総合健康ガイド

血液

臨床現場の隠語?!ハーベーって何?

病院で働いていると、「ハーベー測ってきて」や「ハーベーの数値どうだった?」といった会話を耳にすることがあるかもしれません。この「ハーベー」は一体何を指すのでしょうか?日常会話では聞き慣れない言葉ですが、実は医療現場ではよく使われている言葉なのです。 「ハーベー」は、正式には「ヘモグロビンA1c」と呼ばれる検査値の略称です。 ヘモグロビンA1cは、過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標であり、糖尿病の診断や治療効果の判定に非常に重要な役割を担っています。 健康な人の場合、ヘモグロビンA1cの値は一定の範囲内に収まりますが、糖尿病の人は血糖値が高くなるため、ヘモグロビンA1cの値も高くなります。そのため、医療現場では「ハーベー測ってきて」という指示が、患者さんの血糖コントロール状態を把握するために行われるのです。 患者さんとのコミュニケーションを円滑にするためには、専門用語を避けて分かりやすい言葉を使うことが重要です。しかし、医療現場では、簡潔に指示を出したり、情報を共有したりするために、専門用語や略語が頻繁に使われます。今回の「ハーベー」のように、一見分かりにくい言葉であっても、それが何を意味するのか、なぜ使われるのかを理解することで、医療現場でのコミュニケーションをよりスムーズに行うことができるでしょう。

医療現場で使われる「sol」って?

「sol」という単語を見かけたことがあるでしょうか。これは、医療現場で使われる略語で、「溶液」のことを指します。 「溶液」とは、2種類以上の物質が均一に混ざり合った液体のことです。例えば、砂糖を水に溶かすと砂糖水になりますが、これも溶液の一種です。 医療現場では、様々な薬剤や栄養剤などが溶液の状態で使用されます。例えば、点滴によって体内に投与する薬剤や、傷口を消毒するための消毒液などが挙げられます。 「sol」は、英語で溶液を意味する「Solution」を省略した形です。医療現場では、カルテや指示書などで限られたスペースに多くの情報を記載する必要があるため、このように単語を省略することがよくあります。 例えば、病院でよく使用される「生理食塩水」は、「生理食塩水sol」のように表記されることがあります。これは、「生理食塩水という溶液」という意味になります。 このように、「sol」は医療従事者間で円滑なコミュニケーションを図る上で欠かせない略語の一つなのです。
消化器

感染性胃腸炎: 冬の流行に注意

- 感染性胃腸炎とは感染性胃腸炎は、食べ物や飲み物、あるいは感染者の便などを通して、体の中に微生物が侵入し、胃や腸などの消化管に炎症を引き起こす病気です。この微生物には、主に細菌やウイルスなどが挙げられます。代表的な症状としては、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などがあり、発熱や頭痛を伴うこともあります。これらの症状は、体内に入った微生物を排除しようとする体の防御反応によって起こります。感染性胃腸炎は、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。特に、免疫力が十分に発達していない乳幼児や、免疫力が低下しやすい高齢者は、重症化しやすい傾向にあるため注意が必要です。感染性胃腸炎は、年間を通して発生しますが、特に冬場に流行しやすいと言われています。これは、気温が低く乾燥した環境では、ウイルスが空気中を漂いやすく、感染が広がりやすいためと考えられています。また、夏場には、細菌による食中毒が原因で発症するケースも多くなります。感染性胃腸炎を予防するためには、こまめな手洗いが重要です。特に、食事の前やトイレの後には必ず手を洗いましょう。また、食品は十分に加熱してから食べるようにし、生水は飲まないようにしましょう。周りの人に感染を広げないためにも、咳エチケットを心がけることも大切です。
血液

