胃潰瘍:原因と症状、治療法について

消化器

胃潰瘍:原因と症状、治療法について

病院での用語を教えて

先生、胃潰瘍ってどういう病気ですか?

体の健康研究家

胃潰瘍は、胃の表面を覆っている粘膜に傷ができてしまう病気だよ。例えるなら、食べ物が触れる胃の内側が、すり傷みたいになっている状態だね。

病院での用語を教えて

すり傷ですか!なぜ、そんなことになるんですか?

体の健康研究家

色々な原因があるんだけど、強い酸である胃酸が胃の粘膜を攻撃してしまうことや、ストレスや細菌なども関係していると言われているよ。

胃潰瘍とは。

『胃潰瘍』っていう言葉は、医学とか健康について考える時に使うんだけど、簡単に言うと、胃の表面を覆っている粘膜って部分があるんだけど、そこが『粘膜筋板』っていう、もっと奥の方まで傷ついてしまっている状態のことなんだ。

胃潰瘍とは

胃潰瘍とは

– 胃潰瘍とは胃は、食べ物を消化するために重要な役割を担う臓器ですが、その内壁は強い酸性の胃液に常にさらされています。健康な状態であれば、胃の粘膜は胃液から自身を守り、消化活動に支障が出ないように働いています。しかし、何らかの原因でこの粘膜が傷つけられ、深くえぐれてしまった状態を「胃潰瘍」と呼びます。胃潰瘍を引き起こす要因は様々ですが、かつては暴飲暴食やストレスなどが主な原因だと考えられていました。しかし近年では、ピロリ菌という細菌の感染が大きく関与していることが明らかになっています。ピロリ菌は、胃の粘膜に生息し、炎症を引き起こすことで潰瘍を形成しやすくしてしまうのです。胃潰瘍になると、みぞおちのあたりに痛みを感じることが多く、特に空腹時に痛みが強くなる傾向があります。また、吐き気や食欲不振、胸やけなどの症状が現れることもあります。さらに、症状が進行すると、吐血や下血、さらには胃に穴が開いてしまう「穿孔」といった重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。胃潰瘍は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、多くの場合症状は改善します。そのため、少しでも気になる症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。そして、ピロリ菌の除菌治療など、医師の指示に従って治療を進めていくことが大切です。

項目 説明
定義 胃の粘膜が傷つき、深くえぐれた状態
主な原因 ピロリ菌という細菌の感染
症状 みぞおちの痛み(特に空腹時)、吐き気、食欲不振、胸やけ、吐血、下血など
合併症 胃穿孔
治療法 ピロリ菌の除菌治療など

胃潰瘍の原因

胃潰瘍の原因

胃潰瘍は、胃の粘膜に傷ができ、それが深くえぐれた状態になる病気です。この厄介な病気の原因として、最も多いのはピロリ菌という細菌への感染です。

ピロリ菌は、胃の中に住み着くことができる細菌で、感染すると胃の粘膜を胃酸から守る働きが弱くなってしまいます。その結果、胃酸によって粘膜が傷つけられやすくなり、潰瘍ができやすくなるのです。

ピロリ菌感染以外にも、胃潰瘍を引き起こす要因はいくつかあります。

例えば、強いストレスを感じ続けたり、タバコを吸ったりすると、胃の粘膜を守る力が弱まってしまい、潰瘍のリスクが高まります。また、痛み止めとして広く使われている非ステロイド性抗炎症薬も、服用期間が長くなると胃の粘膜に負担をかけ、潰瘍の原因となることがあります。

さらに、度を超えたアルコール摂取も胃への負担が大きく、潰瘍のリスクを高める要因となります。

体質的に胃酸が多く分泌される人や、胃の粘膜を守る力が生まれつき弱い人も、胃潰瘍になりやすい傾向があります。

胃潰瘍の原因 詳細
ピロリ菌感染 胃に住み着く細菌。感染すると胃酸から粘膜を守る働きが弱くなる。
ストレス 強いストレスは胃の粘膜を守る力を弱める。
タバコ 喫煙は胃の粘膜を守る力を弱める。
非ステロイド性抗炎症薬 痛み止めとして広く使われるが、長期間の使用は胃の粘膜に負担をかける。
アルコール 過剰摂取は胃への負担が大きく、潰瘍のリスクを高める。
体質 胃酸が多く分泌される人や、胃の粘膜を守る力が弱い人は潰瘍になりやすい。

胃潰瘍の症状

胃潰瘍の症状

胃潰瘍は、胃の粘膜に傷ができ、炎症を起こしている状態です。この病気になると、みぞおちのあたりに痛みを感じることが多くあります。この痛みは、空腹時や食後、そして夜間によく現れます。食事をとると一時的に痛みが和らぐことも特徴の一つです。

みぞおちの痛み以外にも、吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状が現れることもあります。また、胸やけや胃もたれを感じる方もいます。

