総合健康ガイド

呼吸器

犬吠様咳嗽:小児に見られる特徴的な咳

「犬の鳴き声のような咳」と聞いて、一体どんな咳なのか想像できるでしょうか?医学用語では「クループ」と呼ばれるこの咳は、まるで犬が吠えているようなガラガラとした乾いた咳が特徴です。 この咳が出やすいのは、主に乳幼児や小さなお子さんです。そして、夜や朝早くなど、気温が低くなってくる時間帯に悪化する傾向があります。咳に加えて、声がれや息苦しさを感じたりすることもあります。 このような症状が出ると、保護者の方々は当然不安に感じることでしょう。しかし、「犬の鳴き声のような咳」自体は、多くの場合、命にかかわるような重い病気ではありません。ただし、症状が重い場合や、呼吸が速くなったり、唇の色が悪くなったりする場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
循環器

命を脅かす不整脈:トルサード・ド・ポアント

私たちの心臓は、規則正しいリズムを刻むことで、全身に血液を送り出すポンプとしての役割を担っています。この心臓の動きは、まるで正確な時計のように、一定のリズムを保っていることが理想的です。しかし、様々な要因によって、この規則正しいリズムが乱れてしまうことがあります。このような状態を不整脈と呼びます。 不整脈は、その種類や程度によって、症状や危険性が大きく異なります。例えば、一時的な疲労やストレス、睡眠不足、カフェインの過剰摂取などが原因で起こる不整脈は、比較的軽度で、一時的なものである場合が多くみられます。このような不整脈は、特に治療の必要がなく、生活習慣の改善などで改善されることが多いです。 一方、心臓の病気や高血圧、糖尿病などの基礎疾患が原因で起こる不整脈は、命に関わる危険性を孕んでいるケースもあります。症状としては、動悸や息切れ、めまい、失神などがあります。特に、意識を失ってしまうような不整脈は、緊急を要する危険な状態です。 不整脈は、決して珍しいものではなく、誰にでも起こりうる可能性があります。そのため、少しでも気になる症状がある場合は、放置せずに、速やかに医療機関を受診することが大切です。
検査

医療現場の縁の下の力持ち:ブジー

- ブジーとは何かブジーとは、体内にある管状の臓器、例えば食べ物を胃に送るための器官や便を体外に排出するための器官、尿を排出するための器官、鼻と涙の通り道などを広げるために用いられる医療器具です。 これらの器官は、病気や怪我などによって狭くなってしまうことがあります。 このような場合に、ブジーを用いることで、狭くなった部分を広げ、再び正常な状態に戻すことができます。 ブジーは、「消息子」と呼ばれることもあります。 主に金属や硬質な素材で作られており、その形状は管状の臓器の通り道を確保したり、拡張したりするのに適しています。 ブジーの先端は丸みを帯びており、体内に入れる際に臓器を傷つけないように工夫されています。 また、太さも様々で、症状や治療目的に合わせて適切なものが選択されます。 ブジーは、医療現場において、様々な疾患の治療や検査に役立っています。 例えば、食道の狭窄に対しては、ブジーを用いて拡張する治療が行われます。 また、尿道が狭くなっている場合には、ブジーを通して尿道カテーテルを挿入し、尿を排出できるようにします。 このように、ブジーは、体内の管状の臓器の機能を回復させるために欠かせない医療器具と言えるでしょう。
耳鼻科

コミュニケーションの橋渡し:手話の世界

私たちは日々、言葉を駆使して、家族や友人、職場の同僚など、様々な人たちとコミュニケーションを取っています。しかし、世の中には、生まれつき耳が聞こえなかったり、病気や事故によって耳が聞こえにくくなったりしたために、私たちのように音声言語を使って円滑にコミュニケーションを取ることが難しい人たちもいます。 そのような人たちにとって、音声言語に代わるコミュニケーション手段として重要な役割を担っているのが「手話」です。手話は、単なる身振り手振りではなく、手の動きや形、顔の表情、体の動きなどを組み合わせて、相手に意味を伝える視覚的な言語です。日本語や英語などと同じように、手話にも文法や語彙があり、豊かな表現を用いて、自分の考えや感情を相手に伝えることができます。 例えば、「おはよう」と伝える場合、手のひらを顔の横に立てて軽く会釈する動作をしますし、「ありがとう」と伝える場合は、指先を揃えて軽く頭を下げる動作をします。このように、手話は音声言語とは異なる表現方法を用いることで、耳が聞こえない、あるいは聞こえにくい人たちとのコミュニケーションを可能にするだけでなく、彼らが社会参加し、自分らしく生きていく上で欠かせないものとなっています。
検査