出血:その原因と症状、治療法について

- 出血とは?出血とは、何らかの原因で血液が血管の外に出てしまう状態のことを指します。私たちの体は、心臓から送り出された血液が、全身に張り巡らされた血管を通って栄養や酸素を運び、再び心臓へと戻ってくることで生命を維持しています。しかし、この血管が損傷を受けると、血液が本来流れるべき道から外へと漏れ出てしまうのです。出血には大きく分けて、体の外に血液が流れ出る「外傷性出血」と、体の内部で血管から血液が漏れ出てしまう「内出血」の二つがあります。外傷性出血は、切り傷や擦り傷など、皮膚に損傷を受けた場合に起こる出血で、目で見て確認することができます。一方、内出血は、体の内部で起こる出血であるため、外見からは分かりにくいという特徴があります。打撲や骨折などで血管が損傷した場合などに起こりやすく、皮膚の下に出血が広がると、青あざとなって現れることがあります。出血の程度は、ごくわずかな量のものから、生命に関わるような大量出血まで様々です。出血が軽度であれば、自然に止血されることもありますが、大量出血の場合は、適切な処置を行わないと命に関わる危険性があります。そのため、出血の量や状況に応じて、適切な対応をとることが重要です。
脳・神経

脊髄空洞症:その原因と症状について

- 脊髄空洞症とは脊髄空洞症は、脳と脊髄を満たし、保護する液体である脳脊髄液の流れが妨げられることで発症する病気です。 通常、脳脊髄液は脳から脊髄へとスムーズに流れていますが、何らかの原因で流れが滞ると、脊髄の中心部に空洞が形成されてしまいます。 この空洞は徐々に大きくなり、周囲の神経を圧迫することで様々な神経症状を引き起こします。脊髄空洞症は比較的稀な病気で、はっきりとした原因は解明されていません。 しかし、先天的な脊髄の形成異常や、髄膜炎などの感染症、腫瘍、外傷などが関係していると考えられています。初期の段階では、自覚症状が現れないことも多く、健康診断などで偶然発見されることもあります。 症状が現れる場合、その種類や程度は患者さんによって大きく異なります。 代表的な症状としては、手足のしびれや感覚の低下、筋力低下、歩行障害、排尿・排便障害などが挙げられます。 これらの症状は、空洞の位置や大きさ、神経への圧迫の程度によって異なります。脊髄空洞症は、自然に治癒することはほとんどありません。 症状が進行すると日常生活に支障をきたす可能性もあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
検査

医療現場の略語:Dxってなに?

医療現場では、正確な情報を簡潔に伝えることが非常に重要です。そのために、様々な略語が日常的に使われています。その中でも「Dx」は「診断」を意味する言葉で、医療従事者の間で広く使われています。 この「Dx」は、英語の「Diagnosis」を省略した形です。診察記録やカルテには、患者さんの症状や検査結果など、多くの情報が書き込まれます。限られたスペースに効率的に情報を記録するため、「診断」のような頻繁に登場する言葉は、短い「Dx」で代用されるのです。 例えば、「急性胃腸炎」と診断された場合、「急性胃腸炎 Dx」のように記録されます。これは、医師や看護師が情報を共有する際に、一目で診断内容を理解できるという利点があります。このように、「Dx」は医療現場において、円滑な情報伝達に役立つ重要な役割を担っているのです。
検査

検査に欠かせないスピッツ

- スピッツとは病院や検査機関で行われる血液検査や尿検査。これらの検査には、採取した血液や尿を検査機器にかけるまで、衛生的に保管する必要があります。そのために用いられるのが「スピッツ」と呼ばれる試験管です。注射器を使って採取された血液や尿は、まずこのスピッツに移し替えられます。スピッツには、検査内容や目的に応じて様々な種類があります。例えば、血液検査では、血液を固まらせないようにするための凝固防止剤が入ったスピッツや、特定の成分を分離するための分離剤が入ったスピッツなどが使用されます。スピッツの材質は、主にガラスやプラスチックが用いられています。ガラス製のスピッツは、透明度が高く、内容物を確認しやすいという利点があります。一方、プラスチック製のスピッツは、軽量で割れにくいという特徴があり、近年では主流になりつつあります。スピッツは、検査対象となる血液や尿を清潔な状態で保ち、正確な検査結果を得るために必要不可欠な器具と言えるでしょう。
血液

