総合健康ガイド

目・眼科

アディー症候群:その症状と治療法

- アディー症候群とはアディー症候群は、眼と神経に影響を及ぼす稀な病気です。 この病気は、光の量を調整するために瞳孔の大きさを変化させる神経線維に影響を与えます。 瞳孔は、カメラのレンズのように、眼に入ってくる光の量を調整する役割をしています。通常、明るい場所では瞳孔は小さく収縮し、暗い場所では大きく広がります。これは、瞳孔の大きさを調節する神経が正常に機能しているためです。しかし、アディー症候群では、瞳孔を収縮させる役割を担う神経が障害されています。その結果、アディー症候群の患者さんの瞳孔は、光に反応して適切に収縮せず、健常な人と比べて大きく見られることがあります。また、近くのものを見るときに瞳孔が収縮する反応も弱くなり、ピントを合わせにくくなるため、物がぼやけて見えることがあります。アディー症候群の原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、多くの場合、体の免疫システムが自分の神経組織を誤って攻撃してしまう自己免疫反応が関与していると考えられています。アディー症候群は、視力に影響を与える病気ですが、適切な治療や対処法によって、日常生活を支えることは可能です。
看護技術

他動運動:その役割と重要性

- 他動運動とは他動運動とは、文字通り、自分以外の力で身体を動かす運動のことを指します。普段私たちが何気なく行っている運動の多くは、脳からの指令で筋肉が収縮し、関節を動かしています。このような運動を「能動運動」と呼びますが、他動運動はこれとは異なり、自分の意志とは関係なく、あるいは自分の力だけでは動かせない状態でも、外部からの力によって関節を動かすことを言います。具体例として、怪我や病気などで腕が上がらなくなった方が、理学療法士に支えてもらいながら腕を上げ下げする様子を想像してみてください。この場合、本人は腕を動かそうという意志はあっても、自分の力だけでは腕を動かすことはできません。しかし、理学療法士の手を借りることで、本来であれば動かすことが難しい腕を上下に動かすことができます。これが他動運動です。他動運動は、関節の柔軟性を維持したり、筋肉や関節の拘縮を予防したりする効果があります。また、脳卒中などで麻痺が残ってしまった方のリハビリテーションとしても重要な役割を担っています。外部からの刺激によって、脳に運動を再学習させる効果も期待できるからです。このように、他動運動は私たちが健康な身体を維持し、運動機能を回復するために行われる重要な運動の一つと言えるでしょう。
検査

生検:病気の診断に役立つ検査

- 生検とは生検とは、体の気になる部分からほんの少しだけ組織を採取して、顕微鏡を使って詳しく調べる検査のことです。この検査によって、病気の原因や種類を特定することができます。例えば、皮膚に今までなかったできものや、なかなか消えないシミができたとします。こうした場合、その一部を採取して生検を行うことで、それが心配のないものなのか、それとも治療が必要なものなのかを判断することができます。採取する組織は、ほんの少しで十分な場合もあれば、もう少し多くの量が必要な場合もあります。採取の方法も、メスで切り取る方法や、細い針を刺して吸引する方法など、状況に応じて適切な方法が選択されます。生検は、がんなどの悪性腫瘍の診断に特に重要な役割を果たします。早期発見・早期治療のためにも、医師から生検を勧められた際には、検査を受けることを検討しましょう。ただし、生検はあくまでも診断のための検査です。検査結果によっては、さらに詳しい検査や治療が必要になることもあります。
脳・神経

球麻痺:言葉と飲み込みに影響する病気

- 球麻痺とは?私たちの脳には、生命維持に欠かせない大切な役割を担う「延髄」と呼ばれる部分が存在します。この延髄は、呼吸や心臓の動きなど、私たちが意識することなく行われている体の機能をコントロールしています。そして、この延髄には、「脳神経核」と呼ばれる神経細胞の集まりがあり、ここが舌や喉の筋肉を動かす司令塔の役割を担っています。球麻痺は、この延髄にある脳神経核が障害されることで発症する病気です。延髄はちょうど球のような形をしているため、球麻痺という名前が付けられました。この病気になると、脳からの指令が舌や喉の筋肉にうまく伝わらなくなり、様々な症状が現れます。具体的には、食べ物を飲み込みにくくなる、言葉が話しにくくなる、物が二重に見える、顔の筋肉が動きにくくなるなどの症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。球麻痺の原因は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、腫瘍、炎症など様々です。また、ギラン・バレー症候群などの神経疾患が原因となることもあります。球麻痺の治療法は、その原因や症状の程度によって異なりますが、リハビリテーションや薬物療法などが行われます。
目・眼科

