褥瘡:予防と早期発見のために
病院での用語を教えて
先生、「褥瘡(じょくそう)」って、どういう意味ですか?
体の健康研究家
いい質問だね。「褥瘡」は、同じ体勢で寝たきりになっていたりすると、体の重みで皮膚が圧迫されて、血の流れが悪くなってしまうんだ。そうすると、皮膚やその下の組織が壊れてしまうんだよ。これが「褥瘡」だよ。
病院での用語を教えて
へえー。体の重みで皮膚が壊れるなんて、大変なことですね。どんな時に起きやすいんですか?
体の健康研究家
そうだね。長い間、寝たきりの状態が続いたり、車椅子に座りっぱなしだったりすると起きやすいんだ。高齢の方や、病気などで体が動かしにくい人は特に注意が必要だよ。
褥瘡とは。
「褥瘡(じょくそう)」は、医学や健康に関する言葉です。体重などによって、皮膚やその下の組織、筋肉が長い時間押しつぶされると、そこへの血液の流れが悪くなります。その結果、組織が壊れてしまうことを指します。よく「床ずれ」とも言われます。
褥瘡とは
– 褥瘡とは
褥瘡は、寝たきり状態や車椅子生活など、長時間同じ姿勢を続けることで発生しやすくなります。体の特定の部位に体重が集中し続けることで、その部分の血流が悪くなってしまうのです。すると、皮膚やその下の組織(皮下組織)に必要な酸素や栄養が十分に届かなくなり、組織が損傷を受けてしまいます。これが褥瘡であり、一般的には「床ずれ」とよばれることもあります。
褥瘡は、誰でも発症する可能性がありますが、特に骨が出っ張っている部分にできやすいという特徴があります。なぜなら、骨が出っ張っている部分は、周りの組織よりも圧力がかかりやすく、血流が阻害されやすいためです。具体的には、お尻の尾骨の少し上の部分にある仙骨、かかと、くるぶし、肩甲骨などが挙げられます。
褥瘡は、初期段階では皮膚が赤くなる程度ですが、悪化すると皮膚がめくれてしまったり、潰瘍になったりすることがあります。さらに重症化すると、筋肉や骨まで損傷を受けることもあり、治療が困難になる場合もあります。そのため、褥瘡は早期発見と予防が非常に重要です。
項目 | 説明 |
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定義 | 長時間同じ姿勢を続けることで、体重が集中した部位の血流が悪くなり、皮膚や皮下組織が損傷を受けること。 |
別称 | 床ずれ |
発生しやすい人 | 寝たきり状態や車椅子生活の人 |
発生しやすい部位 | 骨が出っ張っている部分(仙骨、かかと、くるぶし、肩甲骨など) |
症状 |
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重要性 | 早期発見と予防が重要 |
褥瘡の原因
– 褥瘡の原因
褥瘡は、体の同じ部位に長時間にわたって圧力がかかり続けることで発生します。
寝たきりの状態や車椅子を長時間使用する必要がある場合、体重によって特定の部位、特に骨の出っ張っている部分に圧力が集中しやすくなります。
この圧力が持続すると、血管が圧迫され、その部分への血流が悪化します。
血液は、酸素や栄養を組織に届け、老廃物を運び去る役割を担っていますが、血流が悪くなると、皮膚やその下の組織が酸素や栄養不足に陥り、老廃物が蓄積してしまいます。
その結果、細胞が損傷し、最終的には壊死してしまうのです。これが褥瘡の発生メカニズムです。
褥瘡の発生には、圧迫以外にも、栄養不足や水分不足も大きく関わっています。
栄養状態が悪いと、皮膚や組織の再生能力が低下し、褥瘡が発生しやすくなるだけでなく、治癒も遅くなってしまいます。
また、皮膚の乾燥も褥瘡のリスクを高める要因となります。
乾燥した皮膚は、外部からの刺激に弱く、傷つきやすいため、褥瘡が発生しやすくなります。
さらに、皮膚と寝具との間の摩擦や、体位変換時の体のずれも、皮膚への負担となり、褥瘡の発生を促進する要因となります。
褥瘡の原因 | 詳細 |
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持続的な圧迫 |
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栄養不足 | 皮膚や組織の再生能力が低下し、褥瘡が発生しやすくなるだけでなく、治癒も遅くなる。 |
水分不足 | 皮膚の乾燥は、外部からの刺激に弱く、傷つきやすいため、褥瘡が発生しやすくなる。 |
摩擦・ずれ | 皮膚と寝具との間の摩擦や、体位変換時の体のずれも、皮膚への負担となり、褥瘡の発生を促進する。 |
褥瘡の症状
褥瘡は、身体の一部が長時間圧迫されることで血行が悪くなり、皮膚やその下の組織が損傷を受けることで発生します。初期の段階では、皮膚に異常はほとんど見られませんが、触ると周りの皮膚と比べて温度が高くなったり、低くなったりすることがあります。また、皮膚の色が赤や紫に変色することもあります。
時間の経過とともに、皮膚の表面に変化が現れます。皮膚が硬くなったり、逆に水ぶくれのように膨らんだりすることがあります。さらに症状が進むと、皮膚が破れて傷になり、そこから浸出液が出てくることもあります。
褥瘡は放置すると、皮膚の表面だけでなく、その下の筋肉や骨まで達する深い傷になることもあります。こうなると、強い痛みを伴うだけでなく、感染症のリスクも高まります。また、褥瘡は必ずしも痛みを伴うわけではなく、神経が損傷を受けている場合は痛みを感じないこともあります。そのため、早期発見と適切なケアが非常に重要です。
段階 | 症状 |
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初期段階 |
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進行段階 |
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注意点 |
