総合健康ガイド

消化器

盲腸(虫垂炎)とは?

- 虫垂炎とは虫垂炎は、盲腸の先端にある細い管状の器官である虫垂に炎症が起こる病気です。一般的に「盲腸」と呼ばれることも多いですが、これは正確ではありません。盲腸は大腸の一部であり、虫垂は盲腸から突き出た器官です。虫垂の役割は完全には解明されていませんが、腸内細菌のバランスを調整したり、免疫機能に関与していると考えられています。 虫垂炎は、虫垂の入り口が便や異物によって塞がってしまうことで、細菌が増殖し、炎症を引き起こすと考えられています。主な症状としては、初期にはみぞおちのあたりに鈍い痛みを感じることがあります。その後、痛みが右下腹部に移り、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。発熱することもあります。 虫垂炎は放置すると虫垂が破裂し、腹膜炎を引き起こす可能性があります。腹膜炎は命に関わる危険な状態であるため、早期に診断し、治療することが重要です。虫垂炎の治療法は、抗生物質による薬物療法と、手術による虫垂の切除の二つがあります。
検査

健康のバロメーター:BMIについて

- BMIとは何かBMIは、ボディマス指数(Body Mass Index)の略で、身長と体重のバランスから算出される、肥満度を示す指標です。身長に対して体重がどのくらいか、数値で表すことができます。計算式はいたってシンプルで、「BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で求められます。 例えば、身長1.70m、体重60kgの人の場合、BMIは 60 ÷ 1.70 ÷ 1.70 = 20.76 となります。このBMIの値は、世界保健機関(WHO)でも採用されている国際的な基準と照らし合わせて、自分の健康状態を客観的に把握するために用いられます。BMIは、肥満の程度を判定するだけでなく、健康リスクを評価するためにも役立ちます。BMIが低い場合は低体重が疑われ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まるとされています。逆に、BMIが高い場合は肥満が疑われ、動脈硬化や心臓病などのリスクが高まると考えられています。しかし、BMIはあくまでも統計的な指標の一つに過ぎません。筋肉量が多いアスリートなどは、BMIが高くても必ずしも肥満とは言えない場合もあります。そのため、BMIだけで健康状態を判断するのではなく、医師の診察や他の検査結果も合わせて総合的に判断することが重要です。
皮膚科

全身性硬化症:皮膚や内臓が硬くなる病気

- 全身性硬化症とは全身性硬化症は、皮膚や内臓など、体の様々な場所に硬化(線維化)が起こる病気です。線維化とは、本来は柔軟性のある組織が、コラーゲンというたんぱく質が過剰に作られることで、硬くなってしまう現象です。この線維化は、血管や内臓など、全身の結合組織で起こる可能性があります。健康な状態では、結合組織は体の組織や器官を支え、弾力性を与える役割を果たしています。しかし、全身性硬化症を発症すると、この結合組織が硬くなってしまい、本来の機能を果たせなくなります。その結果、皮膚の硬化や色素沈着、関節の痛み、指先の潰瘍、臓器の機能障害など、様々な症状が現れます。全身性硬化症は、国の指定難病に認定されている希少疾患です。厚生労働省の研究班の報告によると、国内の患者数は約2万2千人と推定されています。原因は未だ解明されておらず、根本的な治療法は確立されていません。しかし、早期に診断し、症状に合わせた適切な治療を行うことで、病気の進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能です。
循環器

静脈瘤治療の「硬化療法」とは?

