総合健康ガイド

生活習慣病

サイレントキラー!脂質異常症とは?

- 脂質異常症とは脂質異常症とは、血液中に含まれる脂肪の成分である脂質のバランスが乱れた状態を指します。脂質は、体のエネルギー源となったり、細胞膜を構成したりするなど、私たちの体にとって重要な役割を担っています。しかし、これらの脂質が適正なバランスでなくなってしまうと、様々な病気を引き起こすリスクが高まります。脂質には、大きく分けてコレステロールと中性脂肪があります。コレステロールには、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールと、「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLコレステロールの2種類が存在します。LDLコレステロールは、血管の内側に溜まりやすく、動脈硬化の原因となることが知られています。一方、HDLコレステロールは、血管に溜まったLDLコレステロールを回収し、肝臓へ運んでくれる役割を担っています。そのため、LDLコレステロール値が高い状態やHDLコレステロール値が低い状態は、動脈硬化のリスクを高める要因となるのです。また、中性脂肪もエネルギー源として重要な役割を担っていますが、血液中の濃度が高くなりすぎると、これもまた動脈硬化のリスクを高める一因となります。脂質異常症は、これらのLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のいずれか、あるいは複数が基準値から外れている状態を指します。脂質異常症は、自覚症状がほとんどないため、健康診断などで指摘されて初めて気付くというケースが多く見られます。しかし、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気のリスクを高める可能性があります。そのため、脂質異常症と診断された場合は、医師の指示に従って、食生活の改善や運動療法など、適切な対策を講じることが重要です。
消化器

沈黙の脅威: C型肝炎を理解する

- C型肝炎とはC型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が血液を介して肝臓に感染し、炎症を引き起こす病気です。感染すると、急性肝炎と慢性肝炎の二つの段階があります。急性肝炎は、HCVに感染してから約2週間~6ヶ月の間に発症します。症状としては、だるさや食欲不振、吐き気、発熱、黄疸などがみられます。しかし、自覚症状が現れない場合も多く、気づかないうちに慢性肝炎に移行してしまうケースが多い点が特徴です。慢性肝炎は、急性肝炎から移行した状態が6か月以上続いている状態を指します。慢性肝炎も、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、長期間にわたって肝臓で炎症が続くことで、徐々に肝臓の細胞が破壊され、肝臓が硬くなってしまう肝硬変や、肝臓がんを発症するリスクが高まります。C型肝炎は、早期発見と適切な治療によって、慢性肝炎への移行や、肝硬変、肝臓がんへの進行を予防できる可能性があります。そのため、過去にC型肝炎ウイルスに感染した可能性がある人や、肝機能検査で異常値がでた人は、医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。
資格・職種

医師の世界の師弟関係:オーベンとは

病院で働く医師の中には、患者さんを診察するだけでなく、未来の医療を担う若手医師の育成という、とても大切な役割を担っている人たちがいます。 病院では、経験の浅い医師たちが一人前の医師になれるように、指導経験が豊富な先輩医師が指導に当たります。指導する立場にある医師のことを『オーベン』と呼びます。『オーベン』は、豊富な知識と経験を持つベテラン医師のことで、医師を目指す研修医にとって、まさに師匠のような存在です。 研修医は、オーベンから指導を受けながら、実際の医療現場で多くのことを学びます。教科書で得た知識を臨床現場でどのように活かすか、患者さんとの接し方、医療チームの一員として働くことの意味など、経験豊富なオーベンは、医療現場で必要なことを、自身の経験を通して教えてくれます。 オーベンによる指導は、単なる知識や技術の指導に留まりません。医師としての倫理観や患者さんに対する思いやり、医療の難しさや責任の重さなど、医師として成長するために必要なことを、時間をかけて丁寧に教えていきます。 このように、オーベンは、将来の医療を担う医師の卵たちを育てる、重要な役割を担っています。彼らの熱意と努力によって、医療の未来はより明るいものへと繋がっていくのです。
その他

