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小児の腎臓に発生する悪性腫瘍:腎芽腫

- 腎芽腫とは腎芽腫は、かつてウィルムス腫瘍とも呼ばれていた、子どもの腎臓にできる悪性腫瘍です。腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する大切な臓器ですが、この腎臓を形成する細胞の一部が腫瘍化することで腎芽腫が発生します。 小児の腎臓にできる癌としては最も多く、全体の約9割を占めます。発生頻度は10万人に約7~10人とされています。一般的に5歳未満の小児に多く見られ、特に3歳から4歳で最も多く診断されます。15歳以上の発症は非常に稀です。 腎芽腫は初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、腫瘍が大きくなるとお腹にしこりを触れたり、腹痛や血尿などの症状が現れることがあります。早期発見、早期治療が重要なため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。
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側弯症治療の強い味方:ミルウォーキー・ブレース

- ミルウォーキー・ブレースとはミルウォーキー・ブレースは、成長期の子供の側弯症の進行を抑えるために使用される装具です。側弯症は、背骨が横に曲がるだけでなく、ねじれも伴う病気です。進行すると、見た目の問題だけでなく、呼吸困難や腰痛など、様々な症状を引き起こす可能性があります。ミルウォーキー・ブレースは、首から骨盤までを覆うように装着するコルセットのような形をしています。プラスチック製の支柱とベルトで構成されており、体の動きを制限することで背骨の湾曲を矯正し、正常な成長を促します。この装具は、特に首、背中、腰の変形が顕著な側弯症の若年患者に適用されます。一般的には、骨の成長が止まる10代後半まで使用されます。装着時間は医師の指示によって異なり、1日に20時間以上装着する場合もあるなど、日常生活で多くの時間を装具と共に過ごすことになります。ミルウォーキー・ブレースは、側弯症の進行を抑制する効果が期待できますが、装着には、皮膚の炎症や筋肉の衰えといったリスクも伴います。そのため、医師の指示に従って正しく装着し、定期的な診察を受けることが重要です。
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ウィルムス腫瘍とWT1遺伝子

- ウィルムス腫瘍とはウィルムス腫瘍は、腎臓にできる悪性腫瘍です。悪性腫瘍は、一般的に「がん」と呼ばれる病気です。 小さいお子さんに発症することが多く、腎臓にできる腫瘍の中では最も多くみられます。日本では、毎年約100人の子供がウィルムス腫瘍と診断されています。ウィルムス腫瘍は、初期の段階では、ほとんど症状が現れません。そのため、健康診断や他の病気の検査で偶然発見されることも少なくありません。しかし、腫瘍が大きくなってくると、以下のような症状が現れるようになります。* お腹にしこりを触れる* 尿に血が混じる(血尿)* お腹の痛み* 発熱ウィルムス腫瘍は、早期に発見し、適切な治療を行えば治癒が期待できる病気です。そのため、お子さんに上記のような症状がみられる場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。ウィルムス腫瘍の治療は、手術、抗がん剤を使った治療(化学療法)、放射線を使った治療(放射線療法)などを組み合わせて行います。治療法は、腫瘍の大きさや進行度、お子さんの年齢や全身状態などを考慮して決定されます。
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赤ちゃんの足の変形:デニス・ブラウン副子について

- デニス・ブラウン副子とは?赤ちゃんの中には、生まれつき足の形が少し違う場合があります。内反足は、その代表的な例で、足先が内側に曲がってしまう状態を指します。このような変形を自然に治すために用いられるのが、デニス・ブラウン副子と呼ばれる装具です。デニス・ブラウン副子は、金属の棒の両端に、靴によく似た形の部品が取り付けられています。この部品に赤ちゃんの足を固定することで、足先がまっすぐになるように矯正していきます。この装具は、24時間装着するのが一般的で、寝ている間も装着し続けることで効果が期待できます。この副子は、イギリスの医師であるデニス・ブラウンによって考案されました。彼は、添え木を用いた内反足の治療法を提唱し、その功績からこの装具に彼の名前が付けられました。デニス・ブラウン副子は、赤ちゃんの足の変形を矯正する効果的な方法として、現在でも広く用いられています。ただし、装着には医師の指導が必要となります。保護者は、医師の指示に従って、正しく使用することが大切です。
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リーメンビューゲル紐革装具:赤ちゃんの股関節を守る装具