- 硬化療法とは硬化療法は、一般的に「スクレロセラピー」と呼ばれる治療法で、静脈瘤の治療に用いられます。 静脈瘤は、血液を心臓に送り返す血管である静脈の弁がうまく機能せず、血液が逆流してしまうことで起こります。その結果、血液が血管内に滞り、血管が太く浮き出てしまうのです。 代表的なものとしては、足の静脈にできる下肢静脈瘤や、食道にできる食道静脈瘤などが挙げられます。 硬化療法では、細い針を用いて、静脈瘤の原因となっている血管内に薬剤を注入します。すると、注入された薬剤が血管の内側に炎症を起こし、血管を閉塞させることで血液の流れを遮断します。 閉塞した血管は、時間の経過とともに体内に吸収され、見えなくなっていきます。 硬化療法は、手術と比較して体への負担が少なく、日帰りで治療を受けることが可能なため、近年注目を集めている治療法です。

ステロイド治療:効果と副作用

- ステロイドとは私たちの体の中には、様々な調整を行うホルモンが存在します。その中でも、副腎という臓器で作られるホルモンの中に、副腎皮質ホルモンと呼ばれるものがあります。 このホルモンは、体内で炎症が起きた際にそれを抑えたり、免疫の働きを調整したり、その他にも体の様々な機能を正常に保つために重要な役割を担っています。 ステロイドとは、この副腎皮質ホルモンと似た構造を持つ薬のことを指します。 ステロイドは、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を持つため、様々な病気の治療に用いられています。例えば、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患、そして臓器移植後の拒絶反応を抑えるためなど、その用途は多岐に渡ります。 しかし、ステロイドは強力な効果を持つ反面、副作用も少なくありません。長期的に使用すると、感染症にかかりやすくなったり、骨粗鬆症のリスクが高まったり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が悪化する可能性もあります。 そのため、ステロイドは医師の指示のもと、適切な量と期間で使用することが非常に重要です。
消化器

嘔吐:その原因とメカニズム

- 嘔吐とは嘔吐は、私たちが食べたものが胃から食道を通って口に戻り、最終的には体外へ出てしまう現象のことを指します。多くの人が経験する現象ですが、不快で苦しいものです。嘔吐が起こる前には、吐き気を催したり、体が冷えて汗が出てきたり、顔が青白くなったりすることがあります。このような症状は、体が嘔吐に向けて準備をしているサインと言えるでしょう。嘔吐の原因は様々です。食べ過ぎや消化不良など、一時的な要因で起こることもあれば、病気の症状として現れることもあります。例えば、風邪やインフルエンザなどの感染症、胃腸炎、食中毒、乗り物酔い、脳腫瘍などが挙げられます。そのため、嘔吐が続く場合や、発熱、腹痛、下痢、頭痛、意識障害などの症状を伴う場合には、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが重要です。自己判断で市販薬を服用するのも危険です。嘔吐を繰り返すと、体内の水分や塩分が失われて脱水症状に陥ることがあります。そのため、嘔吐後は、経口補水液やスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給するように心がけましょう。また、しばらくは消化の良いものを食べるようにして、胃腸を休ませることが大切です。

アルキル化薬: がんの治療薬

- アルキル化薬とはアルキル化薬は、がん細胞の増殖を抑えるために用いられる薬です。 正常な細胞と比べて、がん細胞は非常に速いスピードで増殖します。アルキル化薬は、がん細胞が増えるために必要なDNAに傷をつけることで、その増殖を抑えます。DNAは、細胞が増えるために必要な情報を伝える、いわば設計図のようなものです。アルキル化薬は、この設計図に傷をつけることで、細胞が正しく増えることを妨げます。アルキル化薬は、様々な種類のがんに使用されています。白血病やリンパ腫などの血液がん、乳がん、肺がん、卵巣がんなど、多くの場合に効果を発揮します。しかし、アルキル化薬は正常な細胞にも影響を与える可能性があります。 そのため、吐き気や脱毛、骨髄抑制などの副作用が現れることがあります。副作用を抑えながら効果的に治療を行うために、医師は患者さんの状態に合わせて、薬の種類や量を調整します。
アレルギー

アレルギー検査とは?

