膵炎:その原因と症状について

消化器

膵炎:その原因と症状について

病院での用語を教えて

先生、「膵炎」ってどんな病気なんですか?

体の健康研究家

いい質問だね。「膵炎」は簡単に言うと、食べ物を消化するための液を出す「膵臓」というところが炎症を起こす病気なんだ。

病院での用語を教えて

膵臓が炎症を起こすんですか? どうして炎症を起こしちゃうんですか?

体の健康研究家

原因は色々あるんだけど、お酒の飲み過ぎや胆石などが原因で起こることが多いんだ。症状としては、急に激しい腹痛が起きたり、吐き気がしたりするよ。

膵炎とは。

お腹の奥にある、消化液を出す働きをする「すいぞう」という臓器に炎症が起きる病気を「すいえん」といいます。すいえんには、急に症状が出るものと、ゆっくりと病気が進むものとがあります。

膵炎とは

膵炎とは

– 膵炎とは膵炎は、食べ物の消化を助ける上で重要な役割を担う膵臓に炎症が起こる病気です。膵臓は胃の後ろ、背骨の前に位置する臓器で、消化酵素とホルモンを作り出す働きをしています。消化酵素は通常、膵臓内では不活性な状態で作られ、十二指腸という器官に分泌された後に活性化し、食べ物を分解する役割を担います。ホルモンには、血糖値を調整するインスリンなどが含まれます。

膵炎になると、本来は十二指腸で活性化するはずの消化酵素が、膵臓内で活性化してしまう異常事態が発生します。その結果、膵臓自身の組織が消化酵素によって攻撃され、炎症を引き起こしてしまうのです。これが、膵炎の主な原因です。膵炎には、症状が一時的に現れる急性膵炎と、症状が長期間にわたって続く慢性膵炎の二つがあります。急性膵炎は、適切な治療を行えば多くは回復しますが、重症化すると命に関わることもあります。慢性膵炎は、長期間にわたる炎症によって膵臓の組織が破壊され、消化吸収機能が低下したり、糖尿病を発症したりする可能性があります。

膵炎の原因は様々ですが、主なものとしては、胆石、アルコールの過剰摂取、高脂血症などが挙げられます。また、特定の薬剤や遺伝などが原因となることもあります。膵炎の治療は、その原因や症状の程度によって異なりますが、基本的には絶食による膵臓の安静、点滴による栄養補給、痛み止めなどの投与が行われます。場合によっては、内視鏡を用いた治療や手術が必要となることもあります。

項目 内容
膵炎の定義 食べ物の消化を助ける膵臓に炎症が起こる病気
膵臓の役割 胃の後ろ、背骨の前に位置し、消化酵素とホルモン(インスリンなど)を作り出す
膵炎の原因 膵臓内で消化酵素が活性化し、膵臓自身の組織を攻撃してしまうため
膵炎の種類
  • 急性膵炎:症状が一時的に現れる。適切な治療で多くは回復するが、重症化すると命に関わることも
  • 慢性膵炎:症状が長期間続く。膵臓の組織が破壊され、消化吸収機能の低下や糖尿病のリスクも
膵炎の主な原因 胆石、アルコールの過剰摂取、高脂血症、特定の薬剤、遺伝など
膵炎の治療 絶食による膵臓の安静、点滴による栄養補給、痛み止め投与。場合によっては内視鏡治療や手術も

膵炎の種類

膵炎の種類

膵炎は、その経過や症状、原因によって大きく二つに分けられます。一つは急性膵炎、もう一つは慢性膵炎です。

急性膵炎は、文字通り急激に発症する膵臓の炎症です。主な症状として、みぞおち付近に突如として生じる激しい痛みが挙げられます。この痛みは、背中側にまで広がり、吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。急性膵炎の原因として最も多いのは、胆石です。胆石が胆管を詰まらせることで、膵液の流れが滞り、膵臓内で炎症を引き起こすと考えられています。また、過度のアルコール摂取も急性膵炎の大きなリスクとなります。

一方、慢性膵炎は、長期間にわたって膵臓に炎症が続く病気です。初期段階では自覚症状が乏しいこともありますが、病状が進行すると、腹部鈍痛や背部痛、食欲不振、体重減少などが現れます。慢性膵炎の主な原因は、長年にわたる過度の飲酒です。アルコールが膵臓に継続的なダメージを与えることで、組織が徐々に破壊され、機能が失われていきます。また、飲酒以外にも、遺伝的な要因や自己免疫疾患などが慢性膵炎の原因となることがあります。

項目 急性膵炎 慢性膵炎
経過 急激 長期間
症状 みぞおち付近の激しい痛み、吐き気、嘔吐 腹部鈍痛、背部痛、食欲不振、体重減少
原因 胆石、過度のアルコール摂取 長年の過度の飲酒、遺伝、自己免疫疾患

急性膵炎の症状

急性膵炎の症状

急性膵炎になると、みぞおちのあたりに、耐え難いほどの激痛が走ります。これは、炎症を起こした膵臓が、まるで自身を消化しようとするかのように、強い酵素を出し始めるために起こります。この痛みは、しばしば背中や肩甲骨にまで広がり、患者は苦悶の表情を浮かべます。また、吐き気や嘔吐を伴うことも多く、胃の内容物が繰り返し逆流してくるため、脱水症状に陥りやすくなります。さらに、発熱や皮膚や白目が黄色くなる黄疸、腹部の膨満感なども見られることがあります。急性膵炎は放っておくと、命に関わる危険な状態に進行することもあります。重症化すると、全身の臓器が機能不全に陥るショック状態になり、集中治療室での処置が必要となることもあります。特に、高齢者や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの基礎疾患のある方は、重症化のリスクが高いため、早期の診断と適切な治療が重要になります。

