総合健康ガイド

循環器

頻脈:知っておきたいその症状と対応

- 頻脈とは頻脈とは、心臓が異常に速く拍動している状態を指します。簡単に言うと、心臓が通常よりも速くドキドキしている状態のことです。医学的には、安静時の脈拍数が1分間に100回を超えると頻脈と診断されます。健康な人でも、激しい運動の後や、緊張している時、興奮している時などには、脈拍数が一時的に増加することがあります。これは、体が酸素をより多く必要とするため、心臓が頑張って血液を送り出そうとしているからです。このような生理的な反応による一時的な頻脈は、特に心配する必要はありません。しかし、安静時や軽い運動をしている時など、特に負荷がかかっているわけでもないのに脈拍数が速くなる場合は、頻脈が疑われます。頻脈は、心臓の病気や甲状腺の病気、貧血、脱水など、様々な原因で起こることがあります。また、ストレスや不安、カフェインの過剰摂取、特定の薬の副作用なども、頻脈を引き起こす可能性があります。頻脈は、動悸や息切れ、めまい、胸の痛みなどの症状を伴うことがあります。症状が重い場合や、頻繁に起こる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。医師は、診察や検査を通して原因を突き止め、適切な治療を行います。
耳鼻科

聞こえを支える補聴器

- 補聴器とは補聴器は、年齢を重ねたり、病気の影響を受けたり、あるいは騒音環境にさらされることで低下してしまった聴力を補うための医療機器です。その役割は、周囲の音を大きくしたり、聞き取りにくい音域を強調したりすることで、聞こえを改善し、円滑なコミュニケーションを助けることにあります。補聴器は、ただ音を大きくするだけのものではありません。装着する人によって、聴力の低下具合や聞こえ方の特徴は千差万別です。そのため、補聴器は、一人ひとりの聴力レベルや聞こえ方の癖に合わせて、細かく調整される必要があります。例えば、高い音が聞き取りにくい、低い音がこもって聞こえるなど、人によって聞こえにくい音域は異なります。また、静かな環境と騒がしい環境では、必要な音量や音質も変わってきます。補聴器は、このような個別のニーズに合わせて調整することで、その人に最適な聞こえを提供します。最近では、小型で目立ちにくいデザインのものや、スマートフォンと連携して音楽や通話を楽しめる高機能なものなど、様々な種類の補聴器が登場しています。自分に合った補聴器を選ぶことで、より快適な聞こえと、より豊かな生活を送ることができるでしょう。
小児科

赤ちゃんの成長と原始反射:対称性緊張性頸反射

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ自分で思い通りに体を動かすことができません。しかし、周囲からの様々な刺激に対して、決まった反応を示します。これが「反射」です。反射には、赤ちゃんが生きていくために必要な動きを促すものや、脳や神経の発達を促すものなど、重要な役割を担うものがたくさんあります。 これらの反射は、まるでプログラムされたかのように、決まった刺激に対して、決まった反応を示します。例えば、「モロー反射」と呼ばれる反射では、赤ちゃんは大きな音や、体勢が急に変化した時に、両腕を広げて抱きつくような動作をします。また、「把握反射」では、手のひらに何かが触れると、ぎゅっと握り返します。 これらの反射は、赤ちゃんの成長とともに、脳の成熟に伴い、徐々に統合されていきます。そして、自分の意志で体を動かせるようになるにつれて、自然と消失していきます。そのため、これらの反射は「原始反射」と呼ばれます。原始反射は、赤ちゃんが成長する過程で一時的に現れる、いわば「通過点」のようなものなのです。
小児科

