように、過剰に摂取すると「水中毒」を引き起こすことがあります。 水中毒は、体内の水分のバランスが崩れ、細胞が水分を過剰に吸収してしまうことで発症します。 人間の体は、体内の水分量を一定に保つために、腎臓で尿を生成し、余分な水分を体外へ排出するなど、精巧な調整機能が備わっています。しかし、短時間に大量の水を摂取すると、この調整機能が追いつかなくなり、体内の電解質濃度が低下してしまうのです。 電解質は、体内の水分バランスや神経伝達、筋肉の収縮など、生命維持に欠かせない役割を担っています。 水中毒の初期症状としては、頭痛、吐き気、嘔吐などが挙げられます。 さらに症状が進むと、意識障害、痙攣、昏睡などの重篤な症状を引き起こし、最悪の場合、死に至る可能性もあるのです。 水中毒は、健康な人であれば、よほど大量の水を短時間に摂取しない限り起こることは稀です。 しかし、腎臓の機能が低下している高齢者や乳幼児、マラソンなどの激しい運動後などは、水中毒のリスクが高まるため、注意が必要です。 水分補給は、のどの渇きを感じる前に、こまめに行うことが大切です。

胃酸を抑える薬:プロトンポンプ阻害薬

- プロトンポンプ阻害薬とは私たちの胃は、食べたものを消化するために強い酸性の胃液を分泌しています。この胃液には、食べ物を分解するだけでなく、細菌の繁殖を抑える役割もあります。しかし、胃酸が必要以上に多く分泌されてしまうと、胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気を引き起こすことがあります。また、胃酸が食道に逆流することで、胸やけやげっぷ、炎症などを引き起こす逆流性食道炎といった病気の原因となることもあります。 このような胃酸が過剰に分泌されてしまう病気の治療薬として、現在広く使われているのがプロトンポンプ阻害薬です。プロトンポンプ阻害薬は、胃壁にある細胞の中にあるプロトンポンプという酵素の働きを阻害することで、胃酸の分泌を抑える薬です。 プロトンポンプ阻害薬は、従来の胃酸を抑える薬と比べて効果が高く、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの治療に非常に効果があります。また、ピロリ菌の除菌治療を行う際にも、他の薬と組み合わせて使用されます。 プロトンポンプ阻害薬は、医療現場で広く使われている薬ですが、副作用として便秘や下痢、頭痛、発疹などが現れることがあります。また、長期にわたって服用すると、骨粗鬆症やマグネシウム欠乏症のリスクが高まる可能性も指摘されています。そのため、自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従って服用する必要があります。
資格・職種

病院を守る感染リンクナースの役割

病院には、病気の治療のために多くの人が訪れます。しかし、治療のために訪れた病院で、別の病気に感染してしまうことがあります。これを院内感染といいます。院内感染は、入院中の患者さんだけでなく、病院で働く医療従事者にとっても大きなリスクです。 院内感染から患者さんと医療従事者を守るために、病院では様々な対策を行っています。その中でも重要な役割を担っているのが、感染リンクナースです。感染リンクナースは、病院内の各部署に配置された、感染対策の担当看護師です。 感染リンクナースは、それぞれの部署で日々、院内感染の予防活動に取り組んでいます。具体的には、手洗い・手指消毒の徹底や、マスクの着用、環境消毒などの指導を行ったり、患者さん一人ひとりの感染リスクを評価し、適切な予防策を検討します。また、新しい感染症が流行した場合には、その情報収集や職員への教育なども行います。 感染リンクナースは、これらの活動を通して、病院全体の衛生管理レベルの向上に貢献しています。さらに、感染対策の専門家である感染制御チーム(ICT)や、専門的な知識と技術を持つ感染管理認定看護師と連携し、より質の高い感染対策を推進しています。 このように、感染リンクナースは、患者さんと医療従事者を院内感染から守るという重要な役割を担っています。
その他

