総合健康ガイド

呼吸器

世界を脅かす感染症: インフルエンザ

- インフルエンザとはインフルエンザは、インフルエンザウイルスが鼻や喉などの呼吸器系に侵入することで引き起こされる病気です。感染力が非常に強く、毎年冬に流行を繰り返す感染症として知られています。くしゃみや咳などで飛び散った、ウイルスを含む小さな飛沫を吸い込むことで感染します。そのため、人混みでは特に注意が必要です。また、ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ることで間接的に感染することもあります。主な症状としては、発熱、咳、くしゃみ、鼻水、喉の痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感など、いわゆる風邪に似た症状が現れます。一般的に、風邪よりも症状が重く、発熱も高くなる傾向があります。多くの人は安静と十分な水分補給で1週間以内に回復しますが、乳幼児や高齢者、持病のある方などは重症化するリスクが高いため、注意が必要です。肺炎や脳炎などを併発すると、命に関わる危険性もあります。インフルエンザの予防には、こまめな手洗いやうがい、人混みを避けるなどの対策が有効です。また、予防接種も効果的な予防法の一つです。
血液

驚異の細胞!造血幹細胞の秘密

私たちの体を巡る血液は、体の隅々まで酸素を届ける役割を担う赤血球、外部からの侵入者から体を守る免疫の役割を担う白血球、そして怪我をしたときに傷口を塞いで出血を止める血小板など、異なる働きを持つ様々な種類の細胞で構成されています。では、これらの多様な血液細胞は、一体どこでどのようにして作られているのでしょうか? その答えとなるのが、「造血幹細胞」と呼ばれる特別な細胞です。造血幹細胞は、骨髄と呼ばれる骨の中心部に存在し、そこで盛んに細胞分裂を繰り返すことで、様々な血液細胞を生み出しています。 例えるなら、造血幹細胞は、あらゆる種類の血液細胞を製造できる万能工場のようなものです。この工場では、まず造血幹細胞が分裂して、いくつかの異なる種類の血液細胞のもとになる細胞が作られます。そして、それらの細胞がさらに分化・成熟することで、最終的に赤血球、白血球、血小板といった私たちに馴染み深い血液細胞へと成長を遂げるのです。 このように、たった一つの造血幹細胞から、私たちの体を支える多種多様な血液細胞が生み出されているというのは、まさに生命の神秘と言えるでしょう。
検査

わかりやすく解説!腫瘤とは?

「腫瘤」という言葉を耳にしたことがありますか? これは、私たちの体に現れる「できもの」「こぶ」「はれもの」などを、まとめて表す言葉です。 普段、何気なく「しこり」と呼んでいるものも、医学的には腫瘤に含まれます。 重要なのは、「腫瘤」という言葉自体には、それがどのような性質のものなのか、詳しい情報が含まれていないということです。 例えば、炎症が原因でできたものなのか、腫瘍が原因でできたものなのか、また、体に害のない良性のものなのか、放置すると悪化する悪性のものなのか、といった情報は含まれていません。 つまり、原因がはっきりしない体の表面や内部の塊は、とりあえず腫瘤と呼ぶことができるのです。 腫瘤と診断された場合は、それが何によるものなのか、精密検査などを通して詳しく調べる必要があります。
小児科

結核予防の切り札:BCGワクチン

結核は、結核菌という細菌によって引き起こされる感染症です。主に肺に感染しますが、リンパ節や骨、脳など、体の様々な場所に病巣を作ることもあります。症状としては、咳や痰、微熱などが挙げられます。初期症状は風邪に似ており、自覚症状が少ない場合もあるため、感染に気付かない場合もあります。 結核は、適切な治療を行えば治癒する病気です。しかし、治療が遅れたり、中断したりすると、症状が悪化し、呼吸困難や胸痛、血痰などが現れることがあります。さらに重症化すると、呼吸不全や心臓への負担増加など、命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。 BCGワクチンは、この結核を予防するために開発されたワクチンです。日本では、生後1歳未満の乳幼児に接種することが推奨されています。BCGワクチンは、結核菌に対する免疫を体内に作り出すことで、発病のリスクを減らし、重症化を防ぐ効果が期待できます。 結核は、空気感染によって人から人に感染します。感染者の咳やくしゃみ、会話などによって空気中に飛び散った結核菌を吸い込むことで感染します。感染を防ぐためには、咳エチケットを徹底することや、換気をこまめに行うなど、日常生活の中で予防対策を心がけることが重要です。
血液

分子生物学的完全寛解とは?