眼圧:目の健康のバロメーター

- 眼圧とは眼球は、あたかもボールのように丸い形をしていますが、これは内部の圧力によって保たれています。この眼球内部の圧力のことを、眼圧と呼びます。人間の眼は、常に一定の圧力を保つことで、正常な機能を果たしています。では、なぜ眼球内に圧力が生まれるのでしょうか?それは、眼球内で、房水と呼ばれる透明な液体が常に循環し、一定量を保っているためです。房水は、眼球内の組織に栄養を供給したり、老廃物を排出したりする役割を担っています。この房水の分泌と排出のバランスが崩れると、眼圧に影響を及ぼします。眼圧は、眼の健康状態を保つ上で、非常に重要な要素です。眼圧が高すぎる状態が続くと、視神経に負担がかかり、視野が狭くなったり、視力が低下したりする緑内障という病気を引き起こす可能性があります。一方、眼圧が低すぎる場合は、眼球が萎縮したり、視力に影響が出たりすることがあります。眼圧は、健康診断などでも測定されることがあります。これは、自覚症状がない段階で、眼の病気を早期発見するためです。眼圧の値は個人差がありますが、一定の範囲内に保たれていることが大切です。
泌尿器

膀胱瘻:尿道を使わない排尿法

- 膀胱瘻とは? 膀胱瘻とは、尿が通常通りに体外へ排出できない場合に、お腹に小さな開口部(ストーマ)を作り、そこから尿を体外へ排出するための医療処置です。 通常、尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に運ばれ、膀胱に貯められます。そして、膀胱がいっぱいになると尿道を通って体外へ排出されます。 しかし、尿道が狭くなったり詰まったり、あるいは膀胱や尿道に病気や障害がある場合、尿道を通って尿を排出することが困難になります。このような場合に、膀胱瘻の手術が行われます。 膀胱瘻の手術では、お腹に小さな開口部を作り、その開口部に膀胱の一部を繋ぎ合わせます。 そして、その開口部に専用のカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、尿を体外へ排出します。カテーテルの先には、尿を貯めるための袋(尿路ストーマ装具)が接続されており、尿はこの袋に溜められます。 膀胱瘻は、尿道を通って尿を排出することが困難な場合に、生活の質を改善するための有効な方法となりえます。
目・眼科

立体視の仕組み:世界を奥行きで捉える

- 立体視とは私たちが普段、物体をただ眺めるのではなく、奥行きや立体感を感じながら捉えることができるのは「立体視」という機能のおかげです。この機能は、両方の目で見たわずかに異なる像を、脳内で処理し統合することによって生まれます。人間の目は顔の正面に並んでついているため、右目と左目では、同じものを見ても、わずかに異なる角度から見ていることになります。このとき、左右の目それぞれに映る像のわずかなずれのことを「両眼視差」と呼びます。脳は、この両眼視差という情報を巧みに利用して、奥行きや距離感を認識しています。 例えば、近くの物を見るとき、両目はより内側に寄せるように動きます。このとき、両眼視差は大きくなります。反対に、遠くの物を見るときは、両目は平行に近くなり、両眼視差は小さくなります。脳は、このような両眼視差の変化を、奥行きや距離という情報に変換しているのです。立体視は、私たちが日常生活を送る上で欠かせない機能です。物を掴む、階段を上り下りする、スポーツを楽しむなど、あらゆる場面で、無意識のうちに立体視を活用しています。この機能が損なわれると、空間を正確に把握することが困難になり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
その他