私たちの生活を脅かすがんについて

私たちの体は、実に精巧な仕組みで成り立っており、無数の細胞がそれぞれ役割を担い、日々生まれ変わりながら生命を維持しています。細胞は通常、決められた期間活動すると、自然に消滅していきます。しかし、何らかの原因でこの細胞の生まれ変わりが正常に行われなくなると、増殖が異常に活発化し、死滅するはずの細胞が生き残り続けることがあります。これが「がん」と呼ばれる病気の始まりです。 がん細胞は、周囲の組織や臓器に侵入し、破壊しながら増殖を続けます。そして、正常な細胞の働きを阻害するため、様々な体の機能に障害が生じ、様々な症状を引き起こすようになります。さらに、がん細胞は血液やリンパ液の流れに乗って体の別の部位に移動し、そこで増殖を始めることもあります。これを「転移」と呼びます。 がんは、早期に発見し、適切な治療を行えば治癒が期待できる病気も増えています。がんについて正しく理解し、定期的な健康診断などを通じて早期発見に努めることが大切です。
血液

エネルギー源 ケトン体の役割

- ケトン体とは私たちの体は、普段は食事から摂取した糖質を分解してできるブドウ糖を主なエネルギー源としています。しかし、飢餓状態や重度の糖尿病など、ブドウ糖が不足するような状況下では、体は別のエネルギー源を必要とします。このような状況下で、体内で脂肪が分解される過程で生成されるのがケトン体です。ケトン体は、具体的にはアセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸という3つの物質の総称です。これらの物質は、ブドウ糖が利用できない状況下において、脳や筋肉など、体の様々な組織や器官にエネルギーを供給する重要な役割を担います。ケトン体は、肝臓で脂肪酸から合成されます。そして、血液によって全身に運ばれ、ブドウ糖の代わりにエネルギー源として利用されます。特に、ブドウ糖をエネルギー源として利用することが難しい脳にとっては、ケトン体は非常に重要なエネルギー源となります。このように、ケトン体は、ブドウ糖が不足するような緊急事態において、私たちの体を支える重要な役割を担っているのです。
資格・職種

認定看護師:専門性を極めた看護のプロフェッショナル

- 認定看護師とは認定看護師とは、看護師としてさらに専門性を高め、特定の分野において質の高い看護を提供できるスペシャリストです。日々の看護業務に加え、特定の看護分野において高度な知識と技術を習得するための厳しい認定審査に合格した者だけに、日本看護協会からその称号が与えられます。認定看護師の活躍する場は、がん看護、救急看護、慢性疾患看護など、全部で21の専門分野にわたります。それぞれの分野で、豊富な知識と経験に基づいた質の高い看護を提供することで、患者さん一人ひとりのニーズに寄り添ったケアを実現します。また、患者さんやその家族へのサポート、他の医療従事者への指導や連携など、その役割は多岐に渡ります。近年、医療の高度化や複雑化が進む中で、患者さんにより質の高い医療を提供するために、認定看護師の需要はますます高まっています。豊富な知識と経験、そして高い倫理観を備えた認定看護師は、チーム医療においても重要な役割を担い、日本の医療現場を支える存在として、今後ますます期待されています。
消化器

経皮経肝的胆嚢ドレナージ:胆嚢炎の画期的治療法

- 胆嚢炎とは胆嚢炎とは、肝臓の下にある洋ナシ型の臓器である胆嚢に炎症が起こる病気です。胆嚢は、肝臓で作られる消化液である胆汁を濃縮して貯蔵し、食事の際に十二指腸へ送り出す役割を担っています。 この胆嚢に炎症が起きる原因として最も多いのが、胆石が胆嚢と十二指腸をつなぐ胆嚢管を詰まらせてしまうことです。胆石は、コレステロールなど胆汁の成分が結晶化してできた小さな石のようなもので、胆嚢内にできることが多いです。胆石が胆嚢管を塞いでしまうと、胆汁が胆嚢から排出されずに溜まってしまい、細菌が繁殖しやすくなります。そして、この細菌が炎症を引き起こし、胆嚢炎を発症するのです。胆嚢炎の典型的な症状は、みぞおちから右の肋骨の下あたりにかけて起こる激しい痛みです。この痛みは、食事の後、特に脂肪分の多い食事をした後や夜間に強くなる傾向があります。また、吐き気や嘔吐、発熱、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる黄疸などの症状が現れることもあります。胆嚢炎は、放置すると胆嚢が壊死したり、炎症が周囲の臓器に広がったりするなど、重症化する可能性があります。そのため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。