症状 詳細
腹痛 みぞおちのあたりに耐え難いほどの激痛があり、背中や肩甲骨にまで広がる
消化器症状 吐き気、嘔吐を伴うことが多く、脱水症状に陥りやすい
その他症状 発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹部の膨満感
重症化のリスクが高い人 高齢者、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの基礎疾患のある方
重症化すると ショック状態、多臓器不全、集中治療室での治療が必要になることも

慢性膵炎の症状

慢性膵炎の症状

慢性膵炎は、ゆっくりと膵臓に炎症が起きる病気です。初期の段階では、自覚できる症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに病気が進行している場合があります。

しかし、膵臓の組織が炎症によって破壊されていくにつれて、様々な症状が現れてきます。

最も一般的な症状は、みぞおちのあたりに感じられる痛みです。この痛みは、食後に強くなることが多く、背中側に広がったり、持続したりすることもあります。痛みが激しいため、日常生活に支障をきたすこともあります。

また、膵臓は消化酵素を作る役割も担っているため、慢性膵炎が進行すると、消化酵素が十分に分泌されなくなり、消化不良を起こしやすくなります。その結果、吐き気や嘔吐、食欲不振、腹部膨満感などの症状が現れます。さらに、脂肪の消化吸収が悪くなることで、便が白っぽく油っぽくなる脂肪便も見られるようになります。

慢性膵炎は、進行すると体重減少を引き起こすこともあります。これは、消化吸収機能の低下や、痛みが原因で食事量が減ってしまうことなどが原因と考えられます。

さらに、膵臓は血糖値を調節するインスリンというホルモンも分泌しています。慢性膵炎が進行すると、インスリンを分泌する細胞も破壊され、糖尿病を発症することがあります。

慢性膵炎は、放置すると膵臓がんのリスクを高めることも知られています。そのため、早期発見、早期治療が重要です。

症状 説明
みぞおちの痛み 食後に強くなり、背中側に広がったり、持続したりすることがある。
吐き気、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感 消化酵素の分泌量が減り、消化不良を起こしやすくなるため。
脂肪便 脂肪の消化吸収が悪くなるため。
体重減少 消化吸収機能の低下や、痛みが原因で食事量が減ってしまうため。
糖尿病 インスリンを分泌する細胞が破壊されるため。

膵炎の治療

膵炎の治療

膵炎は、すい臓に炎症が起こる病気です。すい臓は、食べ物を消化するための消化酵素と、血糖値を調節するためのホルモンを分泌する重要な臓器です。膵炎になると、これらの機能が損なわれ、様々な症状が現れます。

膵炎の治療は、その原因や重症度によって異なりますが、基本的には、すい臓の安静と炎症を抑えることを目的に行われます。

急性膵炎の場合、まずは、絶食によってすい臓を休ませることが重要です。また、点滴によって水分や栄養を補給し、脱水症状を防ぎます。強い痛みを伴う場合は、痛み止めを使用します。重症化すると、ショックや呼吸困難などの症状が現れることがあります。このような場合には、集中治療室での治療が必要となります。

慢性膵炎の場合、禁酒食事療法が治療の基本となります。アルコールは膵炎の原因となるだけでなく、症状を悪化させる可能性もあるため、禁酒は必須です。食事は、低脂肪食を心がけ、消化の良いものを少量ずつ摂取します。消化酵素の分泌が低下している場合は、消化酵素補充療法を行います。痛みが強い場合には、痛み止めを使用したり、神経ブロックを行うこともあります。

膵炎は、重症化すると命に関わることもあります。早期発見、早期治療が大切です。

分類 治療のポイント 具体的な治療法
急性膵炎 すい臓の安静と炎症を抑える
  • 絶食
  • 点滴
  • 痛み止め
  • 重症化したら集中治療室での治療
慢性膵炎 禁酒と食事療法
  • 禁酒
  • 低脂肪食などの食事療法
  • 消化酵素補充療法
  • 痛み止め、神経ブロック

膵炎の予防

膵炎の予防

膵炎は、様々な要因によって膵臓に炎症が起こる病気です。一度発症すると重症化する可能性もあり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。膵炎を予防するためには、膵臓に負担をかけない生活習慣を心がけることが重要です。

まず、過剰な飲酒は膵炎の大きなリスクとなります。アルコールは膵臓に負担をかけ、炎症を引き起こしやすいため、飲酒は控えめにするように心がけましょう。

また、脂肪分の多い食事も膵臓に負担をかけるため、注意が必要です。バランスの取れた食事を心がけ、特に脂肪分の多い食事は控えるようにしましょう。

胆石も膵炎の原因の一つとして挙げられます。胆石は胆嚢の中にできる結石で、胆管を詰まらせて膵炎を引き起こすことがあります。胆石の予防には、規則正しい生活とバランスの取れた食事が大切です。

健康診断などで膵臓の状態を定期的にチェックすることも有効な予防策です。血液検査や画像検査などによって、膵臓の状態を把握することができます。早期発見、早期治療のためにも、定期的な健康診断を受け、医師の指示に従うようにしましょう。

要因 詳細 予防策
過剰な飲酒 アルコールが膵臓に負担をかけ、炎症を引き起こす 飲酒は控えめにする
脂肪分の多い食事 膵臓に負担をかける バランスの取れた食事を心がけ、脂肪分の多い食事は控える
胆石 胆嚢の中にできる結石で、胆管を詰まらせて膵炎を引き起こす 規則正しい生活とバランスの取れた食事、定期的な健康診断

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