足の指の秘密:足趾の基礎知識

- 足趾とは?私たちが普段何気なく「足の指」と呼んでいる部分は、医学用語では「足趾(そくし)」または「足指(あしゆび)」と呼ばれます。日常生活ではあまり意識することがないかもしれませんが、足趾は歩く、走る、立つといった動作において、非常に重要な役割を担っています。足趾は、親指、人差し指、中指、薬指、小指の5本で構成されています。それぞれの足趾は、複数の小さな骨(骨片)が関節でつながり、靭帯や筋肉によって支えられています。この複雑な構造によって、足趾は地面をしっかりと掴むことができ、歩行時の蹴り出しやバランス調整を可能にしています。親指は、歩行時に地面を蹴り出すために特に重要な役割を担っており、他の4本の指よりも太く、力強い構造となっています。また、他の指と協力して、地面からの情報を感知し、体のバランスを保つ役割も担っています。現代社会では、靴を履くことが当たり前になっていますが、窮屈な靴やハイヒールなど、足に負担をかける靴を履くことで、外反母趾や内反小趾、巻き爪、タコ、魚の目といった足のトラブルを引き起こす可能性があります。健康な歩行を維持し、足のトラブルを防ぐためには、足に合った靴を選び、足の指をしっかりと使って歩くことが大切です。また、足の指を動かす体操などを取り入れ、足趾の柔軟性を保つことも重要です。
目・眼科

眼球を守る三層構造:眼球外壁

私たちがものを見ることができるのは、眼球という精巧な器官のおかげです。この眼球は、カメラに例えると分かりやすくなります。 まず、眼球は大きく二つに分けることができます。カメラ本体に相当する「眼球外壁」と、レンズやフィルムに相当する「眼球内容物」です。 眼球外壁は、眼球の外側を構成する構造です。これは、カメラでいうと外側のケースにあたり、眼球の形状を保ち、内部を保護する役割を担っています。具体的には、強膜、角膜、脈絡膜、虹彩、毛様体などの組織から成り立っています。 一方、眼球内容物は、眼球内部を満たす構造です。これはカメラ内部のレンズやフィルム、センサーにあたり、光を感知し、映像として脳に伝える役割を担います。具体的には、水晶体、硝子体、網膜などの組織から成り立っています。 このように、眼球は外壁と内容物という二つの要素が組み合わさることで、私たちに外界の景色を見せてくれるのです。
検査

赤血球沈降速度:炎症を見つける検査

- 赤血球沈降速度とは赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)は、略して赤沈や血沈と呼ばれる検査で、血液中の赤血球がどれくらいの速さで沈むかを測定します。 健康な状態では、赤血球は互いに反発し合いながら血液中に分散しているため、ゆっくりと時間をかけて沈んでいきます。しかし、体内で炎症が起こると、状況が変わります。炎症によって肝臓で作られる特定のタンパク質が増加し、その影響で赤血球の表面電荷が変化します。 すると、赤血球は互いにくっつきやすくなり、덩어리를形成して早く沈むようになります。赤沈は、炎症の程度を大まかに把握するための指標として用いられます。値が高いほど、体内で炎症が起きている可能性が高いと考えられます。ただし、赤沈はあくまでも目安であり、この検査だけで特定の病気を診断することはできません。 風邪やインフルエンザなどのありふれた感染症でも値が上昇することがありますし、関節リウマチなどの慢性的な炎症性疾患でも値が上昇します。赤沈は、他の検査と組み合わせて総合的に判断することで、より正確な診断に役立ちます。
その他

指の曲げ伸ばしの要!近位指節間関節とは

私たち人間は、日常生活において指を器用に動かして様々な動作を行っています。食事の際に箸を使ったり、文字を書いたり、パソコンを操作したりと、指先を使う動作は数え切れないほどあります。このように、指は私たちにとって欠かせない体の部位と言えるでしょう。 ところで、指をスムーズに動かすために重要な役割を果たしているのは何でしょうか?それは関節です。関節は骨と骨とをつなぐ接続部分のことで、体のある部分を曲げたり伸ばしたり回転させたりする運動を可能にしています。指には複数の関節が存在しますが、中でも特に重要なのが「近位指節間関節」と呼ばれる関節です。 この関節は、指の付け根から一つ目の関節にあたり、指を曲げ伸ばしする際に大きな可動域を担っています。例えば、物を握ったり、つまんだりする動作は、この近位指節間関節の働きによって可能になるのです。 今回の記事では、この「近位指節間関節」の構造や機能、役割について、さらに詳しく解説していきます。また、近位指節間関節で起こりうる疾患や、健康を維持するための方法についても触れていきますので、ぜひ最後までお読みください。
その他