- 分子生物学的完全寛解の概要分子生物学的完全寛解とは、急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病といった血液のがんの治療において、治療の効果が非常に高く、検査で発見できる限界までがん細胞が減少した状態を指します。従来の顕微鏡を用いた検査では、血液や骨髄中に一定の数のがん細胞が存在する場合に限り、白血病と診断され、治療の効果を判定していました。しかし、顕微鏡検査では発見できないごくわずかながん細胞が体内に残存している可能性があり、これが後に再発の原因となることがありました。そこで近年、PCR法などの遺伝子検査を用いて、ごくわずかな量のがん細胞特有の遺伝子変化を検出することで、従来の検査では見つけることが難しい、ごくわずかな数の白血病細胞の存在を明らかにできるようになりました。これを分子生物学的手法と呼びます。分子生物学的手法を用いることで、従来の検査では判定できなかった、より深いレベルでの寛解状態を評価することが可能となりました。この状態は、白血病細胞が極めて少ないレベルに抑えられているため、再発のリスクが低い状態であると考えられています。しかし、分子生物学的完全寛解を達成しても、ごくわずかながら残存するがん細胞が、再び増殖を開始し、再発に至る可能性はゼロではありません。そのため、分子生物学的完全寛解後も、経過観察や治療の継続が重要となります。

意識下で痛みを制御する:ニューロレプト麻酔法

- ニューロレプト麻酔法とはニューロレプト麻酔法は、手術や検査などの医療行為中に、患者さんの痛みを和らげ、より快適に処置を受けていただくための一つの麻酔方法です。この麻酔法の特徴は、完全に意識を消失させるのではなく、患者さんの意識を保ったまま、痛みや不安を取り除く点にあります。従来の全身麻酔では、患者さんは深い眠り状態になり、意識が完全に消失します。一方、ニューロレプト麻酔法では、患者さんはリラックスした状態を保ち、医師や看護師との会話も可能です。そのため、患者さん自身の言葉で体調の変化などを伝えることができ、より安全性の高い医療行為の実施につながります。この麻酔法では、主に二種類の薬を組み合わせることで、鎮痛効果と精神安定作用をもたらします。一つは神経遮断薬と呼ばれる薬で、不安や恐怖といった精神的な緊張を和らげ、リラックス効果をもたらします。もう一つは鎮痛薬で、痛みを抑制する効果があります。これらの薬を適切に組み合わせることで、患者さんの状態に合わせて、効果的で安全な麻酔管理を行うことが可能となります。ニューロレプト麻酔法は、主に内視鏡検査や小手術など、比較的体の負担が少ない医療行為に用いられます。ただし、患者さんの状態や処置の内容によっては、この麻酔法が適さない場合もあります。そのため、事前に医師と十分に相談し、それぞれの患者さんに最適な麻酔方法を選択することが重要です。
救急

救命の基礎知識:心肺蘇生法を理解しよう

- 心肺蘇生法とは心肺蘇生法(しんぱいそせいほう)は、事故や急病などで突然、心臓と呼吸が止まってしまった人の命を救うための緊急処置です。医療従事者だけでなく、一般の人でも行うことができます。私たちの体は、心臓が血液を送り出し、呼吸によって酸素を取り込むことで、活動するためのエネルギーを生み出しています。心臓が止まると血液の流れが止まり、呼吸が止まると酸素が取り込めなくなります。その結果、全身の臓器、特に脳に酸素が行き渡らなくなり、数分以上続くと命に関わる危険があります。心肺蘇生法はこのような状態になった人を助けるための方法で、人工呼吸と胸骨圧迫の二つの行為で構成されています。人工呼吸は、呼吸が止まってしまった人の肺に、自分の口から息を吹き込むことで、強制的に酸素を送り込む行為です。胸骨圧迫は、心臓の位置を両手で強く圧迫することで、心臓のポンプ機能の代わりを果たし、血液を循環させる行為です。心肺蘇生法を行うことで、心臓と呼吸が完全に止まってしまった場合でも、救急隊が到着するまでの間、脳への酸素供給を維持し、命を救える可能性を高めることができます。いつ、どこで、誰がこのような事態に遭遇するかわかりません。いざという時に備え、正しい知識と技術を身につけておくことが重要です。
その他