- リーメンビューゲル紐革装具とは?リーメンビューゲル紐革装具とは、生まれたときから股関節が外れた状態である先天性股関節脱臼の赤ちゃんに使用される治療用の装具です。この装具は、赤ちゃんの股関節を適切な位置に保つことで、骨の正常な発達を促すことを目的としています。リーメンビューゲル紐革装具は、その名の通り、馬に乗る際に足をかける「鐙(あぶみ)」に形が似ていることから名付けられました。この装具は、赤ちゃんのお腹と膝を軽く曲げた状態に保ちます。この姿勢は、股関節を構成する骨である大腿骨頭を骨盤の受け皿部分である寛骨臼にぴったりと収めるのに最適な角度とされています。この装具は、革製のベルトと金属製の留め具でできており、赤ちゃんの体に合わせた適切なサイズに調整されます。赤ちゃんの成長に合わせて、定期的に医師の診察を受け、装具の調整を行う必要があります。リーメンビューゲル紐革装具は、股関節を正しい位置に導くことで、手術をせずに先天性股関節脱臼を治療できる可能性を高めます。ただし、治療の効果には個人差があり、必ずしもこの装具だけで完治するとは限りません。医師の指示に従って、根気強く治療を続けることが大切です。
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二分脊椎:知っておきたい基礎知識

- 二分脊椎とは二分脊椎は、赤ちゃんがお腹の中にいる時に、背骨の形成がうまくいかず、生まれつき背骨に異常がある状態を指します。 背骨は、積み木のように椎骨と呼ばれる骨が重なってできており、その中には脳から続く重要な神経である脊髄が通っています。 通常、この脊髄は椎骨に囲まれて保護されていますが、二分脊椎では、妊娠中の発達の段階で椎骨が完全に閉じないことがあります。この椎骨の異常な形成により、脊髄やその周りの組織が背中に飛び出したり、露出したりすることがあります。飛び出す程度や部位は人によって異なり、症状も様々です。 二分脊椎は、大きく分けて「顕在性二分脊椎」と「潜在性二分脊椎」の二つに分類されます。 顕在性二分脊椎は、皮膚の上から見てわかるように脊髄が飛び出している状態です。一方、潜在性二分脊椎は、皮膚の下に隠れていて外見からは分かりづらい状態です。潜在性二分脊椎は、腰などに生まれつきのあざやへこみがあることで気づかれることもあります。二分脊椎は、歩行障害や排泄障害など、様々な症状を引き起こす可能性があります。そのため、早期に発見し、適切な治療やケアを行うことが重要です。
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新生児呼吸窮迫症候群:小さな命を脅かす呼吸の危機

新生児呼吸窮迫症候群(しんせいじこきゅうきゅうはくしょうこうぐん)は、生まれたばかりの赤ちゃんに見られる、命に関わることもある呼吸器の病気です。この病気は、赤ちゃんの肺が十分に成熟していないために起こります。 人の肺の中には、肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな空気の袋がたくさんあります。肺胞の表面は、サーファクタントと呼ばれる物質で覆われており、このサーファクタントが、肺胞が呼吸によってしぼんでしまうのを防いでいます。 新生児呼吸窮迫症候群は、このサーファクタントが不足しているために起こります。サーファクタントが不足すると、肺胞がうまく膨らまなくなり、赤ちゃんは呼吸するのが苦しくなります。 新生児呼吸窮迫症候群は、特に妊娠37週未満で生まれた赤ちゃん、つまり早産児に多く見られます。これは、サーファクタントが妊娠後期に多く作られるようになるためです。早産であればあるほど、発症のリスクは高くなります。 新生児呼吸窮迫症候群は、呼吸が速くなったり、呼吸をする際に胸がへこんだり、皮膚の色が悪くなったりといった症状が現れます。重症化すると、命に関わることもあります。治療には、酸素吸入や人工呼吸器などを使用します。また、サーファクタントを補充する治療法もあります。
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知っておきたいくる病:子供の骨の健康

