総合健康ガイド

消化器

食中毒を防ぐために

食中毒とは、食べ物に付着した細菌やウイルス、有害な化学物質などを口にすることで、体調が悪くなる病気のことを指します。代表的な症状としては、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などが挙げられます。 食中毒の原因は多岐に渡り、大きく分けて細菌やウイルス、寄生虫といった微生物によるもの、農薬や食品添加物などの化学物質によるもの、フグ毒や毒キノコなどの自然毒によるものの3つに分類されます。 中でも細菌やウイルスによる食中毒は、気温や湿度が上昇する夏場に多く発生する傾向があります。これは、高温多湿な環境が、これらの微生物にとって増殖しやすい条件となるためです。 食中毒を予防するためには、食品の購入から調理、保管に至るまで、あらゆる段階で注意を払う必要があります。例えば、肉や魚などの生鮮食品は新鮮なものを選び、持ち帰る際は保冷剤を入れたクーラーボックスなどを使用し、低温を保つように心がけましょう。また、調理の際にはしっかりと加熱し、食品の中心部まで火を通すことが重要です。さらに、調理器具は清潔なものを使用し、生野菜などは流水でよく洗い流してから食べるようにしましょう。 食中毒は、適切な予防策を講じることで、その多くを防ぐことが可能です。日頃から食中毒のリスクを認識し、安全な食品の取り扱いを心がけましょう。
脳・神経

顔面の電撃痛!三叉神経痛とは

顔の感覚をつかさどる神経である三叉神経。この三叉神経に異常が生じることで、耐え難いほどの痛みが顔面に走る病気を三叉神経痛と言います。まるで電流が走るような、あるいはガラスの破片が刺さるような、そんな激痛が顔の片側に起こるのが特徴です。 痛みの持続時間は人それぞれで、一瞬で治まることもあれば、数秒から数分続くこともあります。また、発作の頻度も個人差が大きく、数ヶ月に一度という場合もあれば、一日に何度も起こる場合もあります。痛みが起こるきっかけも様々で、顔を洗う、歯を磨く、食事をする、話す、風にあたるといった、ごく日常的な動作がきっかけになることもあります。 三叉神経痛は命に関わる病気ではありませんが、その激痛は日常生活に大きな支障をきたし、患者さんの生活の質を著しく低下させる可能性があります。激しい痛みにより、外出や人と会うことを避けたり、食事や会話が困難になったりするなど、日常生活に様々な制限が生じることもあります。そのため、適切な診断と治療を受けることが重要です。
血液

Rh血液型:知っておきたい血液型の基礎知識

私たちが日常会話で「血液型」と呼ぶ場合、たいていはABO式血液型のことを指します。これは、A型、B型、AB型、O型の4種類に分類され、血液中の赤血球の表面にある抗原の違いによって決まります。 たとえば、A型の人はA抗原を、B型の人はB抗原を持っています。AB型の人はA抗原とB抗原の両方を持ち、O型の人はどちらの抗原も持ちません。 しかし、血液型はABO式血液型以外にもたくさんあります。その一つにRh式血液型があります。これは、赤血球の表面にD抗原という別の種類の抗原を持っているかどうかで分類されます。D抗原を持っている人はRhプラス、持っていない人はRhマイナスと呼ばれます。 血液型は、輸血や妊娠の際に非常に重要です。なぜなら、自分と違う血液型を輸血されると、血液中の抗体が反応し、ショックなどの重い副作用を引き起こす可能性があるからです。そのため、輸血や妊娠の際には、必ず血液型の検査が行われます。
食生活

生命の維持に必要なエネルギー量:基礎代謝

- 基礎代謝とは 人間は、生きていくために常にエネルギーを消費しています。心臓がドキドキと脈打つのを感じなくても、心臓は休むことなく血液を全身に送り出していますし、息を吸ったり吐いたりすることを意識しなくても、私たちの体は酸素を取り込んで二酸化炭素を排出しています。体温も、常に一定に保たれています。 このように、私たちが意識していなくても、生命を維持するために体内では様々な活動が行われており、それらには全てエネルギーが使われています。この、生きていくために最低限必要なエネルギー量が、基礎代謝と呼ばれるものです。 つまり、一日中ベッドで寝て過ごし、体を全く動かさなかったとしても、生命を維持するために消費されるエネルギーがあるということです。これが基礎代謝量であり、私たちが生きていく上で必要不可欠なエネルギー消費と言えるでしょう。
看護技術

医療現場の必需品:リストンとは?

