総合健康ガイド

脳・神経

てんかん:脳の電気信号の乱れが引き起こす発作

- てんかんとはてんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することによって起こる病気です。この過剰な興奮は、脳波の異常として記録され、様々な症状を引き起こします。この症状を「発作」と呼びます。発作には、意識を失って全身が硬直したり、手足が痙攣する「大発作」や、一瞬意識がぼーっとするだけの「欠神発作」など、様々な種類があります。発作の症状は、脳のどの部分が過剰に興奮するかによって異なります。てんかんは決して珍しい病気ではなく、世界中で約5000万人が罹患していると推定されています。日本では人口の約1%、およそ100万人がてんかんを抱えていると考えられており、誰にでも起こりうる病気と言えます。てんかんの原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷、脳血管障害などが原因で発症する場合もあれば、原因が特定できない場合もあります。 てんかんは、適切な治療を行うことで発作をコントロールし、普通の生活を送ることが可能な病気です。てんかんの治療には、薬物療法や外科療法など、様々な方法があります。
泌尿器

尿道カルンクル:知っておきたい女性の病気

- 尿道カルンクルとは? 尿道カルンクルは、女性の尿道口にできる、やわらかい良性の腫瘍です。尿道口とは、膀胱に溜まった尿が体外へ排出される際に通る穴のことを指します。「腫瘍」と聞くと、がんのような悪性の病気を想像して不安になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、尿道カルンクルは悪性のものではなく、体に深刻な害を及ぼすことはほとんどありません。 尿道カルンクルは、見た目はつやのある赤いできもののように見え、いちごに似ていることから「尿道肉阜」とも呼ばれます。大きさは数ミリ程度のものから、1センチを超えるものまで様々です。 閉経後の女性に多くみられるのも特徴ですが、若い女性に見られることもあります。はっきりとした原因は解明されていませんが、女性ホルモンの減少や尿道口への刺激などが関係していると考えられています。 多くの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状はみられません。しかし、尿道口付近に違和感を感じたり、排尿時に痛みを感じたりする場合もあります。また、まれに出血を伴うこともあります。 基本的には経過観察となりますが、症状が気になる場合には治療を行うこともあります。治療法としては、女性ホルモン含有の軟膏を塗ったり、手術で切除したりする方法などがあります。
看護技術

看護の現場で活躍する半側臥位

- 半側臥位とは半側臥位とは、病気や怪我などで安静が必要な患者さんや、寝たきりの患者さんにとって、楽に過ごせるようにするための基本的な姿勢の一つです。この姿勢は、単に楽なだけでなく、体にかかる負担を減らし、呼吸を楽にしたり、床ずれのリスクを減らしたりする効果も期待できます。半側臥位にするには、まず患者さんを仰向けに寝かせた状態から始めます。そして、体を左右どちらか一方に、だいたい45度くらいの角度をつけて傾けていきます。この時、無理に傾けすぎないことが大切です。次に、体の向きに合わせて腕の位置を調整します。下になった方の腕は、体よりも前に出して、肘を軽く曲げてあげると楽になります。上になった方の腕は、体の後ろ側に回し、軽く曲げておきます。脚の位置も重要です。下になった方の脚は、股関節と膝の両方を軽く曲げてあげると、体が安定しやすくなります。上になった方の脚は、そのまままっすぐ伸ばしておきます。このように、半側臥位は、横向きと仰向けの中間のような姿勢をとることで、患者さんの状態を安定させ、負担を軽減することができます。ただし、患者さんの状態や状況によっては、他の姿勢の方が適している場合もあります。そのため、医師や看護師の指導のもと、適切な姿勢で行うことが重要です。
呼吸器

