患者中心の医療記録:POMRとは?

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患者中心の医療記録:POMRとは?

病院での用語を教えて

先生、POMRってなんですか?

体の健康研究家

POMRは、Problem Oriented Medical Recordの略で、日本語では「問題志向型診療録」って言うんだ。患者さんの問題に焦点を当てて記録していく方法のことだよ。

病院での用語を教えて

患者さんの問題に焦点を当てるって、どういうことですか?

体の健康研究家

例えば、熱がある患者さんがいたとしよう。熱だけじゃなくて、他にどんな症状があるのか、どんな病気の可能性があるのか、どんな治療が必要なのか、といったことを記録していくんだ。そうすることで、医療チーム全体で患者さんの問題を共有し、より良い治療につなげることができるんだよ。

POMRとは。

「ピーオーエムアール」は、英語で「Problem Oriented Medical Record」の頭文字をとった言葉で、日本語では「問題志向型診療録」といいます。これは、患者さんが抱えている健康上の問題に焦点を当て、その問題を中心に治療を進める「問題志向型医療」(POM)の考え方に基づいた記録方法です。ピーオーエムアールを用いることで、医師や看護師など医療に関わる様々な職種の人たちが、解決すべき問題を明確に共有し、協力して治療にあたることができます。

問題志向型診療録:POMR

問題志向型診療録:POMR

– 問題志向型診療録POMRとはPOMR(ピーオーエムアール)は、Problem Oriented Medical Recordの略称で、日本語では「問題志向型診療録」と呼ばれています。これは、従来の診療録のように診察日時や診療科ごとに時系列で記録するのではなく、患者さんが抱える医学的な問題点を軸にして記録するという、全く異なる方法です。従来型の診療録では、膨大な記録の中から必要な情報を探し出すことに時間がかかり、情報が断片的になりがちでした。一方で、POMRでは、問題点ごとに診療経過や検査結果、治療計画などが整理されて記録されるため、医療従事者間で情報を共有しやすく、患者さん一人ひとりに合わせた適切な医療を提供することに役立ちます。POMRは、大きく分けて以下の4つの構成要素から成り立っています。1. -問題点一覧表(Problem List)- 患者さんの抱える医学的な問題点をリスト化したもの2. -経過記録(Progress Note)- SOAP形式と呼ばれる一定の様式を用いて、診療経過を記録したもの。SOAPは、主観的情報(Subjective)、客観的情報(Objective)、評価(Assessment)、計画(Plan)の頭文字をとったもの3. -初期情報データベース(Database)- 患者さんの既往歴や身体診察の結果、検査データなど、診療に必要な基礎情報をまとめたもの4. -治療計画表(Treatment Plan)- 各問題点に対する具体的な治療方針や、今後の診療計画をまとめたものPOMRは、医療の質向上や患者さん中心の医療の実現に向けて、重要な役割を果たすと期待されています。

項目 説明
POMR の定義 Problem Oriented Medical Record の略称で、日本語では「問題志向型診療録」と呼ばれています。患者さんが抱える医学的な問題点を軸にして記録する方法です。
POMR のメリット – 医療従事者間で情報を共有しやすい
– 患者さん一人ひとりに合わせた適切な医療を提供することに役立つ
POMR の構成要素 1. 問題点一覧表(Problem List): 患者さんの抱える医学的な問題点をリスト化したもの
2. 経過記録(Progress Note): SOAP形式を用いて、診療経過を記録したもの
3. 初期情報データベース(Database): 患者さんの既往歴や身体診察の結果、検査データなど、診療に必要な基礎情報をまとめたもの
4. 治療計画表(Treatment Plan): 各問題点に対する具体的な治療方針や、今後の診療計画をまとめたもの
POMR の期待される役割 医療の質向上や患者さん中心の医療の実現

POMRの誕生背景

POMRの誕生背景

– POMRの誕生背景従来の診療録は、患者さんの来院ごとに時系列で記録していく形式でした。そのため、診察の内容や検査結果などが診療録の中でバラバラに記録されてしまい、必要な情報を探すのに時間がかかっていました。これは、情報が散逸しやすいという点で、医療従事者にとって大きな課題でした。

例えば、過去の特定の症状に関する経過を把握しようとした際、膨大な記録の中から関連する情報を拾い集める必要があり、情報共有の妨げになっていました。

このような課題を解決するために、1960年代にアメリカの医師であるローレンス・ウィードは、POMR(Problem-Oriented Medical Record)を提唱しました。POMRは、患者さんが抱える医学的な問題を明確化し、その問題を中心に診療録を構成するという、全く新しい記録方式でした。

これは、従来の時系列的な記録形式とは異なり、問題解決を指向した医療を提供することを目的としていました。POMRの導入によって、医療従事者間での情報共有がスムーズになり、より質の高い医療を提供することが期待されました。

従来の診療録 POMR
患者さんの来院ごとに時系列で記録
情報が散逸しやすく、必要な情報を探すのに時間がかかる
情報共有の妨げになる
患者さんが抱える医学的な問題を中心に診療録を構成
問題解決を指向した医療を提供
医療従事者間での情報共有をスムーズにする