身近な薬 イブプロフェン

- イブプロフェンとは?イブプロフェンは、私たちが日常的に経験する様々な痛みや発熱を抑えるために広く使用されている薬です。頭痛や生理痛、歯痛、筋肉痛といったありふれた痛みはもちろんのこと、風邪やインフルエンザなどの発熱にも効果を示します。 イブプロフェンは、体内でプロスタグランジンと呼ばれる物質の生成を抑えることで効果を発揮します。プロスタグランジンは、炎症や痛みの発生に関与している物質です。イブプロフェンによってプロスタグランジンの生成が抑制されることで、炎症や痛みが鎮静化し、結果として熱が下がる効果も期待できます。 イブプロフェンは、病院で処方される処方薬だけでなく、薬局で購入できる市販薬にも含まれています。そのため、私たちにとって非常に身近な薬と言えるでしょう。しかし、服用する際には、用法・用量を守ることが重要です。また、胃腸障害などの副作用が現れる可能性もあるため、注意が必要です。特に、胃腸の弱い方や持病のある方は、服用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
その他

運動と疲労物質:乳酸の真実

- 乳酸とは?乳酸は、私たちが運動する時などに体内で作られる物質です。激しい運動をすると筋肉が痛くなることがありますが、かつては、この痛みは乳酸が原因だと考えられていました。そのため、乳酸は疲労物質というイメージが定着しています。しかし近年では、乳酸は疲労物質ではなく、むしろエネルギー源として利用されていることがわかってきました。では、乳酸はどのようにして作られるのでしょうか?私たちの体は、糖分を分解してエネルギーを作り出しています。この時、酸素が十分にある状態であれば、糖分は完全に分解され、水と二酸化炭素に変わります。これが「有酸素運動」と呼ばれるものです。一方、激しい運動などで体内の酸素が不足すると、糖分は完全に分解されず、乳酸が生成されます。これが「嫌気性代謝」と呼ばれるものです。嫌気性代謝は、短距離走などの激しい運動を行う際に特に重要となります。これまで疲労物質と考えられてきた乳酸ですが、実は筋肉や他の臓器のエネルギー源として利用されています。乳酸は血液によって肝臓に運ばれ、再び糖分に変換されます。そして、その糖分は再びエネルギー源として利用されるのです。このように、乳酸は私たちの体にとって重要な役割を担っています。激しい運動時に生成される乳酸は、疲労物質ではなく、エネルギー代謝において重要な役割を果たしているのです。
救急

緊急時における頼みの綱:ERとは?

病院には、急病や怪我に苦しむ人をすぐに治療するための特別な場所があります。それが「ER」と呼ばれる場所で、「救急室」や「救急外来」といった呼び方もされます。ERは英語の「Emergency Room」の頭文字をとったもので、文字通り、緊急事態に対応する部屋という意味です。 ERは、時間外診療や休日診療とは異なり、24時間365日体制で患者を受け入れています。夜中であろうと、お正月であろうと、具合が悪くなったり、怪我をしてしまったりしたときに、いつでも駆け込むことができます。そこには、常に医師や看護師が待機しており、緊急性の高い患者に対して、迅速な初期治療を行います。 ERは、一刻を争う状況に対応する場所です。そのため、意識がない、呼吸が苦しい、胸が痛いといった症状が現れた場合は、ためらわずにERに連絡するか、直接行くようにしましょう。症状が軽くても、救急車を呼ぶべきか迷う場合は、救急相談センターに電話して指示を仰ぐとよいでしょう。

関節リウマチ治療の新しい選択肢:トファシチニブ

- トファシチニブとはトファシチニブは、「ゼルヤツ®」という商品名で処方される飲み薬で、関節リウマチの治療に用いられます。関節リウマチは、免疫の異常によって自分の体の関節を攻撃してしまう病気で、関節の痛みや腫れ、朝のこわばりといった症状が現れます。放っておくと関節が破壊され、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。トファシチニブは、従来の治療薬とは異なる新しい仕組みで効果を発揮します。従来の薬は、炎症を引き起こす物質を直接抑えることで効果を発揮していました。一方、トファシチニブは、炎症を引き起こす細胞内の信号伝達を阻害することで、炎症を抑えます。この新しい作用機序によって、トファシチニブは関節の炎症と破壊を抑制し、病気の進行を抑える効果が期待できます。具体的には、関節の痛みや腫れを軽減し、関節の破壊の進行を遅らせることで、患者さんの日常生活の改善に貢献します。しかし、トファシニブは新しいタイプの薬であるため、従来の薬とは異なる副作用が現れる可能性もあります。そのため、服用を開始する前には、医師とよく相談し、副作用のリスクや注意点について十分に理解しておくことが重要です。
血液