- アレルギー検査の種類アレルギー反応に悩まされている方の中には、医療機関を受診して、アレルギー検査を受けようと考えている方もいるのではないでしょうか。一口にアレルギー検査と言っても、実は様々な種類があります。大きく分けると、「アレルギーによって症状が出ているのかどうか」を調べる検査と、「どの物質にアレルギー反応を示すのか」を調べる検査の二つがあります。まず、アレルギーの原因で症状が出ているのかどうかを調べる検査には、皮膚にアレルギーの原因物質を少量塗ったり、注射したりして、皮膚に発疹などの変化が現れるかどうかを見る皮膚テストや、血液を採取して、血液中のアレルギー物質に対する抗体の量を測定する血液検査などがあります。これらの検査を行うことで、アレルギーの可能性があるかどうか、どの程度の強さのアレルギー反応を示すのかを知ることができます。次に、どの物質にアレルギー反応を示すのかを調べる検査には、様々な物質を少しずつ体に接触させて、どの物質に反応が出るかを調べる検査があります。具体的には、ごく少量のアレルギーの原因物質を含んだ液体を皮膚に垂らして、針で軽く突くプリックテストや、皮膚にアレルギーの原因物質を貼って、反応を見るパッチテストなどがあります。これらの検査で原因物質が特定できれば、その物質を避ける、除去するなど、適切な対策をとることができます。アレルギー検査は、アレルギーの診断や治療方針の決定に非常に役立ちます。どの検査が適切かは、症状や疑われるアレルギーの原因物質などによって異なりますので、医師と相談の上、検査を受けるようにしましょう。
健康寿命

日常生活動作(ADL)とは?

- ADLとは日常生活動作(ADL)とは、私たちが毎日当たり前のように行っている基本的な動作のことです。具体的には、食事、着替え、トイレ、入浴などがあげられます。これらの動作は、健康な状態であれば無意識のうちに行うことができます。しかし、病気や怪我、加齢などが原因で、これらの動作が難しくなることがあります。このような状態を「ADLの低下」と呼びます。ADLは、大きく分けて2つの種類に分けられます。「基本動作」と「手段的日常生活動作」です。* 基本動作食事、着替え、トイレ、入浴、移動、整容など、生命維持に直接関わる動作です。* 手段的日常生活動作(IADL)炊事、洗濯、掃除、買い物、電話、金銭管理、服薬管理など、日常生活を維持するために必要な、より複雑な動作です。ADLが低下すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、精神的なストレスや、運動不足による体力低下、閉じこもりなどの問題が生じる可能性もあります。そのため、ADLの維持・改善は、健康的な生活を送る上で非常に重要です。ADLの評価は、本人や家族からの聞き取り、または実際に動作を観察することによって行われます。評価結果に基づいて、適切なリハビリテーションや介護サービスを受けることで、ADLの維持・改善を目指します。
その他

医療の転換点:DOSからPOSへ

これまで長い間、医療の世界では、病気を中心とした医療体制が一般的でした。これは、医師が中心となって、患者の訴えや診察結果から病気を特定し、その治療に専念するというものです。医師は、長年の研鑽で培った豊富な知識と経験を駆使して、病気の根本原因を突き止め、適切な薬の処方や治療法を選択してきました。 医師の指示のもと、看護師は患者の日々のケアや治療の補助を行い、薬剤師は処方された薬の調剤や服薬指導を行うなど、それぞれの専門性を活かして医師と連携し、チームとして患者の治療に取り組んできました。このように、病気そのものに焦点を当て、医師の専門知識と判断を軸に治療を進めていくのが、従来の医療システムの特徴と言えるでしょう。
アレルギー