リストンは、病院や診療所などで日々使用されている、医療用の特別なはさみです。みなさんが、病院で包帯を巻いてもらったり、点滴の管を固定するテープを貼ってもらったりした際に、医師や看護師さんが使っていた小さく、少し変わった形のはさみを見たことがありませんか?それが、リストンです。 リストンは、包帯やテープ、糸などを切るために作られています。医療現場では、患者の体に直接触れるため、清潔さや安全性が非常に重要になります。リストンは、先端部分が丸みを帯びているという特徴があります。これは、万が一、患者の肌に先端が当たってしまっても、傷つけないようにという工夫がされているためです。また、切れ味が非常に鋭いことも、リストンの大きな特徴の一つです。切れ味が良いことで、処置を素早く行うことができ、患者さんの負担を減らすことにもつながります。 このように、リストンは医療従事者にとって、患者さんの安全を確保しながら、日々の業務を円滑に行うために欠かせない道具の一つと言えるでしょう。

免疫抑制薬:その役割と注意点

- 免疫抑制薬とは私たちの体には、細菌やウイルスといった外敵が侵入してきた際に、それらを排除して体を守る「免疫システム」が備わっています。通常、このシステムは体にとって非常に重要な役割を果たしています。しかし、免疫システムが何らかの原因で正常に機能しなくなった場合、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことがあります。これは、まるで本来守るべき味方を誤って攻撃してしまうようなもので、自己免疫疾患や移植拒絶反応といった深刻な病気を引き起こします。免疫抑制薬は、過剰に働きすぎた免疫システムを抑え、正常な状態に近づけることで、自己免疫疾患や移植拒絶反応などの症状を和らげることを目的とした薬です。免疫抑制薬には、作用の仕組みや対象となる免疫細胞の種類などが異なる様々な種類があります。例えば、ステロイド薬は免疫細胞全体に作用し、炎症を抑える効果があります。一方、特定の免疫細胞の働きだけを抑える薬や、免疫細胞が活性化するのを妨げる薬など、より選択的に免疫システムに作用する薬も開発されています。免疫抑制薬の使用は、自己免疫疾患や移植後の患者さんにとって、病気の管理や健康な生活を送る上で非常に重要です。しかし、免疫システムの働きを抑えるということは、感染症に対する抵抗力が弱まるというリスクも伴います。そのため、免疫抑制薬の使用は必ず医師の指示に従い、定期的な検査や生活上の注意点を守ることが大切です。
耳鼻科

平衡感覚の鍵、内耳の迷路

私たちは、無意識のうちに体のバランスを取って生活しています。たとえば、電車の中で急ブレーキがかかっても、すぐに体勢を立て直すことができます。また、目をつぶっていても、体がどちらに傾いているのかを感じ取ることができます。 この体の傾きを感じる感覚を「平衡感覚」と呼びますが、この感覚を司っているのが、耳の奥深くに存在する「迷路」と呼ばれる器官です。迷路は、複雑な形をした小さな器官で、その中には「三半規管」と「耳石器」と呼ばれる感覚器官が存在します。 三半規管は、体の回転を感知する器官です。三半規管は、それぞれが異なる方向にループ状に配置されており、体の回転する方向や速度を感知します。 一方、耳石器は、体の傾きや直線運動を感知する器官です。耳石器は、炭酸カルシウムでできた小さな石「耳石」を持っています。体が傾いたり、動きが変化したりすると、この耳石が重力によって移動し、その刺激が神経を通じて脳に伝えられます。 このように、迷路は体の傾きや回転、直線運動といった情報を感知し、脳に伝えています。脳は、これらの情報に基づいて体のバランスを保つために必要な指令を筋肉に送り、私たちがスムーズに動くことができるように調節しているのです。
血液