- くる病とは?くる病は、主に歩き始めの時期までの乳幼児に多く見られる骨の病気です。骨は通常、カルシウムとリンという栄養素を吸収して硬くなります。しかし、くる病になるとこれらの栄養素が不足し、骨が十分に硬くならず、軟らかく曲がってしまうのです。健康な骨は、建物に例えると鉄筋コンクリートのように丈夫な構造をしています。しかし、くる病の骨は、鉄筋が不足してコンクリートが固まっていない状態に似ています。そのため、体重を支えたり、体を動かしたりする際に骨が変形しやすく、O脚やX脚などの症状が現れます。また、骨がもろくなってしまうため、骨折しやすくなるのも特徴です。くる病の原因は、日光を浴びることで体内で作られるビタミンDが不足することが最も多く、その他、食事からのカルシウム不足や、遺伝的な要因なども考えられます。
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はしかについて:症状と予防

- はしかとははしかは、麻疹ウイルスが原因で起こる感染力が非常に強い病気です。このウイルスは、空気中に漂う咳やくしゃみのしぶきを介して、感染者から健康な人にうつります。 感染すると、高熱、咳、鼻水、目の充血などの症状が現れます。さらに、口の中に白い斑点が出て、その後、顔から体全体に赤い発疹が広がっていきます。はしかは、乳幼児や免疫力が低下している人にとって、特に危険な病気です。肺炎、中耳炎、脳炎などの重い合併症を引き起こすことがあり、最悪の場合、命を落とすこともあります。はしかの予防には、ワクチン接種が非常に有効です。はしかのワクチンは、他のワクチンと組み合わせたMR(麻疹・風疹混合)ワクチンとして、乳幼児期に2回接種します。はしかは空気感染で広がりやすいため、周囲の人に移さないように、感染者は外出を控えるなどの対策が必要です。また、はしかを疑う症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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感染力の脅威:麻疹について

- 麻疹とは?麻疹は、麻疹ウイルスが原因で起こる感染症です。このウイルスは、空気中に漂う小さな droplets を吸い込む「空気感染」、咳やくしゃみなどの「飛沫感染」、ウイルスが付着した物に触れる「接触感染」など、様々な経路で感染するため、非常に感染力が強い点が特徴です。感染すると、39度前後の高熱が続き、咳、鼻水、目の充血といった風邪に似た症状が現れます。その後、顔から体全体に赤い発疹が広がり、数日間続くのが特徴です。麻疹は、合併症を引き起こす可能性もある病気です。肺炎や中耳炎といった比較的軽い合併症の他に、脳炎や脳症といった重い合併症を引き起こすこともあり、最悪の場合、死に至ることもあります。しかし、麻疹はワクチンで予防可能な病気です。ワクチン接種を受けることで、麻疹ウイルスに対する免疫を獲得し、感染を防ぐことができます。また、周囲の人がワクチン接種を受けていることで、ウイルスが拡散しにくくなるため、自分だけでなく、周りの人を守ることにもつながります。麻疹は一度流行すると、その感染力の強さから、あっという間に広まってしまう可能性があります。そのため、ワクチン接種が非常に重要となります。
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先天性股関節脱臼:赤ちゃんの股関節の病気

生まれて間もない赤ちゃんに見られる病気の一つに、先天性股関節脱臼というものがあります。これは、赤ちゃんの股関節が本来あるべき場所からずれてしまっている状態を指し、医学的には発育性股関節形成不全(DDH)とも呼ばれます。股関節が完全に外れてしまっている場合だけでなく、外れやすい不安定な状態も含まれます。この先天性股関節脱臼は、比較的多くの赤ちゃんに見られる病気であり、特に女の子に多く発症する傾向があります。 この病気の原因は、まだはっきりと解明されていませんが、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。一つは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間の姿勢です。逆子や骨盤位と呼ばれる姿勢でいた場合、股関節に負担がかかりやすく、発症のリスクが高まると言われています。また、女の子は男の子に比べて、股関節を柔らかくするホルモンの影響を受けやすいため、発症率が高いと考えられています。さらに、家族に股関節脱臼の経験者がいる場合も、発症する可能性が高まるとされています。 先天性股関節脱臼は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。そのため、赤ちゃんを出産した際には、股関節の検査を受けることが推奨されています。治療法としては、股関節を正常な位置に戻すための装具を装着したり、場合によっては手術を行ったりします。早期に発見し、適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに治癒できる可能性が高まります。
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結核予防の切り札:BCGワクチン