生命の設計図:クロマチンの役割

私たちの体は、約37兆個もの細胞から成り立っており、それぞれの細胞には核と呼ばれる小さな部屋が存在します。この核の中に、生命の設計図とも呼ばれる遺伝情報であるDNAが収納されています。DNAは、私たちの体を作るために必要な情報がすべて記録されている、非常に重要なものです。しかし、もしもDNAがそのままの状態で核の中に存在していたら、それはまるで糸くずが絡み合ったように複雑に絡み合い、必要な情報を読み取ることができません。 そこで、DNAを整理し、収納する役割を担うのがクロマチンです。クロマチンは、ヒストンと呼ばれるタンパク質にDNAを巻き付けることで、コンパクトに収納しています。この様子は、まるで図書館の書庫のようです。図書館にある膨大な量の本を、書庫は種類やテーマごとに分類し、整理整頓することで、必要な時にすぐに取り出せるようにしています。 クロマチンは、DNAを適切に収納するだけでなく、遺伝子の発現を制御する役割も担っています。遺伝子の発現とは、DNAの情報に基づいてタンパク質が作られる過程のことです。クロマチン構造が変化することで、遺伝子の発現がオンになったりオフになったりします。これは、図書館で必要な本が読みたい時にだけ書庫から取り出せるようなもので、状況に応じて必要な情報だけを読み取れるようにしているのです。
目・眼科

眼窩を守る堅牢な壁:眼窩外壁

- 眼窩の構造眼窩は、顔面に左右対称に位置する骨で囲まれた空洞で、その内部に眼球を保護するように収めています。 ちょうど頭蓋骨が脳を守るように、眼窩は眼球とその周囲の組織を外部からの衝撃や圧力から保護する役割を担っています。眼窩は、例えるなら部屋のような構造をしています。天井に当たる部分が上壁、床に当たる部分が下壁、鼻側に面した部分が内側壁、そして顔の外側に面した部分が外側壁と呼ばれ、これらの壁が組み合わさって眼窩空間を形成しています。それぞれの壁は複数の骨によって構成されています。上壁は主に前頭骨と蝶形骨という骨から成り、その薄さから衝撃に弱く骨折しやすいという特徴があります。下壁は上顎骨、口蓋骨、頬骨という3つの骨からなり、上壁同様に薄いため骨折のリスクが高い部分です。内側壁は涙骨、篩骨、上顎骨の一部から成り、非常に薄い骨でできているため、強い衝撃によって骨折しやすく、眼窩周囲の組織に影響が及ぶ可能性があります。外側壁は頬骨と蝶形骨の一部からなり、他の壁と比べて厚く頑丈なため、外部からの衝撃に強いという特徴があります。また、眼窩は単なる閉鎖された空間ではなく、視神経や血管、神経などが通るための通路も備えています。特に重要なのが視神経管と呼ばれる開口部で、眼球と脳を繋ぐ視神経の通り道となっています。このように、眼窩は複雑な構造を持つことで、眼球を安全に保護し、その機能を正常に保つための重要な役割を果たしているのです。
脳・神経