小児集中治療室:小さな命を守る最前線

- 小児集中治療室とは小児集中治療室(PICU)は、病気や怪我によって生命の危機に瀕している、あるいはその可能性のあるお子さんが、専門的な治療とケアを受けるための特別な場所です。ここでは、お子さんの小さな体を守るために、高度な医療機器や専門知識を持った医療スタッフが24時間体制で対応しています。PICUは、一般病棟よりもさらに手厚い医療を提供できる場所として、病院の中でも特に重要な役割を担っています。ここでは、呼吸や心臓の働きを助けるための人工呼吸器や循環補助装置など、様々な医療機器が揃っています。これらの機器は、お子さんの状態に合わせて細かく調整され、常に変化する状況に迅速に対応できるようになっています。また、PICUには、小児集中治療の専門医をはじめ、経験豊富な看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士など、多くの医療専門職がチームを組んで治療にあたっています。彼らは、お子さんの状態や家族の気持ちを理解し、きめ細やかなケアを提供することに力を注いでいます。PICUは、まさに小さな命を守るための最前線と言えるでしょう。ここでの医療は、お子さんの未来を守るための希望の光であり、ご家族にとって大きな支えとなっています。
泌尿器

腎臓の血液循環:腎血流量

私たちの体には、不要なものや体に悪いものを取り除く働きを持った臓器がいくつかあります。その中でも特に重要な臓器の一つが腎臓です。腎臓は、血液をきれいにする役割を担っています。 毎日、心臓から送り出された血液の約20%もの量が腎臓に流れ込みます。これは全身に送られる血液のおよそ5分の1に相当し、体の他のどの臓器よりも多い量です。腎臓に流れ込んだ血液は、糸球体と呼ばれる毛細血管の塊を通り抜けます。このとき、血液中の老廃物や余分な水分、塩分などが濾し取られます。 濾し取られたものは、尿として体外に排出されます。一方、濾過された血液は、腎臓内の血管を通って再び体内に戻っていきます。このように、腎臓は血液を常にきれいに保つことで、私たちの体が健康な状態を保てるように重要な役割を果たしているのです。 もし、腎臓の働きが悪くなると、血液中の老廃物が体に蓄積し、様々な病気を引き起こす原因となります。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状が出にくい臓器です。そのため、健康診断などで定期的に腎臓の機能をチェックすることが大切です。
耳鼻科

めまい:その原因と症状

- めまいとはめまいは、自分自身の身体感覚と周囲の空間認識にずれが生じることで起こる錯覚や異常感覚です。まるで自分が静止しているのに、周りの景色だけが回転しているように感じたり、あるいは、実際には動いていないにもかかわらず、体がふわふわと宙に浮いたり沈んだりするような感覚を覚えることがあります。このような感覚に加えて、歩行中に体がふらついたり、左右どちらかに傾いたりするのも、めまいの症状の一つです。めまいの感じ方は人によってさまざまで、「ふわふわする」「目が回る」といった表現のほか、「意識が遠のく」「地面に引き込まれる」など、実に多様な訴えがあります。めまいは、その原因となる病気によって大きく二つに分けられます。一つは、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる器官、あるいはその情報を脳に伝える神経に異常が生じることで起こる「末梢性めまい」です。もう一つは、脳梗塞や脳出血など、脳に異常が生じることで起こる「中枢性めまい」です。めまいは、日常生活に支障をきたすだけでなく、背後に深刻な病気が潜んでいる可能性もあります。そのため、自己判断せずに、めまいの症状を感じたら、速やかに医療機関を受診することが大切です。
循環器

心臓の悲鳴:虚血性心疾患とは?

私たちの体は、心臓という重要な器官が休むことなく全身に血液を送ることで活動を維持しています。心臓はまさに、生命を支えるエンジンと言えるでしょう。しかし、この重要なエンジンもまた、正常に動き続けるためには栄養と酸素を必要とします。心臓自身に栄養と酸素を届けているのが、心臓を取り囲むように張り巡らされた冠動脈という血管です。 虚血性心疾患は、この冠動脈に問題が生じることで心臓が必要とする十分な血液を受け取ることができなくなる病気です。心臓は絶えず動き続けなければならないにもかかわらず、その心臓自身に必要なものが供給されなくなってしまうのです。これは、まるで影が心臓を覆い尽くしていくかのような深刻な事態と言えます。 虚血性心疾患は、放置すると心臓の筋肉が栄養不足に陥り、その機能が著しく低下してしまいます。最悪の場合、心臓が完全に停止してしまうこともあり、私たちの命を脅かす危険性も孕んでいます。まさに心臓を襲う影、それが虚血性心疾患なのです。
小児科