結核は、結核菌という細菌によって引き起こされる感染症です。主に肺に感染しますが、リンパ節や骨、脳など、体の様々な場所に病巣を作ることもあります。症状としては、咳や痰、微熱などが挙げられます。初期症状は風邪に似ており、自覚症状が少ない場合もあるため、感染に気付かない場合もあります。 結核は、適切な治療を行えば治癒する病気です。しかし、治療が遅れたり、中断したりすると、症状が悪化し、呼吸困難や胸痛、血痰などが現れることがあります。さらに重症化すると、呼吸不全や心臓への負担増加など、命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。 BCGワクチンは、この結核を予防するために開発されたワクチンです。日本では、生後1歳未満の乳幼児に接種することが推奨されています。BCGワクチンは、結核菌に対する免疫を体内に作り出すことで、発病のリスクを減らし、重症化を防ぐ効果が期待できます。 結核は、空気感染によって人から人に感染します。感染者の咳やくしゃみ、会話などによって空気中に飛び散った結核菌を吸い込むことで感染します。感染を防ぐためには、咳エチケットを徹底することや、換気をこまめに行うなど、日常生活の中で予防対策を心がけることが重要です。
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RSウイルス感染症:乳幼児に多い呼吸器感染症

- RSウイルスとはRSウイルスは、乳幼児を中心に、年齢に関わらず、呼吸器に感染症を引き起こすウイルスです。感染すると、鼻水や咳、発熱といった風邪によく似た症状が現れます。多くの場合、これらの症状は軽度で、自宅で安静にしていれば自然に治癒していきます。しかし、乳幼児、特に生まれて間もない赤ちゃんや、心臓や肺などに持病を持つ赤ちゃんの場合、RSウイルスに感染すると重症化するリスクが高まります。具体的には、細気管支炎や肺炎などを発症し、呼吸が苦しくなったり、入院が必要となるケースも見られます。RSウイルスは、感染した人の咳やくしゃみ、つばなどの飛沫を介して、あるいはウイルスが付着したおもちゃなどを触ることによって、人から人へと感染します。そのため、特に流行時期には、こまめな手洗いとうがいを心がけ、赤ちゃんへの感染を防ぐように注意することが重要です。
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乳幼児の突発性発疹:特徴と対処法

乳幼児期のお子さんを持つ保護者の皆様にとって、お子さんの急な発熱は、大きな不安を感じることでしょう。特に初めてのお子さんであれば、なおさらのことと思います。突発性発疹は、そのような乳幼児期によく見られるありふれた病気の一つです。 この病気は、ほとんどの場合、高い熱が数日続いた後、熱が下がるとともに全身に赤い発疹が現れるという経過をたどります。熱が高い間は、ぐったりしたり、食欲が落ちたりすることもあります。初めてのお子さんを持つ保護者の方にとっては、この発疹を見て、何の病気だろうと心配になるかもしれません。しかし、突発性発疹は、多くの場合、特別な治療を必要とせず、数日で自然に治る病気です。 この記事では、突発性発疹の原因となるウイルスや、具体的な症状、家庭でのケアの方法など、詳しく解説していきます。お子さんに突発性発疹の疑いがある際に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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風疹を知る

- 風疹とは風疹は、風疹ウイルスに感染することで発症する病気です。このウイルスは、感染した人の咳やくしゃみなどのしぶき(飛沫)に含まれており、それを吸い込むことで周りの人にうつります。これを飛沫感染といいます。空気中に漂うウイルスを吸い込むことで感染することもあります。風疹の感染力は、はしかなどと比べると強いとはいえませんが、特に妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群という深刻な病気を引き起こす可能性があります。そのため、風疹は決して軽視できない病気といえます。
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よくある子どもの病気、水痘について