移植後も油断大敵?移植片対宿主病

造血幹細胞移植は、白血病などの血液疾患を持つ患者さんにとって、根治を目指すための重要な治療法です。しかし、移植後には、提供された造血幹細胞がうまく生着しない、または再発といったリスク以外にも、「移植片対宿主病(GVHD)」と呼ばれる合併症が起こる可能性があります。 移植片対宿主病は、他人から提供された骨髄や臍帯血の中に含まれる免疫細胞であるリンパ球が、移植を受けた患者さんの体内の細胞を“異物”と認識し、攻撃してしまうことで起こります。 わかりやすく例えると、新しい家に引っ越しをした際に、その家の家具や内装が気に入らず、破壊してしまう人がいるとします。この場合、新しい家は患者さんの体、引っ越しをしてきた人はドナーさんから提供されたリンパ球、家具や内装は患者さん自身の細胞や組織に当たります。 リンパ球は、本来は体の中に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃して、私たちを守ってくれる役割を担っています。しかし、移植片対宿主病では、リンパ球が、本来攻撃すべきでない患者さん自身の正常な細胞を攻撃してしまうのです。 移植片対宿主病は、皮膚、肝臓、消化管など、体の様々な場所に症状が現れます。主な症状としては、皮膚のかゆみ、発疹、黄疸、下痢、腹痛などがあります。移植後早期に症状が現れる急性型と、数年後に症状が現れる慢性型に分けられます。 移植片対宿主病は、場合によっては命に関わることもあるため、移植後の注意深い経過観察と、早期発見、早期治療が非常に重要です。

プロトコール研究:より良い治療法を探求する

- プロトコール研究とは何かプロトコール研究は、現在広く行われている治療法よりも、より効果的で安全性の高い治療法を見つけることを目的とした研究です。病気の治療には、一般的に確立された方法(標準治療)があります。しかし、医療は日々進歩しており、常に新しい薬や治療法が開発されています。プロトコール研究は、このような新しい治療法の可能性を追求し、患者さんにとってより良い医療を提供することを目指しています。プロトコール研究では、新しい薬の効果を確かめたり、既存の薬の使い方や組み合わせを変えたり、手術方法や放射線治療の照射方法を工夫するなど、様々な方法が試されます。これらの新しい治療法は、標準治療と比較して、より効果が高く、副作用が少なく、あるいは治療期間が短いなど、患者さんにとってメリットがあると考えられます。プロトコール研究に参加することは、新しい治療法をいち早く受けることができる可能性がある一方、その効果や安全性はまだ完全に確立していないという側面もあります。研究に参加するかどうかは、患者さん自身の判断となりますが、医師から研究内容について十分な説明を受け、メリットとリスクをよく理解した上で判断することが重要です。
検査

健康の鍵!体のpHバランス

- pHとは?私たちの身の回りには、レモンや梅干しのように酸っぱいものと、石鹸のようにぬるぬるするアルカリ性のものが存在します。この酸性・アルカリ性の度合いを示す指標がpHです。pHは0から14までの数値で表され、ちょうど真ん中の7が中性となります。7より数値が小さいと酸性を示し、数値が小さくなるほど酸性が強くなります。逆に、7より数値が大きいとアルカリ性を示し、数値が大きくなるほどアルカリ性が強くなります。例えば、酸っぱいレモン汁はpH2ほどの強い酸性を示し、梅干しはpH3程度の酸性です。一方、石鹸はpH9~10、重曹はpH8程度の弱いアルカリ性を示します。私たちの体内にも、胃液や血液など様々な液体があり、それぞれ異なるpHを持っています。胃液は食べ物を消化するために強い酸性(pH1~2)を示しますが、血液はほぼ中性(pH7.4前後)に保たれています。これは、私たちの体が健康を維持するために、それぞれの器官や組織に適したpHを保つように精巧に調整されているからです。体のpHバランスが崩れると、様々な体調不良を引き起こす可能性があります。このように、pHは私たちの身の回りや体の中で重要な役割を担っています。