放射線とは?医療における役割と影響

- 放射線の定義 放射線とは、エネルギーが空間を移動する現象のことです。 私たちの身の回りには、目に見える光や目に見えない電波など、様々な形のエネルギーが飛び交っています。 これらは全て放射線の一種であり、太陽の光や携帯電話の電波、テレビから出ている電波なども放射線に含まれます。 放射線は、そのエネルギーの強さや性質によって分類されます。 例えば、太陽の光には、私たちが色として認識できる可視光線だけでなく、日焼けの原因となる紫外線も含まれています。 これらの光も放射線の一種です。 また、携帯電話やテレビで使用されている電波は、電磁波と呼ばれる種類の放射線に分類されます。 放射線は、物質を透過する能力や、物質との相互作用によって様々な影響を与えることがあります。 レントゲン撮影に使用されるX線は、人体を透過する性質を利用して、骨などの内部の状態を撮影することができます。 このように、放射線は私たちの生活の中で様々な場面で利用されています。
小児科

乳幼児の発達指標:ランドー反射

- ランドー反射とは 生後6ヶ月から2歳頃までの赤ちゃんに見られる「ランドー反射」は、赤ちゃんの発達段階を知る上で重要な手がかりとなる姿勢反射の一つです。 この反射は、赤ちゃんを水平な姿勢で空中に抱き上げた際に、まるで飛行機のように背中を反らせて手足を広げる様子から、「飛行機反射」とも呼ばれています。 ランドー反射は、赤ちゃんの神経系や筋肉の発達を評価する上で重要な指標となります。この反射が見られるということは、赤ちゃんの中枢神経系、特に脳幹と呼ばれる部分が正常に機能していることを示唆しています。また、この反射は、赤ちゃんが自分の体の位置や動きを認識する能力、つまり平衡感覚の発達にも関連していると考えられています。 ランドー反射は、通常2歳頃までに自然と消失していきます。もし、2歳を過ぎてもこの反射が強く残っていたり、逆に生後6ヶ月を過ぎてもこの反射が見られない場合は、医師に相談することをお勧めします。これらの兆候は、脳性麻痺などの発達障害の可能性を示唆している場合もあるからです。 ランドー反射は、赤ちゃんの健全な発達を評価する上で重要な指標の一つと言えるでしょう。
耳鼻科

アデノイド:小児期に腫大しやすい組織

- アデノイドの位置と役割 アデノイドは、鼻の奥、喉の入り口の上壁に位置するリンパ組織の塊です。ちょうど口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)の上あたりに位置し、鼻から吸い込んだ空気の通り道に存在しています。 アデノイドは、扁桃腺や口蓋扁桃と同じように、リンパ組織が集まってできています。リンパ組織は、体中に張り巡らされた免疫システムの一部であり、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る重要な役割を担っています。 アデノイドは、鼻から吸い込んだ空気中のウイルスや細菌をキャッチし、免疫反応を引き起こすことで、体を守る役割を担っています。具体的には、アデノイドに侵入してきた病原体に対して、リンパ球などの免疫細胞が攻撃をしかけ、排除しようとします。 このようにアデノイドは、外部から侵入してくる病原体を最初に感知し、撃退するための最前線の防御壁として機能しているのです。 なお、アデノイドは乳幼児期に最も大きく発達し、思春期以降は徐々に縮小していきます。そのため、大人になるとほとんど目立たなくなる場合も多いです。
泌尿器