身近なウイルス、アデノウイルス

- アデノウイルスとは? アデノウイルスは、私たちの身の回りでよく見られるありふれたウイルスの一つです。感染すると、くしゃみや鼻水、喉の痛み、発熱など、いわゆる風邪に似た症状が現れます。 このウイルスは非常に多くの種類が存在し、現在までに51種類もの型が確認されています。さらに、それぞれの種類によって、引き起こしやすい病気や症状が異なるという特徴も持ち合わせています。例えば、ある型は風邪のような症状を引き起こしやすい一方で、別の型は結膜炎や胃腸炎といった、全く異なる病気を引き起こすことがあります。 アデノウイルスは感染力が非常に強く、幼児から大人まで、年齢に関係なく感染する可能性があります。特に、保育園や幼稚園、学校など、多くの人が集まって生活する場所では、一度感染が広がると集団感染に発展するリスクが高く、注意が必要です。感染経路としては、咳やくしゃみによる飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ることによる接触感染の二つが挙げられます。感染を防ぐためには、こまめな手洗いやうがい、咳エチケットなどを心がけ、ウイルスへの曝露をできるだけ減らすことが重要です。
血液

プランマー・ビンソン症候群:知っておきたい3つの症状

プランマー・ビンソン症候群、聞き慣れない病名かもしれませんね。これは1900年代初頭に、イギリスの医師であるプランマー氏とビンソン氏によって報告された病気です。食道が狭くなってしまうのが特徴で、物をうまく飲み込むことができなくなってしまいます。 この病気の主な症状は3つあります。まず一つ目は、体中の組織に酸素を運ぶための鉄分が不足することで起こる、鉄欠乏性貧血です。顔色が悪くなったり、疲れやすくなったりします。二つ目は、舌が炎症を起こしてしまう舌炎です。舌の色が変わったり、表面が滑らかになったり、痛みを感じたりします。そして三つ目は、食べ物をうまく飲み込めなくなる嚥下障害です。食べ物が喉につかえる感じがしたり、飲み込む際に痛みを感じたりします。 プランマー・ビンソン症候群は、かつては中年期の女性に多く見られる病気でしたが、現代では医療の進歩や栄養状態の改善により、発症する人は少なくなりました。しかし、早期に発見して適切な治療を行えば、症状を改善し、より健康な生活を送ることができます。そのためにも、この病気の基本的な知識を持っておくことは大切です。
脳・神経

脳のエネルギー源:酸素消費量の謎

私たち人間は、考える、記憶する、体を動かすなど、日常生活で実に様々な活動を行っています。これらの活動は、脳からの指令によって行われています。脳は、まるでコンピューターのように、休むことなく働き続けているのです。 ところで、このような活動を続けるために、脳は一体どのようにエネルギーを得ているのでしょうか?その答えは、酸素です。 酸素は、私たちが呼吸によって体内に取り込む空気中の成分の一つです。体内に取り込まれた酸素は、血液によって体の隅々まで運ばれます。そして、細胞の中にあるミトコンドリアという小さな器官で、栄養素と結びつくことでエネルギーを生み出します。 脳は、体重のわずか2%ほどしかありませんが、体全体の酸素消費量の約20%を占めていると言われています。これは、心臓や消化器官など、他の臓器と比較しても、脳がいかに多くの酸素を必要としているかを表しています。 つまり、脳は、私たちが生命を維持し、活動するために、大量の酸素を必要とする非常に重要な臓器なのです。日頃から十分な酸素を脳に送り届けるために、深い呼吸を心がけたり、適度な運動を習慣化したりすることが大切です。
消化器