免疫の司令塔:CXCL8の役割

- 炎症を引き起こすCXCL8とは私たちの身体は、怪我や細菌感染など、様々な刺激に対して防御反応を起こします。これを炎症と呼びますが、この炎症反応において中心的な役割を担うタンパク質の一つがCXCL8です。 CXCL8は、「C-X-Cモチーフケモカインリガンド8」の略称であり、インターロイキン8(IL-8)としても知られています。では、ケモカインとは一体どのようなものでしょうか。ケモカインは、白血球などの免疫細胞を炎症部位に誘導する、いわば「誘導物質」のようなものです。体内で炎症が起こると、CXCL8のようなケモカインが分泌され、まるで道しるべのように、免疫細胞を炎症部位へと導きます。CXCL8は、特に好中球と呼ばれる免疫細胞を誘導する作用が強いことが知られています。好中球は、細菌などの病原体を貪食する能力に優れた細胞です。 CXCL8は、好中球を炎症部位に誘導することで、病原体の排除を促進し、生体の防御に貢献しています。しかし、炎症反応は、時に過剰に起こってしまうことがあります。このような場合、CXCL8は過剰に産生され、慢性的な炎症を引き起こす要因となります。例えば、関節リウマチなどの自己免疫疾患や、がん、動脈硬化などの疾患において、CXCL8が関与していることが知られています。このように、CXCL8は炎症反応において重要な役割を担っており、その作用の解明は、様々な炎症性疾患の治療法開発に繋がると期待されています。
その他

医療の最前線:臨床とは何か

医療現場における臨床は、病院や診療所といった医療の現場で、医師や看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師など、様々な医療従事者がそれぞれの専門知識と技術を駆使して、患者さんの健康回復を目標に、日々努力を続けることです。 臨床においては、患者さん一人ひとりの病気の状態や生活背景、そして価値観を理解し、信頼関係を築きながら治療を進めていくことが何よりも大切です。まず、患者さんの訴えにじっくりと耳を傾け、身体的な症状だけでなく、精神的な不安や悩みにも寄り添うことが重要となります。 そして、医師は診察や検査結果に基づいて病状を的確に診断し、患者さんの状態に最適な治療法を決定します。 この際、患者さんの年齢や体質、他の病気の有無などを考慮するだけでなく、患者さん自身の希望も尊重しながら、治療方針を決定していくことが重要です。 さらに、臨床現場では、医療従事者同士の連携も欠かせません。医師、看護師、薬剤師、理学療法士などがそれぞれの専門性を生かし、情報を共有し協力し合うことで、より質の高い医療を提供することができます。 このように、医療現場における臨床は、患者さん中心の医療の実践であり、医療従事者一人ひとりの専門知識、技術、そして人間性が問われる、大変やりがいのある仕事と言えるでしょう。
食生活

ビタミンB1:体のエネルギーを生み出す重要な栄養素

- ビタミンB1とはビタミンB1は、私たちが健康的な毎日を送る上で欠かせない栄養素であるビタミンの一種です。水に溶けやすい性質を持っているため、水溶性ビタミンというグループに分類されます。ビタミンB1は、体内で糖質をエネルギーに変換する上で重要な役割を担っています。この働きにより、私たちは活動するためのエネルギーを得ることができています。しかし、ビタミンB1が不足すると、体内でエネルギーが十分に作られなくなり、疲れやすくなったり、食欲がなくなったりすることがあります。また、ビタミンB1は神経の働きを正常に保つ上でも重要な役割を担っています。神経は、脳からの指令を体の各器官に伝えたり、逆に、体の各器官からの情報を受け取って脳に伝えたりする役割を担っています。ビタミンB1が不足すると、この神経伝達がスムーズに行われなくなり、手足のしびれや感覚の異常、筋肉の衰えなどの神経障害を引き起こす可能性があります。ビタミンB1は、豚肉やウナギ、玄米、大豆などに多く含まれています。これらの食品をバランス良く食べることで、ビタミンB1不足を防ぎ、健康な状態を保つことが大切です。
資格・職種

理学療法士ってどんな仕事?