免疫の破壊者、HIVの脅威

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」と呼ばれるウイルスの略称です。このウイルスは、私たちの体を病気から守る免疫システムを標的にして攻撃するという特徴を持っています。免疫システムは、体の中に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から私たちを守ってくれる、いわば「体の防衛部隊」です。風邪をひいたときや、インフルエンザにかかったときに、熱が出たり、咳が出たりするのは、この免疫システムが病原体と戦っている証拠です。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を担う「リンパ球」という細胞を破壊してしまいます。リンパ球は、例えるなら「体の防衛部隊の司令塔」のような役割を果たしています。司令塔であるリンパ球が破壊されてしまうと、免疫システムからの指令がうまく伝わらなくなり、体は防衛力を失ってしまいます。その結果、通常では感染症を引き起こさないような弱い病原体にも感染しやすくなってしまうのです。HIVは、血液、精液、膣分泌液、母乳などを介して感染します。HIVに感染しても、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、ウイルスは体の中で静かに増殖を続け、免疫システムを徐々に破壊していきます。そして、免疫力が著しく低下した状態になると、「後天性免疫不全症候群(AIDS)」を発症します。
血液

血球貪食症候群:免疫の暴走とその脅威

私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために免疫システムが備わっています。通常、免疫細胞はこのシステムを通じて、侵入してきた外敵を攻撃し、排除する働きをしています。しかし、まれに、この免疫システムが過剰に反応し、自分自身の細胞を攻撃してしまうことがあります。これが、過剰な免疫反応が引き起こす病気と呼ばれるものです。 血球貪食症候群は、このような過剰な免疫反応が原因で起こる病気の一つです。この病気では、免疫細胞が正常な血液細胞を、あたかも外敵であるかのように誤って認識し、攻撃を加えてしまいます。その結果、赤血球、白血球、血小板といった血液細胞が破壊され、様々な症状が現れます。 発熱、全身倦怠感、リンパ節の腫れといった風邪に似た症状が見られることがありますが、貧血、出血傾向、感染症の悪化など、より重篤な症状が現れることもあります。原因は未だはっきりとは解明されていませんが、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などが発症の引き金となる可能性が示唆されています。 血球貪食症候群は、命に関わることもある病気です。早期の診断と適切な治療が重要となります。
その他

カルテ用語解説: s/oって何?

病院で診察を受けると、医師や看護師はあなたの症状や治療経過などを記録するためにカルテを書きます。このカルテ、実は患者さん自身が見てもいいものだと知っていましたか? カルテにはあなたの大切な健康情報が詰まっているため、内容を理解することはとても重要です。しかし、いざ見てみると、聞き慣れない記号やアルファベットの羅列に戸惑ってしまうかもしれません。 カルテには、医療現場だけで通じる独特な用語や略語が使われています。これは、医師や看護師が短時間で効率的に情報を共有するためです。しかし、患者さんにとっては「暗号みたいで全然わからない…」と感じてしまうのも無理はありません。そこで今回は、カルテによく書かれている記号の中から「s/o」について詳しく解説していきます。 「s/o」は、「suspect of」を省略した言葉で、「〜の疑いがある」という意味です。例えば、「s/o 感染症」と書かれていれば、「感染症の疑いがある」と判断されます。カルテに「s/o」と書かれている場合は、まだ確定診断ではないということを覚えておきましょう。医師は、さらに詳しい検査や診察を通して、本当にその疑いがあるのかどうかを判断していきます。 カルテは患者さん自身の体のことについて書かれた大切な記録です。もし、わからないことや気になることがあれば、遠慮なく医師や看護師に質問してみましょう。
消化器

医療現場で使われる「KOT」って?

病院や診療所などで、医師や看護師が使う言葉には、私たちが普段耳にしない専門用語が多く存在します。これらの言葉は、患者さんの状態や治療の内容を正確に記録し、医療従事者間で情報を共有するために欠かせません。しかし、一般の方にとっては、見慣れない言葉が並ぶと、戸惑ってしまうこともあるでしょう。そこで今回は、数ある医療用語の中から「KOT」という言葉を取り上げ、その意味するところを詳しく解説していきます。 「KOT」とは、「Keep on Temperature」の頭文字をとったもので、日本語では「体温保持」という意味です。これは、病気や手術などの影響で、患者さん自身の力で体温を維持することが難しい場合に、毛布や温風ヒーターなどを用いて、体温が下がらないように保つ処置のことを指します。体温が低下すると、免疫力が低下したり、心臓や呼吸器に負担がかかったりするなど、様々な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、KOTは患者さんの回復を助ける上で、非常に重要な処置の一つと言えるのです。 医療ドラマなどで、患者さんに毛布をかけたり、湯たんぽを使ったりする場面を見たことがあるかもしれません。それは、体温を保つための医療処置であり、医療現場では「KOT」という言葉で表現されているのです。
脳・神経