さらに、潰瘍から出血すると、吐血や下血がみられることがあります。吐血は、まるでコーヒー豆のかすのような黒い吐物として現れることが多く、下血は、黒い便や、タールのように真っ黒な便として現れます。出血量が多い場合には、顔色が悪くなったり、体がだるくなったりするなど、貧血の症状が現れることもあります。

胃潰瘍は、放置すると悪化し、さらに重篤な症状を引き起こす可能性があります。そのため、上記の症状がみられる場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

症状 詳細
みぞおちの痛み 空腹時、食後、夜間に出現することが多い。食事で一時的に痛みが和らぐこともある。
その他の消化器症状 吐き気、嘔吐、食欲不振、胸やけ、胃もたれなど
出血症状(潰瘍から出血した場合)
  • 吐血:コーヒー豆のかすのような黒い吐物
  • 下血:黒い便、タール状の真っ黒な便
  • 貧血:顔面蒼白、倦怠感など(出血量が多い場合)

胃潰瘍の診断

胃潰瘍の診断

胃潰瘍は、胃の粘膜に傷ができ、炎症を起こした状態です。その診断には、患者さんの訴えを丁寧に聞き取り、身体診察を行い、さらに精密検査を加えることで、正確な診断に近づけていきます。

まず初めに、医師は患者さんから症状や生活習慣などについて詳しく聞き取ります。いつから、どのような痛みがあるのか、食事はきちんと摂れているか、喫煙や飲酒の習慣、他に持病がないかなどを詳しく尋ねます。痛みの特徴や、食事との関連などを把握することは、胃潰瘍かどうかを推測する上で非常に重要となります。

次に、医師は患者さんの腹部を直接触れて診察を行います。腹部を押して、痛みやこわばりがないか、胃の位置や形に異常がないかなどを調べます。胃潰瘍がある場合、みぞおち付近を押すと痛みを感じることが多く、その痛みの程度や部位から、ある程度の診断をつけることができます。

さらに、より正確な診断を行うために、内視鏡検査を行います。これは、口から細い管状の機器を挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察する検査です。内視鏡検査では、潰瘍の大きさや深さ、出血の有無などを直接確認することができ、胃潰瘍の診断には欠かせない検査となっています。また、検査中に組織を採取して、ピロリ菌感染の有無や、がんなどの悪性疾患の可能性を調べることもあります。

これらの検査結果を総合的に判断し、胃潰瘍の診断を確定します。そして、診断結果に基づいて、患者さん一人ひとりに最適な治療法が選択されます。

診断方法 詳細 診断における役割
問診 症状(痛みの種類、時期、食事との関連など)、生活習慣(喫煙、飲酒)、病歴などを詳しく聞き取る。 胃潰瘍の可能性を推測する上で非常に重要。
身体診察 腹部を触診し、痛みやこわばり、胃の位置や形などを確認する。 みぞおち付近の痛みなどから、ある程度の診断が可能。
内視鏡検査 口から細い管状の機器を挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を観察する。潰瘍の大きさや深さ、出血の有無などを確認する。組織を採取し、ピロリ菌感染や悪性疾患の可能性を調べることもある。 胃潰瘍の診断に不可欠な検査。

胃潰瘍の治療

胃潰瘍の治療

胃潰瘍の治療は、その原因や症状の程度、病状の進み具合によって異なってきます。

まず、胃潰瘍の原因がピロリ菌の感染であると確認された場合、除菌療法が行われます。除菌療法では、複数の抗生物質と、胃酸の分泌を抑える薬を組み合わせて服用します。これにより、ピロリ菌を体から除去し、胃粘膜の炎症を鎮静化します。

また、ストレスの多い生活や、食生活の乱れ、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因で胃潰瘍になっていると考えられる場合には、生活習慣の改善指導が行われます。具体的には、禁煙、お酒の量を控える、栄養バランスのとれた食事を規則的にとる、適度な運動を行う、十分な睡眠時間を確保するなど、生活習慣全般を見直し、改善するためのアドバイスを行います。

さらに、胃酸の分泌を抑える薬や、胃の粘膜を保護する薬が処方されることもあります。これらの薬は、胃酸による胃粘膜への攻撃を抑えたり、傷ついた胃粘膜の修復を助ける効果があります。

潰瘍から出血している場合は、出血を止める薬を投与したり、内視鏡を用いて潰瘍部分を直接治療する止血術が行われます。さらに、潰瘍が進行して胃に穴が開いてしまう穿孔が起こった場合は、緊急手術が必要となることもあります。

原因・症状 治療法
ピロリ菌感染
  • 除菌療法(抗生物質+胃酸抑制剤)
ストレス、生活習慣
  • 生活習慣改善指導(禁煙、飲酒制限、食事改善、運動、睡眠など)
胃酸過多、胃粘膜損傷
  • 胃酸分泌抑制剤
  • 胃粘膜保護剤
潰瘍出血
  • 止血剤投与
  • 内視鏡的止血術
穿孔(潰瘍による穴)
  • 緊急手術

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