肺炎球菌:身近に潜む脅威

呼吸器

肺炎球菌:身近に潜む脅威

病院での用語を教えて

先生、「肺炎球菌」って、健康な人にもいるって本当ですか?病気じゃないのに、体の中にいるのってなんか変じゃないですか?

体の健康研究家

いい質問だね!確かに、健康な人にも肺炎球菌がいるって、不思議に思うよね。実は、私たちの体には、たくさんの種類の菌が住んでいて、お互いにバランスを保っているんだ。これを「常在菌」って言うんだけど、肺炎球菌も、この常在菌の一種なんだよ。

病院での用語を教えて

へえー、そうなんですね!じゃあ、なんで病気になっちゃうんですか?

体の健康研究家

普段は、体の免疫の力で、肺炎球菌が増えすぎないように抑えられているんだ。でも、疲れていたり、風邪を引いていたりして、免疫力が弱まると、肺炎球菌が増えて、肺炎などの病気を引き起こすことがあるんだよ。

肺炎球菌とは。

「肺炎球菌」は、丸い形をした細菌で、二つずつペアになって存在しています。この細菌は、健康な大人の5~10%、健康な子供の20~40%の鼻や喉に見られますが、普段は病気を起こしません。しかし、体の抵抗力が弱まっている高齢の方や、病気の治療などで抵抗力が落ちている方では、肺炎などの病気を引き起こすことがあります。また、タバコを吸う方や、肺の病気、肝臓の病気を持っている方も、肺炎球菌による病気にかかりやすいと言われています。この細菌は、表面に「莢膜(きょうまく)」と呼ばれる、白血球などの攻撃から身を守るための膜を持っています。そして、この「莢膜」には90種類以上の型があることが分かっています。

肺炎球菌とは

肺炎球菌とは

– 肺炎球菌とは肺炎球菌は、私達の身の回りにごく普通に存在している細菌です。普段は、健康な人の鼻や喉などに住み着いていて、特に悪影響を及ぼすことはありません。しかし、病気や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、この肺炎球菌が体内で増殖し、様々な病気を引き起こすことがあります。肺炎球菌は、その名前から肺炎の原因菌としてよく知られていますが、肺炎以外にも、髄膜炎や敗血症といった命に関わる重い病気の原因となることもあります。髄膜炎は、脳や脊髄を包む髄膜に炎症が起こる病気で、高熱や頭痛、嘔吐などの症状が現れます。敗血症は、細菌が血液中に侵入し、全身に炎症が広がる病気で、発熱や意識障害、ショック状態などを引き起こし、死に至ることもあります。このように、肺炎球菌感染症は、決して軽視できない病気です。特に、高齢者や乳幼児、基礎疾患のある方などは、肺炎球菌による重症化リスクが高いため注意が必要です。肺炎球菌感染症から身を守るためには、普段から手洗いとうがいを徹底し、バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、免疫力を高めておくことが重要です。また、肺炎球菌ワクチンの接種も有効な予防策となります。

項目 内容
病原体 肺炎球菌
特徴
  • 常在細菌:普段は鼻や喉に存在し、悪影響はない
  • 免疫力低下時に増殖し、様々な病気を引き起こす
引き起こされる病気
  • 肺炎
  • 髄膜炎:脳や脊髄の髄膜に炎症が起こる病気(症状:高熱、頭痛、嘔吐など)
  • 敗血症:細菌が血液に侵入し、全身に炎症が広がる病気(症状:発熱、意識障害、ショック状態など)
重症化リスクが高い人 高齢者、乳幼児、基礎疾患のある方
予防策
  • 手洗いとうがいの徹底
  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠
  • 肺炎球菌ワクチンの接種

肺炎球菌による病気

肺炎球菌による病気

– 肺炎球菌による病気

肺炎球菌は、その名前が示すように、肺炎の主な原因となる細菌です。肺炎は、肺に炎症が起こり、咳、痰、発熱といった症状が現れます。高齢者や幼児、免疫力が低下している人は、肺炎球菌による肺炎に罹りやすく、重症化するリスクも高いため、特に注意が必要です。

しかし、肺炎球菌は肺炎以外にも、髄膜炎、中耳炎、敗血症など、様々な病気を引き起こすことが知られています。

髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている髄膜に炎症が起こる病気です。高熱、頭痛、嘔吐の他に、意識障害やけいれん、首の硬直といった症状が現れることもあります。髄膜炎は命に関わる危険性も高く、早期の診断と治療が重要です。

中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳腔に炎症が起こる病気です。耳の痛みや発熱、耳だれといった症状が現れ、特に乳幼児に多くみられます。繰り返し中耳炎を起こすと、難聴になる可能性もあるため注意が必要です。

敗血症は、細菌が血液中に侵入し、全身に炎症が広がる病気です。高熱や意識障害、ショックといった症状が現れ、死に至る可能性もある非常に重い病気です。肺炎球菌による敗血症は、高齢者や免疫力が低下している人において特に注意が必要です。

このように、肺炎球菌は様々な病気を引き起こす危険な細菌です。日頃から予防対策を心掛け、感染から身を守るようにしましょう。

病気 症状 リスクが高い人
肺炎 咳、痰、発熱 高齢者、幼児、免疫力が低下している人
髄膜炎 高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん、首の硬直
中耳炎 耳の痛み、発熱、耳だれ 乳幼児
敗血症 高熱、意識障害、ショック 高齢者、免疫力が低下している人