全身の筋肉が衰える病気:ALS

- ALSとはALS(筋萎縮性側索硬化症)は、体を動かすための指令を脳から筋肉へと伝える役割を持つ神経細胞「運動ニューロン」が、少しずつ壊れていく病気です。運動ニューロンは、脳から脊髄を通って全身の筋肉へと繋がっています。この運動ニューロンが正常に働いているときは、脳から「手を動かす」という指令が出されると、その指令は脊髄を経由して手の筋肉へと伝わり、スムーズに手が動きます。しかし、ALSを発症すると、この運動ニューロンが徐々に壊れてしまい、脳からの指令が筋肉へと伝わらなくなってしまいます。その結果、筋肉は次第にやせ細り、力が弱くなっていきます。初期症状としては、手や足の動きがぎこちなくなったり、言葉が話しにくくなったりすることがあります。病気の進行は患者さんによって異なり、呼吸に関わる筋肉が弱って呼吸困難に陥ったり、食べ物を飲み込む筋肉が衰えて食事が難しくなったりすることもあります。ALSは現在のところ、根本的な治療法が確立されていません。しかし、病気の進行を遅らせたり、症状を和らげたりするための薬物療法やリハビリテーションなどが行われています。

多様な疾患に挑むシクロホスファミド

- シクロホスファミドとはシクロホスファミドは、細胞分裂を妨げることでがん細胞の増殖を抑える働きを持つ抗がん剤です。がん細胞は、正常な細胞に比べて活発に分裂を繰り返す性質があります。シクロホスファミドは、細胞分裂に必要なDNAの複製を阻害することで、がん細胞の増殖を効果的に抑え込むことができます。シクロホスファミドは、様々な種類のがん治療に用いられています。例えば、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳がん、卵巣がんなど、多くの種類のがんに対して効果が期待できます。また、臓器移植の際に拒絶反応を抑える免疫抑制剤としても使用されることがあります。シクロホスファミドは、服用または点滴によって投与されます。効果や副作用の出方には個人差があり、投与量や投与期間は、治療するがんの種類や進行度、患者の状態などに応じて慎重に決定されます。シクロホスファミドは強力な抗がん剤であるため、その使用には、吐き気、脱毛、骨髄抑制などの副作用が伴う場合があります。医師は、これらの副作用を最小限に抑えながら、効果的な治療を提供できるよう、患者さんの状態を注意深く観察しながら治療を進めていきます。
看護技術

患者さんの痛みの管理:患者管理鎮痛法とは?

近年、医療現場では患者さんの身体的・精神的な負担を軽減することに、より一層力を入れています。その中でも、手術後や慢性的な痛みに苦しむ患者さんにとって、効果的な痛みのコントロールは非常に重要です。 従来の痛み止めの投与方法は、看護師さんなどが決まった時間に与えることが一般的でした。しかし、この方法では、患者さん一人ひとりの痛みの感じ方や変化に対応しきれない場合があり、十分な効果が得られないケースも見受けられました。 そこで近年注目されているのが、患者さん自身が痛みを感じた時に、自ら痛み止めを投与できる「自己調節鎮痛法」です。この方法では、患者さんの状態に合わせて、必要な時に必要な量の薬を投与することができるため、痛みが強い時に我慢したり、逆に痛みがないのに薬を服用してしまうことを防ぐことができます。 自己調節鎮痛法は、従来の方法と比べて、痛みの軽減効果が高く、患者さんの満足度も高いという研究結果も出ています。また、薬の使用量を減らせるというメリットもあり、副作用のリスク軽減にも繋がります。 医療現場では、患者さんの負担を軽減し、より質の高い医療を提供するために、痛みのコントロール方法の革新が日々進んでいます。
検査