先天性股関節脱臼:赤ちゃんの股関節の病気

- 先天性股関節脱臼とは?生まれたばかりの赤ちゃんの股関節は、骨盤の受け皿となる部分(臼蓋)と太ももの骨(大腿骨)の先端にある丸い骨(大腿骨頭)が組み合わさってできています。先天性股関節脱臼とは、この大腿骨頭が臼蓋から外れてしまっている状態を指します。医学用語では「先天性股関節脱臼」または「発育性股関節形成不全」とも呼ばれます。この状態は、股関節を形成する骨や軟骨が十分に発達していない、または正常な位置にないために起こります。赤ちゃんの骨はやわらかく、成長の過程で形が変わっていくものですが、先天性股関節脱臼の場合、股関節の形が不安定なために、大腿骨頭が臼蓋から外れやすくなっています。先天性股関節脱臼は、女の子に多く見られ、男の子の7~8倍の発生率です。これは、女の子の方が骨盤の成長が遅く、股関節が不安定になりやすいことが理由の一つと考えられています。また、左右どちらかの股関節に起こることもありますが、左側に多い傾向があります。これは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で、左側を下にしていた場合、左の股関節に負担がかかりやすいためと考えられています。先天性股関節脱臼は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、ほとんどの場合、後遺症を残さずに治すことができます。そのため、赤ちゃんの股関節に異常がないか、定期的に健診を受けることが重要です。
心の問題

精神病集中治療室:心の危機に対応する専門施設

精神病集中治療室(せいしんびょうしゅうちゅうちりょうしつ)とは、精神科領域における集中治療室のことを指します。この病棟は、精神科の症状が重篤化し、他の患者さんや医療従事者、または自身の安全を脅かす可能性があるなど、緊急性の高い状態にある患者さんを受け入れるための特別な施設です。 具体的には、自傷行為や他害行為の危険性が高い、興奮状態が激しくコントロールが困難である、意識障害を伴い点滴などの医療行為が必要である、といった患者さんが入院となります。このような患者さんに対しては、専門の医師、看護師、薬剤師、精神保健福祉士などがチームを組んで、集中的な治療とケアにあたります。 精神病集中治療室の目的は、患者さんの症状を早期に安定させ、安全を確保すること、そして、一日も早く通常の精神科病棟に移れるようにサポートすることです。そのため、患者さんの状態に合わせて、薬物療法、精神療法、環境調整などが総合的に行われます。 精神病集中治療室は、精神科医療において非常に重要な役割を担っており、患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供しています。
泌尿器

フルクトース尿:果糖が教えてくれる体質

- フルクトース尿とは?フルクトース尿とは、その名の通り、尿中にフルクトース(果糖)が排泄される状態を指します。これは、体内で果糖を分解する酵素の一つであるフルクトキナーゼの働きが生まれつき弱いために起こります。果糖は、果物や蜂蜜などに多く含まれる糖の一種ですが、フルクトキナーゼが不足していると、摂取した果糖をうまく代謝することができません。その結果、血液中の果糖濃度が上昇し、尿中に過剰に排出されることになります。フルクトース尿は、乳児期に発見されることが多く、尿検査でフルクトースが検出されることで診断されます。多くの場合、自覚症状はほとんどありません。しかし、大量の果糖を摂取すると、お腹がゆるくなったり、吐き気や嘔吐などの消化器症状が現れることがあります。フルクトース尿は、命に関わる病気ではありませんが、健康に過ごすためには、果糖の摂取を控えるなどの食事療法が重要となります。果糖は、果物だけでなく、清涼飲料水や菓子類、調味料などにも広く含まれているため、食品表示をよく確認する習慣をつけましょう。また、定期的な尿検査を受けることで、体内の果糖の量を把握し、適切な食事療法を継続していくことが大切です。