- 理学療法士ってどんな資格? 理学療法士、略してPTと呼ばれる職業をご存知でしょうか? PTは、病気や怪我、加齢などが原因で身体に不自由を抱える人に対して、再び身体を動かせるようにサポートする専門職です。 具体的には、身体を動かす訓練や、電気、光、温熱などを用いた治療によって、痛みを和らげたり、関節の動きを滑らかにしたり、筋力を強化したりします。 例えば、骨折後のリハビリテーションや、脳卒中後の麻痺の回復、高齢者の歩行訓練などが挙げられます。 理学療法士は、患者さん一人ひとりの状態や目標に合わせて治療計画を立て、日常生活の動作がスムーズに行えるように寄り添います。 患者さんの笑顔や「ありがとう」の言葉が直接聞ける、とてもやりがいのある仕事です。
脳・神経

体内の万能選手!セロトニンについて解説

- セロトニンとは?セロトニンは、体内で自然に作り出される化学物質の一つで、別名5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)とも呼ばれます。 神経伝達物質として特に有名で、脳内の神経細胞の間で情報を伝える役割を担っています。神経細胞は、体中に張り巡らされたネットワークのようなもので、電気信号によって情報をやり取りしています。しかし、神経細胞と神経細胞の間にはわずかな隙間が存在し、電気信号はそのままでは伝えることができません。そこで活躍するのがセロトニンです。セロトニンは、情報の発信元の神経細胞から放出されると、受信側の神経細胞にある特定の受容体と結合します。この結合によって、電気信号に代わる化学的な信号が生まれて、情報が伝達されるのです。 セロトニンは、気分、感情、睡眠、食欲などを調整するなど、私たちの体と心の健康に深く関わっています。 セロトニンが不足すると、気分が落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったり、睡眠の質が低下したりするなど、様々な影響が現れることがあります。
その他

種痘の父、ジェンナー

1749年、イギリスの片田舎にある小さな村、バークレーに後の医学界を大きく変えることになる一人の男の子が生まれました。彼の名は、エドワード・ジェンナー。ジェンナーは、幼い頃から自然に囲まれた環境で育ち、その豊かな自然の中で動植物と触れ合うことを何よりも好む少年でした。彼は、特に生物の仕組みに強い興味を示し、その探究心は尽きることがありませんでした。 成長したジェンナーは、医師を志し、医学の道へと進みます。ジェンナーが医師として活躍していた18世紀後半、ヨーロッパでは天然痘が猛威を振るっていました。天然痘は、高熱、体の痛み、そして特徴的な発疹を伴う恐ろしい病気で、感染者の多くが命を落としていました。当時、有効な治療法は確立されておらず、人々はこの病におびえながら暮らしていました。ジェンナーは、そんな人々の苦しみを目の当たりにし、医師として、そして人間として、この恐ろしい病から人々を救いたいと強く願うようになりました。そして、彼は天然痘の治療法を見つけることに生涯を捧げることを決意したのでした。

医療現場の隠語「ツッカ」って?

病院に行くと、医師や看護師が使う専門用語に戸惑うことはありませんか?医療現場では、正確かつ迅速に情報を伝えるために、普段聞き慣れない言葉が使われています。これは医療従事者にとっては日常語のようなものですが、患者さんやそのご家族にとっては、まるで外国語のように感じることでしょう。 今回は、数ある医療用語の中でも、「ツッカ」という言葉に注目してみましょう。この「ツッカ」は、「チューブクランプ」を短縮した言葉です。チューブクランプとは、点滴や輸血、栄養剤の投与などに使われるチューブに取り付ける道具のことです。この道具でチューブを挟むことで、薬液や血液の流れを一時的に止めることができます。 例えば、点滴の針を刺し替える際や、薬剤の投与を一時的に中断する場合などに、「ツッカで止めてください」といった指示が出されます。医療ドラマなどで耳にしたことがある方もいるかもしれませんね。 このように、医療現場では専門用語や略語を駆使してコミュニケーションがとられています。患者さんやそのご家族にとって、わからない言葉があれば遠慮なく質問することが大切です。医療従事者は、わかりやすい言葉で説明するよう心がけていますので、安心してコミュニケーションを取ってください。
資格・職種