持続的血液濾過透析法:重症患者を救う治療法

- 持続的血液濾過透析法とは持続的血液濾過透析法(CHDF)は、24時間以上という長時間にわたり、継続的に血液を浄化する治療法です。この治療法は、主に集中治療室(ICU)などに入院し、生命維持装置を必要とするほど重篤な状態の患者に対して行われます。CHDFは、患者の体内からゆっくりと血液を体外に取り出し、特殊なフィルターを備えた装置に通すことで、血液中の老廃物や余分な水分を除去します。その後、浄化された血液は再び患者の体内に戻されます。一般的な血液透析と比較して、CHDFは長時間かけてゆっくりと血液を浄化するため、体に負担が少なく、血圧の急激な変動や体にストレスを与える可能性も低いです。そのため、循環動態が不安定な重症患者や、心臓や肺に持病のある患者でも、比較的安全に治療を受けることができます。CHDFは、急性腎障害や慢性腎臓病の患者さんの治療だけでなく、敗血症や多臓器不全など、他の病気によって腎臓の機能が低下した患者さんにも有効です。しかし、CHDFはあくまで対症療法であり、病気そのものを治す治療法ではありません。医師は、患者の状態を綿密に観察しながら、CHDFを行う必要があるかどうか、また、どの程度の期間継続する必要があるかを判断します。
循環器

意識消失の影に潜む心臓病:アダムス・ストークス症候群

アダムス・ストークス症候群では、突然意識を失ってしまうという恐ろしい症状が現れることがあります。これは、心臓の拍動が一時的に乱れることで、脳に血液が十分に行き渡らなくなることが原因です。 心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。しかし、アダムス・ストークス症候群の場合、このポンプ機能が乱れてしまい、血液を送り出すリズムが崩れてしまうことがあります。すると、脳に十分な酸素を含んだ血液が送られなくなり、意識を失ってしまうのです。 意識消失は、まるでスイッチが切れたように突然起こります。そのため、周囲の人にとっては非常に驚きと不安を伴う出来事となります。患者さん自身は、意識を失っている間は周囲で何が起きているのか全くわかりません。そのため、転倒して怪我をしてしまうこともあります。 このような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。適切な治療を受けることで、症状の改善や進行の抑制が期待できます。
看護技術

治療の砦!クリーンルームとは

病院には、様々な治療や処置を行うための特別な部屋が数多くありますが、その中でも特に清潔さにこだわって作られた部屋を「クリーンルーム」と呼びます。クリーンルームは、その名の通り、空気中に漂う目に見えない程小さな塵や細菌、カビなどを徹底的に取り除いた清潔な空間です。 通常の病室でも清掃や消毒は行われていますが、クリーンルームでは、より厳密な基準で空気清浄装置を稼働させたり、特別な清掃方法を用いたりすることで、空気中の微粒子数を極限まで減らしています。 クリーンルームは、手術室の一部や、骨髄移植などを行う際に患者さんを感染から守るために使われます。例えば、免疫力が低下した患者さんは、健康な人であれば問題ないようなごくわずかな細菌やウイルスにも感染してしまい、重症化する可能性があります。クリーンルームは、そのような患者さんが安心して治療を受けられるように、感染のリスクを最小限に抑えるための重要な役割を担っているのです。
小児科

BTシャント:心臓の働きを助ける手術

- BTシャントとは?BTシャントは、生まれつき心臓に疾患を持つ赤ちゃんに行われる手術の一つです。正式名称はブラロック・タウシグシャントと言い、この手術方法を開発した二人の医師、ブラロック氏とタウシグ氏の名前から名付けられました。では、BTシャントはどのような手術なのでしょうか。簡単に言うと、心臓から肺に血液を送る流れを改善する手術です。生まれつき心臓に病気を持つ赤ちゃんの中には、心臓から肺に血液を送り出す機能が弱い場合があります。すると、体が酸素を十分に受け取ることができず、呼吸が苦しくなったり、顔色が悪くなったりします。そこで、BTシャントという手術が必要になります。この手術では、鎖骨下動脈と肺動脈という二つの血管を人工血管で繋ぎます。鎖骨下動脈は心臓から出て上半身に血液を送る血管、肺動脈は心臓から肺に血液を送る血管です。この二つの血管を人工血管で繋ぐことによって、心臓から出た血液の一部が直接肺に流れるようになります。BTシャントは、心臓から肺に血液を送るバイパスのような役割を果たし、酸素を十分に取り込めていない心臓の負担を軽くします。これにより、赤ちゃんの呼吸が楽になり、顔色が良くなり、成長が促されます。BTシャントは、その後の心臓手術までのつなぎの役割を担うことが多く、赤ちゃんの成長に合わせて、より根本的な治療が行われていきます。
小児科