フロセミド:強力な利尿作用を持つ薬

- フロセミドとはフロセミドは、体の中に溜まった余分な水分や塩分を尿として体の外に出す薬です。水分や塩分の排出を促すことで、むくみの改善や血圧を下げる効果があります。このような効果を持つ薬は利尿薬と呼ばれ、フロセミドはその中でも効果が強いループ利尿薬に分類されます。フロセミドは、心臓病、腎臓病、肝臓病など、様々な病気の治療に使われます。例えば、心臓病によって心臓の働きが低下すると、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、息切れやむくみが現れます。このような場合にフロセミドを使うことで、余分な水分や塩分を体の外に出して、症状を和らげることができます。フロセミドは病院だけでなく、医師の処方箋があれば薬局でも入手できます。服用方法は、錠剤を水で飲み込む方法や、注射で血管に直接投与する方法があります。効果や副作用の出方には個人差があるため、医師の指示に従って服用することが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは大変危険なので、絶対にやめましょう。フロセミドは医療現場で欠かせない重要な薬ですが、その一方で、脱水症状や低カリウム血症などの副作用も知られています。服用中は、医師の指示に従って定期的な検査を受けるなど、体の状態を注意深く観察する必要があります。
耳鼻科

真珠腫性中耳炎:耳の奥に潜む真珠の脅威

- 真珠腫性中耳炎とは 真珠腫性中耳炎は、耳の奥にある中耳という空間に、本来はあってはいけない皮膚細胞が入り込み、増殖してしまう病気です。 中耳には、音を伝えるための小さな骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)が存在し、鼓膜の振動を内耳に伝えています。 真珠腫性中耳炎になると、この中耳の中に皮膚細胞が入り込み、増殖を始めます。 この皮膚細胞は、まるで真珠のように白く見える塊を作るため、「真珠腫」と呼ばれています。 真珠腫は、周囲の骨を溶かしながら徐々に大きくなっていく性質を持っています。 そのため、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに病気が進行してしまう場合もあります。 しかし、真珠腫が大きくなると、周囲の組織や神経を圧迫し始め、様々な症状が現れてきます。 具体的には、耳の聞こえが悪くなる、耳鳴りがする、耳が詰まった感じがする、耳だれが出るといった症状がみられます。 さらに症状が進むと、めまいや顔面神経麻痺、頭痛、意識障害などの重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。 真珠腫性中耳炎は、自然に治ることはなく、放置すると症状が悪化する一方です。 そのため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。
看護技術

カンガルーケア:母子の絆を深める温かな接触

- カンガルーケアとはカンガルーケアとは、生まれたばかりの赤ちゃんを、お母さん、あるいは場合によっては、お父さんの裸の胸元に直接抱っこし、肌と肌で触れ合いながら過ごすケアのことを指します。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいた時と同じような温かさや、心臓の鼓動、呼吸のリズム、そして優しい声を感じ取ることができます。この安心できる環境は、まるでカンガルーがお腹の袋で子供を育てる姿に似ていることから、「カンガルーケア」と名付けられました。カンガルーケアは、単に赤ちゃんを温めるだけでなく、様々な効果が期待されています。まず、赤ちゃんの体温や呼吸、心拍数を安定させ、体重増加を促します。また、母乳分泌を促進し、母乳育児を成功に導く効果も期待できます。さらに、母子の愛着形成を促し、情緒の安定にも繋がると考えられています。カンガルーケアの実施頻度や時間は、赤ちゃんの状態やお母さんの体調によって異なりますが、可能な限り、赤ちゃんと触れ合い、密接な時間を過ごすことが大切です。
外科