ノロウイルス感染症:その感染力と症状

- ノロウイルスとは?ノロウイルスは、一年を通して私たちの間で頻繁に流行を引き起こす、急性胃腸炎の代表的な原因となるウイルスです。ノロウイルスに感染すると、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れます。 多くの場合、これらの症状は1日から3日程度で治まりますが、乳幼児や高齢者の方などは、脱水症状や他の病気の合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。ノロウイルスの感染力は非常に強く、わずか10~100個ほどのウイルス粒子が口から体内に入るだけで感染が成立してしまうと言われています。これは、他のウイルスと比較しても極めて少ない数であり、ノロウイルスの感染力の強さを示しています。感染経路は主に、ウイルスに汚染された食品や飲料水を摂取することによる「経口感染」です。特に、カキなどの二枚貝や、ノロウイルスに感染した人が調理した食品などを介して感染することが多いため、注意が必要です。また、感染者の吐物や糞便に含まれるウイルスが、空気中に舞い上がり、それを吸い込むことで感染する「空気感染」や、感染者の吐物や糞便が付着したドアノブやトイレなどを介して感染する「接触感染」もあります。ノロウイルスに対する有効なワクチンや特効薬は、現在のところありません。そのため、感染を防ぐためには、日頃から手洗いを徹底することや、食品を加熱調理することなど、基本的な衛生対策を心掛けることが重要です。
その他

遺伝子変異:そのメカニズムと影響

- 遺伝子変異とは私たち一人ひとりの体を作るための設計図、それが遺伝子です。この設計図には、体の様々な特徴や機能を決める情報が詰まっています。遺伝情報は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)と呼ばれる4種類の塩基が、まるで文字のように一列に並んで記録されています。 遺伝子変異とは、この塩基配列に変化が起こることを指します。塩基の並び順が変わったり、一部が欠失したり、あるいは余分な塩基が挿入されたりすることで、遺伝子の情報が変わってしまうのです。遺伝子変異は、さまざまな要因によって引き起こされます。例えば、細胞分裂の際にDNAの複製ミスが起こったり、紫外線や放射線などの影響を受けたりすることで、塩基配列が変化することがあります。また、親から受け継いだ遺伝子に、すでに変異が生じている場合もあります。遺伝子変異の中には、私たちの体に影響を及ぼさないものもたくさんあります。しかし、場合によっては、特定の病気のリスクを高めたり、発症時期を早めたりすることがあります。例えば、がん細胞では多くの遺伝子変異が見つかっており、これらの変異ががんの発生や悪性化に繋がると考えられています。一方で、薬の効き方や副作用の出やすさに影響を与える遺伝子変異もあり、オーダーメイド医療への応用が期待されています。
消化器

胆石の治療に!ラパコレってどんな手術?

- ラパコレとはラパコレとは、正式には腹腔鏡下胆嚢摘出術と言い、お腹を切らずに胆嚢を摘出する手術のことです。胆嚢は、肝臓の下にぶら下がっている小さな袋状の臓器です。肝臓で作られた胆汁を一時的に蓄え、濃縮して、食べ物が十二指腸に送られてくると胆汁を送り出す役割を担っています。しかし、胆石症などで胆嚢に炎症が起こったり、胆嚢の機能が低下したりすると、腹痛や発熱などの症状が現れることがあります。このような場合には、胆嚢を摘出する手術が必要となります。従来の開腹手術では、お腹を大きく切開して胆嚢を摘出していました。一方、ラパコレでは、お腹に小さな穴を数カ所開け、そこから内視鏡や手術器具を挿入して胆嚢を摘出します。内視鏡にはカメラが付いているため、術者はモニターを見ながら手術を行うことができます。ラパコレは、開腹手術に比べて傷が小さく、術後の痛みが少ないというメリットがあります。また、入院期間も短く、日常生活への復帰も早いという利点があります。そのため、現在では胆嚢摘出手術の多くがラパコレで行われています。
血液