知って守る、アレルギーの基礎知識

- アレルギーとは? 私たちの体は、ウイルスや細菌など、外部から侵入してくる異物から身を守るために免疫という機能を持っています。通常、免疫は体にとって有害な異物だけに反応し、無害なものは攻撃しません。しかし、この免疫システムが何らかの原因で誤作動を起こし、本来無害な物質に対して過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギー反応です。 アレルギー反応は、特定の物質と接触したり、吸い込んだり、摂取したりすることで引き起こされます。これらの物質はアレルゲンと呼ばれ、私たちにとって身近なものに多く存在します。例えば、食べ物であれば、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、甲殻類などが挙げられます。また、花粉症の原因となるスギやヒノキの花粉、家の中のダニやハウスダスト、ペットの毛なども代表的なアレルゲンです。 アレルギー反応が起こると、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、皮膚の発疹やかゆみ、咳、呼吸困難など、様々な症状が現れます。症状の程度は人によって異なり、軽度の場合もあれば、アナフィラキシーショックのように命に関わる重篤な症状を引き起こす場合もあります。 アレルギーは、現代社会において増加傾向にあると言われています。その原因は、食生活の変化や住環境の変化、大気汚染など、様々な要因が考えられています。アレルギー反応は、完全に治すことは難しい場合も多いですが、アレルゲンを特定し、適切な治療や対策を行うことで、症状をコントロールし、日常生活に支障が出ないようにすることが可能です。
消化器

急性虫垂炎の診断:キュンメル点とは

お腹の痛みは、誰もが経験するありふれた症状です。食べ過ぎや消化不良など、一時的なものから、虫垂炎や胆嚢炎といった緊急を要する病気まで、その原因は実に様々です。そのため、医療従事者は、患者さんからお腹の痛みの訴えがあった場合、その場所や痛みの性質、いつから痛むのかなどを詳しく聞き取り、身体診察を行います。 身体診察において重要な役割を果たすのが、圧痛点の確認です。圧痛点とは、お腹を押したときに、他の場所に比べて特に痛みを感じる場所のことです。この圧痛点は、病気の種類によって現れる場所が異なります。例えば、おへその右側が痛む場合は虫垂炎、みぞおちの右側が痛む場合は胆嚢炎などが疑われます。また、痛みの強さも重要な判断材料となります。軽く押しただけで強い痛みを感じる場合は、腹膜炎など、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。 このように、お腹の痛みと一口に言っても、その原因は様々であり、圧痛点は痛みの原因を探る上で重要な手がかりとなります。自己判断は危険ですので、お腹の痛みが続く場合は、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
血液

血管炎症候群:全身に及ぶ血管の炎症

- 血管炎症候群とは何か 私たちの体は、まるで網の目のように血管が張り巡らされています。この血管は、体中に酸素や栄養を届けるという、人間が生きていく上で欠かせない重要な役割を担っています。同時に、老廃物を回収し、体の外へと運び出すのも血管の大切な仕事です。 血管炎症候群とは、この血管に炎症が起きる病気の総称です。血管は、体の隅々まで血液を送り届けるための重要な通路です。しかし、様々な原因で血管の壁に炎症が起きることがあります。炎症によって血管の壁が厚くなったり、血管の内側が狭くなったりすると、血液の流れが悪くなってしまいます。 血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、臓器や組織の働きが低下してしまいます。また、血管が詰まったり破れたりすると、生命に関わる深刻な事態を引き起こす可能性もあります。 血管炎症候群は、原因や症状、進行の程度などによって様々な種類に分類されます。血管の炎症は、動脈だけでなく、静脈や毛細血管など、あらゆる種類の血管で起こる可能性があります。 血管炎症候群は、比較的まれな病気ですが、命に関わることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
その他