抗真菌薬:真菌感染症治療の進歩

私たちの身の回りには、肉眼では確認できないほどの数の菌類が生きています。これらの菌類の中には、カビやキノコのように、私たち人間に感染して病気を引き起こすものも少なくありません。このような菌による感染症は、真菌感染症と呼ばれ、近年、患者数が増加傾向にあり、医療現場において深刻な問題となっています。 真菌感染症は、健康な人にとっては、比較的軽症で治癒するケースが多いです。しかし、免疫力が低下している患者さんの場合、真菌感染症は命に関わる深刻な病態となる可能性があります。例えば、がん治療中や臓器移植後など、免疫抑制剤を使用している患者さんは、免疫力が低下しているため、真菌感染症のリスクが高まります。また、糖尿病やHIV感染症などの基礎疾患を持つ患者さんも、真菌感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。 真菌感染症の症状は、感染する部位や菌の種類によって異なります。皮膚や爪に感染する場合は、かゆみ、発疹、水ぶくれ、爪の変色や肥厚などの症状が現れます。肺に感染する場合は、咳、痰、発熱、呼吸困難などの症状が現れます。さらに、血液に侵入して全身に広がると、敗血症などの命に関わる重篤な状態を引き起こす可能性もあります。 真菌感染症の治療は、抗真菌薬を用いて行われます。しかし、近年、既存の抗真菌薬が効かない薬剤耐性菌が出現しており、治療が困難なケースも増えています。そのため、日頃から、手洗いやうがいを徹底するなど、真菌感染症の予防に努めることが重要です。
脳・神経

神経細胞の連携プレー:シナプスの働き

私たち人間の脳は、巨大なコンピューターに例えられるほど複雑な構造をしています。その中心的な役割を担っているのが、神経細胞と呼ばれる特殊な細胞です。脳内には、気が遠くなるほどの数の神経細胞が存在し、それらが複雑に絡み合い、巨大なネットワークを築き上げています。 この神経細胞のネットワークこそが、私たちが日々何気なく行っている、考えたり、感じたり、思い出したり、体を動かしたりといった、あらゆる活動の源泉となっています。驚くべきことに、一つ一つの神経細胞はそれぞれ独立した存在でありながら、互いに情報をやり取りすることで、複雑な情報処理を可能にしています。 では、神経細胞同士はどのようにして情報を伝えているのでしょうか?その鍵となるのが、「シナプス」と呼ばれる構造です。神経細胞は、長い突起を伸ばしており、その先端にあるシナプスを介して、他の神経細胞と接続しています。シナプスでは、電気信号や化学物質を用いることで、神経細胞間で情報が伝達され、処理されていきます。 このように、脳の神経細胞ネットワークは、無数の神経細胞とシナプスからなる、極めて精巧で複雑なシステムと言えます。そして、この複雑なネットワークの働きによって、私たちは人間らしい高度な機能を発揮することができるのです。
血液

希望を繋ぐ架け橋:同種造血幹細胞移植

私たちの体を巡る血液は、体の隅々に酸素を届けたり、外部から侵入しようとする細菌やウイルスから体を守ったりと、生きていく上で欠かせない様々な働きをしています。しかし、白血病や再生不良性貧血といった病気にかかってしまうと、血液が正常に作られなくなり、体に様々な不調が現れてしまいます。 これらの血液の病気と闘うための治療法の一つに、近年注目されているのが「造血幹細胞移植」という方法です。造血幹細胞というのは、血液中の赤血球、白血球、血小板といった様々な細胞の元となる細胞です。この造血幹細胞を移植することで、正常な血液を作り出す能力を取り戻そうとするのが、造血幹細胞移植の目的です。 造血幹細胞移植には、大きく分けて「骨髄移植」と「末梢血幹細胞移植」、「臍帯血移植」の3つの方法があります。骨髄移植は、骨盤などにある骨髄から造血幹細胞を採取して移植する方法です。末梢血幹細胞移植は、血液中から造血幹細胞を採取して移植する方法で、近年ではこちらの方法が主流となっています。臍帯血移植は、出産時に残る臍帯血(さいたいけつ)から造血幹細胞を採取して移植する方法です。 造血幹細胞移植は、患者さんにとって大きな負担となる治療法ですが、血液の病気と闘うための有効な手段の一つとして、日々研究が進められています。
その他

環指:薬指の医学用語

- 環指とは環指とは、私たちが普段「薬指」と呼んでいる指のことです。指の名前は、医学の世界では親指から順番につけられています。親指が第一指、人差し指が第二指、中指が第三指、そして環指は第四指となります。小指は第五指と呼ばれます。環指は、一般的に利き手ではない方の手では中指の次に長く、利き手の方では人差し指の次に長いとされています。しかし、個人差があるため、必ずしもこの通りになるとは限りません。環指は、他の指と比べて独立して動かすことが少し難しい指です。これは、指を動かす筋肉や腱の構造が、他の指と少し異なるためです。環指を単独で動かそうとすると、少しぎこちなく感じることがあるかもしれません。また、環指は、結婚指輪をはめる指としても知られています。これは、古代エジプトの時代から続く風習で、環指と心臓は血管で直接繋がっていると信じられていたことに由来しています。心臓は感情や愛情を司る臓器と考えられており、そこに繋がる環指に指輪をはめることで、永遠の愛を誓い合ったと言われています。このように、環指は、医学的な観点だけでなく、文化的な観点からも興味深い特徴を持つ指と言えるでしょう。
検査

心臓のリズムを探る:EPS検査とは?