医療現場を支える「メディカルクラーク®」

病院で働く人の中には、患者さんの治療に直接携わる医師や看護師以外にも、様々な役割を担う人たちがいます。その中でも、医療事務の専門家であるメディカルクラークは、病院にとって欠かせない存在です。 メディカルクラークの仕事は、患者さんが病院を訪れてから帰るまでをスムーズにサポートすることです。まず、病院に着いた患者さんを笑顔で迎え、受付で保険証を確認したり、問診票の記入をお願いしたりします。そして、診察室への案内や、医師の指示に基づいた検査の予約なども行います。 また、診察が終わった後には、カルテの整理や保管、そして医療費の計算や請求業務など、幅広い事務処理を行います。これらの業務は、正確に情報を処理することが求められるため、高い専門知識と責任感が求められます。 このように、メディカルクラークは、医師や看護師が患者さんの治療に専念できる環境を整え、病院全体の運営を支える重要な役割を担っています。医療現場における「縁の下の力持ち」といえるでしょう。
消化器

痔瘻:原因と治療のすべて

- 痔瘻とは何か肛門の周りには、肛門腺と呼ばれる小さな器官がたくさん存在します。通常、肛門腺は粘液を分泌することで排便をスムーズにする役割を担っています。しかし、何らかの原因で肛門腺に細菌が侵入し、炎症を起こしてしまうことがあります。この炎症によって肛門腺に膿が溜まった状態を「肛門周囲膿瘍」と呼びます。肛門周囲膿瘍は、放置すると膿が周囲の組織を溶かしながら皮膚に向かって進んでいきます。そして、最終的には皮膚を突き破って膿が体外に排出されます。このとき、膿の通り道であるトンネルのようなものが皮膚の下に残ることがあります。これが「痔瘻」と呼ばれる病気です。痔瘻は自然に治癒することは難しく、放置すると膿の排出と治癒を繰り返しながら、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。また、痔瘻を放置することで、新たな痔瘻が形成されたり、場合によっては重症化することもあります。そのため、痔瘻は早期に適切な治療を受けることが重要です。治療法としては、主に手術療法が用いられますが、痔瘻の状態や患者さんの状態によって適切な手術方法が選択されます。
アレルギー

免疫の鍵!CD80/CD86分子の役割

私たちの体は、常に病原体や異常な細胞の脅威にさらされています。体内には、まるで精巧な防衛システムのように、それらの脅威から身を守るための免疫システムが備わっています。この免疫システムにおいて、様々な免疫細胞がそれぞれ重要な役割を担っていますが、その中でも特に重要なのが細胞同士の情報伝達です。まるで会話をするかのように、免疫細胞は互いに情報を交換し、協調して働いています。この細胞間コミュニケーションにおいて、司令塔のような役割を果たすのが抗原提示細胞(APC)です。APCは、体内に侵入した病原体や体内で発生した異常な細胞を見つけると、それらを捕獲し、その断片である抗原を細胞表面に提示します。これは、例えるなら、敵の情報が入った報告書を掲げているようなものです。この報告書を受け取るのが、T細胞と呼ばれる免疫細胞です。T細胞は、APCから提示された抗原を認識することで、敵の存在を認識し、攻撃の準備を始めます。しかし、T細胞は抗原を認識しただけでは、本格的な攻撃を開始することはありません。T細胞が完全に活性化し、効果的に敵を攻撃するためには、APCからの更なる指示、すなわち共刺激シグナルが必要となります。この共刺激シグナルは、APCからT細胞に送られる活性化のメッセージのようなものです。T細胞は、抗原の提示と共刺激シグナルの両方を受け取ることで、確信を持って敵を攻撃することができます。このように、抗原提示と共刺激シグナルという二つの重要なステップを踏むことで、私たちの体は効果的に病原体や異常な細胞を排除し、健康を維持することができるのです。
資格・職種