リスクが高い人

リスクが高い人

肺炎球菌は、誰もが感染する可能性のある身近な細菌ですが、高齢者や乳幼児、免疫力が低下している人は、肺炎球菌に感染すると重症化するリスクが特に高くなります。
高齢者は、加齢に伴い免疫力が低下していくため、肺炎球菌に対する抵抗力が弱まってしまいます。さらに、高血圧や糖尿病、心臓病などの基礎疾患(持病)を持っている場合が多いことも、肺炎球菌感染症を重症化させる要因となります。これらの基礎疾患があると、肺炎球菌に対する体の防御反応が十分に働かず、重症な肺炎や敗血症などを引き起こしやすくなるため注意が必要です。
また、乳幼児は免疫システムが未発達なため、肺炎球菌に感染しやすく、重症化しやすい状態にあります。特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、肺炎球菌に対する免疫力が極めて低く、重症化するリスクが最も高いため、周囲の大人が注意することが重要です。
さらに、脾臓は免疫機能において重要な役割を担っているため、脾臓を摘出した人は免疫力が低下し、肺炎球菌感染症のリスクが高くなります。また、HIV感染者など、免疫力が低下している人も同様に注意が必要です。

リスクが高い人 理由
高齢者 免疫力の低下、基礎疾患(高血圧、糖尿病、心臓病など)を持っている場合が多い
乳幼児、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃん 免疫システムが未発達、肺炎球菌に対する免疫力が極めて低い
脾臓を摘出した人 免疫機能が低下
HIV感染者など免疫力が低下している人 免疫力が低下

肺炎球菌の予防

肺炎球菌の予防

肺炎球菌は、肺炎をはじめとするさまざまな感染症を引き起こす細菌です。特に、高齢者や乳幼児など、免疫力が低下している人は肺炎球菌による感染症にかかりやすく、重症化するリスクも高いため注意が必要です。

肺炎球菌感染症を予防するためには、ワクチン接種が有効です。肺炎球菌ワクチンには、大きく分けて二つの種類があります。一つは、肺炎球菌の莢膜という部分にある多糖体をワクチンにしたものです。もう一つは、肺炎球菌の莢膜多糖体と、免疫の働きを助けるタンパク質を結合させたものです。結合型ワクチンは、多糖体ワクチンに比べて、より強い免疫応答を誘導することができます。

肺炎球菌ワクチンは、定期接種には含まれていません。しかし、65歳以上の高齢者や、心臓、肺、腎臓などの基礎疾患を持つ人、糖尿病や免疫不全などの人は、肺炎球菌による感染症のリスクが高いことから、積極的にワクチン接種を検討することが推奨されています。また、2歳未満の乳幼児も、肺炎球菌による髄膜炎や肺炎などの重症化を防ぐため、ワクチン接種が推奨されています。

肺炎球菌ワクチンは、他のワクチンと同様に、接種によって、注射部位の痛みや腫れ、発熱などの副反応が現れることがあります。しかし、これらの副反応は、ほとんどの場合、軽度であり、数日以内に治まります。肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌感染症から身を守る上で有効な手段の一つです。接種を検討する際には、医師と相談の上、ご自身の健康状態やリスクなどを考慮し、適切な判断をしてください。

項目 内容
原因 肺炎球菌という細菌
危険因子 高齢者、乳幼児、免疫力低下者
予防策 ワクチン接種
ワクチンの種類 ・多糖体ワクチン
・結合型ワクチン(多糖体+タンパク質)
ワクチンの効果 肺炎球菌感染症の予防
推奨対象者 ・65歳以上の高齢者
・基礎疾患を持つ人(心臓、肺、腎臓など)
・糖尿病や免疫不全の人
・2歳未満の乳幼児
副反応 注射部位の痛み、腫れ、発熱など(軽度、数日以内に治癒)

まとめ

まとめ

私たちの身の回りには、目には見えないながらも、たくさんの種類の細菌が存在しています。その中には、普段は特に害を及ぼさないものの、時として私たちの体に侵入し、様々な病気を引き起こすものもいます。肺炎球菌も、そうした細菌の一つです。健康な状態であれば、特に影響はありませんが、免疫力が低下している時などは、肺炎球菌が体内に侵入し、肺炎や髄膜炎などを発症することがあります。これらの病気は、場合によっては命に関わるほど重症化することもあるため、注意が必要です。

特に、高齢者や乳幼児は、免疫力が低下しやすいため、肺炎球菌感染症にかかりやすく、重症化するリスクも高くなります。高齢になるにつれて、体の様々な機能が低下していくように、免疫力も低下していくことは自然なことです。また、乳幼児は、まだ免疫システムが未発達なため、肺炎球菌に対する抵抗力が弱い状態です。さらに、免疫抑制剤を使用している人や、糖尿病などの基礎疾患がある人も、肺炎球菌感染症のリスクが高いと言われています。

肺炎球菌感染症は、ワクチン接種によって予防することができます。定期接種ではありませんが、高齢者や乳幼児などは、積極的にワクチン接種を受けることが推奨されています。また、手洗い・うがいを徹底する、バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけるなど、日常生活の中で免疫力を高めることも重要です。

項目 内容
肺炎球菌の特徴 普段は無害だが、免疫力が低下すると肺炎や髄膜炎などを引き起こす可能性がある
肺炎球菌感染症のリスクが高い人
  • 高齢者
  • 乳幼児
  • 免疫抑制剤を使用している人
  • 糖尿病などの基礎疾患がある人
予防策
  • ワクチン接種
  • 手洗い・うがい
  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠

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