POMRの4つの構成要素

POMRの4つの構成要素

患者中心の医療記録であるPOMR(Problem-Oriented Medical Record)は、大きく分けて四つの構成要素から成り立っています。

まず、患者さんが抱えている医療的な問題点を分かりやすくリスト化したものが「問題リスト」です。これは、例えば、高血圧や糖尿病といった病気、症状、検査値の異常など、患者さんが抱えるあらゆる医学的な問題を具体的に示したものです。

次に、診察や検査の結果、得られた客観的な情報をまとめたものが「データベース」です。ここには、体温や血圧といったバイタルサイン、身体診察の所見、血液検査や画像検査などの結果、さらには過去の病歴や家族歴なども含まれます。このデータベースは、問題リストを作成する際の根拠となるだけでなく、その後の診療にも役立てられます。

そして、問題リストに基づいて、医師がどのような検査や治療を行うかを具体的に計画したものが「初期計画」です。ここでは、それぞれの問題に対して、検査が必要かどうか、どのような治療を行うか、患者さんへの生活指導はどうするかなどを決めていきます。

最後に、診療開始後の経過や治療内容、患者さんの状態の変化などを時系列に記録したものが「経過記録」です。ここには、日々の診察内容、検査結果、治療の変更、患者さんの訴えや症状の変化などが詳細に記録されます。経過記録は、POMRの中でも特に重要な部分であり、医療従事者間で情報を共有し、患者さんに最適な医療を提供するために欠かせないものです。

POMR構成要素 説明
問題リスト 患者さんの抱えている医療的な問題点を分かりやすくリスト化したもの(例:高血圧、糖尿病、症状、検査値の異常など)
データベース 診察や検査の結果、得られた客観的な情報をまとめたもの(例:バイタルサイン、身体診察の所見、検査結果、病歴、家族歴など)
初期計画 問題リストに基づいて、医師がどのような検査や治療を行うかを具体的に計画したもの(例:検査の必要性、治療内容、生活指導など)
経過記録 診療開始後の経過や治療内容、患者さんの状態の変化などを時系列に記録したもの(例:日々の診察内容、検査結果、治療の変更、患者さんの訴えや症状の変化など)

POMRのメリット:問題の共有と解決に有効

POMRのメリット:問題の共有と解決に有効

近年、医療現場において、患者中心の医療の考え方が広まりつつあります。その考え方に基づき、患者さんの診療記録を症状や問題点ごとにまとめる診療録、すなわちPOMR(Problem-Oriented Medical Record)が注目されています。

POMRでは、患者さんの抱える問題を医療従事者間で共有することが容易になります。従来型の診療録では、それぞれの医療従事者が個別に記録を残すため、他の医療従事者にとっては、必要な情報を探し出すことが困難でした。しかし、POMRでは、問題点ごとに診療記録が整理されているため、誰でも必要な情報に容易にアクセスできます。

また、POMRは、問題解決を促進するという点でも優れています。問題点が明確になることで、医師、看護師、薬剤師など、多様な職種の医療従事者がそれぞれの専門知識を活かして、患者さんの治療方針について検討しやすくなります。従来のように、それぞれの医療従事者が個別に対応するのではなく、チーム全体で問題解決に取り組む体制が構築できるのです。

さらに、POMRは、患者さん自身の健康に対する意識を高める効果も期待できます。POMRでは、患者さんが自身の健康状態や治療方針について理解しやすいように、分かりやすい言葉で記録されます。そのため、患者さんは自身の治療に積極的に参加することが期待できます。

項目 従来型診療録 POMR (Problem-Oriented Medical Record)
情報共有 医療従事者ごとに記録、情報を探すのが困難 問題点ごとに整理、誰でも容易にアクセス可能
問題解決 個別対応、専門知識の共有が難しい 多職種連携による治療方針検討、チーム全体で問題解決
患者参加 分かりやすい記録、治療への積極的な参加を促進

POMRの普及に向けて

POMRの普及に向けて

近年、患者さんを第一に考えた医療の必要性が高まっており、その実現に向けた有効な手段としてPOMRが注目されています。POMRとは、Problem Oriented Medical Recordの略称で、日本語では「問題志向型診療記録」と訳されます。従来の診療記録が時系列で記録されていたのに対し、POMRでは患者さんの抱える問題点を中心に診療経過や治療計画を記録していく点が大きな特徴です。

しかしながら、日本においてはPOMRの普及は十分とは言えません。その理由としては、電子カルテシステムとの連携が不十分であることや、POMRに関する医師や看護師の理解不足などが挙げられます。

医療現場では、チーム医療の推進や医療の質向上のため、患者さんに関する情報を共有することがこれまで以上に重要になっています。POMRは、医療従事者間で情報を共有しやすいように体系的に記録されているため、情報共有の促進に大きく貢献すると期待されています。

今後、日本の医療現場においても、患者中心の医療を実現し、より質の高い医療を提供していくために、POMRの導入が更に進んでいくことが強く望まれます。

項目 内容
定義 Problem Oriented Medical Recordの略称で、日本語では「問題志向型診療記録」
特徴 患者の問題点を中心に診療経過や治療計画を記録する
従来の診療記録との違い 時系列の記録ではなく、問題点中心の記録
メリット 医療従事者間で情報を共有しやすい
普及が進んでいない理由 電子カルテシステムとの連携不足、医師や看護師の理解不足
今後の展望 患者中心の医療実現、医療の質向上のため、更なる導入促進が期待される

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