尿酸:痛風の原因となる物質

- 尿酸とは私たちの体は、日々生まれ変わっています。細胞の中にある、生命の設計図である遺伝情報に関わる物質や、その設計図がしまわれている場所である細胞の核にある物質も、常に新しく作り替えられています。この新陳代謝の過程で、不要となった物質は分解され、体にとって必要のない老廃物として体外に排出されます。尿酸は、このような老廃物のひとつであり、細胞の核に存在する核酸や、遺伝情報に関わるプリン体という物質が分解されていく過程で最終的にできる物質です。尿酸は、食事から摂取したプリン体からも作られます。プリン体は、細胞の核に多く含まれる物質ですが、肉や魚、野菜など、私たちが普段口にする多くの食品にも含まれています。食事から摂取されたプリン体も、体内で分解され、最終的に尿酸へと変化します。こうして作られた尿酸は、血液中に溶け込み、腎臓へと運ばれます。そして、腎臓で血液がろ過される際に、老廃物とともに尿酸も血液中から取り除かれ、尿として体外に排出されます。このように、尿酸は、体内で作られると同時に、腎臓を通して常に体外へ排出され続けることで、健康な状態を保っています。
検査

ブルンベルグ徴候:お腹の痛みのサイン

- ブルンベルグ徴候とはお腹の診察において、医師が特定の方法で圧力をかけることで、隠れた病気を発見することがあります。その一つに、ブルンベルグ徴候と呼ばれるものがあります。これは、腹膜炎の可能性を示唆する重要なサインです。腹膜炎とは、お腹の中にある臓器を包む薄い膜である腹膜に炎症が起こる病気です。様々な原因で起こりますが、いずれも緊急性の高い状態であることが多いです。ブルンベルグ徴候は、次のような手順で確認します。1. 医師は、まず患者さんに仰向けに寝てもらいます。2. 次に、お腹の痛みを感じている場所から少し離れた部分を、ゆっくりと指で押していきます。3. しばらく押した後に、急に手を離します。この時、手を離した瞬間に、押していた場所よりも強い痛みを感じた場合、ブルンベルグ徴候が陽性と判断されます。なぜこのような現象が起こるのでしょうか?健康な状態であれば、お腹をゆっくり押されても、手を離した時に強い痛みは感じません。しかし、腹膜に炎症が起こると、わずかな刺激でも痛みとして感じやすくなります。そのため、押している間は腹膜への刺激が抑えられていますが、手を離した瞬間に刺激が強くなり、鋭い痛みとして感じると考えられます。ブルンベルグ徴候は、あくまで腹膜炎の可能性を示唆するサインの一つであり、この徴候だけで診断が確定するわけではありません。しかし、この徴候が見られる場合は、緊急性の高い病気が隠れている可能性も考えられるため、速やかに医師の診察を受けるようにしてください。
救急

高度救命救急センターとは?

高度救命救急センターは、生命の危機に瀕した重篤な患者さんの命を救うための最後の砦となる、極めて専門性の高い医療機関です。 一般的な救命救急センターでは対応が難しい、より複雑で高度な治療が必要な患者さんを対象としています。例えば、広範囲の火傷を負った方や、手足の切断を余儀なくされた方、急性中毒症状に苦しむ方など、一刻を争う事態に陥っている患者さんが、日々、高度救命救急センターに運び込まれています。 高度救命救急センターには、生命維持装置や人工呼吸器、緊急手術に対応できる手術室など、最新鋭の医療設備が整っています。また、救急医療の専門医や経験豊富な看護師、薬剤師、臨床工学技士など、多岐にわたる専門知識を持った医療スタッフがチームを組み、24時間体制で患者さんの治療にあたっています。 高度救命救急センターは、地域の医療機関と連携を取りながら、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供することで、尊い命を守る重要な役割を担っています。
その他

体内水分量を理解しよう

- 体内水分量の定義私たちの体は、水分を含んだ多くの細胞が集まってできています。体内水分量とは、文字通り、体の中に含まれている水分の総合計のことです。体重に占める水分の割合は、年齢や性別によって多少の違いはありますが、成人では平均して約60%と言われています。つまり、体重60キログラムの人であれば、そのうちの約36キログラムが水分ということになります。体内水分量は、細胞の内側と外側の2つに大きく分けられます。細胞内液と呼ばれる細胞の中に含まれる水分は約40%、細胞外液と呼ばれる血液やリンパ液、組織液など細胞の外側の水分は約20%を占めています。体重の約60%を占める体内水分量は、生命維持に欠かせない役割を担っています。体温調節や栄養の運搬、老廃物の排出など、体の様々な機能に関わっています。もし、体内水分量が不足すると、脱水症状を引き起こし、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