医療コーディネーターとは?役割と必要性を解説

- 医療コーディネーターの概要医療コーディネーターとは、医療現場において患者さんと医療従事者の橋渡し役を担う、いわば医療現場の「通訳者」です。 患者さんが安心して治療に専念できるよう、様々な面からサポートを行う重要な役割を担っています。医療コーディネーターの主な仕事は、患者さんと医療従事者の間で円滑なコミュニケーションを図ることです。 例えば、患者さんから症状や治療に関する要望などを丁寧にヒアリングし、それを分かりやすく医療従事者に伝えます。 また、逆に、専門用語が多く複雑な医療情報を、患者さんにとって理解しやすい言葉で丁寧に説明します。 これは、患者さんが自身の病気や治療内容を正しく理解し、治療に積極的に参加するために非常に大切なことです。さらに、医療コーディネーターは、治療費や入院手続き、退院後の生活に関する相談に乗ったり、必要に応じて社会福祉制度の利用を支援したりするなど、患者さんの様々な不安や悩みに寄り添いながら、きめ細やかなサポートを行います。 時には、患者さんの家族の相談に乗ったり、医療機関と地域の社会資源との連携を図ったりすることもあります。このように、医療コーディネーターは、医療現場において患者さんが安心して治療を受け、一日も早く回復できるよう、多岐にわたる業務を通して患者さんを支える、重要な役割を担っています。
血液

顕微鏡的多発血管炎:小さな血管の大きな炎症

- 顕微鏡的多発血管炎とは顕微鏡的多発血管炎という病名は、あまり聞き馴染みがないかもしれません。この病気は、体中に張り巡らされた細い血管に炎症が起こることで、様々な症状が現れます。「多発血管炎」という名前が示すように、炎症は体の複数の血管に生じます。しかし、肉眼では確認できないほど小さな血管で炎症が起こるため、「顕微鏡的」という言葉が付け加えられています。顕微鏡的多発血管炎は、免疫システムの異常が原因と考えられていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。本来、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る働きをしています。しかし、顕微鏡的多発血管炎を発症すると、この免疫システムが誤って自分の体の血管を攻撃してしまうのです。その結果、血管の壁が炎症を起こし、血液の流れが悪くなったり、血管が破れて出血したりすることがあります。顕微鏡的多発血管炎は、放置すると重症化することもあるため、早期発見・早期治療が重要です。症状としては、発熱、体重減少、倦怠感、筋肉痛、関節痛など、風邪に似た症状が現れることがあります。また、血管の炎症が起こる場所によっては、皮膚の紫斑、咳や息切れ、腹痛、腎機能障害などの症状が現れることもあります。もし、これらの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。

免疫の守護神:CD22分子の役割

私たちの体には、外部から侵入してくる病原体から身を守る、免疫と呼ばれる防御システムが備わっています。このシステムは、様々な種類の細胞が連携して成り立っており、その中でもB細胞は、抗体と呼ばれる武器を作り出すことで、病原体に対する攻撃を担う重要な役割を担っています。 B細胞の表面には、様々な分子が存在していますが、CD22分子はその中でも特に重要な役割を担っています。CD22分子は、例えるならば、B細胞の活動を抑えたり、促進したりする、いわば番人のような役割を担っています。この分子は、B細胞が抗体を産生する段階になると、その表面に多く現れます。そして、B細胞が産生する抗体の量を調整することで、免疫反応が過剰になりすぎないように抑制し、適切なバランスを保つ働きをしています。 もし、CD22分子が正常に機能しなくなると、B細胞は過剰に活性化し、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう可能性があります。このような状態は、自己免疫疾患と呼ばれる病気の一因となると考えられています。 CD22分子は、免疫システムのバランスを維持する上で非常に重要な役割を担っており、その機能を解明することは、自己免疫疾患などの新たな治療法の開発に繋がると期待されています。
消化器