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褥瘡の予防
– 褥瘡の予防
寝たきりや座りっぱなしの状態が続くと、体重で身体の一部が圧迫され続け、血行が悪くなってしまうことがあります。
その結果、皮膚や皮下組織に栄養や酸素が行き届かなくなり、傷ができてしまうことがあります。これが褥瘡と呼ばれるものです。
褥瘡は一度できてしまうと治りにくいため、予防が何よりも大切です。
褥瘡を防ぐためには、こまめな体位変換が最も重要です。
寝たきりの方の場合、2時間おきに仰向け、横向きなどを繰り返すことで、同じ部位への圧迫を避けることができます。
体位変換に加えて、クッションやマットレスを効果的に使用することも有効です。
ドーナツ型のクッションなどを用いて、骨の出っ張っている部分への圧力を分散させることで、褥瘡のリスクを軽減することができます。
また、体圧を分散性に優れた特殊なマットレスも市販されていますので、検討してみると良いでしょう。
皮膚を清潔に保つことも褥瘡予防には重要です。
入浴や清拭の際には、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、その後はしっかりと乾燥させましょう。
乾燥しやすい部分には、保湿クリームを塗布して、皮膚の乾燥を防ぐことが大切です。
さらに、栄養バランスのとれた食事を心がけ、十分な水分を摂取することも、健康な皮膚を保ち、褥瘡を予防することに繋がります。
褥瘡は、適切な予防を続けることで防ぐことができます。
日頃から、これらのポイントに注意して、褥瘡のリスクを減らしましょう。
褥瘡予防のポイント | 具体的な方法 |
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体位変換 | ・2時間おきに仰向け、横向きなどを繰り返す ・クッションやマットレスを効果的に使用して圧迫を分散 |
皮膚のケア | ・石鹸をよく泡立てて優しく洗い、しっかりと乾燥させる ・乾燥しやすい部分には保湿クリームを塗布 |
栄養と水分 | ・栄養バランスのとれた食事を心がける ・十分な水分を摂取する |
褥瘡の治療
寝たきりなどで長時間同じ姿勢を続けることで、体重で圧迫された場所にできる皮膚の損傷を褥瘡と呼びます。褥瘡は、その状態によって適切な治療法が異なってきます。
褥瘡が軽度の場合、まずは傷口を清潔に保つことが重要です。そのためには、石鹸と水で優しく洗い、その後はしっかりと乾燥させます。傷口を保護するために、適切な湿潤環境を保つドレッシング材を使用することもあります。適切な処置を行えば、多くの場合自然に治癒していきます。
しかし、症状が進行し重症化した褥瘡の場合、自然治癒が難しくなるため、外科手術が必要となることがあります。外科手術では、壊死した組織を取り除き、皮膚を移植するなどして傷を閉じます。
褥瘡の治療は、傷の状態を見極め、適切な処置を行うことが重要です。自己判断は危険ですので、医師や看護師などの専門家の指示に従い、適切なケアを受けるようにしてください。
褥瘡の重症度 | 治療法 |
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軽度 | 傷口の清潔、乾燥、ドレッシング材による保護 |
重症化 | 外科手術(壊死組織の除去、皮膚移植など) |
褥瘡を予防するためにできること
– 褥瘡を予防するためにできること褥瘡は、寝たきりなどで長時間、体重によって圧迫を受け続けることで、皮膚やその下の組織が損傷してしまうことです。褥瘡は、本人の意識や家族の注意と行動によって予防できる可能性があります。 日頃から、皮膚の状態を観察することが大切です。特に、骨の出っ張っている部分である、かかと、くるぶし、お尻、背中、頭などは注意が必要です。皮膚の色が赤っぽくなったり、紫色に変色したりしていないか、また、触ると熱を持っていたり、痛みやかゆみがないか、などを確認しましょう。長時間同じ姿勢を続けないことも重要です。座っている場合は、1時間おきに立ち上がったり、姿勢を変えたりするように心がけましょう。寝ている場合は、2時間程度を目安に、体の向きを変える「体位変換」をしましょう。 体位変換は、家族や介護者のサポートが必要です。バランスの取れた食事と十分な水分補給も、皮膚の状態を健康に保つために大切です。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをしっかりと摂取することで、皮膚の再生能力を高めることができます。また、水分不足は、皮膚の乾燥を招き、褥瘡のリスクを高めてしまうため、こまめな水分補給を心がけましょう。少しでも気になる症状があれば、早めに医師に相談することが大切です。 早期発見、早期治療によって、褥瘡の悪化を防ぐことができます。
褥瘡予防のポイント | 具体的な方法 |
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皮膚の状態観察 | ・ かかと、くるぶし、お尻、背中、頭など、骨の出っ張っている部分を中心に、皮膚の色や状態をチェックする。 ・ 赤み、紫色の変色、熱、痛み、かゆみがないか確認する。 |
長時間同じ姿勢を避ける | ・ 座っている場合は、1時間おきに立ち上がったり、姿勢を変える。 ・ 寝ている場合は、2時間程度を目安に体位変換を行う。 |
バランスの取れた食事と十分な水分補給 | ・ タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを摂取し、皮膚の再生能力を高める。 ・ こまめな水分補給を行い、皮膚の乾燥を防ぐ。 |
早期発見・早期治療 | ・ 少しでも気になる症状があれば、早めに医師に相談する。 |