ミゾリビン:自己免疫疾患の治療薬

- ミゾリビンとはミゾリビンは、私たちの体が本来持つ防御システムである免疫の働きを調整することで、自己免疫疾患と呼ばれる病気の治療に用いられる薬です。免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵が体内に侵入するのを防いだり、侵入してきた外敵を攻撃して排除したりする、体にとって非常に重要なシステムです。しかし、この免疫システムが何らかの原因で正常に機能しなくなると、自分自身の体の一部を誤って攻撃してしまうことがあります。これが自己免疫疾患です。自己免疫疾患には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病など、様々な種類があります。これらの病気では、免疫細胞が自分の体の組織や臓器を攻撃することで、炎症や痛み、臓器の機能障害などが引き起こされます。ミゾリビンは、免疫細胞の増殖や活性化を抑えることで、過剰な免疫反応を抑制し、自己免疫疾患の症状を改善する効果があります。具体的には、免疫細胞のDNA合成を阻害することで、免疫細胞の増殖を抑制します。ミゾリビンは、従来の治療薬では効果が不十分であったり、副作用が強く出てしまったりする患者さんに対して、新たな治療の選択肢として期待されています。
食生活

低残渣食:消化管に優しい食事療法

- 低残渣食とは私たちの体は、食事から栄養を吸収して健康を維持しています。口にした食べ物は、胃や腸などの消化管を通る間に消化・吸収されますが、食べ物には消化しやすいものと消化しにくいものがあります。消化しにくい成分が多い食事を続けると、消化管に負担がかかり、場合によっては体調不良を引き起こす可能性もあります。低残渣食とは、消化管に負担をかけにくいように工夫された食事のことです。残渣とは、消化吸収されずに体外に排出される食物のかすのこと。つまり、低残渣食とは、この残渣を少なくすることで消化管の負担を軽減することを目的とした食事といえます。では、どのようなものが消化しにくいのでしょうか? 代表的なものとして、食物繊維があります。食物繊維は健康に欠かせない栄養素ですが、消化されにくく腸に残りやすい性質があります。そのため、低残渣食では、野菜や果物、きのこ、海藻などに多く含まれる食物繊維を制限します。しかし、食物繊維を控えるということは、他の栄養素が不足するリスクも伴います。そのため、低残渣食を行う場合は、医師や管理栄養士の指導のもと、個人の状況に合わせて適切な食事内容を決めることが重要です。
救急

地域の砦!救命救急センターとは?

救命救急センターは、地域の住民にとって、生命に関わる深刻な病気や怪我に対応する最後の砦と言えるでしょう。交通事故や心臓の血管が詰まる病気、脳の血管が詰まったり破れたりする病気など、一刻を争う事態が発生した場合、高度な医療技術と設備を駆使して、患者さんの命を守る役割を担っています。 救命救急センターでは、24時間体制で、緊急性の高い患者さんを受け入れています。夜間や休日でも、専門の医師や看護師が常駐し、いつでも適切な処置を行えるよう備えています。また、ドクターヘリや救急車などと連携し、一刻も早く病院へ搬送する体制を整えています。 救命救急センターは、地域の医療機関との連携も重要な役割を担っています。重症患者さんの受け入れや、高度な医療技術の提供を行うだけでなく、地域の医療機関に対する医師や看護師の教育、医療情報の提供などを通じて、地域全体の医療の質向上にも貢献しているのです。
生活習慣病