チアノーゼ:皮膚や粘膜が青紫色になる症状

- チアノーゼとはチアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色に見える状態のことです。健康な状態では、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結びつき、全身に酸素を運んでいます。この酸素と結びついたヘモグロビンは鮮やかな赤色をしているため、皮膚や粘膜は健康的なピンク色に見えます。しかし、何らかの原因で血液中の酸素量が減ってしまうと、酸素と結びついていないヘモグロビン、すなわち還元ヘモグロビンが増加します。この還元ヘモグロビンは暗い赤紫色をしているため、皮膚や粘膜が青紫色に見えるようになるのです。チアノーゼは、特に唇、指先、足先など、身体の末端部分で顕著に現れやすいという特徴があります。これは、末端部分は心臓から遠く、血液循環が悪くなりやすい場所であるためです。チアノーゼは、肺炎や喘息などの呼吸器疾患、先天性心疾患などの循環器疾患、貧血など、様々な病気が原因で起こる可能性があります。そのため、チアノーゼが見られた場合には、自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けることが重要です。
心の問題

心の防衛線:防衛機制とは?

現代社会において、私たちは日々、仕事や人間関係、将来に対する不安など、様々なストレスにさらされています。これらのストレス要因は、時に私たちの心を大きく揺さぶり、精神的な負担となってのしかかってきます。このような困難な状況に直面した際、私たちの心は、まるで外敵の侵入から身を守る盾のように、無意識のうちに様々な防御策を講じます。これが「防衛機制」と呼ばれるものです。 防衛機制は、私たちが過剰な不安やストレスに押しつぶされそうになるのを防ぎ、精神のバランスを保つために重要な役割を担っています。例えば、仕事で大きな失敗をしてしまった時、自分を正当化しようと「自分だけが悪いわけではない」と考えるのも防衛機制の一つです。また、失恋の辛さを和らげるために、過去の恋愛を美化して捉え直すのも、心の安定を保つための防衛機制といえます。 防衛機制は、私たちが現実を直視できないほど傷つくことから心を守ってくれる一方で、問題解決から目を背けさせてしまう側面も持ち合わせています。防衛機制に過度に依存してしまうと、現実を直視せず、問題を先延ばしにしてしまい、結果的に状況を悪化させてしまう可能性も孕んでいるのです。 大切なのは、防衛機制が働いていることを自覚し、自分の心の状態と向き合うことです。そして、状況に応じて適切な対処法を見つけ出すことが、心の安定と成長へと繋がるのです。
泌尿器

射精のメカニズムと精通

- 射精とは射精とは、男性が性的な興奮状態に達したとき、ペニスから精液が体外へ勢いよく放出される現象を指します。これは男性生殖機能の重要な一部であり、子孫を残すために欠かせないプロセスです。射精は、性的な刺激によって交感神経が刺激されることで起こります。交感神経が刺激されると、精巣で作られた精子が精管を通って尿道へ送り込まれます。同時に、前立腺や精嚢などの器官からも分泌液が尿道へ放出されます。これらの分泌液と精子が混ざり合ったものが精液です。精液は、膀胱から尿が排出されるのを一時的に止める筋肉の働きによって、尿道を通って体外へ排出されます。このとき、尿道括約筋と呼ばれる筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、精液は断続的に勢いよく放出されます。射精は、男性にとって快感を伴う生理現象ですが、必ずしも性行為の最終目的ではありません。射精の有無に関わらず、性行為を通じてパートナーとの親密な時間を共有することが大切です。また、射精に関する知識を深め、自分の体と向き合うことは、性生活をより豊かにするために重要です。
看護技術

姿勢と健康:長座位のメリット・デメリット

- 長座位とは長座位とは、足をまっすぐ前に伸ばして座る姿勢のことを指します。床に足を伸ばして座る、椅子に座って足を前に投げ出すといった姿勢が、長座位の代表的な例です。この姿勢は、股関節が伸び、膝の裏側が縮んだ状態になります。一見すると楽な姿勢に思える長座位ですが、実は体への負担が大きい場合があり、注意が必要です。長座位を長時間続けると、腰や背中に負担がかかりやすくなります。これは、長座位によって骨盤が後ろに傾き、腰椎と呼ばれる腰の骨が自然なS字カーブを描けなくなるためです。その結果、腰痛や猫背の原因になる可能性があります。また、太ももの裏側の筋肉が硬くなりやすい点も長座位の特徴です。太ももの裏側の筋肉が硬くなると、骨盤の動きが悪くなり、腰痛や姿勢が悪くなるだけでなく、血行不良や冷え性の原因にも繋がることがあります。さらに、長座位は股関節の柔軟性を低下させる可能性も孕んでいます。股関節の柔軟性が低下すると、歩く、立つ、座るといった日常生活の動作に支障が出る可能性があります。長座位は、体の柔軟性や筋力、体の状態によって負担が大きく異なる姿勢です。長座位をとる際は、こまめな姿勢の変換やストレッチを取り入れるなど、体の負担を軽減するための工夫を心がけましょう。
皮膚科