心臓は、全身に血液を送り出すために休むことなく働き続けています。この心臓の動きは、規則正しいリズムを刻む電気信号によってコントロールされています。しかし、様々な原因でこの電気信号の伝わり方に異常が生じると、脈が乱れたり、速くなったり、遅くなったりといった不整脈が起こることがあります。 心臓の電気信号を調べる検査であるEPS検査(電気生理学的検査)は、このような不整脈の原因を突き止め、適切な治療法を選択するために重要な役割を担っています。 EPS検査では、足の付け根や首の血管からカテーテルと呼ばれる細い管を心臓まで挿入します。そして、カテーテルの先端から心臓内の様々な場所に電極を配置し、電気信号の伝わり方を詳細に記録します。 EPS検査によって、不整脈が心臓のどの部分で発生しているのか、どのようなメカニズムで起こっているのかを正確に把握することができます。さらに、薬剤や電気刺激に対する心臓の反応を調べることで、患者さん一人ひとりに最適な治療法を検討することができます。EPS検査は、不整脈の診断と治療に大きく貢献している検査と言えるでしょう。
その他

エボラ出血熱:知っておくべきこと

- エボラ出血熱とはエボラ出血熱は、エボラウイルスというウイルスが原因で発症する、重篤で命に関わる危険性の高い感染症です。1976年にスーダンとコンゴ民主共和国で初めて確認されました。それ以降、中央アフリカや西アフリカで断続的に流行が報告されています。この病気は、感染した人の血液や体液(唾液、汗、嘔吐物、糞便、尿、精液など)に直接触れることで感染します。 また、感染した動物(コウモリ、サル、シカ、ヤマアラシなど)の血液、体液、臓器、またはこれらの動物の体液で汚染された物に触れることによっても感染します。エボラ出血熱は、突然の高熱、激しい頭痛、筋肉痛、倦怠感などの症状で始まります。その後、嘔吐、下痢、発疹、腎臓や肝臓の機能障害、場合によっては内出血や外出血などの症状が現れます。この病気は非常に重篤で、致死率は25%から90%と高く、適切な治療を受けても命を落とす場合があります。 エボラ出血熱に対する特別な治療法はありませんが、早期発見と対症療法(脱水症状への対応、酸素供給、血圧の維持など)によって生存率を高めることができます。エボラ出血熱の予防には、感染者との接触を避けること、こまめな手洗いが重要です。 また、流行地域では、野生動物との接触を避け、生肉や加熱不十分な肉の摂取を控える必要があります。
呼吸器

ミニトラック:気管切開後の呼吸ケア

- ミニトラックとは?ミニトラックとは、呼吸に困難をきたしている患者さんの気管に挿入する細い管のことを指します。 気管は、鼻や口から吸い込んだ空気を肺へと送るための重要な器官ですが、病気や怪我などによって、その機能が十分に働かなくなることがあります。 このような場合には、「気管切開」と呼ばれる手術を行うことがあります。気管切開は、首の前方に小さな穴を開け、そこから直接気管に管を挿入する処置です。 この穴を「気管切開孔」と呼び、挿入された管を通して呼吸を補助したり、分泌物を吸引したりすることが可能になります。ミニトラックは、この気管切開孔を通して気管内に留置する目的で用いられます。 材質は柔らかく、患者さんの身体への負担を最小限に抑えるように設計されています。 主な役割としては、気道の確保、痰や分泌物の吸引、そして乾燥を防ぐための保湿などが挙げられます。このように、ミニトラックは呼吸困難に直面する患者さんにとって、円滑な呼吸を維持し、合併症を予防するために非常に重要な役割を担っています。
脳・神経