急性前骨髄球性白血病:稀少だが治癒可能な白血病

血液は、体中に酸素を届けたり、細菌やウイルスなどの外敵から体を守ったりする重要な役割を担っています。血液の中には、赤血球、白血球、血小板といった様々な細胞が存在しますが、その中でも、白血球は体を守るために特に重要な役割を担っています。 白血病は、この白血球ががん化してしまう病気です。白血球は、体の中で毎日作られていますが、白血病になると、骨髄という場所で作られる白血球が、がん細胞に変化してしまいます。がん化した白血球は、正常な白血球のように働くことができず、増殖を繰り返して骨髄を占拠してしまいます。その結果、正常な血液細胞が作られなくなり、様々な症状が現れるようになります。 白血病には、大きく分けて急性と慢性の二つ、さらにそれぞれに骨髄性とリンパ性という種類があります。急性骨髄性白血病(AML)は、白血病の中でも進行が早く、放置すると命に関わる病気です。急性前骨髄球性白血病(APL)は、このAMLに分類される病気の一つで、AML全体の約10%と、比較的稀な病気ですが、適切な治療を行うことで治癒が期待できる白血病としても知られています。
消化器

アニサキス症:食中毒にご用心

- アニサキスとはアニサキスは、海に住む生き物に寄生する寄生虫の一種です。細長い糸のような形をしていて、色は白っぽいのが特徴です。大きさは2~3cmほどで、肉眼でも確認することができます。アニサキスは、サバ、イカ、サケ、サンマなど、私たちが普段食べている魚介類に寄生していることが多く、その魚の内臓に多く存在します。私たちがアニサキスに寄生された魚介類を生で、もしくは十分に加熱処理せずに食べてしまうと、アニサキスが体内に入ってきてしまうことがあります。アニサキスは私たち人間の体の中では生きていくことができません。そのため、体内に入っても長く留まることはなく、通常数日以内に自然に排出されます。しかし、アニサキスが胃や腸の壁に刺さってしまうことがあります。これがアニサキス症と呼ばれる食中毒の原因です。アニサキス症は、激しい腹痛や吐き気を引き起こし、場合によっては手術が必要になることもあります。アニサキスは熱に弱いため、魚を十分に加熱するか、マイナス20度で24時間以上冷凍することで、死滅させることができます。また、新鮮な魚を選ぶ、内臓を生で食べないことも予防に繋がります。アニサキスによる食中毒は、正しい知識と予防法を実践することで防ぐことができます。
健康寿命

運動:体と動きの深い関係

- 運動の定義 「運動」と聞いて、何を思い浮かべますか?多くの人が、ランニングや水泳、筋力トレーニングなど、体を活発に動かす様子を想像するのではないでしょうか。確かに、これらの活動は運動の代表的な例と言えます。しかし、医学的な観点から見ると、運動はもっと広い意味を持ちます。 医学において「運動」とは、単に体が動くこと、あるいは意識的に体を動かすことを指します。言い換えれば、私たちが日々何気なく行っている動作、例えば、呼吸をする、歩く、食事をする、鉛筆を持つ、パソコンを操作するといった動作も、すべて運動に含まれるのです。 このように、運動には、激しい運動から日常生活における何気ない動作まで、実に様々なものが含まれます。そして、これらの運動はすべて、私たちの健康を維持するために重要な役割を担っているのです。
検査

がん治療の指標:パフォーマンスステータスとは?

- パフォーマンスステータスとはパフォーマンスステータス(PS)とは、患者さんが日常生活をどの程度送れているのか、どの程度自分で行うことができるのかを測るための指標です。これは、がん治療の方針を決める上で非常に重要な要素の一つとなっています。パフォーマンスステータスは、0から4までの5段階で評価されます。* -0- 全く制限なく、病気の前の状態と変わらずに日常生活を送ることができる状態です。* -1- 肉体労働に制限があるものの、身の回りのことは自分ででき、座ってできる仕事や軽い仕事であれば続けることができる状態です。* -2- 身の回りのことは自分でできるものの、仕事をすることはできず、日中の時間帯の50%以上をベッドや椅子の上で過ごしている状態です。* -3- 身の回りのことが自分でできず、介助が必要な状態です。日中の時間帯の50%以上をベッドの上で過ごしています。* -4- 全く身の回りのことができず、常時介護が必要な状態です。このように、数字が小さければ小さいほど、日常生活を自立して行えており、状態が良いことを示しています。パフォーマンスステータスは、治療の効果や副作用の程度、予後などを予測する上で重要な指標となります。また、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な治療法やケアの計画を立てるためにも役立てられています。
その他

医療現場で使われるエントラッセンとは?