タンパク質合成の設計図:mRNA

私たちの体は、天文学的な数の細胞が集まってできています。それぞれの細胞は、まるで巨大な組織の歯車のように、決められた役割を忠実に果たしています。そして、細胞がその役割を全うするためには、様々な種類のタンパク質が欠かせません。タンパク質は、細胞の形を維持したり、細胞内の化学反応を助けたり、さらには細胞同士の情報伝達を担ったりと、まさに細胞活動の要と言えるでしょう。では、細胞はどのようにして、このような重要なタンパク質を作り出しているのでしょうか?その秘密は、遺伝情報の通り道にあります。 遺伝情報は、すべての生物の設計図とも言えるもので、細胞の核に存在するDNAに大切に保管されています。DNAには、タンパク質を作るための情報が、まるで暗号のように書き込まれているのです。しかし、DNAは非常に重要な情報を持つため、核の外に出ることは許されていません。そこで、DNAの代わりに、mRNA(メッセンジャーRNA)という物質が登場します。mRNAは、DNAに書かれた遺伝情報を写し取り、核の外にあるタンパク質合成工場へと運び出す役割を担っています。このように、DNAからmRNAへ、そしてmRNAからタンパク質へと、遺伝情報は正確に伝えられていくのです。
看護技術

医療現場の必需品 ピギー

- ピギーとは病院で患者さんに点滴をする際に、薬液を入れておく、透明なプラスチック製の容器のことです。この容器は、まるで子豚の鼻のように、下の方に突き出た部分が付いていることから、「ピギー(子豚)」という愛称で呼ばれています。 ピギーには、様々な容量のものがあります。一般的には、200ml、500ml、1000mlのものが多く使われていますが、患者さんの体格や治療内容に応じて、適切な大きさのものが選ばれます。ピギーの中には、何も入っていない状態のものと、あらかじめ生理食塩水やブドウ糖液などの輸液が入っているものの2種類があります。 輸液は、体内の水分や電解質を補給したり、栄養を補給したりするために用いられます。 点滴を行う際には、患者さんの症状に合わせて、必要な薬剤をピギー内の輸液に加えていきます。その後、ピギーを点滴スタンドに吊り下げて、チューブを介して患者さんの血管内に薬液を投与していきます。ピギーは、患者さんの治療を支える上で、欠かせない医療機器の一つと言えるでしょう。
消化器

急性虫垂炎の診断:モンロー点

お腹の痛みは、日常生活で誰もが経験するありふれた症状です。食べ過ぎや消化不良、風邪によるものなど、その原因は実に様々です。多くの場合、お腹の痛みは一時的なもので自然と治まりますが、中には緊急の治療が必要な深刻な病気が隠れていることもあります。そのため、お腹の痛みを感じた際には、その種類や痛む場所、症状の出方など、痛みに関する情報を詳しく確認することが重要です。 お腹の痛みの中でも、右下腹部に見られる痛みは特に注意が必要です。右下腹部には、盲腸の先端にある虫垂という器官が存在します。この虫垂に炎症が起こる病気を急性虫垂炎、一般的には「盲腸」と呼びますが、右下腹部に激しい痛みが生じることが特徴です。初期はみぞおちのあたりが痛むこともありますが、時間の経過とともに痛みが右下腹部へと移動していきます。また、吐き気や嘔吐、発熱、食欲不振などを伴うこともあります。 もちろん、右下腹部の痛みが必ずしも急性虫垂炎を示唆するわけではありません。しかし、急性虫垂炎は放置すると命に関わる危険性もある病気です。そのため、少しでも気になる症状があれば、自己判断せず、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
検査

pH:体の酸アルカリバランスの鍵

水溶液の性質を語る上で欠かせない指標である「pH(ピーエッチ)」。これは、ある水溶液が酸性寄りなのか、アルカリ性寄りなのかを示すものです。0から14までの数値で表され、ちょうど真ん中の7が中性を表します。7より数値が小さくなるほど酸性が強く、逆に大きくなるほどアルカリ性が強くなります。 身近なもので例えると、レモンや梅干しのような酸っぱいものはpHが低く、石鹸のようにぬるぬるしたものはpHが高いと言えます。私たちの身の回りには、様々なpHを持つ物質が存在しています。 人間の体にとっても、このpHのバランスは非常に重要です。私たちの体は、弱アルカリ性の状態が最も安定するとされています。体内のpHが酸性に傾くと、疲労や倦怠感を引き起こしやすくなったり、骨がもろくなったりすると言われています。逆に、アルカリ性に傾きすぎると、イライラしやすくなったり、筋肉が痙攣しやすくなるなどの症状が現れることがあります。 このように、pHは私たちの健康状態にも大きく関わっているのです。
検査