水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスが原因で起こる感染症です。このウイルスは人から人へとうつりやすく、空気感染、接触感染、飛沫感染など、さまざまな感染経路があります。 空気感染は、感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散る、ウイルスを含む小さな水滴を吸い込むことで起こります。この水滴は空気中を漂うため、感染者から離れた場所でも感染する可能性があります。 接触感染は、感染者の発疹や水ぶくれに触れることで起こります。水ぶくれの中にはウイルスが多く含まれており、触れることでウイルスが手に付着し、その手で目や口、鼻などを触ると感染する可能性があります。 飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る、ウイルスを含む比較的大きな水滴が目や鼻、口の粘膜に付着することで起こります。空気感染と比べると、飛沫は重いため遠くまで到達せず、感染者の比較的近くにいる人に感染する可能性が高いです。 水痘は、一度感染すると、体の中に免疫ができますが、ウイルスは神経節に潜伏し続けます。そして、加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、再びウイルスが活性化し、帯状疱疹を発症することがあります。
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ロタウイルス感染症:乳幼児に多い胃腸炎

- ロタウイルスとはロタウイルスは、乳幼児によく見られる胃腸炎を引き起こすウイルスです。特に、生後6か月から2歳頃までのお子さんは注意が必要です。感染すると、嘔吐や下痢、発熱などの症状が現れ、脱水症状に陥りやすいため、注意深いケアが欠かせません。ロタウイルスは、感染した人の便の中に存在し、その便に直接触れたり、便で汚染された物に触れることで感染します。例えば、オムツ交換の際に手にウイルスが付着したり、おもちゃやドアノブなどを介して口に入ったりすることで感染が広がります。また、十分に洗浄されていない食品を食べることでも感染する可能性があります。ロタウイルスの感染力は非常に強く、ごくわずかな量のウイルスでも感染を引き起こす可能性があります。そのため、感染予防には、手洗いの徹底が何よりも重要です。石鹸を使って丁寧に手を洗い、流水で十分にすすぎましょう。また、おもちゃや身の周りの物の消毒もこまめに行うことが大切です。ロタウイルス胃腸炎はワクチンで予防できる病気です。ワクチンを接種することで、重症化を防ぐ効果が期待できます。かかりつけ医に相談し、ワクチンの接種を検討しましょう。
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身近に潜む脅威:エンテロウイルス感染症

- エンテロウイルスとはエンテロウイルスは、私たちの消化器官、特に腸の中で増殖するウイルスの仲間です。その名前は、ギリシャ語で「腸」を意味する「enteron」という言葉に由来しています。エンテロウイルスは、ピコルナウイルス科と呼ばれるウイルスグループに分類され、その遺伝情報はDNAではなくRNAという物質でできています。エンテロウイルスは、非常に多くの種類が存在することで知られています。現在確認されているだけでも、67種類ものエンテロウイルスが見つかっています。これらのウイルスは、私たちにとって身近な存在であり、感染しても多くの場合、軽い風邪のような症状で済みます。しかし、場合によっては、無菌性髄膜炎や心筋炎など、より重い症状を引き起こす可能性もあります。エンテロウイルスは、感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ることによる接触感染によって広がります。また、ウイルスに汚染された水や食べ物を摂取することでも感染する可能性があります。エンテロウイルスに対する有効な特効薬は、まだありません。そのため、感染を防ぐためには、こまめな手洗いとうがいを心がけ、咳エチケットを徹底することが重要です。また、バランスの取れた食事や十分な睡眠を摂ることで、体の免疫力を高めることも大切です。
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りんご病:幼児に多い感染症

