チーム医療で立ち向かう四肢外傷
病院での用語を教えて
『四肢外傷』って、どんな怪我のことですか?
体の健康研究家
いい質問ですね。『四肢外傷』は、腕や足に負った怪我のことです。例えば、転んで腕の骨を折ったり、足を捻ったりした状態ですね。軽い怪我から、骨が皮膚から飛び出すような大きな怪我まで、様々な状態が含まれます。
病院での用語を教えて
腕や足の怪我なら、命に関わることは少ないんですか?
体の健康研究家
そうですね。多くの場合、命に直接関わることは少ないです。 ただし、太ももの骨を折ると大量に出血することがあります。 その場合は、輸血や手術が必要になるなど、注意深く治療する必要があります。
四肢外傷とは。
「四肢外傷」は、腕や足に負ったけがのことを指します。体の胴体部分や頭に負ったけがとは区別して使われます。軽い打ち身や捻挫なども含まれますが、実際には、骨が皮膚から飛び出すような骨折や筋肉や腱などが大きく損傷した重傷の場合に「四肢外傷」という言葉を使うことが多いです。四肢外傷は、体の外から強い力が加わることで起こるけがの約85%に見られ、見た目は派手なことが多いですが、命に関わることはあまりありません。しかし、大人の太ももの骨が折れた場合には、1,000mL~1,500mLほどの出血が見られるため、状況に応じて点滴や輸血、そして体の状態を常にチェックする必要があります。外から見て出血している場合は、圧迫して止血を行います。「四肢外傷=整形外科」というイメージが強いですが、血管が損傷している場合は血管外科による手術や放射線科による治療が必要になります。また、皮膚や筋肉などの損傷がひどい場合は、形成外科による皮膚移植などの処置が必要になることもあります。このように、四肢外傷は多くの診療科が協力して治療にあたります。
四肢外傷とは
– 四肢外傷とは人間の身体は、大きく頭と胴体、そして腕と脚からなる四肢に分けることができます。このうち、腕と脚をまとめて四肢と呼びますが、この部分に負った怪我のことを四肢外傷と呼びます。つまり、腕の骨折や足の捻挫などは、すべて四肢外傷に含まれるのです。ただし、一口に四肢外傷と言っても、その程度は軽いものから生命に関わる重いものまで様々です。例えば、日常生活で起こりやすい打撲や捻挫なども四肢外傷に含まれます。多くの人は、これらの怪我を経験したことがあるのではないでしょうか。このように、四肢外傷は、私たちにとって決して珍しいものではなく、むしろ身近なものと言えるでしょう。一方で、医療現場において「四肢外傷」という言葉が使われる場合、骨折した骨が皮膚を突き破る開放骨折や、血管や神経に損傷を伴うような、重症な状態であることを指すことが多いです。このような重度の四肢外傷は、日常生活で起こることは稀ですが、交通事故や高所からの転落など、大きな衝撃が身体に加わることで発生する可能性があります。このように、四肢外傷は軽度のものから重度のものまで、幅広い怪我を含みます。そして、その治療法も怪我の程度によって大きく異なります。軽度の打撲や捻挫であれば、安静や湿布などの処置で自然に治癒することがほとんどですが、重度の場合は、手術が必要となることもあります。いずれにしても、適切な治療を受けることが、後遺症を残さずに回復するために重要です。
四肢外傷の分類 | 具体例 | 特徴 | 治療法 |
---|---|---|---|
軽度 | 打撲、捻挫 | 日常生活で起こりやすい | 安静、湿布など |
重度 | 開放骨折、血管や神経損傷を伴う骨折 | 交通事故や高所からの転落で起こりやすい | 手術が必要な場合もある |
見た目よりも重症?