外科系集中治療室:術後の回復を支える専門部隊

外科系集中治療室とは、手術後、特に全身麻酔を用いた大規模な手術を受けた患者さんの容態が安定するまで、集中的に治療と看護を行うための専門的な施設です。 外科手術は、患者さんの身体に大きな負担をかけることがあります。特に、心臓や肺、脳など、生命維持に重要な臓器を扱う手術や、がんの切除など長時間におよぶ手術では、術後に注意深く経過観察を行う必要があります。外科系集中治療室(ICU)は、このような患者さんが安全かつ快適に回復できるよう、高度な医療を提供する場所です。 ICUには、人工呼吸器や心臓カテーテルなどの生命維持装置、血液透析装置、脳波計、各種モニターなど、多くの高度な医療機器が備えられています。これらの機器を用いることで、患者さんの状態を詳細に把握し、異常があれば迅速に対応することができます。 ICUで働く医療スタッフは、専門的な知識と豊富な経験を持つ医師や看護師で構成されています。彼らは、患者さんの状態を24時間体制で見守り、適切な治療や処置を施します。また、患者さんの不安を和らげ、安心して療養生活を送れるよう、精神的なケアにも力を入れています。 外科系集中治療室は、高度な医療と献身的なケアによって、多くの患者さんの命を守り、健康を取り戻すための重要な役割を担っています。
泌尿器

腎機能の指標:eGFRとは?

- eGFRとはeGFR(いーじーえふあーる)は、estimated glomerular filtration rateの略で、日本語では「推算糸球体濾過量」と言います。 腎臓の働きを評価する上で、非常に重要な指標として、健康診断や病院での検査で頻繁に用いられています。では、このeGFRが示す「腎臓の働き」とは一体どのようなものでしょうか? 腎臓は、血液をろ過して、体にとって不要な老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する役割を担っています。 eGFRは、この腎臓における血液のろ過能力を数値化したものであり、値が大きいほど腎臓のろ過機能が高い、つまり腎臓が正常に機能していることを示します。eGFRは、血液検査でクレアチニンという物質の値を測定し、年齢や性別などの要素を加味して計算されます。クレアチニンは、筋肉で作られる老廃物の一種で、腎臓でろ過されて尿中に排出されます。 そのため、腎臓のろ過機能が低下すると、血液中のクレアチニン値が上昇します。逆に、eGFRの値が低い場合は、腎臓のろ過機能が低下していることを意味し、慢性腎臓病(CKD)の可能性を示唆している可能性があります。eGFRは、自覚症状が少ない慢性腎臓病を早期発見するための重要な指標です。健康診断などでeGFRの値が低い場合は、医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。
循環器

心機能の重要な指標:心係数とは

私たちの体にとって欠かせない臓器である心臓は、全身に血液を送り出すポンプとしての役割を担っています。この心臓がどれくらい効率的に血液を送り出しているかを評価する指標の一つに心拍出量があります。心拍出量は、心臓が1分間に送り出す血液の量を示すものですが、体の大きさによって大きく変化します。体が大きければ心臓も大きくなり、心拍出量も多くなるのは当然のことです。そのため、心拍出量をそのまま見てしまうと、体が大きい人は心臓の機能が高い、体が小さい人は心臓の機能が低いと誤解してしまう可能性があります。 そこで、体格差による影響を補正し、より正確に心臓の機能を評価するために用いられるのが心係数です。心係数は、心拍出量を体表面積で割ることで計算されます。体表面積は、身長と体重から計算される体の表面の面積のことです。心係数を用いることで、体が大きくても小さくても、心臓が体の大きさに応じて十分な量の血液を送り出せているかを評価することができます。 心係数は、心臓の機能を評価する上で非常に重要な指標であり、心臓病の診断や治療効果の判定などに広く用いられています。例えば、心不全などの心臓病になると、心臓のポンプ機能が低下し、心係数が低下します。また、心臓手術などの治療効果を判定する際にも、心係数の変化が重要な指標となります。
産婦人科

命の根付き:着床の神秘

新しい命の誕生は、卵子と精子が出会い、一つの細胞になることから始まります。この神秘的な結合によって誕生した受精卵は、母親の体内で育まれます。母親の卵巣から排卵された卵子は、卵管と呼ばれる管の中をゆっくりと移動します。一方、父親から受け継いだ精子は、子宮から卵管へと長い道のりを泳ぎ進み、卵子との出会いを待ちわびています。 そして、運命的な瞬間が訪れます。数億もの精子の中から、たった一つの精子が卵子の壁を突破し、融合を果たします。この瞬間、新しい生命である受精卵が誕生するのです。受精卵は、直径わずか0.1ミリメートルほどの小さな存在ですが、すでに両親の遺伝情報を受け継いでいます。 受精卵は、卵管の中をゆっくりと移動しながら、細胞分裂を繰り返していきます。最初は2つ、4つと倍々に分裂し、やがて桑の実のような形になります。そして、受精から約一週間後、受精卵は子宮へとたどり着き、子宮内膜に着床します。この瞬間から、受精卵は胎児と呼ばれる新たな段階へと進み、母体からの栄養供給を受けながら、成長を続けていくのです。
耳鼻科