性器ヘルペス:知っておきたいこと

- 性器ヘルペスとは性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)と呼ばれるウイルスが原因で発症する性感染症の一つです。性器ヘルペスに感染すると、性器やその周辺の皮膚に、痛みを伴う水ぶくれや潰瘍といった症状が現れます。性器ヘルペスの主な感染経路は、性行為です。感染している人の体液や粘膜に触れることで、ウイルスが体に侵入し感染します。具体的には、性器同士の接触だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスによっても感染する可能性があります。性器ヘルペスの厄介な点は、症状が現れずに感染している場合があることです。自覚症状がないまま性行為を行うことで、知らず知らずのうちに相手に感染させてしまう可能性もあります。また、一度感染すると、ウイルスは体内に潜伏し続けます。普段は症状が現れないものの、体調不良やストレスなどによって免疫力が低下すると、再び症状が現れることがあります。これを再発と呼びます。性器ヘルペスの治療法は確立されていませんが、症状を和らげる抗ウイルス薬があります。性器ヘルペスの疑いがある場合や、不安なことがあれば、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
検査

隠れた脅威を探る:背部誘導心電図とV7

心臓の電気的な活動を波形として記録する心電図検査は、循環器系の病気の診断に欠かせない検査です。 一般的に行われる12誘導心電図検査では、体の表面の特定の位置に電極を貼り付けることで、心臓の様々な方向から電気信号を捉えます。これにより多くの心臓病を診断することができますが、心臓の後壁と呼ばれる部分は、12誘導心電図では捉えきれないことがあります。 心臓の後壁は、心臓の後ろ側にある部分で、主に左心室の後壁と左心房の一部から構成されています。この部分は、心臓のポンプ機能において重要な役割を果たしており、後壁の異常は、心筋梗塞や不整脈などの深刻な心臓病に繋がる可能性があります。 12誘導心電図だけでは、後壁の異常を見つけることが難しい場合があります。そこで、より詳しく後壁の状態を把握するために、背部誘導心電図が用いられます。 背部誘導心電図では、背中に追加の電極を配置することで、心臓の後壁から発生する電気信号をより鮮明に捉えることができます。 背部誘導心電図は、12誘導心電図だけでは診断が難しい後壁の異常を検出する上で非常に有用な検査です。これにより、より正確な診断と適切な治療に繋げることが可能となります。
心の問題

働く人の心の健康を守る!ストレスチェック制度とは

近年、仕事内容の多様化や職場における人間関係の複雑化に伴い、多くの労働者が精神的な負担を抱えています。こうした状況を背景に、労働者の心の健康を守り、より働きやすい環境を作ることを目的として、ストレスチェック制度が導入されました。この制度は、従業員が50人以上の職場では、2015年12月から法律によって実施が義務付けられています。 ストレスチェック制度では、まず労働者に対して、質問票を用いたストレスの度合いを測る検査を行います。この検査は、労働者が自身のストレスに気づくためのものです。検査結果は、本人に直接フィードバックされる仕組みとなっており、プライバシー保護の観点から、事業者に知られることはありません。 検査結果に基づき、医師や保健師といった専門家による面接指導が希望者に対して行われます。面接指導では、個々の状況に合わせて、ストレスの要因やその対処法などについて具体的なアドバイスを受けることができます。ストレスチェック制度を通して、自らのストレス状態を把握し、専門家によるサポートを受けることで、労働者は自身の心の健康を積極的に管理していくことができるのです。
心の問題