病院に行くと、医師や看護師が専門用語を当然のように使っていて、何のことか分からなかったという経験はありませんか? 医療現場では、正確に情報を伝えるため、また、迅速に業務を行うために、専門用語や略語が多く用いられています。 今回は、数ある医療用語の中から、「エントラッセン」という言葉を紹介します。 「エントラッセン」は、ドイツ語で「閉じ込める」という意味を持つ言葉です。医療現場では、主に手術の際に臓器を保護するために用いられるガーゼを指します。このガーゼは、手術中に臓器が誤って傷つけられることを防いだり、出血を最小限に抑えたりするために使用されます。 「エントラッセン」は、手術部位に直接触れるため、滅菌処理が施されています。また、体内から取り残しがないよう、ガーゼの枚数を手術の前後で確認するなど、厳格な管理が行われています。 医療ドラマなどで耳にする機会もあるかもしれません。この機会に「エントラッセン」という言葉とその意味を覚えておきましょう。
血液

再生不良性貧血:血液の病気の理解

皆さんは「再生不良性貧血」という病気を聞いたことがありますか? 日常生活ではあまり耳にする機会が少ないかもしれません。しかし、再生不良性貧血は血液に深く関わる重大な病気なのです。今回は、このあまり知られていない再生不良性貧血について詳しく解説していきましょう。 貧血というと、鉄分不足によって起きるイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、再生不良性貧血はそれとは全く異なるメカニズムで発症します。私たちの血液中には、赤血球、白血球、血小板といった重要な成分が含まれています。これらの血液細胞は、骨の中にある骨髄という組織で作られます。 再生不良性貧血では、この骨髄の機能が低下し、十分な血液細胞を作ることができなくなってしまうのです。 その結果、体内で酸素を運ぶ赤血球、細菌やウイルスから体を守る白血球、出血を止める血小板が不足し、様々な症状が現れます。具体的には、疲れやすさ、息切れ、動悸、顔面蒼白、めまい、発熱、感染症にかかりやすくなる、出血しやすくなる、といった症状が見られます。 今回は、再生不良性貧血の基本的な情報として、病気の概略についてお伝えしました。次の章では、さらに詳しく、この病気の原因について探っていきましょう。

ゲンタマイシン:細菌感染症と戦う抗生物質

- ゲンタマイシンとはゲンタマイシンは、細菌による様々な感染症の治療に有効な、アミノグリコシド系と呼ばれる種類の抗生物質です。細菌が体内で増殖するために必要なタンパク質の合成を阻害することで、その増殖を抑え、感染症を治癒へと導きます。 ゲンタマイシンは、肺炎、尿路感染症、敗血症など、広範囲の細菌感染症に効果を発揮します。しかし、一部の細菌には効果がない場合もあるため、医師は患者さんの症状や細菌の種類に応じて、適切な抗生物質を選択する必要があります。 ゲンタマイシンは、注射や点滴で投与されます。内服薬の場合、消化管からの吸収がほとんどないため、注射や点滴による投与が一般的です。 効果が高い反面、副作用として、腎臓への負担、聴力への影響などが知られています。そのため、治療中は医師の指示に従い、定期的な検査を受けることが重要です。 自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは大変危険です。医師の指示に従って、正しく服用することで、ゲンタマイシンは細菌感染症の治療に大きく貢献します。
脳・神経

脳の橋渡し役:橋

人間の脳は、大きく分けて3つの部分で構成されています。思考や記憶をつかさどる大脳、運動やバランスを調整する小脳、そして生命活動を維持する上で欠かせない役割を担う脳幹です。 脳幹は、呼吸や心臓の拍動、体温調節など、私たちが意識しなくても生きていくために必要な機能をコントロールしています。この脳幹は、さらに中脳、橋、延髄という3つの部分に分かれており、それぞれが重要な役割を担っています。 橋は、その名の通り中脳と延髄の間にある、橋渡しのような役割を担っています。具体的には、大脳からの指令を小脳に伝えたり、逆に小脳からの情報を大脳に伝えたりすることで、運動の調整に関わっています。また、顔の筋肉を動かすための神経や、聴覚や平衡感覚に関わる神経も、橋から出ています。 橋は、睡眠や覚醒のサイクルの調節にも関わっていると考えられています。そのため、橋に損傷が起こると、意識障害や運動麻痺、感覚障害などの深刻な症状が現れる可能性があります。脳幹は生命維持に直結する重要な部位であるため、橋を含む脳幹の働きは、私たちの健康にとって非常に重要です。
検査