- りんご病とはりんご病は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが、人の体の中に入ることによって起こる感染症です。特に、幼児から小学校低学年くらいまでの子供がかかりやすい病気として知られています。日本では、春になると流行することが多く、保育園や幼稚園などで集団発生することもあります。りんご病の症状として一番よく見られるのは、両方の頬がまるでりんごのように赤くなることです。このことから「りんご病」という名前が付けられました。また、頬が赤くなるのに加えて、腕や足、体などにも赤い発疹が出ることがあります。発疹は、最初は小さな赤い点ですが、次第に広がって、網目状やレース状になることもあります。その他にも、微熱が出たり、だるさを感じたり、関節が痛むという症状が出ることもあります。多くの場合、りんご病は特別な治療をしなくても、数日から1週間程度で自然に治ります。しかし、まれに、貧血や脳炎などの合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。また、妊婦さんがりんご病に感染すると、お腹の赤ちゃんに影響が出る可能性があります。さらに、免疫力が低下している人も、重症化する可能性があります。りんご病は、主に咳やくしゃみによって、ウイルスを含む飛沫が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。また、感染者の鼻水や唾液などがついたタオルや食器などを介して、間接的に感染することもあります。そのため、りんご病の予防には、こまめな手洗いとうがいを心がけ、タオルの共用を避けることが大切です。流行時には、人混みを避けるようにすることも有効です。
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GCU:小さく生まれた赤ちゃんのための大切な場所

新生児集中治療室(NICU)は、お母さんのお腹の中で予定日まで育つことができなかった赤ちゃんや、生まれてすぐに病気や障がいを持った赤ちゃんが、高度な医療機器と専門スタッフによる治療やケアを受けることができる、病院の中でも特に設備の整った場所です。NICUでは、赤ちゃんの呼吸や体温、栄養状態などを24時間体制で注意深く見守りながら、成長をサポートします。 そして、NICUでの治療を終え、容体が安定し、さらに成長するために移されるのが、GCU(Growing Care Unit)です。GCUは、NICUよりも少しだけ医療機器やスタッフの数が少なく、赤ちゃん自身の力で成長できる環境が整えられています。GCUに移った後も、医師や看護師、保育士などの専門スタッフが、赤ちゃんの発達段階に合わせて、授乳や呼吸、排泄などのサポートを行いながら、成長を見守っていきます。 GCUは、赤ちゃんにとってはNICUを卒業し、自宅に帰るための準備段階であり、ご家族にとっては、赤ちゃんとの生活に向けて、授乳や沐浴、オムツ交換などの方法を学ぶ大切な場所でもあります。GCUでの生活を通して、赤ちゃんは心身ともに成長し、ご家族は赤ちゃんとの生活に自信と喜びを感じながら、退院の日を迎えることができるようになります。
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乳児院: 赤ちゃんのための安全な場所

- 乳児院の役割乳児院は、様々な事情により、本来であれば温かい家庭の中で両親の愛情に包まれながら成長していくはずの、生まれて間もない赤ちゃんたちが、一時的に生活する場です。その役割は、単に衣食住といった基本的なニーズを満たすだけにとどまりません。まず、乳児院では、栄養バランスの取れた食事やミルクを適切な時間に与え、清潔なおむつに交換し、快適な室温を保つなど、赤ちゃんたちの健康を維持するための丁寧なケアが行われています。健康状態の確認や病気の予防接種なども、病院と連携しながら、きめ細やかに行われています。しかし、乳児院の役割は、こうした身体的なケアだけではありません。赤ちゃんたちにとって最も大切なのは、周囲の大人からの愛情のこもった触れ合いです。乳児院では、担当の職員が、赤ちゃん一人ひとりの個性や発達段階に合わせた方法で、抱っこしたり、優しく語りかけたり、一緒に歌ったり遊んだりしながら、愛情深く接しています。こうした温かい触れ合いを通して、赤ちゃんたちは情緒の安定や基本的信頼感を育み、健やかな心身の発達を促されるのです。さらに、乳児院は、赤ちゃんたちが一日も早く家庭的な環境で生活できるよう、里親委託や特別養子縁組など、様々な支援体制を整えています。また、必要に応じて、退院後の家庭訪問や相談など、きめ細やかなアフターケアも行っています。このように、乳児院は、赤ちゃんたちが幸せな未来を築けるよう、様々な角度からサポートする重要な役割を担っているのです。
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誰もが経験する?水ぼうそうの基礎知識