怒り:その正体と影響

私たちは日々、喜びや悲しみ、そして怒りといった、様々な感情を経験しながら生きています。こうした感情の中でも、「怒り」は特に強いエネルギーを持つ感情と言えるでしょう。 では、この「怒り」とは一体どのような感情なのでしょうか。心理学者の湯川進太郎氏の著書『バイオレンス ―攻撃と怒りの臨床社会心理学―』では、怒りとは「自己もしくは社会への不当なもしくは故意による、物理的もしくは心理的な侵害に対する自己防衛もしくは社会維持のために喚起された心身の準備状態」と定義されています。 少し難しい言い回しですが、簡単に言うと、自分自身や大切なものが攻撃されたと感じた時、私たちは自分を守るために、あるいは社会の秩序を守るために、自然と怒りの感情を抱くということです。 例えば、大切な人に嘘をつかれた時、理不尽な扱いを受けた時、私たちは攻撃されたと感じ、怒りを感じます。これは、自分自身や大切な関係を守るための自然な反応と言えるでしょう。また、社会のルールを破る行為を見た時にも、私たちは怒りを感じることがあります。これは、社会の秩序や正義を維持しようとする気持ちから生まれる怒りと言えるでしょう。
消化器

腸内環境を整える腸洗浄:その方法と効果

- 腸洗浄とは腸洗浄は、肛門から専用のチューブを用いて大腸に温水を注入し、腸内に溜まった便や老廃物を洗い流す健康法です。近年、便秘解消や体内の毒素を排出するデトックス効果があるとされ、注目を集めています。私たちの体内では、口から摂取した食べ物は胃や腸で消化・吸収され、不要なものが便として排出されます。しかし、食生活の乱れや運動不足、ストレスなどによって腸の働きが弱まると、便が腸内に長くとどまり、便秘を引き起こしやすくなります。便秘は、お腹の張りや痛み、肌荒れ、食欲不振などの不快な症状を引き起こすだけでなく、腸内環境を悪化させ、様々な病気のリスクを高めるとも言われています。腸洗浄は、このような便秘の解消や腸内環境の改善を目的として行われます。腸内に直接温水を注入することで、溜まった便を柔らかくし、自然な排便を促します。また、腸壁に付着した老廃物も一緒に洗い流すことで、腸内を清潔に保ち、腸の働きを活性化させる効果も期待できます。しかし、腸洗浄は医療行為ではないため、安易に行うことは推奨されていません。腸洗浄のリスクや副作用については、次の項で詳しく解説します。
泌尿器

意外と知らない尿路損傷:原因と症状

- 尿路損傷とは尿路損傷とは、体の中で尿が作られてから体外に排出されるまでの道筋である「尿路」の一部が傷つくことを指します。この尿路は、尿を作る腎臓、尿を膀胱まで運ぶ尿管、尿を貯めておく膀胱、そして尿を体外に排出する尿道から成り立っています。尿路損傷は、これらのどの部位で起こることもあります。尿路損傷の原因として最も多いのは、交通事故や高いところからの転落などによる強い衝撃です。また、お腹の手術中に誤って尿路を傷つけてしまうことも少なくありません。尿路損傷の症状は、損傷の程度や部位によって大きく異なります。比較的軽い損傷の場合、血尿が見られる程度で、痛みなどの自覚症状がないこともあります。一方、重症の場合には、お腹や腰に強い痛みを感じたり、尿が漏れてきたりすることがあります。尿路損傷は、早期に発見して適切な治療を行えば、多くの場合、後遺症を残さずに治すことができます。しかし、発見や治療が遅れると、尿毒症などの重い合併症を引き起こす可能性があります。そのため、尿路損傷が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。

血をサラサラにする薬 クロピドグレル

- クロピドグレルとはクロピドグレルは、血液を固まりにくくする薬として、多くの医療機関で使用されています。正式には「クロピドグレル硫酸塩」という名前で、チエノピリジン系抗血小板薬という種類の薬に分類されます。 私たちの血液中には、けがなどで血管が傷ついたときに血を止める働きをする血小板という成分があります。ところが、動脈硬化が進むと、この血小板が血管内で異常に集まりやすくなってしまい、血管が詰まってしまうことがあります。クロピドグレルは、血小板が固まるのを抑えることで、動脈硬化によって引き起こされる様々な病気を予防したり、治療したりする効果があります。 具体的には、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などの病気に対して、再発予防を目的として使用されます。また、心臓のカテーテル治療やステント留置術を受けた後にも、血栓の形成を防ぐために用いられます。 クロピドグレルは、医療従事者の指示に従って服用する必要があります。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは大変危険です。副作用としては、胃痛や吐き気、下痢、発疹などがみられることがあります。もし、服用中に気になる症状が現れた場合は、速やかに医師または薬剤師に相談してください。
心の問題

