廃用症候群:動かないことのリスク
病院での用語を教えて
先生、『廃用症候群』って、どういう意味ですか?難しくてよくわからないんです。
体の健康研究家
そうだね。『廃用症候群』は簡単に言うと、体を動かさないと体の色々な機能が低下して、日常生活に支障が出てくる状態のことだよ。
病院での用語を教えて
なるほど。例えば、どんな時に起こりやすいのですか?
体の健康研究家
例えば、骨折してしまって長い間寝たきりになったり、病気で入院してあまり動けなかったりする場合に起こりやすいんだ。そうならないように、日頃から適度に体を動かすことが大切なんだよ。
廃用症候群とは。
「廃用症候群」っていう医学や健康で使われる言葉の意味を説明するね。「廃用症候群」っていうのは、体を動かせない状態が続くと、筋肉や骨、呼吸や血液の流れ、心や神経など、体のいろんなところに障害が出てきてしまうんだ。そのせいで、日常生活で自分でできることが減ってしまう状態のことを言うんだよ。
廃用症候群とは
– 廃用症候群とは廃用症候群とは、病気や怪我、あるいは年齢を重ねることで体を動かす機会が減ることで、心身に様々な悪影響が現れる状態を指します。高齢者に多く見られますが、若い世代でも安静状態が長く続けば発症する可能性があります。一度発症してしまうと、日常生活に支障をきたし、介護が必要になるケースも少なくありません。具体的には、筋肉や骨、関節などの運動機能の低下、心臓や肺などの循環器機能の低下、食欲不振や便秘、不眠などの消化器や自律神経の乱れ、意欲の低下や情緒不安定、認知機能の低下といった症状が現れます。廃用症候群は、寝たきり状態になってしまう最大の要因の一つと考えられています。寝たきりになってしまうと、さらに運動機能や心身機能が低下し、悪循環に陥ってしまいます。そのため、廃用症候群を予防し、健康寿命を延ばすことが重要です。廃用症候群の予防には、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、社会的な活動への参加などが有効です。また、病気や怪我などで安静が必要な場合でも、医師や理学療法士の指導の下、できる範囲で体を動かすように心がけましょう。少しでも体を動かすことで、廃用症候群の予防につながります。
カテゴリ | 詳細 |
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定義 | 病気、怪我、加齢などが原因で体を動かさなくなることで心身に悪影響が出る状態 |
対象 | 高齢者が多いが、若い世代でも長期間の安静状態により発症する可能性あり |
症状 |
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予防策 |
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症状:様々な機能低下
廃用症候群は、長期間にわたる安静状態や運動不足によって、体の様々な機能が低下してしまう状態を指します。その症状は多岐にわたり、身体的なものから精神的なものまで、広範囲に及びます。
まず、運動機能の低下は顕著です。安静状態が長引くと、筋肉は次第にその力を失い、筋力や持久力の低下を引き起こします。関節もまた、動かさないことで硬くなり、関節可動域の制限が生じます。
さらに、運動不足は心臓や肺にも影響を及ぼし、息切れや動悸といった症状が現れやすくなります。
身体的な変化に加えて、精神的な変化も起こることがあります。食欲が低下したり、便秘や排尿困難といった症状が現れることもあります。また、夜眠れない、やる気が出ない、集中力が続かない、気分が落ち込むといった症状もみられ、生活の質を著しく低下させる可能性があります。
これらの症状は、互いに影響し合い、悪循環を引き起こすことが特徴です。例えば、筋力低下によって体を動かすことが億劫になり、さらに運動不足が進むことで、心肺機能の低下や精神的な症状を招くといった具合です。そのため、早期に適切な対応を行うことが重要です。
カテゴリー | 具体的な症状・影響 |
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運動機能 |
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心肺機能 |
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身体機能 |
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精神機能 |
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その他 |
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原因:動かないことによる悪循環
– 原因動かないことによる悪循環
廃用症候群は、病気や怪我、または加齢などが原因で体を動かす機会が減ってしまうことが主な原因です。
