鼠径ヘルニアとは?

外科

鼠径ヘルニアとは?

病院での用語を教えて

先生、「鼠径ヘルニア」ってどういう病気ですか?

体の健康研究家

良い質問だね。「鼠径ヘルニア」は、お腹の一部が、鼠径部という、太ももの付け根あたりに出てくる病気だよ。

病院での用語を教えて

お腹の一部が出てくる?どうしてですか?

体の健康研究家

お腹には、腸などをしまっている袋があるんだけど、その袋の一部が弱くなって、腸などがそこから飛び出してくるんだ。小さな子供や、お年寄りの男性に多い病気だよ。

鼠径ヘルニアとは。

「医学や健康で使う『鼠径ヘルニア』という言葉の意味は、『そけいへるにあ』とも呼ばれ、お腹の中にあるはずの物が、足の付け根にある『鼠径部』というところに飛び出してしまうことを言います。お腹のヘルニアの中で一番多い種類です。特に、生まれたばかりの男の子や、歳を重ねた男性に多く見られます。

鼠径ヘルニアの部位

鼠径ヘルニアの部位

鼠径ヘルニアは、太ももの付け根の少し上、脚の付け根と下腹部の間にできる病気です。この部分は「鼠径部」と呼ばれ、お腹の中の腸などを支える筋肉や組織でできています。

通常、これらの筋肉や組織は強固で、お腹の中の臓器をしっかりと支えています。しかし、加齢や重いものを持つなどの負担、生まれつきの体質などが原因で、この部分が弱くなってしまうことがあります。

鼠径部の筋肉や組織が弱くなると、お腹の中の腸などが、その隙間から皮膚の下に飛び出してきてしまいます。これが鼠径ヘルニアです。飛び出した部分は、触ると柔らかく、押し戻せることもあります。

鼠径ヘルニアは、男性に多くみられます。これは、男性の鼠径部には、精巣に繋がる管が通っているため、構造的に弱くなっている部分があるためです。

鼠径ヘルニアは、自然に治ることはありません。治療には、一般的に手術が必要となります。鼠径ヘルニアかなと思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。

項目 内容
病気 鼠径ヘルニア
場所 鼠径部(太ももの付け根の少し上、脚の付け根と下腹部の間)
原因 ・加齢
・重いものを持つなどの負担
・生まれつきの体質
・男性の場合、精巣に繋がる管が通っているため構造的に弱い
症状 ・お腹の中の腸などが鼠径部の皮膚の下に飛び出す
・飛び出した部分は柔らかく、押し戻せることもある
治療法 手術

鼠径ヘルニアの原因

鼠径ヘルニアの原因

鼠径ヘルニアは、太ももの付け根にある鼠径部に、本来お腹の中にあるはずの腸の一部などが飛び出してきてしまう病気です。この飛び出しは、さまざまな要因によって引き起こされます。

まず、加齢によってお腹の筋肉が弱くなってしまうことが挙げられます。筋肉が弱くなると、お腹にかかる圧力に耐えられなくなり、鼠径部に腸などが飛び出しやすくなってしまいます。また、重い物を持ち上げたり、激しい運動をしたりするなど、お腹に強い圧力がかかることも、鼠径ヘルニアのリスクを高めます。

さらに、慢性的な咳も要因の一つです。咳をするとお腹に圧力がかかり、それが繰り返し起こることで鼠径部に負担がかかり、ヘルニアを引き起こしやすくなります。

生まれつきお腹の筋肉に隙間がある場合も、鼠径ヘルニアになりやすいと言われています。これは、筋肉の隙間から腸などが飛び出しやすくなっているためです。

男性は女性に比べて鼠径管と呼ばれる部分が広く、この部分から腸などが飛び出しやすいことから、男性に多く見られます。鼠径管とは、精索(男性の生殖器官である精巣に繋がる管)が通る管のことです。女性にも鼠径管はありますが、男性に比べて狭くなっています。

要因 詳細
加齢 お腹の筋肉が弱くなり、お腹にかかる圧力に耐えられなくなるため。
お腹に強い圧力 重い物を持ち上げたり、激しい運動をするなどが原因となる。
慢性的な咳 咳がお腹にかかる圧力となり、鼠径部に負担をかけるため。
生まれつきの筋肉の隙間 筋肉の隙間から腸などが飛び出しやすくなるため。
男性に多い理由 男性は女性に比べて鼠径管と呼ばれる部分が広く、腸などが飛び出しやすい。

鼠径ヘルニアの症状

鼠径ヘルニアの症状

鼠径ヘルニアは、太ももの付け根の辺り、いわゆる鼠径部と呼ばれる部分に、腸の一部などが飛び出してくる病気です。この病気になると、様々な症状が現れることがあります。

最も一般的な症状は、鼠径部に違和感を感じたり、しこりのようなものに触れたりすることです。立ったり、お腹に力を入れたりすると、このしこりはより目立つようになる傾向があります。また、このしこりは指で押すと、元に戻ることがありますが、自然に消えることはありません。

鼠径ヘルニアは、常に痛みを伴うわけではありません。初期の段階では、軽い違和感や引っ張られるような感覚がある程度の場合も少なくありません。しかし、病気が進行すると、鼠径部だけでなく、下腹部や腰などに痛みを感じることがあります。特に、重いものを持ったり、激しい運動をした後には、痛みが強くなる傾向があります。

さらに、ヘルニアの内容物である腸などが、強く圧迫されると、吐き気や嘔吐、便秘などの消化器症状が現れることもあります。このような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