神経系の司令塔:灰白質

私たちの体には、脳から全身に張り巡らされた、まるで intricate なネットワークのような神経系が存在します。この神経系において、情報を処理し、他の神経細胞へと伝達するという重要な役割を担っているのが神経細胞です。灰白質とは、この神経細胞の本体である細胞体が密集している領域のことを指します。 神経細胞は、木の幹に例えられる細胞体と、そこから枝のように伸びる軸索、そして葉のように広がる樹状突起と呼ばれる構造から成り立っています。細胞体には、細胞の核やエネルギーを生み出すミトコンドリアなど、まるで司令塔のように細胞が生きていくために必要な機能を集中させています。そして、この細胞体こそが、神経細胞としての機能を維持するために重要な役割を担っているのです。 灰白質は、神経細胞の細胞体が集まっていることから、神経活動の中心的な役割を担っていると考えられています。つまり、私たちが考えたり、感じたり、体を動かしたりするなど、あらゆる行動の源となっているのが灰白質と言えるでしょう。
血液

自家末梢血幹細胞移植:がん治療の新たな選択肢

- 自家末梢血幹細胞移植とは自家末梢血幹細胞移植とは、文字通り自分の体から採取した血液幹細胞を、再び自分自身の体内に戻す治療法です。 血液幹細胞は、血液中に含まれる赤血球や白血球、血小板など、あらゆる血液細胞の元となる細胞のことを指します。この治療法は、主にがん治療、特に悪性リンパ腫や多発性骨髄腫といった血液のがんの治療に用いられます。がん細胞を死滅させるために、高用量の抗がん剤治療や放射線治療を行うと、正常な血液細胞も同時にダメージを受けてしまいます。その結果、重い貧血や感染症、出血などを引き起こす可能性があります。そこで、あらかじめ患者さん自身の血液から健康な血液幹細胞を採取し、凍結保存しておきます。そして、高用量の抗がん剤治療や放射線治療を行った後に、採取しておいた血液幹細胞を体内に戻すことで、骨髄機能を回復させ、正常な血液細胞を再び作り出すことができるのです。自家末梢血幹細胞移植は、自分自身の細胞を移植するため、拒絶反応が起こるリスクが低いというメリットがあります。また、ドナーを探す必要がないため、比較的治療が開始しやすいという点も挙げられます。しかし、すべての患者さんに適応できるわけではなく、合併症のリスクもゼロではありません。そのため、治療を受けるかどうかは、医師とよく相談し、ご自身の病気の状態や治療の副作用などを考慮した上で、慎重に判断する必要があります。
検査

免疫の謎を探る: 抗原検査

- 抗原検査とは私たちの体は、外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守るために、免疫という優れたシステムを持っています。この免疫システムは、体内に入ってきた異物をいち早く見つけ出し、それを排除しようと働きます。では、免疫システムはどのようにして、体にとって害となる病原体と、そうでないものを見分けているのでしょうか?その鍵となるのが抗原です。抗原とは、細菌やウイルスなど、主に体外から侵入してくる異物の表面にある物質で、免疫システムはこれを「敵の目印」として認識します。抗原検査とは、この免疫システムの仕組みを利用した検査方法です。例えば、特定のウイルスに感染しているかどうかを調べたい場合、そのウイルスが持つ特有の抗原と結合する検査薬を用います。もし、検査対象者の体内にそのウイルスが存在すれば、ウイルス表面の抗原と検査薬が結合し、陽性反応を示します。逆に、ウイルスが体内に存在しなければ、検査薬は反応せず、陰性という結果になります。このように、抗原検査は、体内に特定の病原体が存在するかどうかを、比較的短時間で調べることができるため、病気の早期発見や感染拡大の防止に役立っています。
皮膚科

知られざる真菌の世界:カビからキノコまで

真菌と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?多くの人は、パンに生える緑色の斑点や、森で見かける傘を広げた姿を想像するかもしれません。 実は、これらは全て真菌の一種なのです。真菌は、肉眼では見えないほど小さなものから、巨大なキノコまで、その姿形は実に多様です。地球上には、現在知られているだけでも7万種、未知のものも含めると150万種にも及ぶ真菌が存在すると考えられています。私たちの身の回りには、目には見えない多種多様な真菌が存在しているのです。 真菌は、動物や植物とは異なる独自のグループに分類されます。植物のように光合成を行って栄養分を作り出すことはできません。その代わり、他の生物の死骸や、生物が出す老廃物などを分解して栄養分を得ています。この働きは、自然界の物質循環において非常に重要な役割を果たしています。もし、真菌がいなくなれば、落ち葉や枯れ木は分解されずに残り続け、土に栄養分が戻らなくなってしまうでしょう。 真菌の中には、私たち人間にとって有益なものもたくさんあります。例えば、パンやお酒、味噌や醤油など、様々な食品の発酵に真菌は欠かせません。また、医療の分野でも、ペニシリンなどの抗生物質は真菌から作られています。このように、真菌は私たちの生活に深く関わっている重要な生物なのです。
脳・神経