慢性穿孔性中耳炎:耳の穴と聞こえの関係

- 慢性穿孔性中耳炎とは慢性穿孔性中耳炎は、中耳炎が治った後も、鼓膜に開いた穴(穿孔)が塞がらず残ってしまう病気です。通常、急性中耳炎にかかると、耳の痛みや発熱、耳だれなどの症状が現れます。多くの場合、適切な治療を行うことでこれらの症状は改善し、鼓膜の穴も自然に塞がっていきます。しかし、急性中耳炎にかかってから3ヶ月以上経っても鼓膜の穴が塞がらない場合は、慢性穿孔性中耳炎になっていると考えられます。慢性穿孔性中耳炎になると、耳だれや難聴といった症状が繰り返し現れることがあります。また、耳だれによって耳の中が常に湿った状態になるため、細菌が繁殖しやすくなります。そのため、放置すると、さらに重症化し、手術が必要になる場合もあります。慢性穿孔性中耳炎は、適切な治療と日々のケアが重要な病気です。気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
小児科

新生児特定集中治療室:小さな命を守るための最先端医療

- 新生児特定集中治療室とは新生児特定集中治療室(NICU)は、生まれたばかりの赤ちゃんが病気や未熟さで特別な治療を必要とする場合に、入院して集中的な医療ケアを受けることができる、病院内にある特別な場所です。まるで、小さな赤ちゃんのための病院のようなところを想像してみてください。NICUでは、24時間体制で医師や看護師が常駐し、赤ちゃんの状態を注意深く観察しています。赤ちゃんの小さな変化も見逃さないよう、心拍数や呼吸数、体温、血液中の酸素濃度などを測る機械が使われています。そして、その時の状態に合わせて、点滴や呼吸の補助、体温調節など、必要な治療やケアを随時行っています。NICUは、赤ちゃんが安心して成長し、一日も早く家族の元に帰ることができるように、専門的な知識と技術を持った医療スタッフが愛情を込めて赤ちゃんに寄り添い、サポートする場所なのです。
産婦人科

陥没乳頭について

- 陥没乳頭とは陥没乳頭とは、乳頭が本来外側に突出している状態とは異なり、乳房の皮膚よりも内側に引っ込んでいる状態を指します。通常、乳頭は周囲の乳輪よりも隆起しており、赤ちゃんが授乳しやすくなっています。しかし、陥没乳頭の場合、乳頭が内側に埋もれているため、赤ちゃんが乳頭を吸うことが難しく、授乳に困難をきたすことがあります。陥没乳頭の程度は人によって異なり、軽く引っ込んでいるだけのものから、乳房の奥に埋もれてしまっているものまで様々です。また、片方の乳房だけに生じる場合もあれば、両方の乳房に生じる場合もあります。陥没乳頭の原因は、乳腺の発達異常や乳管の短縮、乳頭周りの組織の癒着などが考えられます。思春期に乳腺が発達する過程で、乳頭が十分に成長しなかった場合や、乳腺炎などを経験した結果、乳頭周りの組織が硬くなってしまった場合などに起こることがあります。陥没乳頭は、授乳に困難をきたす場合があるほか、乳頭の下に汚れが溜まりやすく、炎症を起こしやすくなることがあります。また、見た目の問題から、精神的なストレスを感じる方もいます。陥没乳頭の治療法としては、乳頭吸引器やマッサージなどがありますが、効果には個人差があります。症状が重い場合や、授乳に支障がある場合には、手術が検討されることもあります。手術では、乳頭周りの組織を切開して乳頭を突出させる方法などがあります。
循環器

心臓のポンプ機能:一回拍出量とは?