小児期に注意!くる病の原因と症状

- くる病とはくる病は、骨の成長と発達に重要な役割を果たすビタミンDが不足することで発症する病気です。ビタミンDは、食事から摂取したカルシウムを体内に吸収するために不可欠な栄養素です。カルシウムは骨の形成に欠かせないミネラルであり、ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収が悪くなり、骨が十分に硬くならず、柔らかく曲がってしまうことがあります。くる病は、特に骨の成長が著しい幼児期に発症することが多く、骨の軟化や変形といった症状が現れます。具体的には、頭蓋骨の変形、肋骨の突出、O脚やX脚などの足の変形、成長の遅延などが挙げられます。また、筋肉の緊張が低下したり、骨の痛みを感じたりすることもあります。近年では、食生活の欧米化や、紫外線対策として日光を浴びる機会が減っていることなどから、くる病の患者数が増加傾向にあると言われています。特に、母乳に含まれるビタミンDの量は少ないため、母乳栄養の赤ちゃんは、粉ミルクで育てられている赤ちゃんに比べて、くる病のリスクが高くなる可能性があります。くる病の予防には、バランスの取れた食事を摂ること、適度に日光を浴びることが大切です。また、医師の指示に従って、ビタミンDのサプリメントを摂取することも有効です。
循環器

心臓を助ける縁の下の力持ち:IABP療法

- IABP療法とは心臓は、全身に血液を送り出すために休むことなく働き続けています。しかし、病気や怪我などによって心臓のポンプ機能が著しく低下してしまうことがあります。このような状態は心不全と呼ばれ、生命に関わる危険な状態です。IABP療法(大動脈内バルーンパンピング法)は、この心不全に陥った心臓を補助し、回復を促すことを目的とした治療法です。IABP療法では、まず足の付け根の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。そして、そのカテーテルの先端に風船のついたバルーンを大動脈まで進めます。このバルーンは心臓の動きと同期して膨らんだり縮んだりするように設計されており、心臓が拡張する時にはバルーンは縮み、心臓が収縮する時にはバルーンは膨らみます。バルーンが膨らむことで大動脈内の圧力が上昇し、心臓から送り出される血液量が増加します。また、バルーンが縮むことで大動脈内の圧力が減少し、心臓の負担が軽減されます。このように、IABP療法は心臓のポンプ機能を補助することで、心不全の症状を改善します。IABP療法は、あくまで心臓が回復するまでの一時的な補助療法であり、心臓の根本的な治療ではありません。しかし、心不全の危機的な状況を乗り越え、心臓の回復を待つための重要な治療法と言えるでしょう。
産婦人科

LDRで快適なお産を

LDRとは、「陣痛」「分娩」「回復」を意味する英語の頭文字を取った言葉で、陣痛が始まってから赤ちゃんを産み、その後体調が回復するまでを同じ部屋で過ごせるシステムのことです。LDR室以外にも、陣痛分娩室や居室型分娩室など、様々な呼び方があります。\従来の分娩では、妊婦さんは陣痛が始まるとまず陣痛室に移動し、その後、赤ちゃんの頭が出てくる直前になると分娩室に移動して出産していました。そして、出産後には再び別の部屋に移って安静にする必要がありました。つまり、妊婦さんはお産の間、何度も移動しなければなりませんでした。しかし、LDRではこれらの移動がなく、一つの個室で陣痛から分娩、産後の回復まで、すべてのプロセスを終えることができます。 \LDRは、妊婦さんにとって肉体的にも精神的にも負担の少ないお産を実現する上で、大きなメリットがあるシステムと言えるでしょう。
泌尿器