自分を信じるとは?自己効力感のススメ

- 自己効力感とは何か自己効力感とは、平たく言えば「自分は何かできる」と信じられる力のことです。目の前に課題や目標が立ちはだかった時、「自分ならきっとできる」「これは自分にとって乗り越えられる壁だ」と感じられる力は、目標達成を大きく左右します。この感覚は、単なる根拠のない自信とは一線を画します。過去の経験や学習を通して培われた、自分自身の能力に対する現実的な評価が、自己効力感を支えているのです。例えば、過去に難しい試験を乗り越えた経験があれば、「今回も努力すれば合格できるはずだ」という自己効力感が生まれます。逆に、以前に似たような課題で失敗した経験があると、「どうせ今回も上手くいかないだろう」と、自己効力感が低い状態に陥ってしまう可能性があります。自己効力感は、目標達成へのモチベーションや行動意欲、そして粘り強さに大きく影響を与えます。自己効力感が高い人は、困難な課題にも積極的に挑戦し、失敗を恐れずに努力を継続できます。一方、自己効力感が低い人は、挑戦すること自体を避けたり、困難に直面すると諦めやすくなってしまう傾向があります。自己効力感は、経験や学習によって高めることができます。小さな成功体験を積み重ねることで、徐々に自信を育てることが重要です。また、目標達成までの具体的なイメージを持つことや、周りの人のサポートや励ましも、自己効力感を高める上で効果が期待できます。
脳・神経

発達障害とは?

- 発達障害の定義発達障害とは、脳の発達における特徴が原因で、幼い頃から学生時代にかけて、日常生活や学習において様々な困難が生じる状態を指します。発達障害は、大きく分けて、自閉症、アスペルガー症候群といった広汎性発達障害と、学習障害、注意欠如多動症(ADHD)といった特定の能力の発達に偏りが見られる障害があります。発達障害は、決して知能の遅れではありません。知的な発達には問題がないものの、コミュニケーションや社会性、学習、注意などに困難が生じる場合があります。例えば、自閉症の人は、言葉によるコミュニケーションや他人との関わりが苦手な一方、特定の分野において優れた集中力や記憶力を発揮することがあります。また、ADHDの人は、注意を持続することが難しく、落ち着きのない行動が見られる一方、高い創造性や行動力を持ち合わせていることがあります。発達障害は、その特性や程度は人それぞれです。 大切なのは、それぞれの特性を理解し、その人に合った環境や教育を提供することです。そうすることで、発達障害のある人も、その能力を最大限に発揮し、社会で活躍していくことができるのです。
看護技術

エンジェルメイク:最愛の人との最後の別れを支えるケア

- エンジェルメイクとは病院で息を引き取った後、患者さんの顔には、病気による苦痛の跡や、治療の際に付いた傷、体液などが見られることがあります。そこで、旅立ちゆく方が少しでも安らかに見えるよう、看護師など医療従事者が行う死化粧のことを「エンジェルメイク」と呼びます。エンジェルメイクは、まず清潔なガーゼやコットンを用いて、顔についた汚れや体液をやさしく拭き取ることから始まります。そして、顔色を整えるために、薄い色のファンデーションを顔全体に塗っていきます。ただし、生前の元気な姿を求めて、普段通りの濃い化粧を施すことは控えられます。あくまでも、自然で安らかな表情を作ることが目的だからです。エンジェルメイクは、故人にとって最後の身だしなみを整えるという意味合いがあります。また、残された家族が、穏やかな気持ちで最期の別れを迎えられるようにという配慮も込められています。最愛の人を亡くした家族にとって、安らかな顔で眠るように見えることは、深い悲しみの中でも、少しの慰めとなるからです。近年では、病院によっては、エンジェルメイクを専門とする業者に依頼するケースも増えています。しかし、エンジェルメイクは、単なる化粧ではなく、故人への敬意と、遺族への配慮から生まれる、温かい思いやりの心から生まれる行為と言えるでしょう。
泌尿器