知っておきたい腸炎の基礎知識

- 腸炎とは?腸炎とは、私達の体の中にあり、食べたものを消化し栄養を吸収する大切な役割を持つ腸に炎症が起こる病気です。この炎症は、主に小腸と大腸、もしくは両方に影響を与え、お腹の痛みや下痢など、日常生活に支障をきたす様々な症状を引き起こします。腸炎には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、細菌やウイルスなどの病原体が原因となって起こる感染性腸炎です。これは、汚染された食品や水などを口にすることで病原体が体内に入り込み、腸の中で増殖することで発症します。代表的な病原体としては、ノロウイルスやサルモネラ菌、カンピロバクターなどが挙げられます。もう一つは、細菌やウイルスなどの感染ではなく、自分の免疫システムが誤って自分の腸を攻撃してしまうことで起こる非感染性腸炎です。クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がこの非感染性腸炎に分類され、原因は未だはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因や食生活、ストレスなどが関与していると考えられています。腸炎になると、腹痛や下痢に加え、発熱や吐き気、嘔吐、血便などの症状が現れることもあります。これらの症状の程度は、腸炎の種類や原因、そして個人の体力などによって大きく異なります。軽症の場合は、安静にして水分を十分に摂ることで自然に治ることが多いですが、重症化すると脱水症状や栄養失調に陥る可能性もあるため、注意が必要です。症状が続く場合は自己判断せずに、医療機関を受診するようにしましょう。
資格・職種

医療現場の頼れる存在:准看護師の役割

- 准看護師とは准看護師は、医師や看護師の指示の下、患者さんの日常生活のサポートや、治療の補助などを行う医療従事者です。 病院や診療所、高齢者施設など、様々な医療現場で活躍しています。准看護師は、患者さんの体調管理を行う上で、重要な役割を担います。具体的には、体温や血圧を測ったり、患者さんの状態を観察したりします。また、点滴や注射などの処置の準備を行うこともあります。 医師や看護師の指示のもと、患者さんが安全に医療を受けられるよう、サポートします。さらに、准看護師は、患者さんの身の回りの世話も行います。食事の介助や、トイレの介助、着替えの介助などを通して、患者さんの日常生活を支えます。 患者さんが安心して療養生活を送れるよう、精神的なケアも重要な業務の一つです。准看護師は、看護師と連携して、チーム医療の一員として活躍します。 患者さんに寄り添い、温かいケアを提供することで、医療現場に貢献しています。
血液

献血:命をつなぐ尊い行為

- 供血者の定義供血者とは、医療現場において必要とされる輸血のために、自らの血液を無償で提供してくれる人のことを指します。輸血は、手術中や事故による大量出血、または病気の治療など、様々な状況において人の命を救うために欠かせない医療行為です。輸血に必要となる血液は、健康な人々からの献血によって賄われています。献血された血液は、安全性を確保するために厳密な検査が行われた後、輸血を必要とする患者さんのもとへ届けられます。 つまり、供血者とは、自らの血液を提供するという尊い行為を通して、医療を支え、他の人の命を救うことに貢献していると言えるでしょう。
泌尿器

沈黙の臓器の危機:慢性腎臓病について

- 慢性腎臓病とは?慢性腎臓病とは、腎臓の働きが徐々に悪くなっていく病気です。健康な状態では、腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する、いわば「体の浄化装置」のような役割を担っています。しかし、様々な原因で腎臓がダメージを受けると、この浄化機能が正常に働かなくなります。その結果、本来なら体外に排出されるべき老廃物が体に蓄積してしまうのです。自覚症状が出にくい病気としても知られており、気づかないうちに病気が進行している場合も多いです。初期段階では、自覚症状がほとんどないため、健康診断などで指摘されて初めて気がつくというケースも少なくありません。病気が進行すると、疲労感やむくみ、息切れ、食欲不振など、様々な症状が現れます。さらに悪化すると、心臓病や脳卒中などのリスクも高まります。慢性腎臓病は、放置すると人工透析が必要となる可能性もある病気です。人工透析とは、腎臓の働きを機械的に補う治療法ですが、患者さんにとっては大きな負担を伴います。慢性腎臓病の予防には、塩分や糖分の摂りすぎに注意し、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。また、定期的な運動や禁煙も効果的です。早期発見、早期治療が重要となるため、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
アレルギー