体内の水分量を調整する抗利尿ホルモン

- 抗利尿ホルモンとは私たちの身体は、体内をめぐる血液中の水分量を常に一定に保つことで、健康な状態を維持しています。この水分のバランス調整に重要な役割を果たしているのが、脳の下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種である「抗利尿ホルモン」です。抗利尿ホルモンは、その名の通り、尿の量を調整する働きを持っています。例えば、激しい運動や発汗によって体内の水分量が低下すると、血液の濃度が上昇します。この変化を感知すると、脳は喉の渇きを感じさせると同時に、下垂体後葉からの抗利尿ホルモンの分泌を促します。抗利尿ホルモンは、血液によって腎臓に運ばれ、腎臓の集合管という場所に作用します。すると、集合管の細胞膜にある水の通り道が広がり、尿中の水分が血液中に再吸収されやすくなります。その結果、尿量は減少し、濃縮された尿が作られるようになります。こうして抗利尿ホルモンは、体内の水分を保持し、血液の濃度を正常な状態に戻す働きをしているのです。抗利尿ホルモンの分泌量が適切に調節されないと、体内の水分バランスが崩れ、様々な体調不良を引き起こす可能性があります。例えば、抗利尿ホルモンの分泌量が不足すると、尿量が異常に増加する尿崩症という病気を発症することがあります。反対に、抗利尿ホルモンが過剰に分泌されると、体内の水分量が過剰になり、血液中のナトリウム濃度が低下する低ナトリウム血症を引き起こす可能性もあります。
耳鼻科

アデノイド顔貌:その特徴と影響

- アデノイド顔貌とは?アデノイド顔貌とは、鼻の奥にある咽頭扁桃という部分が大きくなることで、特有の顔つきになってしまうことを指します。 咽頭扁桃は、鼻から吸い込んだ空気の中にある、体に悪いばい菌やウイルスを退治してくれる、いわば体の門番のような役割をしています。しかし、アレルギー反応を起こしたり、何度も風邪をひいたりすることで、この門番である咽頭扁桃が大きくなってしまうことがあります。特に小さいお子様の場合、咽頭扁桃が大きくなると、鼻から息をするための通路が狭くなってしまいます。すると、鼻で息をするのが苦しくなり、口で息をすることが多くなります。その結果、口が常に開いた状態になり、あごが下がってくる、上唇がめくれてしまう、歯並びが悪くなる、といった特徴的な顔つきになってしまいます。これがアデノイド顔貌と呼ばれるものです。アデノイド顔貌は、見た目だけの問題ではありません。鼻呼吸がうまくできないことで、いびきをかいたり、睡眠中に呼吸が止まってしまったりするなど、睡眠にも影響を及ぼします。さらに、集中力の低下や成長の遅れにもつながる可能性があります。そのため、アデノイド顔貌の特徴が見られる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
小児科

赤ちゃんの不思議な動き:非対称性緊張性頸反射

生まれたばかりの赤ちゃんはまだ自分で思い通りに体を動かすことはできません。しかし、周りの環境からの特定の刺激に対して、決まった反応を示すことが知られています。これらの反応は原始反射と呼ばれ、赤ちゃんの神経系が正常に発達しているかどうかを判断する上で重要な手がかりとなります。 例えば、赤ちゃんの手のひらに指や物を軽く触れると、ぎゅっと握り返してくることがあります。これは把握反射と呼ばれる原始反射の一つです。また、赤ちゃんの顔を軽く触れて顔を横に向けさせると、口をパクパクさせながら顔を触れられた方向に slowly 向けてきます。これは探索反射や吸啜反射と呼ばれる原始反射で、授乳に関連していると考えられています。 これらの原始反射は、赤ちゃんが成長し、脳や神経系がさらに発達するにつれて、徐々に統合されていきます。そして、赤ちゃんの意識的な運動が出来るようになると共に、原始反射は消失していきます。これらの反射は、一時期しか見られない行動ですが、赤ちゃんの発達段階を知る上で非常に重要な意味を持っています。
泌尿器

透析患者の目標体重:ドライウエイトとは?