免疫のguardman:抗原検査

- 抗原検査とは私たちの体は、常に外部から侵入してくるウイルスや細菌などの異物から身を守るため、免疫システムという防御機構を備えています。この免疫システムは、体内に入ってきた異物を「抗原」として認識し、攻撃を仕掛けます。抗原検査とは、この免疫反応を利用して、特定の抗原が存在するかどうかを調べる検査です。例えば、風邪の原因となるウイルスが体内に侵入した場合、私たちの免疫システムはそのウイルスが持つ特有の抗原に反応します。抗原検査では、この反応を利用して、採取した検体の中に特定のウイルスの抗原が含まれているかどうかを調べます。もし、検査対象の抗原が検出されれば、そのウイルスに感染している可能性が高いと判断できます。抗原検査は、PCR検査と比較して、短時間で結果が得られるというメリットがあります。そのため、医療現場では、迅速な診断が必要な場合に広く用いられています。ただし、抗原検査はPCR検査と比べて感度が低い場合があり、偽陰性(実際には感染しているにも関わらず、検査結果が陰性となること)の可能性も考慮する必要があります。
看護技術

診療記録の簡略表記:NCの意味とは?

病院では、患者さんの状態や治療の経過を記録するために、カルテや看護記録が使われます。その記録には、様々な専門用語や略語が使われており、医療関係者たちはそれらを共通の言葉として使っています。 その中でも「NC」は、カルテや看護記録で頻繁に目にする略語の一つです。「NC」は英語の "No Change" の略で、日本語では「変化なし」という意味になります。これは、患者の状態や検査結果などに変化がない場合に用いられます。 例えば、患者の体温が昨日と変わらず36.5度のままであれば、「体温36.5℃ NC」といったように記録されます。 この「NC」は、一見簡潔で便利な表現ですが、医療現場では使い方に注意が必要です。 なぜなら、「変化なし」と判断する基準は、医療従事者によって異なる可能性があるからです。 例えば、患者の呼吸状態について、「呼吸数18回/分 NC」と記録されていたとします。しかし、この患者が慢性呼吸器疾患を患っていた場合、18回/分という呼吸数は正常範囲内であっても、病状によっては注意が必要な場合があります。 このように、「NC」はあくまでも簡略な表現であるため、重要な変化を見逃さないためには、数値や状態を具体的に記録することが大切です。また、少しでも異常を感じたら、自己判断せずに、必ず医師や看護師に報告することが重要です。
血液

血液が固まる病気:血栓とは

- 血栓の概要私たちの体内を循環している血液は、怪我をした時などに傷口をふさぐ重要な役割を担っています。通常、出血すると血液中の成分が反応し、複雑な過程を経て血液が凝固し、出血を止める仕組みになっています。 しかし、この血液凝固のメカニズムが、怪我をしていない状態でも過剰に働いてしまうことがあります。その結果、血管の中で血液が固まってしまう現象を、血栓と呼びます。血栓は、それができる場所によって、大きく動脈血栓と静脈血栓に分けられます。動脈は心臓から全身に血液を送り出す血管である一方、静脈は全身から心臓へ血液を送り返す血管です。動脈血栓は、動脈硬化などにより血管の内壁が損傷し、そこに血小板やフィブリンなどが集積して形成されます。動脈血栓は、心臓の冠動脈で発生すると心筋梗塞、脳の血管で発生すると脳梗塞を引き起こすなど、生命に関わる重大な病気を引き起こす可能性があります。一方、静脈血栓は、血液の流れが滞りやすい足の静脈にできやすいという特徴があります。飛行機のエコノミークラスなど、長時間同じ体制で座り続けることで足の静脈に血栓ができることがあり、エコノミークラス症候群とも呼ばれます。静脈血栓は、肺の血管に詰まると肺塞栓症を引き起こすことがあり、こちらも命に関わる危険性があります。このように、血栓は発生する場所や原因によって様々な病気を引き起こす可能性があり、注意が必要です。
血液