関節造影法:関節内部を詳しく知る検査

- 関節造影法とは関節造影法は、レントゲンを用いて関節内部の状態を詳しく調べる検査です。関節造影検査、あるいはアルトログラフィーとも呼ばれます。この検査では、まず検査を受ける方の関節に局所麻酔を施します。局所麻酔が効いてきたら、関節腔と呼ばれる関節内の空間に細い針を刺し、造影剤と空気を注入します。造影剤はレントゲン写真に写りやすい性質を持っているため、関節内部の構造を鮮明に映し出すことができるのです。そして、実際にレントゲン撮影を行うことで、関節内の軟骨や靭帯、半月板などの状態を詳細に観察することが可能となります。関節造影法は、変形性関節症や関節リウマチ、靭帯損傷、半月板損傷などの診断に役立ちます。検査自体は30分程度で終了します。ただし、検査後しばらくは安静にする必要があり、当日の激しい運動や入浴は控えるように指示があります。また、稀に造影剤によるアレルギー反応や、関節内の感染症などの合併症が起こる可能性もあるため、医師の説明をよく聞いてから検査を受けるようにしましょう。
看護技術

生命線:医療におけるラインの役割

- ラインとは何か病院で治療を受ける際、「点滴のラインを取りましょう」といった言葉を耳にすることがあるかもしれません。医療現場で日常的に使われる「ライン」とは、一体どのようなものなのでしょうか。簡単に言うと、ラインとは、体内に薬剤や栄養を投与したり、血液検査を行うために確保する、体への入り口のことです。具体的には、注射針よりも細い特殊な針を血管に刺したり、皮膚を少しだけ切開したりして、細い管を血管内に挿入します。この管のことを「カテーテル」と呼び、カテーテルを通して体外と血管内をつなぐ経路を確保することで、様々な医療行為が可能になります。ライン確保によってできることは、実に多岐に渡ります。例えば、脱水症状の改善や栄養補給のための点滴、病気の治療のための薬剤投与、手術や出血時の輸血などが挙げられます。さらに、血液検査のための採血や、心臓の状態を監視するためのカテーテル挿入などにも、ラインは欠かせません。このように、ラインは、患者さんの体と医療をつなぐ、まさに「生命線」と言える重要な役割を担っています。安全かつ確実な医療を提供するために、医療従事者は日々、ラインの管理や技術の向上に努めています。そして、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適な方法でラインを確保することが何よりも大切です。
血液

身近に潜む鉄不足: 鉄欠乏性貧血とは

- 鉄欠乏性貧血とは?鉄欠乏性貧血とは、体の中に鉄分が不足することによって起こる貧血です。 貧血とは、血液中の赤い色素であるヘモグロビンが減ってしまう状態を指します。 ヘモグロビンは、体中に酸素を運ぶ役割を担っています。 鉄は、このヘモグロビンを作るために必要不可欠な成分です。 体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作られなくなり、その結果、酸素を全身に効率よく運ぶことができなくなってしまいます。 鉄欠乏性貧血になると、以下のような症状が現れることがあります。* 顔色が青白い* 疲れやすい* 動悸がする* めまいがする* 頭痛がする* 食欲不振* 爪が割れやすい、スプーン状になる鉄欠乏性貧血は、特に成長期のお子さんや妊娠中の女性に多く見られます。 また、月経のある女性は、月経のたびに血液とともに鉄分も失われるため、鉄欠乏性貧血になりやすいと言われています。鉄欠乏性貧血と診断された場合は、鉄剤の内服や食事療法によって治療を行います。 鉄分を多く含む食品としては、レバーやほうれん草、ひじきなどが挙げられます。
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