脳の陰の立役者:グリア細胞

私たちの脳は、思考や記憶、運動など、複雑な機能を司る驚異的な器官です。そして、その機能の中心を担っているのが神経細胞です。神経細胞は互いに複雑なネットワークを形成し、電気信号によって情報をやり取りすることで、様々な活動を可能にしています。しかし、神経細胞は非常に繊細な細胞であり、単独ではこの複雑なネットワークを維持し、正常に機能し続けることはできません。 実は、脳内には神経細胞以外にも、神経細胞を支え、その働きを助ける重要な細胞が存在しています。それが「グリア細胞」と呼ばれる細胞群です。グリア細胞は、神経細胞を取り囲むように存在し、神経細胞に栄養を供給したり、神経伝達物質の濃度を調節したり、さらには老廃物を除去したりと、様々な役割を担っています。 例えるなら、神経細胞が舞台上で輝く俳優だとすれば、グリア細胞は舞台裏を支える裏方のような存在と言えるでしょう。俳優が最高の演技を披露するためには、照明、音響、舞台装置など、裏方の存在が欠かせないように、神経細胞が正常に機能するためには、グリア細胞による献身的なサポートが不可欠なのです。 近年、グリア細胞の機能に関する研究は目覚ましい進歩を遂げており、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患との関連も指摘されています。グリア細胞の機能をより深く理解することは、これらの病気の治療法開発にも繋がる可能性を秘めており、今後の研究に大きな期待が寄せられています。
外科

知っていますか? 現代人の多くが抱える「亀背」のリスク

- 姿勢が悪くなる「亀背」とは?「亀背(きはい)」とは、背骨が後ろ側に弯曲し、背中が丸まって猫背になっている状態を指します。その名の通り、まるで亀の甲羅のように背中が丸まっていることから、この名前が付けられました。近年、デスクワークやスマートフォンの普及により、前かがみの姿勢で長時間過ごす人が増えています。その結果、老若男女問わず、亀背の症状に悩む人が増加傾向にあります。亀背は、単に見た目の問題だけではありません。背中が丸まった状態が続くことで、肩や首、腰などに負担がかかり、肩こりや腰痛の原因となります。また、猫背によって胸郭が圧迫されることで、呼吸が浅くなり、呼吸機能の低下にもつながる可能性があります。さらに、内臓が圧迫されることで、消化不良などの内臓への負担も懸念されます。亀背は、放置すると悪化する可能性もあるため、日頃から正しい姿勢を意識することが大切です。具体的には、座っている時は、背筋を伸ばし、顎を引いて、目線は真っ直ぐ前に向けるように心がけましょう。また、適度な運動やストレッチを行い、背骨の柔軟性を保つことも重要です。
目・眼科

水晶体の核:その役割と加齢変化

眼球の内部には、カメラのレンズと同様に、光を集めて網膜に像を結ぶ役割を担う水晶体という組織が存在します。水晶体は透明で弾力性に富み、その柔軟性によって厚さを変化させることで、遠近両方の焦点調節を可能にしています。 この水晶体の中心部には、「核」と呼ばれる硬い構造が存在します。水晶体の主な成分は、クリスタリンと呼ばれるタンパク質ですが、核は、このクリスタリンが長年かけて変化し、高密度に凝集した領域です。そのため、水晶体全体で見ると、透明なレンズ組織の中で、核はひときわ硬い部分として区別されます。 水晶体核は、加齢と共に硬く、また大きく成長していきます。核が硬くなると水晶体の柔軟性が失われ、ピント調節機能が低下し、老眼と呼ばれる状態を引き起こします。さらに、核が大きくなると、水晶体全体の透明度が低下し、白内障の原因となることもあります。このように、水晶体核は、水晶体の機能維持に重要な役割を果たしており、その状態は視力に大きな影響を与えます。
泌尿器

排尿の異常を見つける!ウロフロ検査とは?

- ウロフロ検査ってどんな検査?ウロフロ検査とは、正式には「ウロフロメトリー検査」と呼ばれる検査で、簡単に言うと尿の勢いを測る検査です。普段どおりにトイレに行く感覚で、専用の機器に向かって排尿します。すると、その尿がどれくらいの量か、どのくらいの速さで出ているか、排尿するまでにどのくらいの時間がかかったかなどが測定されます。この検査は、痛みや恥ずかしさを伴うことはなく、気軽に受けられる検査なので安心してください。検査を受ける際は、普段通りのトイレの感覚でリラックスして検査に臨みましょう。検査結果によって、医師から適切なアドバイスや治療法の提案がなされます。不明な点や不安なことがあれば、遠慮なく医師や看護師に相談するようにしましょう。
小児科