出血とは?:症状と原因、治療法まで

出血とは、血管が傷つき、血液が血管の外に出てしまう現象を指します。私たちが健康な状態であるとき、血液は心臓から送り出され、全身に張り巡らされた血管の中だけを流れています。しかし、何らかの原因で血管が損傷すると、この血液が血管の外に漏れ出てしまうのです。これが、出血です。 出血は、その発生場所によって大きく三つに分けられます。一つ目は、体外への出血です。例えば、指を切ってしまった場合や鼻血が出た場合などがこれに当たります。二つ目は、体腔内への出血です。これは、体の外からは見えない場所で出血が起こることを指します。例えば、お腹の中で出血が起こったり、頭蓋骨の中で出血が起こったりすることがあります。三つ目は、組織内への出血です。これは、皮膚の下など、組織の中に出血が起こることを指します。 出血の症状や重症度は、出血の場所だけでなく、出血量や原因によっても大きく異なります。少量の出血であれば、自然に止まることもありますが、大量の出血が起こると、生命に関わる危険性も出てきます。そのため、出血が起こった場合には、適切な処置を迅速に行うことが重要です。

カルテや処方箋の「do」ってなに?

病院やクリニックにかかると、医師が書いた処方箋やカルテをもらうことがありますね。これらの書類をよく見ると、数字やアルファベット、記号などが書かれていることに気がつくでしょう。医療従事者たちは、これらの文字や記号を使って、患者さんの症状や治療内容などを記録したり、薬の処方を指示したりしています。 これらの記号の中には、私たち一般の人にはあまり馴染みのないものも少なくありません。その一つに、「do」という記号があります。これは一体どんな意味を持つのでしょうか? 「do」は、ラテン語で「与える」という意味の「dare」を省略した言葉です。つまり、「do」と書かれた薬は、「患者さんに与える薬」ということになります。 処方箋には、「1日3回、食後に服用」といった薬の服用方法が指示されていることがあります。この服用方法を示す指示の後に「do」と記されている場合は、「その服用方法で与える量」という意味になります。例えば、「1回2錠、1日3回、食後に服用 do 14日分」と書かれていれば、「1回2錠を1日3回、食後に服用する量を14日分与える」という意味になります。 このように、「do」は、医療現場において、薬の量や服用方法を正しく伝えるために使われる、大切な記号なのです。
皮膚科

知っておきたい梅毒の知識

- 梅毒とは梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる螺旋状の細菌が原因で発症する感染症です。この病気は、主に性行為によって感染します。具体的には、感染している人の性器、口、または肛門との直接的な接触によって菌が体内に侵入します。稀ではありますが、感染した母体から胎児に感染する可能性もあります。梅毒の恐ろしい点は、感染初期には症状が現れないか、現れても非常に軽いため、感染に気づかない場合が多いことです。初期症状として、性器に硬くて痛みのない潰瘍(しこり)ができることがありますが、痛みがないため、放置してしまうことがあります。しかし、治療せずに放置すると、細菌は体内に留まり続け、やがて全身に様々な症状を引き起こします。具体的には、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどが現れることがあります。さらに進行すると、心臓、脳、神経などに深刻な合併症を引き起こし、生命を脅かす可能性もあります。梅毒は早期に発見し、適切な治療を行えば完治する病気です。疑わしい症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。また、性行為の際にはコンドームを正しく使用することで、感染のリスクを減らすことができます。

医療現場で使われる略語:モヒ

病院で放映されているテレビドラマを何気なく見ていると、医師や看護師が緊迫した状況下で「モヒの準備を!」と指示を出す場面を目にすることがあるかもしれません。この医療現場で使われている「モヒ」とは、一体どのような意味を持つ言葉なのでしょうか? 実は「モヒ」とは、「モルヒネ」という鎮痛剤の略語なのです。 モルヒネは、医療現場において、激しい痛みを抑えるために用いられる非常に強力な鎮痛剤として知られています。手術後や、がんなどの病気による痛みが強い場合に、注射や内服薬として用いられます。 「モヒ」は、医療従事者間で、モルヒネを指示する際に簡潔に伝えるための略語として定着しています。特に、緊急性の高い状況や、迅速な対応が必要な場面においては、言葉のやり取りを減らし、スムーズな連携を図るために、このような略語が用いられることが多いです。 ただし、医療現場以外では、「モヒ」という言葉はあまり一般的ではありません。そのため、一般の人が「モヒ」と聞いても、それがモルヒネを指す言葉だと理解するのは難しいでしょう。 テレビドラマを通して医療現場の言葉を垣間見ることはできますが、実際に使われている専門用語や略語は、私たちが想像する以上に複雑で、奥深いものです。
血液