身体の司令塔:脊髄の役割と重要性

私たちの体の中心部、背骨の内部には、脳から続く重要な器官が存在します。それが脊髄です。まるで脳からの指令を全身に伝える電線のように、神経細胞が集まって太い束状になっています。 脊髄は、脳からの指令を体の各部へと伝達する役割を担っています。例えば、手を動かそうと考えた時、その指令は脳から脊髄を通って腕の筋肉へと伝わり、実際に手が動くのです。また、反対に、皮膚に触れた感覚や体の位置情報なども、脊髄を通じて脳へと送られます。 このように、脊髄は脳と体をつなぐ情報伝達の要と言えるでしょう。脊髄は、私たちが意識的に行う動作だけでなく、呼吸や心臓の動きなど、生きていく上で欠かせない体の機能にも深く関わっています。もし、脊髄が損傷してしまうと、脳からの指令が伝わらなくなったり、体からの情報が脳に届かなくなったりするため、体の麻痺や感覚障害といった重い症状が現れることがあります。
看護技術

診療記録の謎を解く:NCの意味とは?

- 医療現場で使われる略語NC 医療現場では、正確な情報を素早く記録し、共有することが非常に重要です。そのために、様々な医療用語や指示を短くまとめた略語が日常的に使われています。カルテや指示書には一見暗号のように思えるアルファベットの羅列が並び、初めて見る方は戸惑ってしまうかもしれません。 今回は、数ある医療略語の中から「NC」について解説します。NCは「Nasal Cannula」の略で、日本語では「鼻カニューレ」といいます。 鼻カニューレは、鼻から酸素を供給するための医療器具です。細いチューブの先端に鼻孔にフィットする柔らかいプラスチック製の突起が二つ付いており、これを鼻の穴に差し込んで使用します。 酸素吸入が必要な患者さんにとって、鼻カニューレは日常生活の妨げが少ないという利点があります。食事や会話も無理なく行うことができ、比較的長時間の使用にも適しています。 カルテに「NC 5L」などと書かれている場合は、「5リットル/分の酸素を鼻カニューレを用いて投与している」という意味になります。このように、医療現場では略語を用いることで、簡潔に患者の状態や治療内容を記録しています。
血液

第三者からの希望の光:同種骨髄移植

- 同種骨髄移植とは同種骨髄移植は、病気のために正常な血液を作ることができなくなった患者さんに対して行われる治療法です。血液は私たちの体にとって非常に重要で、酸素を全身に届けたり、細菌やウイルスなどの病原体から体を守ったり、傷を治したりするなど、様々な役割を担っています。 血液の中には、赤血球、白血球、血小板といった様々な種類の細胞が存在しますが、これらの血液細胞は骨髄で作られています。骨髄には、血液の細胞の元となる「造血幹細胞」があり、盛んに細胞分裂を繰り返すことで、毎日、膨大な数の新しい血液細胞を作り出しています。 しかし、白血病などの病気になると、この造血幹細胞が正常に働かなくなり、十分な数の健康な血液細胞を作ることができなくなってしまいます。その結果、貧血や感染症、出血傾向など、様々な症状が現れ、生命の危機に瀕することもあります。同種骨髄移植は、このような血液の病気の患者さんに対して、健康な人から提供された造血幹細胞を移植することで、血液を作る機能を回復させることを目的とした治療法です。健康な人の骨髄から採取した造血幹細胞を、患者さんの体内に入れることで、患者さんの骨髄に新たに根付き、健康な血液細胞を作り出すことが期待されます。 同種骨髄移植は、患者さんにとって大きな負担を伴う治療法でもありますが、血液の病気の根治を目指すことができる、有効な治療法の一つです。
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