- ドライウエイトとは血液透析は、腎臓の機能が低下した患者さんにとって、生命を維持するために欠かせない治療法です。この治療では、体内に溜まった老廃物や余分な水分を人工的に除去します。そして、「ドライウエイト」とは、一回の透析治療を終えた時点で、患者さんが目指すべき理想的な体重のことを指します。なぜ、このドライウエイトが重要なのでしょうか? それは、健康な状態を保ち、透析治療の効果を最大限に引き出すために、非常に重要な役割を担っているからです。透析治療では、体内の水分量を調整しますが、水分が過剰に除去されると、低血圧や筋肉の痙攣などの症状が現れることがあります。反対に、水分が十分に除去されないと、高血圧や心不全のリスクが高まります。適切なドライウエイトは、患者さん一人ひとりの体格や体質、残存腎機能などを考慮して、医師が慎重に判断します。そして、日々の体重測定や体調の変化などを観察しながら、その値を調整していきます。ドライウエイトを維持することで、透析後の体調が安定し、日常生活をより快適に過ごすことが期待できます。また、心血管系合併症のリスクを低減し、長期的な健康にも大きく貢献します。
循環器

経皮的心肺補助法:生命を支える最新技術

- 経皮的心肺補助法とは 経皮的心肺補助法(PCPS)は、病気や怪我などによって心臓や肺が正常に機能しなくなった時に、一時的にその働きを代替し、生命を維持するための治療法です。 心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割、肺は血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するガス交換の役割を担っていますが、心臓手術後や重い心不全、呼吸不全の患者さんの場合、これらの臓器が十分に機能せず、生命維持が困難になることがあります。このような場合に、PCPSを用いることで、心臓や肺を休ませながら回復を促すことが期待できます。 PCPS では、足の付け根にある太い血管(大腿動脈と大腿静脈)からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。このカテーテルを通して血液を体外に取り出し、PCPS 装置内で酸素を供給し、再び体内に戻します。この一連の循環補助を行うことで、弱った心臓や肺の代わりに血液を循環させ、酸素を全身に送り届けることが可能となります。 PCPS は、心臓や肺の機能が回復するまでの間、生命維持に不可欠な治療法と言えるでしょう。
救急

救命救急室:緊急医療の最前線

- 救命救急室とは救命救急室は、生命の危機に瀕した患者さんを一刻も早く治療するための専門的な施設です。ここでは、交通事故や心筋梗塞、脳卒中など、緊急性の高い病気や怪我に対応します。一刻を争う状況下で、患者さんの命を守るために、高度な医療設備と専門知識を持った医師や看護師が24時間体制で対応にあたっています。救命救急室には、心電図モニター、人工呼吸器、画像診断装置など、緊急の治療に必要な医療機器が揃っています。これらの機器を用いることで、患者さんの状態を迅速かつ正確に把握し、適切な治療を施すことが可能となります。また、救命救急室は、単に緊急の治療を行うだけでなく、その後の治療方針を決定する役割も担っています。入院が必要な患者さんには、適切な病棟を手配しますし、専門的な治療が必要な場合には、速やかに専門医につなぎます。このように、救命救急室は、地域の医療機関と連携しながら、患者さんにとって最善の医療を提供する上で重要な役割を担っています。一般的に、救命救急室は、「救急治療室」や「緊急救命室」とも呼ばれ、「ER(Emergency Room)」と略されることも多いです。
資格・職種

コミュニケーションを支える専門家:言語聴覚士

私たちが毎日何気なく行っている「話す」「聴く」「読む」「書く」。これらは全て「コミュニケーション」と呼ばれる、人と人とをつなぐ上で必要不可欠な行為です。しかし、病気や発達段階における問題などによって、こうした行為に困難が生じてしまう人たちがいます。 生まれたときから音が聞き取りにくい子ども、脳卒中の後遺症で言葉を発することが難しくなった高齢者、うまく言葉が出てこなくて悩む学生など、コミュニケーションに困難を抱える人の背景や症状は実に様々です。 音が聞こえづらい、言葉がうまく話せないということは、単に相手の言っていることが理解できない、自分の気持ちを伝えられないというだけではありません。コミュニケーションがうまくいかないと、周囲の人とうまく関係を築くことが難しくなり、孤独を感じやすくなってしまいます。また、就職や社会参加など、人生の様々な場面で困難に直面することもあります。 このような困難を克服し、誰もが円滑なコミュニケーションを取ることができるように、様々な取り組みが行われています。例えば、聴覚に障害のある子どもには、手話や口話、文字によるコミュニケーションなど、その人に合った方法でコミュニケーションを図ります。また、脳卒中の後遺症で言葉が話せなくなった高齢者には、言語聴覚士によるリハビリテーションが行われます。 コミュニケーションは、私たちが人間らしく生きる上で欠かせないものです。困難を抱える人々への理解を深め、誰もが安心してコミュニケーションを取ることのできる社会を築いていくことが大切です。
小児科