知っておきたい血小板減少症

- 血小板減少症とは血液の中には、体にとって重要な役割を担う様々な種類の細胞が流れています。その一つに、血管が傷ついたときに傷口を塞いで出血を止める働きをする「血小板」があります。この血小板が、何らかの原因で正常な数よりも少なくなってしまう病気が、血小板減少症です。健康な人の場合、血液1マイクロリットルあたり15万から40万個程度の血小板が存在しています。しかし、血小板減少症では、この数が減少してしまいます。血小板の数が減ると、出血を止める機能が低下するため、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。具体的には、鼻血が出やすくなったり、歯茎から出血しやすくなったりすることがあります。また、皮膚の下に出血が起こり、青あざができやすくなったり、赤い斑点(点状出血)が現れたりすることもあります。さらに、重症化すると、頭蓋内出血などの重大な出血を引き起こす可能性もあります。血小板減少症の原因は様々で、自己免疫疾患や白血病、薬剤の副作用などが挙げられます。原因や症状、重症度によって治療法は異なり、それぞれの患者さんに合わせた治療が行われます。
消化器

体の出口、肛門の役割と病気

私達が毎日口にする食べ物は、胃や腸で消化・吸収され、栄養となって全身に届けられます。そして、その過程で残ったものが便です。便は、いわば体の「残りカス」であり、肛門はこれを体外へと送り出す、いわば体の「出口」としての重要な役割を担っています。 肛門は消化管の最終地点に位置し、体の最も低い場所に位置しています。この肛門が正常に機能することで、私達は不快な思いをすることなく、健康的な生活を送ることができるのです。 肛門は、単なる排出口ではなく、精巧な仕組みによってその役割を果たしています。肛門括約筋と呼ばれる筋肉が、便意がないときは肛門をしっかりと閉じて、便が漏れるのを防いでいます。そして、便が直腸に到達し、便意を感じると、脳からの指令によって肛門括約筋が緩み、便を排出します。 さらに、肛門の粘膜には、便をスムーズに排出するための粘液を分泌する機能も備わっています。この粘液が不足すると、排便時に痛みを感じたり、出血を伴ったりすることがあります。 このように、肛門は私達が健康的な生活を送る上で欠かせない役割を担っています。日々の生活の中で、肛門の健康にも気を配ることが大切です。
アレルギー

ヒスタミン: 体内の多機能メッセンジャー

- ヒスタミンとは私達の体の中には、様々な機能を調整するために、ごく微量でありながら重要な働きをする物質がたくさん存在します。その中の一つがヒスタミンと呼ばれる物質です。ヒスタミンは、体内の様々な細胞で作られ、必要に応じて放出されます。ヒスタミンは、細胞間のコミュニケーションを司るメッセンジャーのような役割を担っています。特定の細胞から放出されたヒスタミンは、別の細胞の表面にあるヒスタミン受容体と呼ばれる場所に結合することで、その細胞に情報を伝達します。ヒスタミンが特に重要な役割を担っているのが、炎症反応やアレルギー反応です。例えば、私達の体が、体に害を与える可能性のある細菌やウイルスに感染すると、ヒスタミンが放出されます。ヒスタミンは、血管を広げて血液の流れを良くすることで、免疫細胞が患部に到達しやすくなるように働きかけます。また、ヒスタミンには、神経を刺激してかゆみを引き起こす作用もあり、これは、異物を体外に排出しようとする体の防御反応の一つです。一方、アレルギー反応は、本来無害な花粉やダニなどの物質に対して、体が過剰に反応してしまうことで起こります。この場合もヒスタミンが放出され、くしゃみ、鼻水、皮膚の発疹など、様々な不快な症状を引き起こします。ヒスタミンは、炎症やアレルギー以外にも、胃酸の分泌や神経伝達など、様々な生理機能に関わっています。このように、ヒスタミンは私達の体にとって非常に重要な役割を担っている物質と言えるでしょう。
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