症状 詳細
違和感・しこり 鼠径部に違和感を感じたり、しこりのようなものに触れたりする。立ったり、お腹に力を入れたりすると、しこりはより目立つようになる。指で押すと元に戻るが、自然に消えることはない。
痛み 常に痛みを伴うわけではない。初期は軽い違和感や引っ張られるような感覚。進行すると鼠径部だけでなく、下腹部や腰などに痛みを感じることがある。重いものを持ったり、激しい運動をした後には、痛みが強くなる傾向がある。
消化器症状 ヘルニアの内容物である腸などが強く圧迫されると、吐き気や嘔吐、便秘などの消化器症状が現れることがある。

鼠径ヘルニアの診断

鼠径ヘルニアの診断

– 鼠径ヘルニアの診断

鼠径ヘルニアは、太ももの付け根にある鼠径部に、本来はそこにはないはずの腸の一部などが飛び出してくる病気です。この病気の診断は、患者さんの訴えをよく聞き、医師が注意深く身体診察を行うことが何よりも大切です。

診察ではまず、鼠径部の膨らみを目で見て確認します。患者さん自身に立ったり、咳をしたりしてもらって、お腹に力を入れた時に膨らみが大きくなるかどうかを観察します。これは、腹圧がかかるとヘルニアがより顕著になるためです。さらに、医師が指で鼠径部を触診し、膨らみが柔らかいのか、硬いのか、押すと元の位置に戻るのかなどを調べます

多くの場合、診察だけで鼠径ヘルニアかどうかを診断できます。しかし、ヘルニアの袋の中に腸以外の臓器が入っている場合や、他の病気の可能性も考えられる場合には、より詳しく調べるために画像検査を行います。

画像検査には、超音波検査やCT検査などがあります。超音波検査は、人体に無害な音波を使って、ヘルニアの大きさや内容物を確認できます。CT検査では、X線を使って体の断面を撮影し、ヘルニアの詳細な構造や周囲の組織との関係を把握することができます。

このように、鼠径ヘルニアの診断は、医師による診察と、必要に応じて行われる画像検査によって行われます。早期発見、早期治療が大切ですので、鼠径部に異常を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

診断方法 詳細
診察 – 鼠径部の膨らみを視診で確認
– 患者さんに立ったり咳をさせて腹圧による変化を確認
– 触診で膨らみの性状を確認
画像検査 – 超音波検査:ヘルニアの大きさや内容物を確認
– CT検査:ヘルニアの構造や周囲組織との関係を確認

鼠径ヘルニアの治療

鼠径ヘルニアの治療

– 鼠径ヘルニアの治療鼠径ヘルニアの治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適な方法が選択されます。治療方針を決める上で考慮すべき要素は、ヘルニアの大きさや症状の程度、患者さんの年齢や健康状態など多岐にわたります。基本的には、鼠径ヘルニアの治療は手術によって行われます。手術の目的は、主に二つあります。一つ目は、太ももの付け根付近に飛び出してきた臓器を、本来あるべきお腹の中に戻すことです。二つ目は、お腹の中の臓器を支える腹壁の一部が弱くなってしまっている部分を、人工的な素材を用いて補強することです。手術の方法としては、大きく分けて二つの選択肢があります。一つは、開腹手術と呼ばれる方法です。これは、お腹を数センチメートル切開して、そこから直接ヘルニアの部分を修復する方法です。もう一つは、腹腔鏡手術と呼ばれる方法です。こちらは、お腹に小さな穴を数カ所開け、そこから細いカメラや手術器具を挿入して、モニターを見ながらヘルニアを修復する方法です。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、患者さんの状態や希望も考慮しながら、医師とよく相談した上で最終的に決定します。鼠径ヘルニアは、放置しておくと、飛び出した臓器が締め付けられてしまい、激しい痛みや吐き気を引き起こすことがあります。さらに悪化すると、腸などの臓器が壊死してしまう可能性もあるため、早期に適切な治療を受けることが非常に重要です。

治療方針決定要素 手術の目的 手術方法 メリット デメリット
  • ヘルニアの大きさ
  • 症状の程度
  • 年齢
  • 健康状態
  1. 飛び出した臓器を腹腔内に戻す
  2. 弱くなった腹壁の補強
  1. 開腹手術:お腹を切開して修復
  2. 腹腔鏡手術:小さな穴からカメラや器具を入れて修復
放置のリスク:

  • 激しい痛み
  • 吐き気
  • 臓器の壊死

鼠径ヘルニアの予防

鼠径ヘルニアの予防

鼠径ヘルニアは、お腹の中の臓器の一部が、鼠径部の筋肉の隙間から皮膚の下に飛び出してしまう病気です。完全に予防することは難しいですが、日頃からお腹への負担を減らす生活習慣を心がけることで、発症のリスクを下げることができます。

まず、重い物を持ち上げる際には注意が必要です。腰を曲げて持ち上げるのではなく、膝を曲げて腰を落とした状態で持ち上げるようにしましょう。この時、お腹に力を入れるのではなく、足の力を使って持ち上げるように意識することが大切です。

また、肥満も鼠径ヘルニアの危険因子の一つです。バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を習慣化することで、適正体重を維持しましょう。

さらに、喫煙は鼠径ヘルニアだけでなく、様々な病気のリスクを高めることが知られています。禁煙は、健康的な生活を送る上で非常に重要です。

これらの生活習慣を改善することで、鼠径ヘルニアのリスクを減らすだけでなく、健康な体を維持することにも繋がります。日頃から意識して生活することが大切です。

鼠径ヘルニア予防のポイント 具体的な方法
重い物を持ち上げる際の注意 – 腰を曲げずに、膝を曲げて腰を落として持ち上げる
– お腹に力を入れるのではなく、足の力を使う
肥満対策 – バランスの取れた食事を心がける
– 適度な運動を習慣化し、適正体重を維持する
禁煙 – 喫煙は鼠径ヘルニアを含む様々な病気のリスクを高める

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