- 水ぼうそうとは水ぼうそうは、医学的には「水痘」と呼ばれる、水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるありふれた感染症です。 主に乳幼児や小学生など、小さな子供が発症することが多く、一度かかると生涯にわたって免疫を獲得します。水ぼうそうの最大の特徴は、全身に赤い発疹や水ぶくれが多数現れることです。これらの発疹は、最初は小さな赤い斑点として現れ、次第に水ぶくれへと変化していきます。水ぶくれは非常に痒みを伴い、かきむしってしまうことで症状が悪化したり、細菌感染を起こしたりする可能性もあります。水痘帯状疱疹ウイルスは、空気感染や接触感染によって非常に容易に感染します。感染経路としては、咳やくしゃみによる飛沫感染や、水ぶくれの内容物に直接触れることによる接触感染が挙げられます。潜伏期間は2週間程度で、感染してから発疹が現れるまでに時間がかかるため、知らないうちに周囲に感染を広げてしまう可能性もあります。水ぼうそうは、一般的には予後が良好な病気ですが、まれに合併症を引き起こすことがあります。合併症としては、肺炎や脳炎などが知られており、特に免疫力が低下している乳幼児や高齢者は注意が必要です。水ぼうそうの予防には、ワクチン接種が有効です。ワクチンは、水ぼうそうの発症リスクを大幅に低下させるだけでなく、合併症のリスクも抑える効果が期待できます。
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乳幼児の体格指標:カウプ指数

- カウプ指数とはカウプ指数は、生後3か月から5歳までの乳幼児の発育状態を評価するために用いられる指標です。乳幼児期は成長が著しく、栄養状態がその後の発達に大きく影響するため、定期的な評価が重要となります。カウプ指数は、体重(g) ÷ 身長(cm)の二乗 × 10という簡単な計算式で算出されます。この値によって、乳幼児の体格が標準から見てどの程度ずれているのかを判断することができます。カウプ指数は、肥満や低体重の判定に特に役立ちます。標準値を大きく上回る場合は肥満の傾向、逆に下回る場合は低体重の可能性が考えられます。しかし、カウプ指数はあくまでも目安であり、この値だけで断定することはできません。乳幼児の体格は、遺伝や生活習慣、運動量など様々な要因によって個人差が大きいためです。そのため、カウプ指数は、他の発育指標や健康状態、生活状況などと総合的に判断することが重要です。乳幼児の健康管理において、カウプ指数はスクリーニングツールとして活用されます。定期的にカウプ指数を測定し、記録することで、発育の経過を観察することができます。もし、カウプ指数が急激に変動したり、標準値から大きく外れている場合は、医師に相談し、適切な栄養指導や発育支援を受けることが大切です。
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赤ちゃんに見られるモロー反射とは?

- モロー反射とは生まれたばかりの赤ちゃんや乳児が見せる、興味深い行動のひとつに「モロー反射」があります。これは、外界からの予期せぬ刺激に対して、赤ちゃんがとっさに反応してしまうことから起こる、生まれつき持っている反射運動のことを指します。この反射運動は「原始反射」とも呼ばれ、成長に伴い徐々に姿を消していくのが特徴です。では、具体的にモロー反射はどのような行動で観察されるのでしょうか?赤ちゃんは、大きな音や急な体位の変化といった、突然の刺激を受けると、まるで驚いたかのように両腕を大きく広げ、その後、再び腕を胸の前で閉じる動きをします。まるで誰かをぎゅっと抱きしめようとしているかのような、愛らしい仕草です。この特徴的な行動こそが、モロー反射と呼ばれています。モロー反射は、赤ちゃんの神経系の発達が順調に進んでいるかどうかを判断する上で、重要な指標の一つとなっています。もしも、赤ちゃんが生後数ヶ月経ってもモロー反射が見られたり、逆にモロー反射が現れるべき時期に反応が見られなかったりする場合は、医師に相談する必要があるかもしれません。
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