尿路ストーマ:人工的に作られた尿の出口

- 尿路ストーマとは尿路ストーマとは、病気や怪我などが原因で、膀胱や尿道が本来の役割を果たせなくなった際に、腎臓でつくられた尿を体の外に出すために、お腹に人工的に作られた出口のことを指します。通常、尿は腎臓で作られた後、膀胱に一時的に溜められ、尿道を通って体外に排出されます。しかし、膀胱がんや尿道がん、あるいは事故による損傷などにより、この尿の経路が正常に機能しなくなることがあります。このような場合に、尿を体外に排出するための代替的な経路として、尿路ストーマが作られます。具体的には、お腹に小さな開口部を作り、そこに尿管と呼ばれる、腎臓から膀胱へと尿を運ぶ管をつなぎます。これにより、尿は膀胱を通ることなく、お腹に設置されたストーマと呼ばれる袋に直接排出されるようになります。尿路ストーマには、その形状や位置によっていくつかの種類があります。代表的なものとしては、お腹の右側に作られることが多い「右片尿路ストーマ」や、左右両側に作られる「両側尿路ストーマ」などが挙げられます。どの種類のストーマが適しているかは、患者さんの状態や生活習慣などを考慮して決定されます。尿路ストーマの設置は、患者さんの生活に大きな変化をもたらします。そのため、医師や看護師などの医療従事者から、ストーマの管理方法や日常生活における注意点について、丁寧に指導を受けることが重要です。
検査

聴診器:医師の耳となる道具

聴診器は、医師が診察を行う際に欠かせない道具の一つです。体の表面に直接当てることで、心臓や肺など、体の内部から発生する音を聞くことができます。レントゲン写真のように体の中を直接見ることができるわけではありませんが、聴診器を通して聞こえる音は、医師にとって患者の状態を知るための重要な手がかりとなります。 聴診器は、大きく分けて集音部と伝音部に分かれています。集音部は、患者の体に直接当てる部分で、ここから体の内部の音を集めます。伝音部は、集めた音を医師の耳に伝える部分で、チューブや耳当てなどが含まれます。 聴診器を使うことで、心臓の音を聞いて脈拍の速さやリズムの異常を調べたり、肺の音を聞いて呼吸の状態を確認したりすることができます。また、お腹の音を聞くことで、消化器官の状態を判断することもできます。 聴診器は、医療現場において、患者を診察する際に欠かせない道具であり、医師は聴診器で得られた情報を他の診察方法と組み合わせることで、より正確な診断を下すことができます。
心の問題

気分障害:心の波に乗りこなすために

- 気分障害とは気分障害は、心の状態が乱れてしまう病気の総称です。喜怒哀楽といった、誰もが当たり前に感じる感情は、気分障害を持つ人においても、もちろん感じることができます。しかし、その感情の強さや変化、持続時間が、日常生活に支障をきたすほど大きく乱れてしまうのが特徴です。例えば、本来であれば楽しいと感じるはずの出来事に対しても、全く喜びを感じられなかったり、逆に些細なことで激しく落ち込んでしまったりすることがあります。また、気分が沈んだ状態が何日も、時には何週間、何ヶ月も続いてしまい、仕事や家事、学業に集中できない、食欲や睡眠に影響が出るといった問題が生じることもあります。気分障害には、うつ病や双極性障害など、いくつかの種類があります。それぞれの症状や原因、治療法は異なるため、自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。気分障害は決して特別なものではなく、誰でもかかる可能性のある病気です。一人で抱え込まず、周りの人に相談したり、専門家の助けを求めるようにしましょう。
小児科