例えば、骨折をしてしまったり、手術を受けてしばらく安静が必要な場合、私たちは自然と体を動かすことを控えるようになります。また、神経や筋肉の病気により、体を動かすことが難しくなることもあります。さらに、認知症やうつ病などの精神的な病気によって、意欲や活動性が低下し、結果として体を動かす機会が減ってしまうケースもあります。
このように、様々な要因で長期間にわたって体を動かさずにいると、私たちの体は徐々に変化していきます。まず、筋肉量が減少し、筋力が低下します。そして、関節の動きが悪くなり、柔軟性も失われていきます。また、心臓や肺の働きも弱まり、少し動いただけで息切れや動悸がするようになることもあります。
そして、恐ろしいことに、これらの変化はさらに体を動かすことを困難にするため、悪循環に陥ってしまいます。つまり、動かないことがさらなる運動不足を招き、廃用症候群の状態に拍車をかけてしまうのです。
原因 | 体の変化 | 悪循環 |
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病気や怪我 加齢 神経や筋肉の病気 認知症やうつ病など |
筋肉量の減少、筋力低下 関節の動きの悪化、柔軟性の低下 心臓や肺の働きの低下(息切れや動悸) |
動かないことがさらなる運動不足を招き、廃用症候群が悪化する |
予防:日々の活動が大切
– 予防日々の活動が大切
加齢に伴い、身体を動かす機会が減ってしまうことは避けられません。しかし、何もしないでいると、筋肉や関節の機能が低下し、「廃用症候群」と呼ばれる状態に陥ってしまうことがあります。これは、寝たきりや日常生活に支障をきたす原因ともなりかねません。
廃用症候群を予防するためには、日頃から積極的に身体を動かす習慣を身につけることが重要です。激しい運動は必要ありません。散歩や軽い体操など、ご自身の体力に合わせた運動を無理のない範囲で行いましょう。
日常生活の中にも、身体を動かす機会はたくさんあります。例えば、家事を積極的に行うことも、活動量を増やすことに繋がります。掃除機をかけたり、洗濯物を干したりする動作も、立派な運動です。
さらに、バランスの取れた食事を摂り、十分な睡眠をとることも大切です。健康的な生活習慣を維持することで、身体の機能を保ち、廃用症候群のリスクを減らすことができます。
廃用症候群の予防は、特別なことをするのではなく、毎日の生活の中で少しだけ意識を変えることが重要です。できることから始め、健康的な毎日を送りましょう。
テーマ | ポイント |
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廃用症候群とは |
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廃用症候群の予防 |
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治療:多職種連携による包括的なケア
廃用症候群の治療においては、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士など、多くの専門家の連携が欠かせません。それぞれの専門家が持つ知識や技術を組み合わせることで、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供することができます。
まず、医師は、診察や検査結果に基づいて、患者さんの症状や状態を正確に診断し、治療方針を決定します。そして、その方針に基づき、それぞれの専門家が具体的な治療にあたります。
理学療法士は、歩行訓練や筋力トレーニングなどを通して、患者さんの運動機能の回復を支援します。また、作業療法士は、食事や着替え、トイレなどの日常生活動作を練習することで、患者さんが自宅に退院した後も自立して生活できるように支援します。さらに、言語聴覚士は、言葉を発する、理解するといったコミュニケーション能力に問題が生じた場合に、その改善を促すための訓練を行います。
管理栄養士は、患者さんの栄養状態を評価し、必要な栄養素を摂取できるように、食事内容の調整や栄養指導を行います。
このように、廃用症候群の治療は、多職種がそれぞれの専門性を活かしながら、患者さんを総合的に支える体制が重要となります。そして、早期に治療を開始し、継続することで、身体機能の回復や日常生活への復帰を促進することができます。体の異変を感じたら、ためらわずに医療機関に相談しましょう。
専門職 | 役割 |
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医師 | 診察・検査結果に基づいた診断、治療方針の決定 |
理学療法士 | 歩行訓練、筋力トレーニングによる運動機能回復の支援 |
作業療法士 | 食事・着替え・トイレなどの日常生活動作練習による、自宅退院後の自立生活支援 |
言語聴覚士 | 言語発声・理解などコミュニケーション能力問題改善のための訓練 |
管理栄養士 | 栄養状態評価、食事内容調整、栄養指導による栄養摂取サポート |