健康のバロメーター:クレアチニン値を理解する

- クレアチニンとはクレアチニンとは、筋肉が活動するために必要なエネルギーを作り出す過程で生じる老廃物のことです。 私たちの体は、毎日、運動をしている時だけでなく、安静にしている時でも筋肉を使ってエネルギーを作り出し、生命活動を行っています。その過程で、クレアチニンは常に一定量産生され続けています。血液中に放出されたクレアチニンは、腎臓へと運ばれます。腎臓は、血液を濾過して、老廃物や余分な水分を尿として体外へ排出する役割を担っています。クレアチニンも、腎臓で血液中から濾し出され、尿として排出されます。腎臓の機能が正常に働いていれば、血液中のクレアチニン濃度は、ほぼ一定に保たれます。 しかし、腎臓の働きが低下すると、血液中のクレアチニン濃度が上昇します。これは、腎臓が正常にクレアチニンを濾過し、排出することができなくなるためです。そのため、血液検査や尿検査でクレアチニン値を調べることは、腎臓の働きを評価する上で非常に重要な指標となります。 クレアチニン値の上昇は、腎臓病の早期発見や、病状の進行度合いを把握する上で役立ちます。
循環器

静脈瘤治療の要:硬化療法

- スクレロって何? 「スクレロ」とは、「硬化療法」を短くした言葉です。 硬化療法は、血管が太くなって皮膚の表面に浮き出てしまう「静脈瘤」を治療する際に用いられる方法です。 静脈瘤には、足の血管にできる「下肢静脈瘤」や、食道にできる「食道静脈瘤」など、体の様々な場所に発生する可能性があります。 硬化療法は、静脈瘤の原因となっている血管内に薬を注入することで、血管を閉塞させる治療法です。 血管が閉塞すると、血液の流れは正常な血管へと促され、静脈瘤は徐々に縮小し、目立たなくなっていきます。 硬化療法は、手術と比べて体への負担が少ない治療法として知られており、日帰りでの治療も可能です。 しかし、静脈瘤の種類や大きさ、患者の状態によっては、硬化療法が適さない場合もあるため、事前に医師による診察と適切な検査を受けることが重要です。
その他

免疫の指揮役:CXCケモカイン

私たちの体には、体内に入ってきた harmful な細菌やウイルスなどの異物から体を守る、免疫という優れたシステムが備わっています。この免疫システムは、様々な種類の細胞が互いに協力し合うことで、私達の体を守っています。その中でも、免疫細胞は体内をパトロールし、異物を発見すると攻撃をしかけるという重要な役割を担っています。 ケモカインは、このような免疫細胞を必要な場所に誘導する、いわば「道案内」のような役割をする小さなタンパク質です。ケモカインは、感染や炎症が起こっている場所から放出され、まるで信号のように遠くの免疫細胞を呼び寄せます。免疫細胞は、このケモカインの信号を感知し、濃度の濃い方向へと移動することで、的確に感染部位や炎症部位に到達することができます。 ケモカインは、免疫細胞の種類によって異なる組み合わせで受容体と結合することで、特定の免疫細胞だけを誘導することができます。これは、例えば、ある特定の細菌に効果的な免疫細胞だけを感染場所に呼び寄せるなど、より効率的かつ的確な免疫応答を引き出すために非常に重要な仕組みです。このように、ケモカインは、私達の体を守る免疫システムにおいて、なくてはならない重要な役割を担っているのです。
消化器