腕や脚などの体の表面に近い部分の外傷は、見た目にもわかりやすく、傷口が大きいため、重症な怪我だと考えがちです。確かに、骨が皮膚を突き破って露出する開放骨折などの場合は、衝撃的な見た目になることがあります。
しかし、腕や脚の怪我は、生命に関わるような重篤な状態になることは、頭やお腹、胸などの体の中深くにある臓器が損傷を受ける場合と比べると少ないと言えるでしょう。
ただし、決して軽視して良いわけではありません。例えば、大人の太ももの骨である大腿骨を骨折した場合、出血量は1,000mLから1,500mLにも達することがあります。これは、成人男性の全身を巡る血液量の約3分の1に相当する量です。このような大量出血は、ショック状態を引き起こし、命に関わる危険性も孕んでいます。
そのため、四肢外傷の場合でも、出血量や患者の状態を注意深く観察し、必要に応じて点滴や輸血などの適切な処置を行うことが重要です。また、患者の容態変化を見逃さないよう、心拍数や血圧、呼吸状態などを継続的に監視する必要があります。
体の部位 | 外傷の特徴 | 重症度 | 注意点 |
---|---|---|---|
腕や脚などの体の表面に近い部分 | – 目に見える – 傷口が大きい場合がある – 骨が露出する場合がある (開放骨折など) |
– 生命に関わることは少ない (頭、お腹、胸の損傷と比較して) – ただし、軽視は禁物 |
– 出血量に注意 – 患者の状態を注意深く観察 – 必要に応じて点滴や輸血などの処置 |
体の中深くにある臓器 (頭、お腹、胸など) | – 生命に関わる可能性が高い |
適切な応急処置
日常生活で予期せぬ事故に遭遇する可能性は誰にでもあります。もし、目の前で手足の怪我を目撃したら、落ち着いて適切な応急処置を行うことが重要です。まず、出血の有無を確認しましょう。もし出血している場合は、清潔な布やガーゼなどで傷口を直接圧迫し、止血を試みます。出血がひどい場合は、傷口を心臓よりも高い位置に保つことも有効です。同時に、速やかに119番通報し、救急車を要請してください。
骨折が疑われる場合は、むやみに患部を動かすと、症状が悪化する恐れがあります。骨折部位を動かさないように固定し、安静を保ちながら救急隊の到着を待ちましょう。骨折の疑いがある場合でも、出血があれば止血を優先します。
応急処置は、あくまで医療機関に搬送されるまでの応急的な措置です。自己判断で治療を行うことは避け、必ず医療機関を受診し、医師の診断と適切な治療を受けるようにしてください。
症状 | 応急処置 |
---|---|
出血 | 清潔な布やガーゼなどで傷口を直接圧迫して止血する。出血がひどい場合は、傷口を心臓よりも高い位置に保つ。 |
骨折の疑い | 患部を動かさないように固定し、安静を保つ。出血があれば止血を優先する。 |
整形外科だけでない治療
「手足の怪我といえば整形外科」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし実際には、多くの診療科が協力して治療にあたるケースが少なくありません。
例えば、骨だけでなく血管も損傷している場合は、整形外科だけでなく、血管外科の協力が不可欠です。血管外科では、途絶えた血管をつないで再び血液が流れるようにする手術や、カテーテルという細い管を用いて血管内部から治療を行う血管内治療などを行います。
また、皮膚や筋肉など、骨以外の組織の損傷が激しい場合も、整形外科だけでは対応できません。形成外科と連携し、損傷した皮膚を補う手術などを行います。具体的には、身体の他の部分から皮膚を採取して移植したり、人工皮膚を用いたりするなど、状況に応じて適切な方法が選択されます。
このように、四肢外傷の治療には、整形外科をはじめ、血管外科、形成外科など、様々な診療科の専門知識と技術を組み合わせた、総合的な治療が必要となるのです。
怪我の種類 | 診療科 | 治療内容 |
---|---|---|
骨だけでなく血管も損傷している場合 | 整形外科 血管外科 |
|
皮膚や筋肉など、骨以外の組織の損傷が激しい場合 | 整形外科 形成外科 |
|
チーム医療の重要性
腕や脚など、身体の運動機能を司る四肢を損傷した場合、その治療には多くの専門分野の連携が欠かせません。これが、医療現場で重要性を増しているチーム医療と呼ばれる取り組みです。
例えば、骨に損傷がある場合は整形外科医が、血管の損傷には血管外科医が治療にあたります。さらに、骨折の診断には放射線科医による画像診断が、皮膚の損傷や傷跡の治療には形成外科医による専門的な処置が必要となります。このように、四肢外傷は一つの診療科だけで解決できるものではなく、それぞれの専門家が知識や技術を持ち寄り、総合的な治療計画を立てることが重要です。
チーム医療では、医師だけでなく、看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士など、多くの医療従事者が患者さんの治療に関わります。それぞれの専門性を生かし、情報を共有しながら、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することで、機能回復を最大限に目指します。また、精神的なケアや社会復帰の支援など、多角的なサポート体制を整えることも、チーム医療の重要な役割です。
専門分野 | 役割 |
---|---|
整形外科 | 骨の損傷の治療 |
血管外科 | 血管の損傷の治療 |
放射線科 | 画像診断による骨折の診断 |
形成外科 | 皮膚の損傷や傷跡の治療 |
看護師 | 患者さんのケア |
理学療法士 | 運動機能の回復訓練 |
作業療法士 | 日常生活動作の回復訓練 |
義肢装具士 | 義肢や装具の作製・調整 |