知っておきたいくる病:子供の骨の健康

- くる病とは?くる病は、主に歩き始めの時期までの乳幼児に多く見られる骨の病気です。骨は通常、カルシウムとリンという栄養素を吸収して硬くなります。しかし、くる病になるとこれらの栄養素が不足し、骨が十分に硬くならず、軟らかく曲がってしまうのです。健康な骨は、建物に例えると鉄筋コンクリートのように丈夫な構造をしています。しかし、くる病の骨は、鉄筋が不足してコンクリートが固まっていない状態に似ています。そのため、体重を支えたり、体を動かしたりする際に骨が変形しやすく、O脚やX脚などの症状が現れます。また、骨がもろくなってしまうため、骨折しやすくなるのも特徴です。くる病の原因は、日光を浴びることで体内で作られるビタミンDが不足することが最も多く、その他、食事からのカルシウム不足や、遺伝的な要因なども考えられます。

局所麻酔薬:リドカイン塩酸塩

- リドカイン塩酸塩とはリドカイン塩酸塩は、痛みを一時的に抑える効果を持つ薬であり、医療現場で広く使われています。この種類の薬は、全身に効くのではなく、塗ったり注射したりした部分だけに効果を発揮することから、局所麻酔薬と呼ばれています。リドカイン塩酸塩は、注射剤として、外科手術や歯科治療など、様々な医療行為における痛みを和らげるために用いられます。また、外用薬として、虫刺されや軽いやけどなどによる皮膚の痛みやかゆみを抑えるためにも使われます。さらに、点眼薬として、眼科の検査や治療の際に、眼の痛みや不快感を軽減するためにも利用されています。リドカイン塩酸塩は、作用時間が比較的短く、効果が現れるまでの時間も短いという特徴があります。そのため、短時間の医療行為や処置に適した薬といえます。副作用としては、使用した部分に赤みやかゆみが出ることがありますが、多くの場合、症状は軽く、一時的なものです。しかし、リドカイン塩酸塩は、体質によってはアレルギー反応を引き起こす可能性もあります。過去にリドカイン塩酸塩を含む薬を使用した際に、発疹、かゆみ、呼吸困難などの症状が出たことがある人は、使用する前に必ず医師または薬剤師に相談してください。
検査

磁気共鳴画像診断:体の内部を見る魔法

- 磁気共鳴画像診断とは 磁気共鳴画像診断(MRI)は、体内の状態を詳しく知るための検査方法です。レントゲン検査と違って放射線を使わずに、強力な磁石と電波の力を使って体の内部を画像化します。そのため、放射線による体への負担を心配する必要がありません。 MRI検査では、体の中の水素原子に注目します。私たちの体は大部分が水でできており、水素原子は体中に存在しています。強い磁場の中に体を入れると、水素原子は一定の方向に整列します。そこに電波を当てると、水素原子は電波を吸収してエネルギーが高い状態になります。電波を止めると、水素原子は吸収したエネルギーを放出しながら元の状態に戻ります。MRIはこの時放出されるエネルギーの強さをコンピューターで処理することで、鮮明な画像を作り出します。 MRI検査は、脳、心臓、血管、筋肉、関節など様々な部位の診断に役立ちます。具体的には、脳梗塞や脳腫瘍、心筋梗塞、動脈瘤、骨折、靭帯損傷などの病気を発見するために用いられます。 MRI検査は、体の内部の状態を安全かつ詳細に調べることができるため、医療現場で幅広く活用されています。
看護技術

他動運動:その役割と利点

- 他動運動とは他動運動とは、怪我や病気、あるいは筋力低下などの理由で、自力で体を動かすことが困難な場合に、外部からの力によって関節を動かしていく運動療法のことです。 例えば、交通事故による後遺症や脳卒中の後遺症などで、麻痺が残ってしまった場合、腕や足を自分の意思で動かすことが難しくなります。このような場合に、理学療法士や作業療法士といった専門家が、患者さんの体に直接触れて、関節を曲げ伸ばしする運動を行います。 また、患者さん自身が、麻痺のない反対側の手を使って麻痺のある側の腕を動かしたり、タオルや紐などを利用して足を持ち上げたりするのも、他動運動に含まれます。 他動運動の目的は、関節の柔軟性を維持すること、筋肉や腱の萎縮を防ぐこと、関節周りの血液循環を促進することなどです。 他動運動は、あくまでも外部からの力で受動的に行う運動であるため、筋肉を鍛えたり、運動機能を回復させたりする効果は限定的です。そのため、可能な限り、自力で体を動かすことができるように、自主トレーニングなども並行して行っていくことが重要です。
目・眼科