胆汁を蓄える重要な器官:胆嚢

肝臓の下側に位置する胆嚢は、洋梨のような形をした小さな臓器です。胆嚢の主な役割は、脂肪の消化吸収に欠かせない胆汁を一時的に貯蔵し、濃縮して十二指腸に送り出すことです。 胆汁は肝臓で絶えず生成されますが、胆嚢はその胆汁を濃縮して蓄えておくことができます。食べ物、特に脂肪分の多い食事を摂取すると、胆嚢は収縮を始めます。そして、蓄えられていた濃縮胆汁は胆管という管を通って十二指腸へと送り出されます。 十二指腸に送られた胆汁は、脂肪を小さな粒子に分解する働きを助けます。脂肪が小さな粒子に分解されることで、消化酵素がより効率的に作用し、脂肪の消化吸収が促進されます。このように、胆嚢は脂肪の消化吸収を円滑に進めるために重要な役割を担っているのです。
その他

医療の転換点:疾患中心から患者中心へ

これまで長い間、医療の世界では、「疾患中心システム(Disease Oriented System DOS)」と呼ばれる考え方が一般的でした。これは、医師が医療の中心に立ち、患者の訴える体の不調や病気に対して、その原因を突き止め、治療を行うというものです。 医師は、医学の専門家として、長年の研鑽によって得られた豊富な知識と経験を駆使し、患者を診察します。そして、患者の訴えや診察所見から病気を特定し、薬物療法や手術療法など、その病気に最適な治療法を選択します。 このシステムの中で、看護師は医師の指示に従って患者のケアを行い、薬剤師は処方された薬を調剤し、リハビリテーションを専門とする理学療法士は医師の指示の下で患者の運動機能回復を支援します。このように、医師の指示を軸に、それぞれの専門性を生かして、医療従事者が協力して患者の治療にあたってきました。
検査

健康のバロメーター!CRP値を読み解こう

- CRPって何?CRPは、C反応性タンパク質(C-reactive protein)を省略した呼び方です。これは、私達の血液の中に常にわずかに存在しているタンパク質の一種です。普段は肝臓で作られており、血液中に一定量を保っています。CRPが特に注目されるのは、体の中で炎症や組織の損傷が起こった時です。例えば、風邪をひいたり、怪我をしたり、肺炎や膀胱炎などの病気を発症したりすると、体の中ではそれに対抗しようと炎症反応が起きます。すると、CRPは肝臓で盛んに作られ、血液中のCRP濃度が急上昇するのです。このCRPの量を調べることで、体の中でどれくらい炎症が起きているのかを知ることができます。CRPの値が高いほど、炎症の程度が強いと判断されます。そのため、CRPは医療現場において、炎症反応の程度を測る指標、すなわち炎症マーカーとして広く用いられています。CRP検査は、採血によって行われ、比較的短時間で結果が得られます。検査結果を参考に、医師は患者さんの病状を把握し、適切な治療法を決定します。ただし、CRPは様々な要因で変動するため、CRP値だけで病気を診断することはできません。医師は、CRP値だけでなく、他の検査結果や症状なども総合的に判断して診断を行います。
血液

免疫力を奪うHIVとは?

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」の略称で、人間の免疫システムを攻撃するウイルスです。免疫システムは、私たちの体を病気から守るために非常に重要な役割を担っています。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を果たす「CD4陽性T細胞」という細胞に感染します。CD4陽性T細胞は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、排除する司令塔のような役割を担っています。HIVはこのCD4陽性T細胞に感染し、細胞の中で増殖を繰り返します。その結果、CD4陽性T細胞は破壊され、免疫システムが正常に機能しなくなってしまいます。HIVは、感染した人の血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液に含まれており、これらの体液が他の人に移ることによって感染します。具体的には、性交渉、血液を介した感染(注射針の共用など)、母子感染(妊娠中、出産時、授乳時)などの経路で感染します。HIVは空気感染や接触感染はしません。日常生活で感染する可能性は極めて低いと言えます。
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