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百日咳:その咳、もしかしたら…?

- 百日咳とは百日咳は、百日咳菌というごく小さな生き物が、空気中に漂うツバとともに体の中に入り込み、気管や気管支といった呼吸に関係する場所で増えることで発症する感染症です。感染力は非常に強く、特に免疫力が発達していない乳幼児は重症化しやすいため注意が必要です。この病気の名前は、文字通り、咳が百日間も続くことから名付けられました。もちろん、実際には誰もが百日間も咳をし続けるわけではありませんし、適切な治療を受ければ、それほど長く続くこともありません。しかし、もしも治療をせずに放っておくと、数週間から、場合によっては数ヶ月もの間、激しい咳に悩まされることになる可能性があります。百日咳の初期症状は、風邪とよく似ています。鼻水が出たり、喉が痛くなったり、微熱が続くといった症状が現れます。そして、1~2週間ほど経つと、特徴的な「コンコン」という乾いた咳が出始めます。この咳は、次第にひどくなり、息を吸う時に「ヒューヒュー」という笛のような音がするようになります。 百日咳は、ワクチン接種によって予防することが可能です。乳幼児期にワクチンを接種することで、重い症状になることを防ぐことができます。また、百日咳と診断された場合は、周囲への感染を広げないよう、医師の指示に従って適切な治療を受けることが重要です。
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肺の機能を探る:肺拡散能検査とは

- 肺拡散能検査の目的 肺拡散能検査は、肺が空気中から血液中にどれだけ効率的に酸素を取り込み、反対に血液中から肺へ二酸化炭素を排出できるかを調べる検査です。 呼吸をする際には、肺にある小さな空気の袋である肺胞と、その周囲を取り囲む毛細血管の間でガス交換が行われます。肺拡散能検査では、このガス交換がスムーズに行われているかを評価します。 具体的には、患者さんにごく少量の一酸化炭素を含む空気を吸ってもらい、その後に吐く息の中の一酸化炭素濃度を測定します。一酸化炭素は酸素と同様に肺胞から血液中に移動するため、この検査によって肺胞から毛細血管へのガス交換の効率を間接的に知ることができます。 肺拡散能検査は、息切れや呼吸困難などの症状がある場合に、その原因を特定するために重要な役割を果たします。例えば、間質性肺炎や肺線維症などの病気では、肺胞の壁が厚くなったり、炎症を起こしたりすることでガス交換の効率が低下します。そのため、肺拡散能検査の結果が低い場合は、これらの病気が疑われます。 また、肺拡散能検査は、病気の進行状況や治療の効果を判定するためにも用いられます。治療によって肺の機能が改善した場合、肺拡散能検査の結果も改善することが期待されます。
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鳥インフルエンザとは

鳥インフルエンザは、鳥の間で流行するインフルエンザウイルスが原因で発生する感染症です。 このウイルスは、鶏やアヒルといった家禽に感染することが多く、養鶏場などで集団感染を引き起こすこともあります。また、渡り鳥など野生の鳥もウイルスを持っていることがあり、鳥インフルエンザの拡散に繋がると懸念されています。 鳥インフルエンザは、感染した鳥の糞便などに触れたり、ウイルスを含む埃を吸い込むことで人に感染することがあります。ただし、人への感染は稀であり、鳥から直接人に感染するケースは多くありません。 しかしながら、人への感染が確認された場合、重症化しやすいという特徴があります。肺炎や呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。そのため、鳥インフルエンザは人にとっても軽視できない感染症と言えるでしょう。 鳥インフルエンザの予防には、鳥との接触を避ける、鳥の糞便などに触れた場合はよく手を洗う、といった対策が有効です。また、養鶏場などでは、鳥舎の衛生管理を徹底することが重要です。
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ミニトラック:気管切開後の呼吸ケア

- ミニトラックとは?ミニトラックとは、呼吸に困難をきたしている患者さんの気管に挿入する細い管のことを指します。 気管は、鼻や口から吸い込んだ空気を肺へと送るための重要な器官ですが、病気や怪我などによって、その機能が十分に働かなくなることがあります。 このような場合には、「気管切開」と呼ばれる手術を行うことがあります。気管切開は、首の前方に小さな穴を開け、そこから直接気管に管を挿入する処置です。 この穴を「気管切開孔」と呼び、挿入された管を通して呼吸を補助したり、分泌物を吸引したりすることが可能になります。ミニトラックは、この気管切開孔を通して気管内に留置する目的で用いられます。 材質は柔らかく、患者さんの身体への負担を最小限に抑えるように設計されています。 主な役割としては、気道の確保、痰や分泌物の吸引、そして乾燥を防ぐための保湿などが挙げられます。このように、ミニトラックは呼吸困難に直面する患者さんにとって、円滑な呼吸を維持し、合併症を予防するために非常に重要な役割を担っています。
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1957年世界を襲ったパンデミック:アジアかぜ

- アジアかぜとはアジアかぜは、1957年に初めて確認された、新型のインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。このウイルスは、それまで人間の体内に存在しなかった、A型インフルエンザウイルスのH2N2亜型として分類されました。この新型ウイルスは、鳥類の間で流行していたインフルエンザウイルスが変異し、人間にも感染する能力を獲得したことで出現したと考えられています。アジアかぜという名前が付けられた理由は、この病気が初めて確認された地域がアジアだったからです。具体的には、1957年2月に中国で最初の流行が報告され、その後、シンガポール、香港、そして世界中に感染が拡大していきました。アジアかぜの症状は、一般的な季節性インフルエンザと類似しており、高熱、咳、喉の痛み、筋肉痛、倦怠感などが挙げられます。多くの人々は1週間程度で回復しますが、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人などでは、肺炎などの合併症を引き起こし、重症化するケースも見られました。アジアかぜのパンデミックは、世界中で多くの人々の命を奪いました。正確な死者数は不明ですが、世界保健機関(WHO)は、少なくとも100万人以上が死亡したと推定しています。このパンデミックは、新型インフルエンザウイルスに対する脅威を世界に知らしめ、公衆衛生対策の重要性を改めて認識させる出来事となりました。
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