私たちの体内には、全身に酸素や栄養を運ぶために血液が絶えず巡っています。この血液循環の原動力となっているのが心臓です。心臓は休むことなく拍動し、血液を体全体に送り出しています。 心臓が一回拍動するごとに送り出す血液の量を「一回拍出量」と言います。心臓は4つの部屋に分かれており、そのうち左心室と呼ばれる部屋が全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。一回拍出量とは、この左心室が一回収縮するごとに、大動脈へ送り出す血液の量のことを指します。 一回拍出量は、心臓の働きを知る上で重要な指標の一つです。安静時の平均的な一回拍出量は約70mlとされています。心臓は、運動時にはより多くの酸素を必要とするため、一回拍出量が増加します。逆に、心不全などの心臓病になると、一回拍出量が低下し、全身に十分な血液を送り出すことができなくなります。 一回拍出量は、心臓のポンプとしての機能を評価する指標であり、私たちの健康状態を知る上で非常に重要です。
泌尿器

尿タンパクとむくみの関係:ネフローゼ症候群を理解する

- ネフローゼ症候群とは私たちの体には、毎日休むことなく働いている臓器がたくさんあります。その中でも、腎臓は血液をきれいにし、体内の水分量やミネラルのバランスを調整するという重要な役割を担っています。腎臓は、まるでフィルターのように血液の中から老廃物や余分な水分をこし取って尿として体の外へ排出しています。 一方、体に必要な栄養素であるタンパク質は、腎臓のフィルターを通過することができず、血液中に留まり体の様々な場所で利用されます。しかし、ネフローゼ症候群を発症してしまうと、この腎臓のフィルター機能に異常が生じてしまいます。本来であれば血液中に留まっているはずのタンパク質が、腎臓のフィルターをすり抜けてしまい、尿の中に大量に漏れ出てしまうのです。 その結果、血液中のタンパク質が減ってしまうことで、体には様々な症状が現れます。 代表的なものとしては、尿の量が減る、顔がむくむ、体がだるい、食欲不振などがあります。 ネフローゼ症候群は、原因や症状、治療法などがまだ完全には解明されていない病気です。 しかし、早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、健康な生活を送ることは可能です。
耳鼻科

急性中耳炎:痛みの原因と対処法

- 急性中耳炎とは急性中耳炎は、耳の奥にある「鼓膜」とよばれる薄い膜の内側にある「中耳」という空間に、細菌やウイルスが入り込んで炎症を起こしてしまう病気です。子供がかかりやすく、特に空気が乾燥し、風邪やインフルエンザが流行する冬に多く見られます。これは、子供の耳管(中耳と鼻の奥をつなぐ管)が大人に比べて短く、傾斜も緩やかなため、鼻や喉の細菌が中耳へ入り込みやすいことが原因として挙げられます。さらに、免疫機能が未発達であることも、急性中耳炎になりやすい要因の一つと考えられています。急性中耳炎になると、耳の痛みや発熱、耳だれ、難聴などの症状が現れます。乳幼児の場合、言葉で症状を上手く伝えられないため、耳を触ったり、機嫌が悪くなったり、ミルクの飲みが悪くなったりすることがあります。このような症状が見られる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
産婦人科

新生児室:新しい命の始まりの場所

新生児室とは、病院で新しく命を受けたばかりの赤ちゃんが、退院するまでの間、安全かつ快適に過ごすことができるように設けられた、特別な部屋のことです。ここでは、生まれたばかりの赤ちゃん、つまり新生児を専門的にケアする医師や看護師が、昼夜を問わず、常に赤ちゃんたちのそばで見守っています。新生児室は、一般の病棟とは異なり、感染症などのリスクから赤ちゃんを守るため、衛生管理が徹底されています。また、赤ちゃんの発育段階に合わせて、体温や湿度が細かく調整され、快適な環境が保たれています。さらに、赤ちゃんたちは、授乳やオムツ交換など、生活リズムを整えるためのサポートも受けることができます。このように、新生児室では、医師や看護師による手厚いケアと、徹底した環境管理のもと、赤ちゃんたちは健やかに成長していくことができるのです。
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