免疫の門番:肥満細胞の役割

- 肥満細胞とは肥満細胞は、体の免疫システムにおいて重要な役割を果たす細胞です。 脂肪を蓄える脂肪細胞と名前が似ていますが、全く異なる細胞です。 実際には、血液中の白血球の一種である顆粒球と近い仲間であり、体中に広く分布しています。特に、血管周辺や、皮膚、粘膜といった外界と接する場所に多く存在し、体の門番として働いています。 外から侵入しようとする細菌やウイルスなどの異物や、体にとって有害な物質をいち早く感知し、それらから体を守る役割を担っています。肥満細胞の特徴の一つに、顆粒と呼ばれる小さな袋を細胞内に多数持っていることが挙げられます。 この顆粒の中には、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が蓄えられています。 外部から細菌やウイルスなどが侵入してくると、肥満細胞はこれらの異物を認識し、顆粒内の化学物質を放出します。放出された化学物質は、周囲の血管を拡張したり、血管の透過性を高めたりする作用を持ちます。 これにより、血液中の白血球や抗体などの免疫細胞が、感染部位に速やかに移動できるようになり、炎症反応を引き起こして異物を排除しようとします。 また、これらの化学物質は、かゆみを引き起こしたり、気管支を収縮させたりする作用も持ち合わせています。 そのため、アレルギー反応においても肥満細胞は重要な役割を果たしていると考えられています。
消化器

腹水について:原因と症状

- 腹水とはお腹の中には、胃や腸などの臓器が収まっています。これら臓器は、お互いにくっついたり、こすれ合ったりしないように、少量の液体で満たされた腹腔と呼ばれる袋の中に入っています。この液体は、臓器が滑らかに動くのを助ける潤滑油のような役割をしています。 「腹水」とは、この腹腔内に通常よりもはるかに多くの液体が溜まってしまった状態のことを指します。お腹に水が溜まる病気というわけではありません。腹水自体は病気ではありませんが、他の病気のサインであることが多いです。例えば、肝臓の病気、心臓の病気、腎臓の病気などが原因で起こることがあります。肝臓が硬くなってしまう病気(肝硬変)になると、血管の圧力が高まり、その結果として腹水が溜まりやすくなります。また、心臓の働きが悪くなると、体内の水分をうまく排出することができなくなり、腹水が溜まることがあります。腹水は、お腹の張りや膨満感、体重増加、息苦しさなどの症状を引き起こします。症状が重い場合には、お腹に針を刺して水を抜く治療(腹水穿刺)や、原因となっている病気を治療する必要があります。
資格・職種

医師の右腕となるか?:フィジシャンアシスタント

- フィジシャンアシスタントとはフィジシャンアシスタント(PA)は、医師の指示や監督を受けながら、診療を補助する医療従事者です。医師が担う医療行為のうち、約8割をカバーできるといわれており、幅広い業務を担います。具体的には、患者の病状の聞き取りや診察、検査結果に基づいた診断の補助、医師の指示に基づいた治療行為、手術の補助、薬の処方など、多岐にわたります。PAは、医師の指示の下でこれらの業務を行うため、医師と密接に連携しながら業務にあたります。アメリカでは、医師不足や医師の長時間労働を解消するための有効な手段として、PAの役割がますます重要視されています。日本でも、2014年の医療法改正により、PAに類似した職種として「特定行為に係る看護師」の制度が創設されました。PAは、チーム医療において重要な役割を担っており、医師の負担軽減や医療の質向上に貢献することが期待されています。今後、日本でも、PAの活躍の場が広がっていく可能性があります。
その他

健康にとっての最適体重とは?

- 最適体重とは 「最適体重」とは、その人が最も健康的な生活を送るために適切な体重のことを指します。これは、単に見た目の美しさや痩せていることを目指すのではなく、身体の内側から健康であることを重視した体重の考え方です。 一般的には、身長と体重の関係から算出されるBMI(ボディマス指数)を基準に、標準体重の範囲内であれば健康的な体重であるとされています。しかし、体質や骨格、筋肉量などは人それぞれ異なるため、BMIの値だけで一概に健康状態を判断できるわけではありません。 例えば、アスリートのように筋肉量が多い人は、体重が標準体重を超えていても健康な場合もあります。逆に、見た目は痩せていても、実際には筋肉量が少なく脂肪が多い「隠れ肥満」の状態にある人もいます。 最適体重は、健康診断の結果や医師のアドバイスなどを参考にしながら、自分自身の体質や生活習慣に合わせて判断していくことが重要です。
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