眼瞼下垂:原因と症状、治療法について

- 眼瞼下垂とは眼瞼下垂とは、その名の通り、まぶたが垂れ下がった状態のことを指します。医学的には、上まぶたが正常な位置よりも下がってしまっている状態、あるいは、目を見開こうとした時に上まぶたが十分に持ち上がらない状態を指します。この状態は、生まれつきのものと、後天的に起こるものとに分けられます。生まれつきの眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)や神経の発達が不十分なために起こります。一方、後天的な眼瞼下垂は、加齢に伴う筋肉の衰えや、コンタクトレンズの長年の使用、まぶたへの外傷、脳腫瘍や脳卒中などの病気の影響などが原因で起こることがあります。眼瞼下垂になると、視界が狭くなったり、物が二重に見えたりすることがあります。また、まぶたを無理に持ち上げようとして額に皺が寄ったり、肩こりや頭痛を引き起こすこともあります。さらに、見た目の印象にも影響を与えるため、精神的なストレスを感じる方も少なくありません。軽度の眼瞼下垂の場合、特に治療の必要はありませんが、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、手術などの治療が必要となる場合があります。症状が気になる場合は、眼科医に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
検査

アストラップ:血液ガス分析でわかること

- アストラップとはアストラップとは、動脈から血液を採取し、その血液に溶けている酸素や二酸化炭素の量、そして血液の酸性度を調べる検査のことです。正式には「動脈血ガス分析」と呼ばれ、体の呼吸状態や酸塩基平衡状態を評価するために重要な検査です。私たちが呼吸によって体内に取り込んだ酸素は、肺の中で血液中に溶け込み、全身に運ばれます。同時に、細胞が活動した後に排出される二酸化炭素は、血液によって肺に運ばれ、呼吸によって体外へ排出されます。この、酸素と二酸化炭素のやり取りが正常に行われているか、また体内の酸とアルカリのバランスが適切に保たれているかを調べるのがアストラップの目的です。アストラップでは、血液中の酸素の量を示す「酸素分圧」、二酸化炭素の量を示す「二酸化炭素分圧」、そして血液の酸性度を示す「pH」などが測定されます。これらの値を見ることで、肺が正常に機能しているか、呼吸器疾患の可能性があるか、体内の酸塩基平衡が乱れていないかなどを判断することができます。アストラップは、肺炎や喘息などの呼吸器疾患、心不全、糖尿病ケトアシドーシスなどの様々な病態の診断や治療効果の判定に用いられます。また、手術中や集中治療室などにおいて、患者の状態を把握するためにも重要な検査です。
目・眼科

見えにくさに潜む脅威:緑内障

- 緑内障とは私たちの目は、カメラに例えられることがあります。レンズを通して入った光は、カメラでいうフィルムにあたる部分で受け止められ、そこから脳に情報が送られることで、私たちは「ものを見る」ことができるのです。このフィルムの役割を果たしているのが視神経と呼ばれる神経です。緑内障とは、眼球内の圧力、すなわち眼圧が上昇することで、この大切な視神経が圧迫され、視機能に障害が生じる病気です。緑内障になると、視界に様々な影響が出始めます。初期には、視野の一部が欠けてしまう、いわゆる「盲点」が生じます。しかし、この段階では自覚症状がほとんどないため、気づかずに進行してしまうケースが多い点が特徴です。病気が進行すると、見える範囲が徐々に狭まっていき、最終的には光すら感じなくなってしまうこともあります。また、視力低下を伴う場合もあり、放置すると失明に至る可能性もある病気です。緑内障は、早期発見・早期治療が非常に重要です。定期的な眼科検診を受けることで、早期発見に繋がり、適切な治療を受けることができます。治療法としては、点眼薬や内服薬による眼圧を下げる治療が一般的です。進行したケースでは、レーザー治療や手術が行われることもあります。
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