生命を巡る赤い川:血液の役割
病院での用語を教えて
先生、血液って体重の約7%もあるってすごい量ですよね。もし、全部なくなったらどうなるんですか?
体の健康研究家
そうだね、体重の約7%って、ペットボトル3~4本分くらいになるね。全部なくなったら、もちろん生きていけないよ。
病院での用語を教えて
えー!少しぐらいなら大丈夫なんですか?
体の健康研究家
少しなら大丈夫だよ。献血で抜くのは、全体の約1割、つまり500mlのペットボトル1本分くらいだからね。でも、35~45%以上なくなると、命に関わる危険な状態になるんだ。
血液とは。
「医学や健康でよく聞く『血液』は、体の中を巡る赤い液体のことです。この血液は、ほとんどが水分でできている『血しょう』と、赤い色をした『赤血球』、体の病気と戦う『白血球』、出血を止める『血小板』という小さな粒が集まってできています。大人の場合、体重の約7%が血液で、体重60キロの人なら、4~5リットルくらいの血液が流れています。血液の量は、男性か女性か、体重が多いか少ないかなどによって、人によって違います。健康な人なら、血液全体の10%までは、血圧や心臓の働きに影響なく、献血などで血液を抜くことができます。しかし、血液全体の35~45%も失ってしまうと、血圧も心臓の働きもなくなり、死に至ってしまいます。
血液の成分
私たちの体内を流れる血液は、一見すると均一な赤い液体に見えますが、実際には様々な成分から構成されています。大きく分けると、液体成分である血漿と、細胞成分である血球の二つに分けられます。
血漿は血液の大部分を占める淡黄色の液体で、約90%が水分です。残りの約10%には、生命活動に必要な様々な物質が含まれています。栄養素やホルモンは、血漿によって体内の各組織に運ばれ、逆に組織で生じた老廃物は、血漿によって運び出されます。また、電解質と呼ばれるミネラル成分も含まれており、体内の水分量やpHバランスの調整に重要な役割を果たしています。
一方、血球は顕微鏡で観察すると形の違いによって区別できる細胞成分です。大きく分けて、赤い色をした赤血球、白い色をした白血球、そして細胞のかけらである血小板の三種類があります。赤血球は、肺から取り込んだ酸素と結びつき、全身の細胞に酸素を供給します。白血球は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を攻撃し、病気から体を守ります。血小板は、血管が傷ついたときに集まり、血液を凝固させて出血を止めます。
このように、血液は血漿と血球という異なる成分が互いに連携し、私たちの生命維持に欠かせない様々な機能を果たしているのです。
成分 | 割合 | 役割 |
---|---|---|
血漿 | 約90% (水分), 約10% (その他) |
|
血球 | – | – |
赤血球 | – | 肺から取り込んだ酸素を全身に供給 |
白血球 | – | 細菌やウイルスなどの異物を攻撃し、病気から体を守る |
血小板 | – | 血管が傷ついたときに血液を凝固させ、出血を止める |
血液の量
人間の体内を流れる血液は、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。では、私たちの体内にはどれくらいの量の血液が流れているのでしょうか。体重が60キロの人を例に考えてみましょう。
体重60キロの人の場合、血液量は約4~5リットルにもなります。これは、お風呂の浴槽に張るお湯の量とほぼ同じくらいに相当します。体重全体に占める血液量の割合は約7%となり、これは牛乳パック3~4本分に相当します。
ただし、血液量は個人によって異なり、性別や体重によって差が生じます。一般的に、男性は女性に比べて筋肉量が多いため、血液量も多い傾向にあります。また、体重が重い人ほど、体のサイズが大きく、細胞の数も多いため、より多くの血液を必要とします。
血液は、心臓というポンプの働きによって全身に送り出され、体内をくまなく循環しています。そして、酸素や栄養を体の隅々まで運び届けたり、老廃物を回収したりと、重要な役割を担っています。まるで、体の中を流れる宅配便のように、血液は私たちの生命を支えるために休むことなく働き続けています。
項目 | 詳細 |
---|---|
血液量(体重60kgの人) | 約4~5リットル(浴槽のお湯とほぼ同じ) |
体重に占める血液量の割合 | 約7%(牛乳パック3~4本分) |
血液量の個人差 | 性別、体重によって異なる |
血液の役割 | 酸素や栄養を運搬、老廃物を回収 |
血液の働き
私たちの体内をくまなく巡っている血液は、まるで体中に張り巡らされた道路網を走る宅配便のように、生命維持に欠かせない様々な物質を運び、体の機能を支えています。
まず、血液は「酸素の宅配」を担います。体に取り込まれた酸素は、肺の中で血液中の赤血球という成分と結合し、全身の細胞へと届けられます。細胞は、この酸素を使って栄養分を燃やし、生きていくためのエネルギーを生み出しているのです。同時に、細胞で発生した二酸化炭素を回収し、肺まで運び出すのも血液の役割です。