新生児の呼吸 distress:新生児呼吸窮迫症候群とは

新生児呼吸窮迫症候群(NRDS)は、生まれたばかりの赤ちゃん、特に早く生まれてきた赤ちゃんに多く見られる、命に関わる可能性もある呼吸器の病気です。この病気は、赤ちゃんの肺が十分に発達していないために起こります。 赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間、肺の中では呼吸に必要な物質が作られています。その中でも特に重要なのがサーファクタントと呼ばれる物質です。サーファクタントは、肺の中にある小さな空気の袋である肺胞が、呼吸のたびにぺちゃんこにつぶれてしまわないように、表面張力を弱める働きをしています。 NRDSの赤ちゃんは、このサーファクタントが足りていないため、呼吸をするたびに肺胞がつぶれてしまい、十分に酸素を取り込むことができません。そのため、生まれた直後や生後数時間以内に呼吸が速くなったり、苦しそうに息をするなどの症状が現れます。 NRDSは、早産で生まれるほど発症のリスクが高くなります。なぜなら、赤ちゃんが肺を成熟させ、十分な量のサーファクタントを作るには、ある程度の時間が必要だからです。
泌尿器

腎臓のレントゲン検査:腎盂造影検査とは?

- 腎盂造影検査の概要腎盂造影検査は、腎臓から尿管、膀胱に至る尿の通り道(尿路)の状態を詳しく調べるために行われる検査です。レントゲン検査の一種であり、一般的なレントゲン撮影とは異なり、造影剤を用いることが大きな特徴です。検査ではまず、血管に造影剤と呼ばれる薬を注射します。造影剤は、レントゲン写真に白く写る性質を持っており、これが尿路を通過する様子を時間差で複数回撮影することで、尿の流れや尿路の形、大きさなどを確認することができます。腎盂造影検査によって、尿路結石、腫瘍、先天性異常など、様々な病気を発見することができます。具体的には、結石が尿路に詰まっている様子や、腫瘍によって尿路が狭窄したり閉塞したりしている様子、さらには、生まれつき尿路の形に異常がある場合なども、鮮明に映し出すことが可能です。この検査は、尿路に異常がある可能性を示唆する症状、例えば血尿や排尿時の痛み、頻尿などの症状がある場合に、その原因を特定するために実施されます。腎盂造影検査は、尿路の異常を正確に診断し、適切な治療法を選択する上で非常に重要な役割を担っています。
看護技術

陰圧室:感染症から守る砦

- 陰圧室とは陰圧室とは、室内を外部よりも気圧を低く保つことで、空気中に漂う病原菌やウイルスなどの感染性物質が外部に漏出するのを防ぎ、空気感染のリスクを最小限に抑えることを目的とした特殊な病室です。「空気感染隔離室」とも呼ばれています。通常の病室との違いは、陰圧室は常に室内の空気を排気し、外部から新鮮な空気を取り入れる仕組みを持っている点にあります。ドアを開けると、まるで軽い風圧を受けたように空気が室内に流れ込んできますが、これは内部の空気を外部へと押し出し、常に清潔な状態を保つために必要な空気の流れなのです。この仕組みによって、もし患者さんが咳やくしゃみをした際に、病原菌などを含んだ空気が室内に拡散したとしても、外部へ漏れ出すことなく、排気口から排出されます。これにより、医療従事者や他の患者さんへの感染リスクを大幅に減らすことができます。陰圧室は、麻疹やおたふく風邪などの空気感染する病気や、免疫力が低下した患者さんなど、特に感染予防が必要とされる場合に利用されます。
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