赤ちゃんのための食事: 離乳食について

- 離乳食とは生まれてきたばかりの赤ちゃんは、お母さんからもらった母乳やミルクだけで必要な栄養をすべて摂ることができます。しかし、生後5~6か月頃になると、身体の成長が進むにつれて、母乳やミルクだけでは必要な栄養を補いきれなくなってきます。そこで始まるのが「離乳食」です。離乳食とは、母乳やミルク以外の食べ物を少しずつ食べる練習を通して、赤ちゃんが食事から栄養を摂れるようにするための大切な準備期間と言えます。この時期に様々な食材の味や食感に慣れておくことで、将来、食べることを楽しめるようになるだけでなく、心も体も健やかに成長していくために必要な栄養をしっかりと摂ることができるようになるのです。離乳食は、赤ちゃんの発育段階に合わせて進めていくことが大切です。最初は、トロトロとした液体状の食べ物から始め、徐々に固さや形状を変えながら、食べられる食材を増やしていきます。赤ちゃんの様子を見ながら、焦らず、ゆっくりと進めていくことが、離乳食を成功させるための鍵となります。離乳食は、赤ちゃんが「食べる」ことを学び、成長していくための大切なステップです。保護者の方は、赤ちゃんのペースに合わせて、愛情を込めて離乳食を進めていきましょう。
看護技術

患者様中心の医療:看護計画とは

- 看護計画の定義 看護計画とは、患者さん一人ひとりの状態やニーズに合わせて作成される、個別化された看護ケアの指針となるものです。まるで患者さん一人ひとりのためのオーダーメイドの治療計画書のようなもので、病気や怪我、障害などによって生じる様々な困難な状況や、患者さんが抱える様々な要望に対して、看護師が専門的な知識や技術を駆使して、どのようにケアを提供していくのかを具体的に示した計画書と言えます。 例えば、歩行が困難な患者さんに対しては、「安全に歩行できるように介助する」という一般的な目標だけでなく、「いつまでに」「どのような方法で」「どの程度の距離を」「何回」歩行練習を行うかなど、具体的な目標や方法が明確にされます。 看護計画は、患者さんが安全で安楽な入院生活を送れるように、そして一日も早く回復できるように、医師や理学療法士、栄養士など、他の医療専門職と連携しながら作成されます。そして、患者さんの状態の変化に合わせて随時見直しが加えられ、より適切な看護が提供されるよう努められます。
泌尿器

点滴静注腎盂造影:腎臓の形態と機能を調べる検査

- 点滴静注腎盂造影とは点滴静注腎盂造影(DIP)は、腎臓の働きや尿の通り道である尿路の形を詳しく調べるための検査です。 検査ではまず、血管に点滴の針を刺し、そこから造影剤と呼ばれる薬を注入します。 この造影剤は、レントゲン写真に白く映し出される性質があります。 造影剤が血液に乗って腎臓に到達すると、腎臓は血液から老廃物などを濾過して尿を生成し、尿路を通して体外へ排出する働きをします。 点滴静注腎盂造影では、造影剤を注入してから決められた時間ごとに複数回レントゲン撮影を行うことで、腎臓が造影剤をどのように尿へ排泄していくのかを観察します。 この検査によって、腎臓の大きさや形、体の中での位置などを詳しく知ることができます。 また、尿が腎臓から膀胱までスムーズに流れているか、尿路が狭くなっていたり、詰まっていたりしないかなども調べることができます。 点滴静注腎盂造影は、腎臓や尿路の病気の診断に非常に役立つ検査と言えるでしょう。
食生活

驚異の藻!クロレラの秘密

- クロレラとは クロレラは、肉眼では確認できないほど小さな藻の一種です。その緑色の体から、ギリシャ語で「緑」を意味する「クロロス」という言葉にちなんで名付けられました。 水田や湖沼など、私たちの身近な水辺に生息し、太陽の光を浴びて光合成を行います。 クロレラは、私たち人間を含む動物にとって欠かせない酸素を、光合成によって作り出すことができます。 つまり、私たちが日々吸っている酸素の一部は、クロレラのような小さな生き物から供給されているともいえるのです。 クロレラは、その小さな体の中に、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、たくさんの栄養素を蓄えています。 そのため、古くから健康食品やサプリメントとして利用されてきました。 近年では、クロレラが持つ様々な健康効果に注目が集まっており、さらなる研究が期待されています。
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