さらに、血液は「栄養の宅配」も担っています。胃や腸で消化・吸収された栄養素は、血液によって体の隅々まで届けられます。それぞれの細胞は、届けられた栄養素を材料にして、体の組織を作ったり、修復したりします。そして、細胞が活動した結果として生じた老廃物は、再び血液によって回収され、腎臓などの排出器官へと運ばれ、体外へと排出されます。
血液は、ホルモンなどの情報伝達物質を運ぶ役割も担っています。ホルモンは、特定の器官の働きを調節する物質ですが、血液によって全身に運ばれることで、体の機能をスムーズに調整しています。
このように、血液は体内の輸送機関として、様々な役割を担い、私たちの生命を維持する上で欠かせない存在なのです。
役割 | 内容 |
---|---|
酸素の宅配 | ・肺で酸素を取り込み、全身の細胞へ届ける ・細胞で発生した二酸化炭素を回収し、肺へ運ぶ |
栄養の宅配 | ・胃や腸で吸収した栄養素を全身の細胞へ届ける ・細胞が活動した結果生じた老廃物を回収し、腎臓などの排出器官へ運ぶ |
情報伝達 | ・ホルモンなどの情報伝達物質を運び、体の機能を調整する |
血液と健康
私たちの体中に張り巡らされた血管の中を流れる血液は、体の隅々に酸素や栄養を届け、老廃物を運び出すという重要な役割を担っています。健康を維持するためには、この血液の状態を良好に保つことが欠かせません。
血液は、大きく分けて赤血球、白血球、血小板、そして血漿という成分で構成されています。それぞれの成分が、私たちの体にとって重要な働きをしています。例えば、赤血球は、酸素を運ぶ役割を担っています。しかし、貧血などで赤血球が減少してしまうと、全身に十分な酸素を供給することができなくなり、疲れやすくなったり、動悸がしたり、息切れがしたりといった症状が現れます。
また、白血球は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から体を守る、免疫機能において重要な役割を担っています。白血球が減少すると、この免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなってしまいます。
さらに、血小板は、血管が損傷し出血した際に、傷口を塞いで出血を止める働きをしています。血小板の数が少なくなると、出血が止まりにくくなることがあります。
このように、血液の各成分は私たちの健康を守る上で重要な役割を担っています。血液の状態を把握するためには、定期的な血液検査が有効です。血液検査を受けることで、貧血や白血球の減少、血小板の減少など、自覚症状が現れる前に発見できる可能性があります。
健康的な血液を維持するためには、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、日々の生活習慣に気を配ることが大切です。
血液成分 | 役割 | 不足時の症状 |
---|---|---|
赤血球 | 酸素を全身に運ぶ | 疲れやすさ、動悸、息切れなど |
白血球 | 免疫機能、細菌やウイルスから体を守る | 免疫力低下、風邪などの感染症にかかりやすくなる |
血小板 | 血管の損傷時の出血を止める | 出血が止まりにくくなる |
失血の影響
私たちの体にとって、血液はまさに「命の泉」と言えるでしょう。栄養や酸素を体の隅々まで運び、老廃物を回収するなど、生命維持に欠かせない役割を担っています。 そのため、大量の血液を失うことは、体に深刻な影響を及ぼし、最悪の場合、死に至る危険性も伴います。
健康な人であれば、全血液量の10%程度の損失であれば、特に問題なく回復できます。これは、献血で採血される量が、大体この程度に相当します。しかし、出血量が全血液量の20%を超えてくると、めまい、立ちくらみ、呼吸が速くなる、顔色が悪くなるなどの症状が現れ始めます。さらに、35~45%もの血液を失ってしまうと、血液の循環量が著しく減少し、血圧が急激に低下します。この状態になると、心臓は全身に十分な血液を送出することができなくなり、意識を失ったり、心臓が正常に機能しなくなって死に至る可能性も高くなります。
交通事故や手術など、大量出血の可能性がある場合は、迅速な対応が求められます。止血はもちろんのこと、失われた血液を補うために輸血が必要となる場合もあります。 輸血は、不足した血液成分を補充することで、循環血液量や酸素運搬能力を維持し、生命を救うための重要な治療法です。
血液損失量 | 症状 | 危険性 |
---|---|---|
~10% | 特に問題なし (献血に相当) | 低い |
20%~ | めまい、立ちくらみ、呼吸が速くなる、顔色が悪くなる | 中程度 |
35~45%~ | 血圧低下、意識消失、心臓機能停止 | 非常に高い |