内臓脂肪と健康リスク

- 内臓脂肪とは人の体は、活動のエネルギー源として脂肪を蓄積する機能を持っています。脂肪には、皮膚の下に蓄えられる皮下脂肪と、お腹の深い部分、胃や腸といった臓器の周りに蓄えられる内臓脂肪の二つがあります。皮下脂肪は、体温を保ったり、外部からの衝撃を和らげたりと、身体を守る役割を担っています。一方、内臓脂肪は、エネルギーを貯蔵するという重要な役割を持っていますが、過剰に蓄積されると様々な健康問題を引き起こす原因となります。内臓脂肪は、皮下脂肪に比べて蓄積されやすく、減りやすいという特徴があります。そのため、暴飲暴食を続けたり、運動不足が続いたりすると、内臓脂肪がたまりやすくなります。内臓脂肪が増加すると、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まると言われています。また、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの深刻な病気を招く可能性も高まります。内臓脂肪を減らすためには、食生活の改善と適度な運動が重要です。バランスの取れた食事を心がけ、特に糖質や脂質の摂り過ぎに注意しましょう。また、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を継続して行うことが効果的です。

細胞の会話を紐解く:ケミカルメディエーター

私たちの体は、想像を絶するほど多くの細胞が集まってできています。それぞれの細胞は、まるで巨大な組織の中で働く人々のように、それぞれの役割を忠実に果たしています。しかし、細胞たちがただ黙々と働くだけでは、私たちの体はうまく機能しません。なぜなら、細胞同士が互いに連携し、情報を共有することで、はじめて私たちの体は統一のとれた動きができるからです。細胞同士が情報をやり取りする際に活躍するのが、「ケミカルメディエーター」と呼ばれる物質です。これは、細胞から分泌され、他の細胞にメッセージを伝える役割を担っています。 ケミカルメディエーターには、ホルモンや神経伝達物質など、様々な種類が存在します。例えば、私たちが甘いものを食べると、血糖値が上昇します。すると、すい臓からインスリンというケミカルメディエーターが分泌され、血液中を運ばれて体の細胞に届けられます。このインスリンが「血糖値を下げるように」というメッセージを細胞に伝えることで、血糖値は正常な範囲に戻るのです。 このように、ケミカルメディエーターは、まるで体中の細胞をつなぐメッセンジャーのように、私たちの体の活動を陰ながら支えているのです。 これらの物質の働きによって、細胞は互いに連携し、組織や器官、そして体全体が調和を保ちながら、生命活動を行うことができるのです。もし、ケミカルメディエーターの分泌や働きに異常が生じると、様々な病気の原因となることがあります。
消化器

食べ物を運ぶ腸の動き: 腸蠕動

私たちは毎日食事をし、体の中に栄養を取り込んでいます。口に入れた食べ物は、噛み砕かれ、唾液と混ざり合いながら飲み込みやすい状態になります。食べ物が胃に到達すると、胃酸や消化酵素の働きによってさらに細かく分解されます。胃で粥状になった食べ物は、その後、少しずつ腸へと送られていきます。 腸は、消化と吸収において非常に重要な役割を担っています。まず、小腸では、膵臓や肝臓から分泌される消化液が加わり、食べ物はさらに消化され、ブドウ糖やアミノ酸といった栄養素に分解されます。そして、小腸の内壁にある無数の突起が栄養素を効率的に吸収し、血液によって全身に送り届けます。栄養素を吸収した後の食べ物の残りカスは、大腸へと送られます。 大腸では、水分が吸収され、便が形成されます。また、大腸にはたくさんの腸内細菌が生息しており、消化を助けたり、ビタミンを合成したり、免疫力を調整したりするなど、健康維持に欠かせない役割を担っています。そして最終的に、不要となったものは便として体外に排出されます。 このように、口から入った食べ物は、胃、小腸、大腸と、それぞれの器官が重要な役割を果たすことで、消化・吸収され、私たちの生命活動のエネルギー源となっています。
救急

命をつなぐ最後の砦:三次救急

三次救急とは、生命の危機に瀕している、大変重い病気や怪我を負った患者さんの命を救うための、高度な医療体制です。 地域の病院である一次救急では、風邪や軽い怪我など、比較的症状が軽い患者さんの診療を、二次救急では、骨折や軽い肺炎など、入院が必要となる程度の患者さんの診療を行います。 一方、三次救急が必要となるのは、一次救急や二次救急では対応が難しい、より重篤な症状の患者さんです。例えば、交通事故による多発外傷、心筋梗塞、脳卒中などの緊急性の高い病気や怪我が挙げられます。 三次救急医療機関には、これらの重篤な症状に対応できるよう、高度な医療機器、専門性の高い医師や看護師が揃っています。また、24時間体制で緊急手術や集中治療など、高度な医療を提供できる体制が整えられており、患者さんの命を救う最後の砦として、重要な役割を担っています。
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